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国保料値上げ自治体 6割超

2024年04月30日 | 生活

6月までに決定 反対運動急務

2024年「しんぶん赤旗」4月29日

 国民健康保険を運営する全国1736自治体(東京23区や広域連合を含む)のうち、28日までに2024年度の保険料・税の改定状況が分かった580自治体を集計し、4人家族のモデル世帯で計算した結果、6割を超える362自治体が値上げしたことが判明しました。保険料率を据え置きとしたのは196自治体、値下げはわずか22自治体で、値上げが圧倒的です。(関連2面)

 保険料は全国で6月ごろまでに決まりますが、すでに3月議会で条例改定されるなどしています。その改定状況を日本共産党政策委員会が調べ、年収400万円の4人世帯のモデルで計算しました。

 昨年同時期の集計で値上げ自治体は200程度だったため、今年度は昨年度を大きく上回る恐れがあります。値上げ幅も大きく、昨年度比で10万円以上の値上げになる自治体も出ています。図のように、未集計・未決定の自治体をすべて「据え置き」と仮定した場合でも、全自治体の保険料の単純平均値はこれまで以上の急激な値上げになっています。

 値上げのテコとなっているのが、全都道府県が自治体に示した「標準保険料率」です。

 実際の保険料率を標準保険料率どおりに改定した場合、4人世帯のモデルでは全体の85・8%にあたる1490自治体で値上げとなることも今回の調査で分かりました。

 自公政権が国保の「都道府県化」を実施し標準保険料率の仕組みを始めた18年度以降、標準保険料率どおりだと値上げとなる自治体数が1400を超えたのは初めてで、過去最多となっています。

 この試算では、「統一保険料」を実施する大阪府をはじめ、埼玉、愛知、京都など大都市を中心にした14府県で全自治体が値上げとなります。東京都も、島部の町村を除けば100%値上げです。値上げ自治体が90%以上を占めるのは26都府県で、都道府県の過半を占めています。

 6月議会での条例改定を予定するなど、多くの自治体の保険料率の決定はこれからです。物価高騰で暮らしが圧迫されるなか、追い打ちをかける国保料値上げを許さない運動が重要になっています。

24年度国保 強まる値上げ攻勢

7年目に入った「都道府県化」

 24年度の国民健康保険料・税が急激な値上げになっている背景には、自公政権が進める国保の「都道府県化」が7年目に入り、都道府県で新たな「国保運営方針」が実施されることがあります。

 都道府県化は、以前は市町村が単独で所管していた国民健康保険財政を都道府県と市町村が共同で運営する仕組みに変えました。加入者から保険料を集めるのは今まで通り市町村ですが、市町村は保険料を「納付金」として都道府県に納め、医療機関などへの支払いは都道府県が行うことになりました。

値上げのテコに

 都道府県は、各市町村が分担すべき納付金の計算とともに、納付金を集めるために必要な保険料の水準として「標準保険料率」を計算し、市町村に示します。標準保険料率はあくまでも「参考値」であり、市町村が法的に縛られているわけではありませんが、納付金を納めること自体は義務であるため、標準保険料率が保険料値上げのテコの役割を果たす結果になっています。

 都道府県化された制度のもとでは、都道府県がおおむね6年を期間とした国保運営方針を策定し、国保財政の安定や保険料水準の平準化を進めることになっています。昨年度まででこの6年間の期間が過ぎ、24年度からは新たな「運営方針」が実施されます。

 都道府県化には「県内の保険料の平準化」の意味合いもあるため、6年間の当初は、もともと高かった自治体が値下げとなる事例も多くありました。

    また、政府は制度推進のための“アメ”として若干の国庫支出を増やしました。これまでの6年間は、こうした国庫支出や国保財政の剰余金などを活用し、値上げを緩和する措置が行われてきました。さらに、新型コロナの流行期には、他の病気の受診抑制で医療費の支出が抑えられたこともあり、値上げが緩やかになりました。

軽減措置縮小へ

 7年目の新たな「運営方針」の期間に入ったことで、多くの都道府県がこれまで実施してきた負担軽減措置を縮小する方向です。この結果、値上げが急ピッチになっています。

 特に、大阪府や奈良県では、24年度から全市町村の保険料率を同一にする「統一保険料」を実施します。この結果、大阪では全市町村が値上げとなり、4人世帯の場合、昨年度に比べて10万円以上もの値上げになる自治体も出ています。(日本共産党政策委員会・垣内亮)


今日も寒い一日。
最高気温13℃。
明日は15℃の予報だが、陽射しがありそうなので体感的にはもっと上がるでしょう。
道内は桜のピークを迎えたようです。

園のようす。


時代錯誤の「消滅可能性自治体」

2024年04月29日 | 社会・経済

人口減少の責任 女性に転嫁 自治体破壊の狙い明らか

「しんぶん赤旗」2024年4月29日【2面】

 民間の有識者会議「人口戦略会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)が24日、社会保障・人口問題研究所が試算した日本の地域別将来推計人口に基づく「消滅可能性自治体」のリストを公表しました。子どもを産める若年女性人口(20~39歳)の将来動向から自治体別に「消滅」の可能性を推計したもので、“女性が子どもを産まないから人口が減少する”という古い発想にとらわれた時代錯誤の分析です。(森糸信)

