都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

早稲田大学の卒業式に出席:母校のつながりを感じた

2015-03-31 05:15:13 | 教育

 子供が卒業、入学式は3.11でなかったため、今回、愚妻と出席。鎌田総長の式辞にもこのことが触れられていた。朝から、子供は袴、愚妻は着物の着付けと記念写真に忙しい。

 卒業式は10時から。1.2万人の卒業生、ドクター200人、60万人の交友というのはマンモス大学で、卒業式も5回に分けられている。また、1957年竣工の記念会堂も今年解体だそうだ。当方と年齢が同じであり、寂しい感じもする。建替え後は高さ規制もあり地下に入れるそうだ。

 校歌を歌うと感慨深い。当方の入学から約40年だ。早稲田グリー・クラブの「この道をゆく」がしみじみとしていた。(ゴスペラーズも早稲田出身だったのを思い出す)そのあと、檀上退席の間、早稲田の栄光を初めて歌う。記念会館はとても寒い、着物の愚妻が凍えていた。

 12時過ぎに恩師の戸沼先生の事務所に。お昼は先生が関与した125尺の26号館にある眺めの良いレストランで食べていたら、研究室の後輩が夫婦で横に。5人の会食となる。ご馳走になり、この上の校友会も開放されているため眺めを楽しんだ。キャンパスはビルの建替えがなされ本部キャンパスの政経など、歴史ある見慣れた校舎の上に近代的なビルがオーバー・ハングしている。

 戸沼先生から早稲田人は暖かい、4年で卒業は少なかった、卒業してからも繋がりが大切だとの指摘もあった。後輩の子供は2人が早稲田、一人が浪人でアメリカ留学予定など色々だ。

 子供は4年間楽しかった!と言っているが、成績はどうにか滑り込み卒業だ。とにかく、目出度い。後は自活の時代に入る

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レ・セゾン 帝国ホテル(東京 日比谷):子供の招待、夫婦で伺う、帝国ホテルのサービスと革新が両立

2015-03-30 05:11:50 | 食べ歩き

 大学の後輩になる子供から卒業の感謝として招待される。夫婦でコースを楽しむ。シャンパン、白・赤のワインが付くが、シャンパンを追加、愚妻のワインも貰って良い気持ちになった。

アミューズ
・ピンでつまむ丸い球、小さなグラスをスプーン、串に刺さったフォアグラなど癖のない穏やかなシャンパンと楽しむ

オードブル

・季節のアスパラガス、根本はニョッキで巻いて、桜のソースは面白い


パンは、温めたフランス・パンと胡麻のパンで秀逸、胡麻のパンの熱々にバターを挟み込んだのが良かった。バターは球状で使い易く、取り換えも迅速


スープ仕立てのフォアグラ
・ソテーのフォアグラに鴨のフォンをたくさん、スープ替わりに楽しめる



・グジに油を掛け皮目がはっきり、その後オーブンで調理。ソースはエスプーマとリンゴの二重味。上にのる野菜の歯触り、皮のかりかり、身のしっとり、ソースの変化が楽しい


子羊のロースト
塩分の強い乳のみ子羊のロースト、茄子のロースト、梅のソースで変化がある

 シェフのヴォワザンがテーブルのあいさつに、グジを英語で褒めたら喜んでいた。愚妻と写真に。


チーズ
・イギリスのブルーの酸っぱさ、スペインの酸っぱいのなど癖のあるのをライ麦薄切りにのせバターを塗ってちびちび


デザートとチョコレート
・ソルベ、デザートもソルベ(卵白嫌い)で、エスプレッソWにオレンジ・ピールのチョコレートが良かった


感謝のプレートとフルーツ

・ケーキのところをフルーツで、ホワイト・チョコレートに感謝の文字と名前が

 サービスと革新を感じた、感謝の招待がありがたい

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春分の日のテニス:初めて半パンに半袖、焼けるうえ、アレルギーが

