マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

生姜を使ったお手当③「生姜油」

2020年04月04日 13時46分05秒 | 自然医食のお手当
生姜の抗炎症作用、鎮痛作用にあわせてゴマ油にも消炎作用があります。
この二つを混ぜ合わせて、柔らかい綿に含ませたり直接手で塗り込むだけの手軽さもうれしいお手当法で、咳、喘息の発作、前頭部の頭痛、肩こり、打ち身、捻挫、はげ、白髪、水虫、アトピー性乾疹、火傷、しもやけ、骨および関節の疾患、慢性関節リウマチ、骨肉腫(放射線治療による硬化に)など、手軽なわりに働き者なお手当法です。



胡麻油とひね生姜のしぼり汁を同割で乳化するほどよく混ぜて、患部に擦り込みます。
生姜シップをしたいけれど患部に熱があるというときに代用として生姜油が使えます。
本来は炒った茶色い胡麻油がいいのですが、香りが強いので、白ごま油を使われてもいいです。

火傷の時は、まずはアイシングしてそのあとに優しく塗ります。ひりひりするときはごま油だけでも大丈夫です。
火傷をしたらすぐに手当することで、水膨れになることなく炎症の引きも早くありがたいです。
大きな火傷の場合の手当法もありますが、慣れない方はすぐにアイシングして病院に行ってください。

いずれにしても、家庭療法ですので、普段から経験を積まないと思わぬ惨事になることもありますので、自己責任の範囲で行ってください。
ちょっとした傷病で慣れていくことをお勧めいたします。



あわせて「生姜の基礎知識」  や 「生姜シップ」もご覧ください。

生姜を使ったお手当②「生姜シップ」

2020年04月02日 16時36分02秒 | 自然医食のお手当
腰痛や肩こり、神経痛、腎臓病、肝臓病、腫瘍、癌、婦人病、リウマチ、関節炎、腹膜炎、胃潰瘍、胃腸病、尿道炎、膀胱炎、前立腺炎など、あらゆる炎症に効くといわれる生姜シップをご紹介致します。
久司道夫先生の著書には、アレルギー、貧血、腕や手の疾患、硬直性脊椎炎、喘息、背中の痛み、血液の疾患、ねぶと、骨および関節の疾患、腱膜瘤、気管支炎、手根管症候群、こむら返り、下痢、消化器系疾患、めまい、耳の疾患、腸炎、足脚の疾患、骨折や脱臼、胆のう疾患、痛風、湾岸戦争症候群、黄疸、腎臓結石、腎臓および膀胱の疾患、ライム病、筋ジストロフィー、重症筋無力症、精神の障害、多発性硬化症、筋肉疾患、神経の疾患、神経痛、まひやうずき、骨関節症、パーキンソン病、膵臓疾患、末梢神経障害、神経性ひきつり、乾癬、慢性関節リウマチ、脊柱側弯、肩および首の疾患、脾臓疾患、胃けいれん、胃潰瘍、ストレス、顎関節および関連疾患と細かな症状を明記されていますが、幅広く対応ができる手当としても知っておくとイザというときに役に立つ温熱療法の一つです。


生姜に含まれる辛味成分(ジンゲロール、ショウガオールなど)には強い抗酸化作用があります。抗酸化作用とは万病の原因とされる活性酸素の除去能力のことで、実際に医療用漢方製剤の約70%に生姜が用いられている事でも抗酸化作用が非常に高いことは実証済みです。特に70~80度の熱湯を使用して行う生姜シップは患部を温めることで血液の循環を促進させ鎮痛作用・消炎作用・抗腫瘍作用を発揮します。
血液の循環が発揮されれば赤血球の循環が良くなり嫌気性であるがん細胞はその分裂を阻止され、白血球の循環が良くなれば、リンパ球の攻撃によりがん細胞を縮小させる事も可能です。
癌に対してだけでなく、質の良い血液を循環させることで、ほとんどの症状は改善されます。