 こうした公表は、今回が初めてではありません。2014年5月に有識者を集めた「日本創成会議」(座長・増田寛也元岩手県知事)が、若年女性人口が10年から40年までの30年間で50%以上急減する自治体を「最終的に消滅する可能性が高い」とし、「消滅可能性都市」のリストを公表しました(増田レポート)。今回も基本的な算出方法は同じで、20年から50年までに若年女性人口の減少率が50%以上となる自治体(消滅可能性自治体)が744あるとしています。

設定自体が間違い

 日本の人口が減少し、地方が衰退しているのは、女性が子どもを産まないからではありません。労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなど、暮らしや権利を破壊する政治が原因です。結婚するかしないか、子どもを産むか産まないかは個人の生き方の選択であり、政治が介入することではありません。若い女性が減っているから、自治体が消滅するなどという設定自体が間違っています。

 「増田レポート」の公表直後、当時の安倍政権は「地方創生」を掲げました。全国の市区町村に「人口ビジョン」と「総合戦略」の策定を事実上強制。政府が枠組みや基本目標をあらかじめ設定し、それに対応した交付金を配分することで、自治体を誘導しました。政府は当初、20年を目標に東京圏への人口流出のストップと合計特殊出生率の増加を掲げましたが、いまだに達成できていません。むしろ、15~20年には東京都が全国で最も人口増加率が高いという結果に終わりました。

 総務省が「増田レポート」に触発されて17年に発足させたのが、有識者による「自治体戦略2040構想研究会」です。同レポートと同じ40年を視野に、市区町村別の人口変動を分析。翌年まとめた報告書では「従来の半分の職員でも自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みが必要」などと職員半減を打ち出したほか、「個々の市町村が行政のフルセット主義から脱却し、圏域単位での行政」とするなど、あからさまな自治体破壊を公言しました。

 「増田レポート」から10年が過ぎ、当時「消滅可能性都市」とされた自治体はまだ一つも消滅していません。一方、戦後、地方自治法のもとで自治体を大量に「消滅」させたのはだれだったでしょうか。99年から自公政権が進めた「平成の大合併」で、市町村数は3232(99年3月末)から1730(10年3月末)に減りました。合併により新自治体にのみ込まれた旧市町村の活力は喪失し、住民の声が行政に届きにくくなり、住民サービスは低下しました。だれが地方の活力を奪い、自治体の破壊・消滅を進めてきたのか明らかです。

地域努力に水差す

 「消滅可能性自治体」の公表を受け、全国町村会の吉田隆行会長(広島県坂町長)は「これまでの地域の努力や取り組みに水を差すものだ」と批判。「国全体としてこれまでの政策対応を検証し、抜本的な対策を講じていく必要がある」と指摘しました。

 人口戦略会議は構成メンバーの大半を男性が占め、いわゆる「若年女性」はいません。まずは“子どもが産める若い女性が少ないから人口が減少する”という自分たちの古い発想こそが“消滅”の危機にあると自覚すべきです。


不安定な天気が続いています。
朝外へ出ると霜が降りていました。
ハウス内の最低気温は2℃。
さらにその中の2重のトンネル内は7℃。
それなりの効果はあります。
7時にハウスに到着し、すでにトンネル内の気温は30℃を超えていました。
朝は寒かったけれど昼までは日差しも強く「暑さ」を感じたのですが北風が強くなり雲がかかってくると急に寒さを感じ、ヤッケをかぶります。

園のようす。

 

 


共同親権 その前に 公認心理師臨床心理士 信田さよ子さん

2024年04月28日 | 生活

「しんぶん赤旗」2024年4月27日・28日

DV加害規制は急務

 両親の真摯(しんし)な合意がなくても裁判所が離婚後の「共同親権」を命令できる民法改定

案―。政府・与党は22万筆を超える反対署名や「DV(配偶者らの暴力)から逃げられなくなる」との被害者の訴えを無視して法案の衆院採決を強行しました。DV被害者のカウンセリングに長年取り組んできた公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さんは「共同親権の前にすべきことがある」と法案に反対を表明し、DV対策の抜本的見直しを求めています。(日隈広志)

 ―支援の側から見た法案の問題点は何でしょう?

 法案では「共同親権」を申請しても「急迫な場合」は裁判所が認めないとしています。政府は「急迫」にDVや虐待を含むとし、裁判所が適切に判断するといいますが、暴力の実態を理解したものとは思えません。

家庭内支配が本質

 DVの本質は家庭内の支配です。DVには犯罪行為もあり、▽「殴る、蹴る」の身体的DV▽子どもを傷つけるぞと脅す、人間関係を孤立させる精神的DV▽生活費を渡さず、経済的自立を阻む経済的DV▽性行為を強要する、避妊に協力しない性的DV―などの種類があります。加害者は外部に気づかれないようDVを巧みに使い分け、被害者を従属させていきます。

 子どもの前でふるう面前DVは虐待でもあります。強い従属のもとでDV被害者が子どもを虐待する加害者になる危険もあります。

 しかし政府のDV対策は被害者の「避難」と、学校などへの「啓蒙(けいもう)」にとどまります。DVの相談件数は2002年以来、右肩上がりで現行の対策だけで状況は改善しません。「共同親権」導入の前に、大幅な予算増額などDV対策を根本的に改めるべきです。加害に対する抑止・規制を導入することが不可欠です。

「プログラム」必要

 ―加害を抑止・規制すべき理由は?

