【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

不正選挙

2020-11-07 16:07:00 | Weblog

不正選挙
 政治制度が未熟な国で選挙をする場合、暴力沙汰込みの不正選挙が横行することが多いので、国連が選挙監視団を派遣することがあります。
 そういえばトランプさんは盛んに「アメリカで不正選挙が横行している」と訴えています。だったらトランプさんの明友の安倍さんは「選挙監視団を急遽派遣しよう」と提案したらどうなんでしょう。
 しかし、その国の大統領自身が「我が国の選挙制度は腐敗している」と公言して自国の恥を世界にさらすって、何なんでしょうねえ。アメリカって、もしかしたら後進国(昭和時代の言い方)なの?

【ただいま読書中】『ナチ科学者を獲得せよ! ──アメリカ極秘国家プロジェクトペーパークリップ作戦』アニー・ジェイコブセン 著、 加藤万里子 訳、 太田出版、2015年、2600円(税別)
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 ナチスの強制収容所は「劣等民族の絶滅収容所」でしたが、同時に「奴隷収容所」でもありました。軍事的および経済的には「労働力を安く使え、最終的には殺すから軍事機密も保持される」という利点があります。製造されたのは、タブンのような毒ガス、ロケット兵器のV2、生物兵器(ここでは製造だけではなくてその効果の試験台にも奴隷が使われました)……ドイツに侵攻した連合軍の軍人と科学者たちは、今までにみたことがないタブンや超音速飛行機用の風洞などに目を見張ります。装置はすぐに本国に送りますが、「誰」がそれを作ったのか、が問題です。その科学者と技師は、「ナチスの信奉者(あるいは協力者)」ですが、それに目をつむれば「自分たちの科学技術を進歩させるために役立つ有能な人材」なのです。
 アメリカのために協力するようにリクルートされたドイツ人科学者たちの最初のグループは、ダッハウで人体実験をやっていた医師6人でした。「ペーパークリップ作戦」のもっとも邪悪な秘密のひとつです。V2を製造していたフォン・ブラウンは熱心なナチ信奉者でしたが、ヒトラーの死を知り、仲間とともにアメリカに投降することにします。自分たちが“高く売れる”と確信していたのです。フォン・ブラウンを最初に取り調べたアメリカ軍将校は「フォン・ブラウンが、自分の行為の結果(破壊と殺戮)に対して罪と責任を全く認めないこと」に強い印象を受けています。
 これはフォン・ブラウンだけのことではありませんでした。捕虜となったたの科学者や技師たちも(少数の例外を除けば)「何も知らない」「自分は悪いことはしていない」の一点張りです。
 最初にナチ科学者たちを確保した米軍の将校は「ナチを許せない」と「彼らはアメリカに利益をもたらすだろう」の板挟みとなります。
 フォン・ブラウンたちの“チーム”がアメリカで宇宙開発に貢献したことは有名ですが、フォン・ブラウンが筋金入りのナチだったことは知りませんでした。また、ロケット以外にも、医学・化学などで戦争中に残虐行為を行い、本来だったら戦争犯罪人として処罰(人によっては処刑)されるべきだった人たちが、堂々とあるいはこっそりと戦勝国(特にアメリカ)のために働くことで“免罪”されていたことも詳しくは知りませんでした。これって、アメリカの“恥部”では?
 おっと、「ナチの戦犯」が罰せられないこと、を問題としましたが、「ナチの科学者」だから“有罪”で、アメリカの科学者がやったら「国家への貢献」、というわけです。だけどやっていることは同じ。う〜む。
 そういえば日本軍でも戦争中の残虐行為がありましたね。それについてもまさか同じようなことが行われていたのでしょうか? いや、実用性を重視するアメリカ軍の態度は、ヨーロッパでも日本でも同じでしょうから。