肩こりや腰痛などによく用いられる消炎シップ剤(整形外科などでよく出される)や市販のシップ薬は、痛みを抑えるために血流を一時的に悪くさせ、貼布した時は気持ちがいいのですが結果的に根源の改善とはならないため慢性化し悪化する事が多いそうです。

しもやけの時、患部を温めると痒くなったり、痛くなったりしますよね。これは暖まる事で血流が良くなり患部の組織が再生を始めたサインです。この時に市販のシップ剤などと同じような成分の痒み止めや消炎薬を塗布すると血流を押さえ込んでしまいせっかく再生始めた組織をまた元の状態に戻してしまうのです。肩こりなども、シップ剤で血流を悪くさせることで痛みやコリは一時的に解消されても、治癒にはならない理由です。

生姜シップの作り方


上の写真はタオルを長いまま生姜湯に浸していますが、下のように折りたたんで浸す法がやりやすいです。

     

2~3Lの水を沸かし70~80度のお湯に、ひね生姜150gを皮ごとすりおろしたものをさらしに包みいれ、よくエキスを抽出させます。
ひね生姜とは、新生姜と違い、翌年まで貯蔵した根生姜のことで、できるだけ細く締まったものが良質です。大きめの太いものであれば水分が多く薬効が低いので量を増やしてください。肌が強くピリピリするようでしたらお湯で薄めてください。

タオルをつけよく絞り、タオルをたたいて温度を確認し患部に当てます。
絞る時はやけどをしないように気をつけてください。



ゴム手袋をすると、タオルの温度がわからず、被施術者にやけどを負わせる事になる危険性があるので、必ず素手で扱います。
ただし、コツをつかむまでは施術者の掌がやけどするため、十分に気をつけてください。
タオルを冷ましすぎると、効果を引き出すことができませんので、被施術者が我慢できる熱さの加減が大切です。



患部に熱さを確認しながらタオルを置き、ビニールを被せその上にバスタオルや毛布をかけ保温をします。



タオルを替えるときは、新たに生姜湯に浸し絞ったタオルを先のタオルに乗せ、下になったタオルを抜き取るようにして交換します。
先のタオルが冷めないうちに交換していくのがポイントです。この時、素早くし患部が冷えないように配慮します。
保温のため生姜湯に浸し絞ったタオルを2枚重ねて、取り替えるとき3枚目を上に乗せ一番下の1枚目を抜き取る方法で手当てされる方もおられます。慣れてくれば、自ずとそれぞれのやりやすい効果的な方法が身につくと思います。

抜いたタオルは再び生姜湯に浸しよく絞って、繰り返し交換をしていきます。一度冷めたタオルは浸す加減で端が冷たいままになることがありますので、患部に冷たい部分が当たらないようにすることも大切なポイントです。

20分ぐらいのうちに3~4回取り替えていきます。
皮膚が赤くなってきたら手当を終えます。
患部は湿っていますので乾いたタオルでよく拭いてあげて、冷えないように素早く衣服を整えてあげてください。

 

皮膚が赤くなればよい傾向です。赤くならない方は陰性になっているため、朝昼晩と時間を空けるか、日を改めて暫く続けて実施すると次第に効果が現われてきます。もちろん体質に応じた食事改善も併せて行ってください。

写真のような粉末の生姜も市販されているので利用しても良いです。
生姜粉末ティーバックの場合は袋を破って中を出してしまった方が効果があります。



注意事項として、患部や体に熱のある時や、心臓の上、頚椎より上の頭部はシップしてはいけません。
癌などの重たい病気の場合は一回を通常の倍の時間(30~40分)をかけて実施。継続して行くと血行がよくなっていきます。
ただし、重症患者さんでジャガイモや里芋のパスターを貼る前に生姜シップをされるときは1~2回以上は繰り返さず、1回の時間も3~5分以上行わないようにしてください。また、体力のない方、お年寄りも十分に様子を見ながら、もしくは指導者のアドバイスをしっかりと受けられたほうがいいです。子どもさんの場合は少し温度を下げてやけどしないようにしてください。
一度に手当できるのは2か所まで。3か所以上行うときは1時間以上空けてください。
患部に血液を集めることが目的ですので一度に何か所もするといい結果をもたらしませんし、心臓にも負担がかかります。

