都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

漂うモダニズム(槇文彦):近代建築とはなにか、文章がうまい

2013-08-22 04:49:41 | 趣味
 建築家の文章は難解なのが多いが読みやすい。30年くらい前、横浜のウォーターフロントのセミナーで「ウォーターフロントに落下防止の柵が必要なら、駅のホームがよほど危ない」との発言があったのを思い出す。
 エッセイではモダニズム建築の歴史だが、建築と利用者、建築と社会、日本(語)と英語(世界)、建築と時代からみた芸術とSocial Sustainability の対比などが観点だ。
 
村野藤吾の論評が詳しい、ゼネコンの設計・施工に「村野がかり」がいてあの作品を作ったというのはさもありなん。丹下健三もゼネコンとの協調があったとのこと。ゼネコンが日本建築を支えているとの見解だ。村野の「森吾商店(ポツ窓の名作、竹中のポツ窓にもつながる)から、貪欲な生への欲望と童心性を見抜く。また、村野の建築の柔らかさは数奇屋から出たもので「五感の世界」として触覚性、雰囲気があるとしている。卓見だ、そこが好きだ。

 「個と全体」の対比、ジェイコブスの「意思ある個」の指摘は都市計画や普遍性の可能性、街並みと建築のあり方に及ぶ。また、奥宮、里宮、田宮など都市計画的同心円の広がり認知もある。
 
 難しくなく、楽しく読める建築の著作として優れている。引用の文献もさすが知的だ


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