 暴力をエスカレートさせないためです。

 カウンセリングを受けに来る被害者の多くは女性です。一般的には、妻が反抗、逃亡して夫が「夫婦間の問題」に気付くケースが多い。しかし自らの加害を認識しない夫が、妻の反抗を「非がないのに攻撃された」と捉えて被害者意識から妻を攻撃したり、子連れで逃げた(子連れ別居の)妻を「実子誘拐」のように捉えるケースがあります。離婚になれば「妻が家庭を壊した」という考えから復讐(ふくしゅう)心も生まれます。離婚後に元妻や子どもを殺害した事件も起きています。

 カナダや欧州など加害者規制が進む国では、「加害者プログラム」を徹底しています。カウンセリングを通じて自身の支配性に向き合わせ、暴力に至る習慣を改め更生させるのです。そこに共通しているのは「女性や子どもを守る」という姿勢です。裁判所が夫にプログラム参加を命じて中断や拒絶には罰則を科しています。実際に成果を上げており、適切な強制力は暴力の歯止めになっています。日本でもこうした加害者プログラムの導入が急がれています。

国家の“DV”やめよ

 ―離婚後の「共同親権」を導入する前に取り組むべき課題は他に何がありますか?

 離婚した元親が子どもを監護する親に養育費を支払わない問題です。政府の2021年度の調査によれば、養育費を受け取った親は28・1%。支払った場合も2~3年の短期間で終わるなど、非常に少額です。離婚後の親権者の9割は女性です。社会問題になっているシングルマザーの経済的困窮は、養育費の不払いが一因です。今回の民法改定法案では養育のための必要最低限の金額などを定めますが、支払い義務はありません。法律で義務化すべきです。

ジェンダーの問題

 また、政府は「高校授業料無償化」などの支援制度で判定基準になる親の所得について、「共同親権」になった場合には元親の所得も合算して判定するとしました。ひとり親の収入が支援基準を満たしても、元親の収入次第で切られる危険があります。法案は、シングルマザーをさらに追い込む、国家による“DV”のようです。

 ―DVはジェンダーの問題でもあります。

 「男らしさ」の分析から男性のDV被害に焦点が当てられるなど、ジェンダーの視点を抜きにDVを考えることはできません。

 そもそも「DV」という言葉が日本で広がったのは1990年代。それ以前も多くの女性がカウンセリングで夫の加害を訴えていました。支援側では、妻の被害をケアする一方、夫の加害については「アルコール依存症」の症状や人格の問題とみなして治療に任せる傾向がありました。社会的に、夫婦間の暴力は国や社会が積極的に介入する問題とみなされていなかった影響もあります。

「家父長制」の名残

 95年の第4回世界女性会議(北京会議)が転換点です。参加した女性たちは夫の加害に「DV」という名が付いたことを歓迎しました。支援者が見聞きしてきた夫の加害は、女性の人権を侵害する「女性に対する暴力」であり、「やはり規制が必要だった」と。「DV」という言葉は、瞬く間に全国の支援現場に広がりました。

 ―北京会議から超党派によるDV防止法の制定(2001年)につながりました。

 私たちは当時から加害の抑止・規制を求めました。拒んだのは自民党の男性議員です。「『暴力』とは大げさだ」「妻をたたくなんて男じゃない」としてDVを「特殊な家庭」の問題に矮小(わいしょう)化するか、否認しました。DV対策は被害者保護の対策に限定されてきました。

 DVが示す家庭内の支配関係は、明治憲法由来の家父長制を体現しています。夫の力と支配を肯定する家族の価値観はそれほど変わっていませんし、その人たちは、その家族観のどこが悪いのかと思うでしょう。その人たちには支配をなくし、対等・平等の実現を目指すDVの議論は邪魔なだけです。

 DV対策が進まない背景には、ジェンダー差別を利用する日本の政治のゆがみがあります。このゆがみを正さずに「共同親権」を導入すれば、女性や子ども、弱い立場への暴力は強まるばかりです。ジェンダー平等を求める政治の姿勢は不可欠です。


寒いです。
ニュースでは北海道だけ寒く、他の地域は一段と暑さが進んでいるようです。
寒いのでハウス内の2重のトンネルをしっかり閉めて帰ってきました。
しかも夜中から晴れる予報で、朝は寝坊できません。

園のようす。


「あんたらのATMじゃねーぞ」自民党「氷代」廃止するはずが100万円アップの500万円バラマキ…政党交付金160億円がムダすぎる

2024年04月27日 | 生活

SmartFLASH 4/27(土)

 政治資金パーティーの裏金事件を契機に、岸田文雄首相が本部長となって発足した自民党の「政治刷新本部」。2024年1月25日に「中間取りまとめ」が出され、そこでは派閥が所属議員に配る、いわゆる「氷代」や「もち代」の廃止が盛り込まれていた。