2015-03-29 05:46:03 | 趣味

 朝からテニス。気温が上がり、湿度が低い。ボールがパンパン跳ねるうえ、打撃の音が甲高い。山はかすみPM2.5 と花粉の襲来。抗アレルギー剤でこの3週間以上しのいで、頻繁にうがいと顔洗いで対抗している。

 とても楽しい。中学生とストロークをして、「良い感じになりました」とお礼がある。クラブで教えるのは、会社と違って気楽だ。

 帰宅して用事を済ませ、シャワーを浴びて一杯。東山が霞む。ネットで確認すると花粉のピークでPM2.5が強い。洛中には観光客が多い。六角堂の手前の桜も綻ぶ。

 ああ春だ

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青冥(大阪 三番街):初めて五目飯(中華丼)を食べたがねっとり

2015-03-28 05:45:07 | 食べ歩き

 11時からは限定の500円ランチで五目汁そば、やきそば(揚げそばもある)、飯。夜が美々卯本店うどんすきの会食であり初めて五目飯を食べてみる。

餡がきつく、別につくスープを流し込むか、酢をかけるのが良いようだ。ご飯との相性は悪くないが、麺の方が好きだ。試に胡椒や辛子も入れてみた、味の変化には面白いがどちらもない方がおいしい。

最近、アイドル・タイムの15時過ぎも定食の割引があるようだ。稼働率で稼ぐ方針のようだ

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Dynaudio Focus 340とDENON PMA SX1の鳴らし込み

2015-03-27 05:43:55 | 趣味

 セッティングしてから3か月。たまたま子供が留学で2週間居ないのもあり、14日間×14時間くらいで200時間鳴らし込んだ。

 モーツアルト主体で、ブラームスの小編成やロン・カーターのバッハのピチカートなど。やや大きめの音量にした。75㎜ヴォイス・コイルのWウーファーは鳴らし込みにバスレフで使っているが100Hzくらいにピークがあり、「ぼうぼう」と膨らんでいた。ダンパーの軟化が進んだためかカーターのチェロも生々しく自然になった。ヴァイオリンが固いのはほぐれてきたが、倍音がいまひとつ、オイストラフが力強すぎ、ハイフェッツに面白みがない。T380はD260 と同系列の分割振動型のツイーターでありエージングに時間がかかる。

 思いついて、常用しているオルトフォン7Nの電源コードを付属のものに替えると、まとまりが良くなる。オルトフォンでは音像が立体的だが、高音の尖りと低音の締まりがあったが調味料の効き過ぎがあった。練れたAudience80でもDENON PMA SX1のきつさを感じた。電源コードが一因のようだ。付属品は良いバランスでなるがこれもエージングしてみないと分からない。こちらの方が、古楽器も嫌味なく鳴る。オルトフォンの電源コードは渋いS10-Ⅱには調味料として良かったが、DENON PMA SX1には不要のようだ。電源コードを選ぶとしたら太目で7Nが良いかも知れない。今後の楽しみだ。

なお、スピーカーケーブルはAcotec(現Acrolink) 1040と6NのYラグだが癖が無く不満はない。7Nのケーブルが現行だがどれ位の差があるのか分からない。

 替えるならCDとアンプの間のケーブルかな(60㎝)今はAcrotecの1万円位のを使っているがこれも中庸で不満がない。今のセットなら味付けのないラインが良さそうだ。

 DemagnedizingのCDは効果的で、音場、音像、帯域とも広がる。目が覚めるようだが、当面は頻繁にやるのが良いようだ。脱磁後は鳴り方も開放的だ。理由は分からない。

 非常に滑らかでいつまでも聴きたいという音だ。しかも、楽器の分離が良く、立体的で音像が立つ。あと少し両端のレンジが広がると、高域の囁きと低域の音圧で空気感が良くなる

 二重盲検法にならい電源ケーブルを試した、オルトフォン7Nが低音の締まり、バランス、ただし高音のきつさはあるが、圧倒的に良い。音像と音場も確かだ。

 

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グリルRON(大阪 三番街):ハンバーグとヒレカツのセットが楽しめる