筋肉痛や肩こりなど、軽い症状から経験を積んでいきましょう。
まずは自身が経験することで、熱さ加減や、気持ちよさのポイントなどがつかめます。他の方に手当てするのはその後がおすすめです。
セルフケアですので、施術者、被施術者ともに自己責任ということをしっかり納得して行ってくださいね。
あくまで家庭療法です。未病のうちの予防として、病院に行くほどでもない軽症の時、病院の治療だけに頼らず自分でもできることで改善を目指す時、再発を防止するためなどを目的としていますので、病院否定をするものではありません。
状況判断をして、医療が必要な時に頑なに、あるいは盲目的に、セルフケアに頼るのはおすすめいたしません。
さらに、自然のものを使うのだから安全だと思い込むのも危険です。体調や体質はそれぞれですから、必ず合うというものではありません。
また、一般の方は、手当をすることでの金品のやり取りは違法です。気を付けてください。

あわせて「生姜の基礎知識」もご覧ください。

生姜を使ったお手当① 「生姜の基礎知識」

2020年03月31日 18時00分14秒 | 自然医食のお手当


漢方にも用いられるなど健康食品として知られる生姜は、多くのご家庭で薬味として常備している野菜のチャンピオンですね。
実は、この生姜の効能や使い方を知ることで、薬味などの食用だけでなく、
イザというときにすぐに間に合って、お家でできるいろいろなお手当に活かせるお助けマンとなります。

生姜は日本最古の歴史書である「古事記」にも記されているほど、日本人は生姜を古くから食して来たようです。当時は生姜(しょうが)という呼び名ではなく、「根の辛いもの」という意味でハジカミと呼ばれていたそうです。
お魚などの付け合わせに今でもハジカミの生姜が添えられていますね。
日本における生姜の栽培は奈良時代に始まり、以来、今ではどのご家庭の冷蔵庫にも常備されるほど、深いかかわりを持つ野菜となりました。

生姜は薬味や香り付けなど、お料理の味をひと際引き立たせるために欠かせない存在です。
お魚やお肉の動物性たんぱく質の毒消しにも一役担ってくれます。
生姜に含まれる成分のジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、精油成分の重要な成分が様々な効果・効能を発揮し、食用はもちろん、家庭でできる外用のお手当にも使われるようになりました。

生の生姜に多く含まれている辛味成分ジンゲロールは、免疫細胞を活性化、殺菌作用、胆汁分泌の促進、抗炎症作用、吐き気・頭痛を抑える作用、老化を防ぐなどの効能があります。
しかし、ジンゲロールは酸化しやすい成分で、空気に触れると数分後には消滅してしまいます。また加熱や乾燥をすることで別の成分に変化しますので、ジンゲロールを摂取したい場合は食す直前にすり下ろす方法が効果的です。

加熱や乾燥することでジンゲロールはジンゲロンという成分を生成します。 ジンゲロンは、血行を促進する効果や血圧を安定化、新陳代謝の向上、脂肪の燃焼を促進、発汗作用などの効果・効能があります。ダイエットや成人病の予防の効果もあることが分かっています。

他に、ショウガオールも生姜を乾燥や加熱することで生成される成分で、 体を温める効果、殺菌作用、ガン細胞の増殖を抑制、活性酸素の除去、中枢神経系の調整作用などの効能があります。ショウガオールはジンゲロールよりも、体を温める作用が強いです。そのため冷え性の改善には、生の生姜よりも乾燥・加熱させてショウガオールを生成させた生姜の方が効果的です。