「氷代」や「もち代」は、自民党が選挙区支部長に支給している年間1200万円(年6回の分割支給)の活動資金で、その夏分を一般に「氷代」と呼んでいる。ところが、この「氷代」が、今夏も継続されただけでなく、さらに増額されることがわかった。

 4月26日の朝日新聞はこの通達文書を公開し、《4月分を通常の200万円から300万円に増やすほか、従来は7月末だった次の支給時期を6月に前倒しした上で500万円に増額する。内訳は定期の支給分200万円と、従来の200万円から300万円に増額された「夏の活動費」》としている。

「7月以降の増額は未定だということですが、背景には議員の懐事情の悪化があります。議員が派閥に所属する理由のひとつは『氷代』と『もち代』の支給です。派閥により金額は異なりますが、それぞれ50万円から100万円と言われています。その “当て” がなくなってしまったのですから議員は深刻でしょう。

 岸田首相としては『私が主導して派閥を解消したのだから』という意味合いもあっての増額だと思われます」(政治担当記者)

 自民党はまるで「お手盛り」のように増額しているが、こうした政治活動費は国民1人あたり250円にあたる政党交付金、つまり税金も使われている。2024年度の政党交付金は総額約315億円、自民党には約160億円が支給される。

 こうした「反省の色なし」とも思える自民党に、ニュースサイトのコメント欄には、

《無駄遣いがすぎる こっちはあんたらのATMじゃねーぞ》

《国民の給料は、増えないのに自民活動資金は100万も増えるのは国民を馬鹿にしてる》

《自分達の手当の決定は凄いスピードで決まりますね。これが自民党》

 など激憤があふれていた。《なんだか自民党の為に、汗水垂らして税金納めてるみたい》との声も――「いつの間にかシレっと」が自民党のお家芸とはいえ、いくらなんでも政党交付金160億円はムダすぎないか。


まったく、その通りです。

今日は24℃を超える暑さ。
周りの桜も一斉に咲きだしましたがわが園の桜はイマイチです。
明日は10℃も下がる予報です。

室内で育苗していたもの半分をハウスに移動。
明日残りを全部移動させます。
朝の最低予想気温、晴れるのか曇りなのかによって、また帰宅の時間も晴れていれば閉めるわけにもいかず遅くなってしまいます。
まだ最低気温が2℃3℃の世界ですのでハウス内にさらに2重のトンネルです。
日が当たればあっという間に60℃超えです。

園のようす。
福寿草からスイセンへ。

カタクリ

これから夕食を(作ります)・・・

行者ニンニクとシイタケの卵とじ。

 

 


遺伝子組み換え生物の規制緩和を進める日本、米国では訴訟に

2024年04月26日 | 自然・農業・環境問題

2024/04/24印鑰智哉のblogより

 明日が締切の内閣府食品安全委員会の遺伝子組み換え食品に関するパブコメを前に、意見表明します。

 遺伝子組み換え企業の行き詰まりが2015年以降、深刻になっています。世界の市民が遺伝子組み換え食品を拒否したこと、遺伝子組み換え作物の栽培が農家にとってもメリットがないことが明らかになったこと、そして環境に多大な影響を与えていることを考えれば、その事態は当然のことと言えます。あらゆる面でデメリットの明らかになった遺伝子組み換え農業を終わらせる時です。

 でも、この遺伝子組み換え企業の危機に対して、米国や日本政府は救済策を講じ、遺伝子組み換え食品の規制緩和を進めています。米国ではバーモント州などが作った遺伝子組み換え食品表示を無効にして、実質的に消費者の知る権利を奪い、遺伝子組み換え(Genetically Modified)をバイオエンジニア(Bio Engineered)と言い換えるデタラメな表示法が作られました。そして、トランプ前政権の下で、遺伝子組み換え食品・生物の規制は大幅に緩和されました。

 そして、米国政権の指示の下、日本でも遺伝子組み換え食品の規制緩和は急速に進んでいます。かつては米国からの遺伝子組み換え作物は日本での栽培実験が課せられていましたが、一部の作物は米国での実験結果の検証だけで日本での栽培実験が省略され、また親品種が承認されているものの掛け合わせ(交配品種)は承認すら不要とされ、さらに2023年4月からNon-GMOという表示も実質的に例外的にしかできない状態にされています。

 これだけ規制が緩和されるというのは、「遺伝子組み換え食品の安全性が確認されたからだ」と勘違いする人も出てしまうかもしれませんが、事実は逆なのです。オミックス分析でモンサントの開発した遺伝子組み換え大豆Intacta™ Roundup Ready™ 2 Proと従来の大豆を比較したところ、70種のタンパク質と代謝物において、予期せぬ変異が観察され、その摂取はアレルゲンレベルの上昇を生む可能性が指摘されています¹。このオミックス分析は現在の政府のリスク評価では使われておらず、このリスクはチェックされていません。