2015-03-26 05:42:49 | 食べ歩き

 呑まない日の外での晩御飯に訪問が多い。今まではひたすら大阪で珍しい しょうが焼きとコロッケのセット(920円)だったが、今日は、ハンバーグとヒレカツのセット(1,080円)にする。コロッケもヒレカツも同じ値段。ヒレカツはドゥミグラス・ソースが半分かかり、2つに切ってある。からりとしてうまい。ご飯は17時まで大盛り無料、オーストラリアのエアーズ・ロックみたいな盛りで来る。ハンバーグは定評のあるもので、ドゥミグラス・ソースにソースを足してご飯のおかずにする。

 最後に味噌汁の蓋を取って、熱いので仕上げる。満足だ。

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善循環に違和感:好循環か

2015-03-25 05:41:41 | 世情

 善循環は日経などに多用されているが気に入らない言葉だ。悪循環に対しては「好循環」が良いと思う。英語ではvirtuous circle ⇔ vicious circle の対比だ

 悪にたいして良いというので「善」を対比させているのだろうが、「善」は解釈が入るものだ。無条件に良いとなれば「好」のすわりが良い。

“the priority of the right over the good”では「善に対する正の優越」となっているが、良い行為を「善」としている。

 新聞の言葉には引っかかるものが多い

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ぎをん 桃庭(京都 祇園):お茶屋建築、甲殻類や貝の中華

2015-03-24 05:40:50 | 食べ歩き

谷崎潤一郎が通ったというお茶屋「吉初」を生かした中華料理のお店。一力の先にあり艶っぽい立地。お茶屋建築らしく、入口から人目を忍ぶ迷路の様。入口横の井戸が珍しい。中庭があり、手水鉢の流れが面白い。(陰陽の陰の象徴か?)築100年とあるから明治の建築か、数寄屋風だが派手目の造り。天井仕上げが、竹竿、網代、葦の三種で面白い。塗り込みの垂れ壁が後付だろうか。

お料理は蟹の揚げたのが名物、他に海老や帆立があり野菜も多い。油通しで広東風の味付け。楽しく会食できる。

8時過ぎの帰りに、四条名物半分屋台の祇園みよしや が丁度開店。お土産に(1本百円)、お土産にと買い求め、愚妻にも5本ほど。久々で好評だった。

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儀式(パトリシア・コーンウエル):MITが舞台で懐かしい、新しい建物が多い

2015-03-23 05:39:27 | 趣味

 ベストセラーのシリーズ。ベルモントのMclean Hosspital(近くに1年住んでいた、78Grant Ave.だ)から、MITに舞台が移る。訳は慣れているはずなのに下訳をそのままみたいで舞台転換も分からない。しかも姪の「おばさん」やはずっぱな言葉だけがうわ滑っている。こんな訳で良いのだろうか?原著を読んだ方が楽しめる。

 位置関係の情報も不足でSomervilleのSomerville Ave.からPark St..、そして主人公の居宅のあるBeacon St..の説明もなく面白みがない。ボストン都市圏には低所得者向けアパート(Low Income Housing)がまだら状にあるのは、昔のオフィス開発負担のLinkage政策にも原因がある( http://housingtrustfundproject.org/boston-linkage-fee-for-large-scale-developments-produces-jobs-and-housing/ )このあたりが分かっていないのではないか。

 MITの近くに鉄道線があったのは知っているが、サーカスが来ていたのは寡聞にして聞かなかった。また、MIT西半分での殺人事件もありうる立地だがヘリコプターの着地は無理では。近くのアアルト設計の寮生などが押し掛ける。

 この6月に25th ReuionがありSloanの面々と会うつもりだ。

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井津長(大阪 堂島):穴子丼大盛りは穴子が多く嫌味がないが旨味もない