さらに、生姜の皮の部分にも様々な薬効成分が含まれています。健胃作用、腰痛、風邪、吐き気、発汗、利尿、解毒、むくみの改善などの効果・効能があり、オーガニックのもので皮ごと使える生姜を選ぶことはとても大切なことです。

生姜というと冷え対策に効果的と言われていますが、陰陽で見ると全体的に強い陰性の力を持っています。
食用でも外用でも、使用する量や期間などの知識がないと、温めているつもりで実は冷えを招いてしまうことがあります。
中医学でも性質は温性でありますが、温めながら熱を取る作用があるため、使用量は決して多くないこと、また、生、乾燥、熱を入れるなどの使い方の適用を知っておくことも大切です。少量で最大限の効果を引き出すためには、軽い症状から経験を積むと自信につながりますね。

【大 分 類】解表剤…発汗・発散を促す中薬です。
【中 分 類】辛温解表薬…温めながら解表する中薬です。
【帰   経】肺・脾・胃
      ※解表とは、体表血管を拡張して発汗させて表症(体表に現れる症状)を取り除くことです。
       表症の違いから大別すると、風寒表証(表寒)に対する「辛温解表」と
       風熱表証(表熱)に」対する「辛涼解表」に分類されるます。
      ※帰経とは中薬が身体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬  味】辛味→まず肺に入ります。
味…辛(辛味)
作用…消散する/移動させる。体を温め、発散作用。
対象となる病証…外証。風証。気滞証。血瘀証。
対象五臓…肺に作用。
【薬  効】発散作用  健胃作用  鎮吐・鎮嘔作用  食欲不振作用  発汗解表作用  鎮咳作用 
【薬理作用】芳香性です。胸がつかえて吐いたり、あい気(げっぷ)が出たりするのを治す要薬です。
      中枢抑制作用、鎮咳作用、解熱作用、鎮吐作用、鎮痛作用、唾液分泌促進作用、
      抗痙攣作用、抗消化性潰瘍作用、鎮咳作用、腸管内輸送促進作用、抗炎症作用、
      プロスタグランジン生合成阻害作用、強心作用
      ※蒸乾した日本でいう「乾姜(かんきょう)」は腹冷痛、腰痛、瀉下などに用いる。
      「生姜(しょうきょう)」は乾姜より健胃、鎮嘔の効が大きいとされる。
【用  途】芳香性健胃、矯味、食欲増進薬として、新陳代謝機能を促進し、水毒を去る目的で、
      黄連湯と、咳そう、腸満、陽実証の発熱、鼻塞りなどに用いる。

マクロビオティックでは陰性と分類される生姜、その所以は、温性と分類する中医学でも示す通り、発汗、解熱、消炎とカラダを温めることによる結果から判断されています。
毛穴を開き(陰性効果)、体温を放出し解熱。血管が拡張(陰性効果)し、血液の流れを促進し酸化して澱んだ血液(瘀血)を流し患部にきれいな血液を送る…これは陰性のパワーこその効果です。
ごく少量であればカラダを温めますが、多量に使うと結果的にカラダを冷やすことをしっかり頭に入れてお手当に使うことが大切です。


お家でできるマクロビオティックお手当法。

生姜を使ったお手当①「生姜の基礎知識」として整理しまとめてみました。

自然医食の手当法は、セルフケア法として昔から経験的に確立してきたもので、私もいつも助けられてきました。
製薬しか知らない現代医学の見地からトンデモ療法などと評されることがありますが、科学的なエビデンスもあることを知って欲しいです。
製薬に比べて、安全安心であることも嬉しいです。
ただし、薬効を十分に活用するためには、基礎知識も必要です。
お役に立てると幸いです。

次回は、生姜を使って実際に手当法として活用できるノウハウをお届けしたいと思います。