 栽培される遺伝子組み換え作物のほとんどは農薬耐性害虫を殺す毒素を持つものとなっていますが、雑草や害虫もそれらに耐性を獲得するようになったため、近年開発された品種は5つもの混合農薬に耐え、生成される毒素の種類も5つほど追加されるものが出てきており、かつてよりも遺伝子組み換え作物の毒性は格段に上がっていると言わざるをえないのが現状です。規制を強化すべき時です。

 それにも関わらず、日本政府は次から次へと規制緩和を進めています。今年4月1日から食品衛生基準行政は、厚生労働省から消費者庁に移管され、遺伝子組み換えや「ゲノム編集」食品の食品としての担当は今後、消費者庁の担当となったこと、つまり省から庁への格下げとなりました。

 今回、内閣府食品安全委員会は安全性評価基準を食品健康影響評価指針に変更しました。前者は基準違反をしないよう義務が発生しますが、後者の指針は単なるガイドラインですから、格下げとなります²。

 遺伝子組み換え作物の毒性がむしろ増している現実を無視して、規制を緩めるということは許されないことです。米国ではすでに多くの規制緩和が行われましたが、それに対して、政府が、農民や消費者、環境を守るという果たすべき役割を放棄したとして、広範な市民の連合体によって訴訟が複数起こされています³。市民の手で誤った政府の政策が正される可能性があります。

 今後、内閣府食品安全委員会をはじめとする日本の規制機関がこのような規制緩和を進めるとしたら、それは重大な過誤を犯すことになりえます。そうなる前に、規制の見直しを求めます。


この「自公」政権では難しいと思います。
と言ってあきらめるわけにもいきません。

さて、とうとうこちらも桜が咲き始めました。
何ということでしょう。
例年だとGW明け10日ぐらいなのですが昨年も早く、4月中に咲くかと思いましたが5月GW真っ最中。
そして今年はGW前の開花となりました。
恐ろしい現象です。
地球を守るために人類を滅亡させるかもしれません。

園の桜。

夕方、帰り際には・・・


現行保険証廃止 責任転嫁せず撤回せよ

2024年04月25日 | 生活

「東京新聞」社説 2024年4月25日

 武見敬三厚生労働相が、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用率に関係なく、閣議決定通り、現行の健康保険証を12月に廃止すると言明した。

 マイナ保険証の利用率は3月も5・47%と低迷している。

 背景にはマイナカードへの国民の疑問や不安があり、誠実に対応しないまま現行保険証を廃止すれば、混乱は避けられまい。政府には廃止方針の撤回を求めたい。

 政府は、マイナ保険証の利用率低迷を「現行保険証を前提とした(医療機関の)対応」(武見氏)のためと分析。5~7月を利用促進集中取り組み月間に定め、利用者を増やした病院に最大20万円、診療所や薬局にも同じく10万円の一時金を支給するという。

 河野太郎デジタル相=写真(右)=も自民党の国会議員に、支援者らがマイナ保険証の使えない医療機関を見つけた際、政府窓口へ連絡するよう求める文書を配った。

 しかし、利用率低迷の原因は不安を顧みずマイナカードの普及を強引に進める政府にある。医療機関への責任転嫁は筋違いだ。

 昨年、約1万6千件もの「ひも付け」ミスや負担割合の誤表示が発覚したが、政府は「不安払拭のための措置」を講じることを前提に現行保険証の廃止を決めた。

 しかし、システムの不具合はいまだ解消されていない。千葉県保険医協会は昨年12月の調査に応じた医療機関のうち53%でトラブルがあったと発表。沖縄県や島根県の国民健康保険組合も2月、マイナポータルで医療費情報が閲覧できないトラブルを公表した。

 現行保険証を維持すれば、暗証番号のないマイナ保険証や保険証に代わる資格確認書も不要だ。

 政府が現行保険証の廃止に固執する背景には、医療分野の個人情報を集積し、活用したいという経済界の要請があるが、人命に優先する経済政策などあり得ない。

 河野氏らは保険証を「人質」に任意であるマイナカード取得を事実上強制。「密告」を奨励して医療機関に圧力を強めるが、こうした手法こそがマイナカード不信を増幅させたと気付くべきだ。


 最近では薬局などで「おもちですか?」と問われることが多い。
増やせば「裏金」が入る仕組みだ。
 サントリーの「不買運動」が始まった。
経済同友会の代表幹事サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏は、マイナ保険証普及に向けた現行の保険証廃止について、廃止時期の24年秋を「納期」と表し、「納期を守るのは日本の大変重要な文化」と発言。
 「納期」は守るべきであろうが、その前にその「商品」の適格性が守らねばならないのは当然の「物づくり大国」ニッポンの矜持ではないのか?そんなサントリーの製品をボイコットするのは理にかなったものである。
 人の話を聞かない、上から目線で国民に「悪政」を押し付けてくる。
そのような企業に対する国民の小さな抵抗であるが思い知らせるべきである。

 


世界の軍事費 軍拡の流れを断たねば

2024年04月24日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2024年4月24日 

 世界の軍事費が過去最高を更新した。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫が反映された。軍備拡張の流れを断ち、地球温暖化など共通の課題にこそ国際社会が協力して取り組むべきだ。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した2023年の報告書によると、世界の軍事支出総額は前年比6・8%増の2兆4430億ドル(約378兆円)。比較できる1988年以降の最高額だ。