2015-03-22 05:04:58 | 食べ歩き

 穴子は好きで食べ歩いた。関西は砂の焼き穴子など、東京の煮穴子と違う。握りずしより、散らし寿司に使うからだろうか。

 老舗のこの店に穴子丼(1.5人前 1,250円)があると聞いて早速訪問。口開けの客となる。粕汁を選び「大」にする。
 穴子はめそみたいな小さいのが6匹くらい。好きな尾っぽが多く嬉しい。しかし、身が痩せて、皮の匂いがあり、タレも煮詰めのコクがない。柔らかいが、うまさもない。ご飯は多く、タレが多め。結構塩っぱさが残る。


 粕汁は大根、人参、竹輪が入り具沢山だが出汁が薄い。香の物も櫻大根とタクワンで化学調味料を感じた。

 手練の技があるが、きりっとした旨味が欲しい

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忙しいのはあまりよくない

2015-03-21 05:03:48 | 世情

忙しいのは好きではないが、今月末の早稲田での卒業式の出席、6月にMITの同窓会にケンブリッジへとか、論文のプレゼンなど慌ただしい。

 その上、年度末の仕事の追込み、歓送迎会、論文の関係で止めていた会食なども年度内に目白押し。

 加えて、義母の家の改築、自転車整備など結構やることがある。梅も見たいし、桜も楽しみたい、更に5月の連休には絵も描きたいなど気忙しい。

 のんびりなかなかできない、忙しいのは字の通り心を亡くして時間を損している感じだ

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かいげん(千葉 浦安フラワー通り):鰻、天ぷら、うまい棒

2015-03-20 05:00:34 | 食べ歩き

 浦安のフラワー通りにある、鰻・焼鳥・天ぷらのお店。自転車や車で買い出しにきたものだ。子供を連れて行くと「うまい棒」が貰えた。鰻が御職で古くからの浦安の住人には「あそこはうまい」と言われていた。焼鳥を買うのが多かった。どうも、串に刺した焼鳥を仕入れ、焼き置き、あぶり直すという売り方で手早い。
 天ぷらも秀逸で烏賊のかき揚げ、ポテト・フライが一家の好物であった。このフラワー通りにあった大栄飯店なども懐かしい

http://www15.plala.or.jp/n7ohshima/urayasunosuimenn_1.jpg
この絵の橋を渡り、右に曲がったところにかいげんがある。

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マーケティングの嘘(辻中俊樹、櫻井光行):定量調査の嘘を生活日記調査で解明は普遍性に難がある

2015-03-19 04:58:13 | マクロ経済

 「生活日記調査」という一日の行動・消費という生活を丹念に見てから、マス・データで検証する手法を提唱。確かに、数字の陥穽をフォローしている。昔は、グループ・インタビュー手法もあったなあと思い出す。手法は1対1のデプス・インタビュー、エスノグラフィー(観察調査)による。

シニア層(「義務と責任のない」自由な時間、人口拡大、多様性)とポスト・マタニティ(通過型、人口減少気味、同質性・流行志向)をターゲットに分析している。更に、この2世代+子供で三世代マーケティング(近接連鎖)に伸長している。

 東京移民(地方から流入)とその子供のジモティ化(マイルドヤンキーという分析より深い)、パラサイト・シングルを住宅保有から解明しているのは面白い。外孫で女系の近接連鎖を書いているが、都会と地方(人口が少ない)もそうだろうか。より解明が欲しい。

Time, Place, Occasion (TPO) とPsychology, Product で生活動線の「頻度」と「異常値」(ニーズの源)、生活者二次データ(国勢調査など)で検証

 マイルドヤンキーなどの定義より内容がコーホート分析や住み方の調査で納得がいく。お薦めできる。

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秀寿司(千葉 浦安):山口瞳さんの書、穴子、奥さんの実家のネギトロ

