里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
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在来種ー野口の種

2015年01月24日 | 日記・エッセイ・コラム

久しぶりに晴れ渡る、3月を思わせる天気でした。

  先日注文しておいた野口の種が届きました。すでに品切れ品も…
うちでも自家採種していますが、足りないものはここから仕入れています。

 大手種苗会社が販売するタネはほぼF1(一代雑種)」と呼ばれる、農家が独自にタネを採ることができない品種に限られている。
 野口タネ店はこうした流れの中で、それぞれの国、それぞれの地域が歴史とともに育んできた野菜や穀物のタネが次々と失われていく事態に抗うために、F1ではなく、固定種や在来種と呼ばれる地域の伝統的な作物のタネばかりを売る、おそらく日本で唯一の在来種専門のタネ店なのだ。
 F1は採種が難しく、農家が種苗会社からタネを毎年買うことを前提としているのに対し、在来種は繰り返し採種が可能なため、地域地域に根付いた在来種特有の形質が、農家の手によって独自に引き継がれていく点にある。今市場を席巻しているF1種は、タネが採れないものだったり、採れたとしても不都合な形質が出てしまい、商売にならないものがほとんどなのだ。
 確かにF1は遺伝子配列が限りなく均一に近いため、生産性が高い上に色や形が均一で収穫もほぼ同時期に集中して行うことができるなど、均一の規格が求められる今日の流通制度の下では利点が多い。 また、F1はタネを毎年種苗会社から購入しなければならないことが農家にとってはディメリットとなるが、元々タネのコストは農業全体の中では微々たるものだという。そのため農家にとってF1種子は明らかにメリットの多い存在となっている。言うまでもなく種苗会社にとっても、毎年農家に種を売ることができるというメリットがある。1970年代頃までは必ずといっていいほど独自に種を採っていた農家が一気にF1にシフトした背景には、農家にとっても種苗会社にとっても双方にメリットがあるF1の特徴があった。
 一方、在来種は農家が味や風味などの形質を維持してきたが、F1と比べると遺伝子配列に大きな個体差があるため、色や形、大きさが不揃いになったり、成長の速度にもばらつきが出るなど、農家にとっては扱い難い面があることは事実だろう。
 しかし、毎年独自にタネを採れる在来種と異なり、農家にとってF1への依存は種苗会社への依存を意味する。本来であれば土と水と太陽さえあれば、何にも頼らずに独立して食物を作ることができるはずの農業が、多国籍企業や大手種苗会社に頼らなければ何も作ることができない工業型農業に変質してしまうことになる。そして、その過程で、それぞれの国や地域が、歴史とともに育んできた独自の食文化や食との関係もまた、変質を迫られることになる。 F1種によってモノカルチャー化した作物は、特定の病気に対して耐性を持つよう育種されている場合が多い一方で、予期せぬ病気や急激な気候の変動に対して、均質化された作物が一網打尽の被害を受け全滅してしまいかねないリスクも負っている。遺伝子にばらつきがある在来種であれば、たまたま病気や温度変化に対する耐性が強い株がその中に含まれている可能性があり、それが全滅を防ぐ上で重要となる。平時には扱いにくい原因となる在来種の特徴が、有事には逆に利点となる可能性があるのだ。
 しかし、仮に誰かがF1への過度の依存のリスクを認識し、ぜひ在来種を残すことに貢献したと考えたとしても、消費者としてできることはほとんど何もない。そもそも今日市場で売られている野菜は、オーガニックを含めほぼF1種だ。無農薬だの非遺伝子組み換えだのを選択することは可能でも、在来種を市場で買い求めることは、ほぼ不可能な状態にある。
 F1に席巻された今日の農業市場では、在来種のタネの生産はメリットが小さい。「在来種を残していくためには、皆さんにぞれぞれの方法で在来種を育てていただくしかない。どこかに一つでも在来種の遺伝子が残っていれば、いざというときでも何とかなる」と家庭菜園やベランダ飼育も含めた在来種栽培を提唱する。