 各国の軍事支出=表=を比較するとロシアは前年比24%増、ウクライナは同51%の急増で、軍事費は政府支出総額の58%を占める。ガザへの攻撃を続けるイスラエルも前年比で24%増えた。

 80年代の冷戦期をも上回る各国の軍事支出は、多くの市民を死傷させ、数え切れない避難民を生み、街の破壊につながる。

 戦闘地域だけでなくアジアでも軍事費の伸びは著しい。中国の軍事支出増は29年連続で世界最多の米国の3分の1に迫る。中国の脅威は東アジアの軍拡競争を招き、日本は前年比11%、台湾も同11%の防衛・軍事費を積み増した。

 SIPRIの研究員は「軍事力優先は、不安定な地政学と安全保障情勢の中で、行動と反動のスパイラルに陥る危険がある」と指摘する。武力衝突を避けるための軍備増強が、紛争を誘発することは避けなければならない。

 地域紛争でも世界への影響が大きいことは、穀倉地帯のウクライナへの侵攻が世界の食糧危機と物価高騰を、中東情勢の不安定化がエネルギー危機を招いたことを見れば明らかだ。軍拡競争はいずれ偶発的な大規模紛争を起こし、人類の存在をも脅かしかねない。

 東アジア情勢の緊迫化に対応するため、岸田文雄内閣は国内総生産(GDP)比1%程度に抑えてきた防衛費を、関連予算を含めて2%に倍増する方針を決めるなど専守防衛の転換を進める。

 しかし、平和憲法を有する日本の役割は軍拡競争に参加することではなく、国際社会の先頭に立って、軍拡の流れを断ち、平和への道を粘り強く説くことである。


札幌は桜が咲いていました。
こちらはまだですが、カタクリの花で楽しんでください。

今日はここでは初めてこいのぼりを出しました。


「お金じゃない、長時間労働に歯止めを」現場の声届かず…教員の働き方改革案は「定額働かせ放題」のまま

2024年04月23日 | 教育・学校

これから札幌です。
叔父の1周忌法要、夜は延び延びだった孫の合格と入学のお祝い。
帰りが遅くなりますので今のうちにアップしておきます。
札幌で桜が見れるでしょう。

「東京新聞」2024年4月20日

  こちら特報部

 教員の働き方改革を検討している中教審の特別部会は19日、公立学校教員に残業代を出さない代わりに支給する月給4%相当の教職調整額を、10%以上に引き上げることを柱とした素案を示した。調整額を定めた教員給与特別措置法(給特法)を巡っては、「定額働かせ放題」の温床で長時間労働につながるとして、廃止を求める声が現職教員らから出ている。案では、制度を維持した上で処遇改善を図るとした。(榎本哲也)

◆残業手当変わりの「調整額」引き上げ、ポスト増設で対応

 部会は5月にも議論をまとめる。文部科学省は答申を受け法改正を検討する。

 現行の教職調整額4%は残業時間が月平均8時間程度だった1966年度の調査が根拠。文科省の2022年度の調査では、月45時間超の教員は小学校で64.5%、中学校は77.1%だった。

 長時間労働に歯止めをかけるために残業手当を支給すべきだ、との意見が教員の労働組合などから出ているが、素案は「教師の職務の特殊性を踏まえると(残業手当は)なじまない」と指摘した。教職調整額の増額とともに、学級担任を持つ教員の手当を他の教員より増額することも提言した。

 ほぼ全ての教科を教える小学校教員の負担を減らすため、教科担任制を拡大する。現行の5、6年生に加え、3、4年生でも教科担任をつけられるようにする。

 現在は新卒1年目の教員が担任を持つことも少なくないが、これを避け、副担任などから始められるよう教員定数の改善を目指す。

 若手教員を支援するため、校長、教頭・副校長、主幹教諭に加え、中堅教員が就く新たなポストを設ける。東京都が独自に設けている「主任教諭」などを想定している。

   ◇

◆現職「最悪の結末」、大学生「教師は魅力低い職業に…」

 「お金じゃない、残業に歯止めをかけて」。中教審部会が示した教員働き方改革の素案について、調整額を定める給特法の廃止を求め続けている現職教員らは訴えた。

「給特法の抜本改善は命の問題」などと訴える(左から)岐阜県立高教諭の西村祐二さん、東京都公立中主任教諭の五十嵐夕介さん、教員志望大学生の宇惠野珠美さん=19日、東京・霞が関の文部科学省で

「給特法の抜本改善は命の問題」などと訴える(左から)岐阜県立高教諭の西村祐二さん、東京都公立中主任教諭の五十嵐夕介さん、教員志望大学生の宇惠野珠美さん=19日、東京・霞が関の文部科学省で

 「調整額の増額は最悪の結末。残業が自発的ボランティアと見なされ、それを期待される。この給特法の枠組みが教師を苦しめ、死に追いやってきた」。岐阜県立高教員の西村祐二さん(45)は声を荒らげた。給特法の実態は「定額働かせ放題」だとして、実名で廃止を訴え、署名活動などを続けている。この日、給特法を考える「有志の会」メンバーと共に文部科学省内で会見。「お金が欲しいわけではない。残業を減らして」と繰り返した。