2015-03-18 04:56:54 | 食べ歩き

 浦安小学校の裏、車が1台置ける。92年から通い色々な方と大いに飲んだお店だ。暖簾は山口瞳さんの書。


作家で山口瞳さんや常盤新平さんの行きつけとしても有名で、ご主人は貝と穴子に凝る。奥様の実家が築地のマグロ屋で、そのため初めにネギトロが出る。


 穴子の美味い店で、小柴、ないときは仙台、それもないときは千葉の穴子であった。煮穴子で握る前に炙るため時間がかかる。
 貝は、近くに浦安名物あさり串のお店があるように、青柳など色々あったがあまり食べなかった。
 マグロも美味しく、トロが脂肪としてとろけ、うまいと思ったのは初めてだ。

 赤ん坊だった子供たちもいまや就職に、ご主人も奥様も歳をとった

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21世紀の資本(トマ・ピケティ):国家のP/LのGDPの成長率とB/Sの純資産の利回りを比較は新鮮

2015-03-17 04:54:42 | マクロ経済

 話題の本で知的興奮がある。訳は仏語から英語、日本語でこなれていない上、分担で統一がいまひとつ。術語については英語併記が欲しい。(日本語では何のことか分からない)

体系的章立てが印象的で、資本と所得、資本/所得比率の動学、格差の構造、21世紀の資本論となっている。

 データについても下記のサイトにまとめられており便利だ。

http://piketty.pse.ens.fr/en/capital21c2

 

 内容はマクロ経済や政治学、公共経済学など多岐にわたる。基礎知識がないと読めないだろう。特徴的な観点は国家のP/LをGDP(Income)とし、B/Sを資本(Capital)と定義した、複式簿記のような構成だ。これは卓見だ。P/LとB/Sでは歴史的に見てB/Sが原因で格差が生まれたと資産の利回り分析(これがどうも分かり難い)から結論づけているのが特色だ。

その内容は、GDP成長率をg(Economic Growth)とし、資本収益率をr(Rate of Return on Capital)としてこれを分析している。有名な結論はr>g (資本収益率は経済成長率を上回る)というもので、行動経済学でも時間選好率θのプレミアムが乗ると、さらっと証明している。そのため、rは4~5%で安定となるが、gは1%程度となっている。

定義:β=Capital /Income Ratio 

 歴史的には1930~50の世界大戦のときに低下する「U字曲線」となる→政治・社会動向が経済に絡む証拠として3つ目の要点に挙げている

第一法則:α=r×β=GDPのうち資本からの収益の割合を示す

第二法則:β=s/g=長期的には貯蓄率(資本成長S=I)/経済成長(賃上げ)で均衡する

 構成の基本は上記で、難しくもなんともない。資本を持つものが、より富を増やすという結論で、政策や課税などの歴史が関与しているという解明もある。更に、富が上位階層にシフトしている事実がある。これは資本主義の矛盾で、持たない階層の努力や起業などやる気をそぐ悪循環を生むと結論づけた。

格差では、相続でモジリアーニの「ライフサイクル仮説(有名な三角形)」や、利権としてのRent概念、ロールズの「格差原理」、センの「Capability Approach」が紹介されるが、社会学としての分析は浅い。

 公的債務問題につては資本税、インフレ、緊縮財政を対策としているが、資本税を格差是正とともに推している。インフレは富を再配分しない、つまりは運用に長けた階層をより豊かにするとしている。

 結論は、格差是正には累進資本税が有効で、そのためには国際的な課税体制の協調(抜け駆けがあると富が移転する)が必要と説く。

 全体にジャレド・ダイヤモンドみたいな大風呂敷であり、昔の世界資産の算定などに確かさに難点もあるが論旨としてまとまっている。しかし、P/LをGDP(Income)とし、B/Sを資本(Capital)と定義した場合の資本からの収入(株式、債券、経済地代など)の算出に疑問がある(GDP算出の不確かさと国家による違い)更に、時間軸を導入し、政治・社会変動を経済の要素として重視しているのは立体的な把握だ。

 更に、政治や社会科学を導入した「政治歴史経済学」を提唱している。これは正しい。都市経済学でも制度やコーホートという社会バイアスとの歴史だった。

 個人的見解として、資産の利回りを更に深耕した分析が欲しい。

 実に面白い、英文で読んだ方がよかった

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