 都内の公立中学校主任教諭、五十嵐夕介さん(40)は、連日夜10時まで働き翌朝8時に出勤する働き方を続けた結果、適応障害の診断を受け、家庭が崩壊した苦い経験がある。「最近は、部活動などは改善したが、生徒指導や保護者対応などの忙しさは変わらない。声を上げなければ絶望のままだ」と訴えた。

 公立校教員を目指す大学4年生の宇恵野珠美さん(22)は、「私の学部には教職課程を履修している学生が100人以上いたが、教育実習に行ったのは20人、教員採用試験を受けるのは2人だけ。他は私立校などを目指している」と現状を話し、「今の就活生はワークライフバランスを非常に気にしている。教師という職業は魅力の低いものになっている。安心して教職を目指せる世の中になってほしい」と話した。


食のPFAS汚染、肉で25万倍の汚染検出

2024年04月22日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2024/04/22

 

 食のPFAS汚染は今後、世界が直面する大きな問題にならざるをえない。汚染企業の責任追及と共に早急に取り組まなければならないのは下水汚泥肥料の規制だ¹。

 米国では下水汚泥を肥料の原料にすることが盛んに行われたがその結果、800万ヘクタールの農地がすでに永遠の化学物質と言われるPFASに汚染されてしまったという。下水の中にPFASが紛れ込み、それが肥料の中に入って、農地を汚染してしまう。その結果、特に問題なのは家畜の飼料にPFASが入り込み、家畜の体の中で生物濃縮されてしまう。だから畜産物のPFAS濃度が危険なレベルに上がってしまう。

 ガーディアン紙はテキサス州のある農場で、水は連邦政府の勧告の1万3000倍のPFAS汚染されており、その農場の肉はなんと25万倍の汚染になったという²。被害を受けた農家は下水汚泥肥料を売っていた企業に対して訴訟を起こした。メイン州はすでに下水汚泥肥料の利用を禁止し、PFAS汚染に苦しむ農家の救援計画を進めている。そして、今、米国では下水汚泥肥料を認めた環境保護庁(EPA)に対する訴訟も起きており、下水汚泥肥料の禁止を求めている³。

 また米国の市民団体は農務省(USDA)と環境保護庁に有害な下水汚泥肥料利用禁止を求めるオンラインキャンペーンを行っている²。

 この同じ時代に、日本ではその逆のことが進行している。農水省と国交省が予算を出して、下水汚泥肥料の増産を図り、利用を促進するためのセミナーを開いて、宣伝に力を入れているのだ(添付図参照)。実際に琉球新報は佐賀県の下水汚泥肥料から高濃度のPFASが検出されたことを調べ、報道している⁴。農水省は米国で起きていることを知らないはずがない。農水省の官僚に質問したが、メイン州の動き含めて知識としては知っていた。それにも関わらず規制するどころか、実態把握もしようとせずに販促に努めているのだから、これは確実な確信犯と言わざるをえないだろう。国交省のマニュアルには一言もPFASのことは触れられていない⁵。

 下水汚泥をバイオ炭にすることができればPFASを無害化できるという話もあるようだ⁶。ただし、下水汚泥で問題なのはPFASだけではない。カドミウムなどの重金属や放射性物質の存在もある(以前はセシウム100ベクレル/kg以上は放射性汚染物質として隔離する必要があったが、原発事故後、400ベクレル/kgまで下水汚泥肥料の原料として許容されたままだ)。

 問題が起きたら、名前を言い換える。下水汚泥は印象が悪いからバイオソリッドと呼ぶようになるのだろう。名前を変えても問題は悪くなるだけ。米国のように下水汚泥の利用禁止を求める必要があるかもしれない。少なくともPFASなど有害物質の測定をすることは最低限必要だろう。それなしに農地汚染したら、その責任は農水省と国交省にあると言わざるをえない。


まったく、ニッポンの政権は責任を追わない。

新潟水俣病判決 国の責任を問わぬとは

「東京新聞」社説2024年4月22日

 国の責任を認めなかった点に、強い違和感が残る判決だ。

 新潟水俣病に苦しむ原告が水俣病特別措置法(特措法)の対象から外れ、救済を受けられなかったのは違法だとして、国と原因企業・旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁は原告47人のうち26人の罹患(りかん)を認め、同社に約1億円の賠償を命じたが、国への賠償請求は退けた。

 新潟県・阿賀野川下流の沿岸で水俣病が公式確認されたのは、1965年。原告は、各地で同種工場の排水の水銀測定結果が出た61年までには、国が規制権限を行使すべきだったと訴えた。しかし判決は、同年の時点では、国に工場からの水銀排出や住民の健康被害を具体的に予見できたとはいえないとして、その主張を退けた。

 だが、56年には熊本県で水俣病が公式確認され、65年より前には原因も明らかになっていた。新潟でも既に健康被害が出ていたのだから、原告の主張はもっともではないか。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされたが、原告勝訴だった昨年9月の大阪地裁判決はもとより、賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が過ぎていたとして、原告敗訴だった今年3月の熊本地裁判決ですら、国の責任を認めている。その点から見ても、今回の判断には疑問が残る。

 ただ、今判決が、原告らの提訴が遅れたのは「差別や偏見で旧昭和電工への請求を躊躇(ちゅうちょ)していた事情もある」と酌み、「正義・公平の理念に反する」と除斥期間を適用しなかった点は評価できる。結果、水俣病に罹患していると判断した一部原告への賠償を認めた。

 水俣病に関し、国は当初、重症者だけを患者認定していたが、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、最高裁が2004年、国の責任を認めた上で、認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示した。これを受けて09年、対象を広げる特措法が成立したが、その適用からも外れた住民が一連の訴訟を起こした。

 これまでの3判決は、国の責任や、除斥期間のとらえ方、診断に使われてきた「共通診断書」への評価でも分かれ、司法判断が錯綜(さくそう)している。ただ、判決内容にかかわらず、国が「あたう(できる)限り救済する」とうたう特措法の精神に則(のっと)った被害者救済に手を尽くすべきなのは言うまでもない。

「ノーモア水俣」がすでに危ない。
PFAS汚染を第二の水俣にしてはならない。

今日も曇り空、氣温はわずか10℃を超えた。
それでもカタクリの花が開いた。

ホトケノザも・・・

ルパーブ


訪問介護の基本報酬減額は「問題だらけ」 上野千鶴子さん「国が言わない引き下げの狙い」指摘

2024年04月21日 | 健康・病気

AERAdot 2024/04/19

 野村昌二

 

上野千鶴子(うえの・ちづこ)/社会学者で、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。介護保険「改悪」についての発信を続ける。女性学のパイオニア

 訪問介護の基本報酬が、今年4月から引き下げられた。「驚天動地でした」と語るのは東京大学名誉教授の上野千鶴子さんだ。マイナス改定は「問題だらけ」だと指摘する。AERA 2024年4月22日号より。

 

 介護保険制度の24年間は、「改悪に次ぐ改悪の黒歴史」です。3年ごとに改定される介護保険は、第1回の改定から「給付の抑制と利用者の負担増」の連続でした。3年前には24年度に向けた介護保険改定案で、利用者自己負担率を1割から2割に上げるとか、ケアプランの有料化などが出されました。改悪が我慢の限界を超えたので、私たちは「史上最悪の介護保険改定が始まる」と声を上げ、抗議のアクションを起こし、ほとんどを「先送り」にすることができました。

 胸を撫で下ろしていたところ、今年になって示されたのが、24年度からの訪問介護の基本報酬引き下げです。驚天動地でした。零細事業所の撤退が進み、介護を受けられない人が増え、訪問介護が崩壊します。

 引き下げの狙いについて、国ははっきりと言いません。しかし恐らく、二本立てにしている訪問介護のうち、排泄や入浴介助などの「身体介護」を残して、掃除や洗濯などの「生活援助」を切り離したいと考えているのでしょう。そして生活援助は、介護保険外のボランティアや家事サービス代行業などに頼みなさい、と。介護保険は自治体の監督下にあり、監査が入って質のチェックがされます。ところが、保険外となると野放しで事故や高齢者の虐待が起きるでしょう。問題だらけです。

 介護保険は制度設計上、様々な問題や欠陥を抱えていますが、日本が誇るべき財産です。それまで老人介護は「嫁」による「無償の介護」でした。それが、介護保険がスタートしたことで、介護を社会全体で支える「介護の社会化」の第一歩となりました。到底不可能だった「在宅ひとり死」もできるようになりました。24年間の介護保険の経験の蓄積と現場の進化は、世界に誇ってよいと思います。

 若い人に伝えたいのは、「今の社会保障は高齢者に手厚い」という世代間対立を煽る言説に乗っからないでください、ということ。親をひとりで安心して置いておけるのも、あなたが親と離れて安心して生活できるのも、介護保険があるおかげです。

 権利と制度は歩いて向こうからやってきません。手に入れたと思ったものも、知らないうちに奪われます。監視し、参加し、行動して、大切な介護保険制度を守ってください。

(編集部・野村昌二)

※AERA 2024年4月22日号


すでに決まったことだとあきらめず、声を挙げ続けることが未来を変えることにつながります。

しばらく「春」の足踏み状態です。


農政の抜本的転換 食と農の希望はここにある

2024年04月20日 | 自然・農業・環境問題

 「しんぶん赤旗」主張 2024年4月20日

 食や農の今後のあり方に関わる食料・農業・農村基本法改定案が衆議院を通過しました。審議を通じて浮き彫りになったのは、自民党政権にこれ以上農政のかじ取りはまかせられない、抜本的転換は待ったなし、ということです。

 国の農政に問われているのは食料自給率の低下農村の崩壊など直面する危機をどう打開するかです。改定案は自給率目標を投げ捨てたうえ、危機を招いた従来路線の延長での対応にとどまり、危機打開どころかさらに深刻化させるものと言わざるをえません。

 自給率低下や農業者激減の原因について自らの農政への検証や反省を一切行わず、責任逃れに終始していることも重大です。

■発展の条件はある

 食や農の未曽有の危機は歯止めのない輸入自由化や農業の市場まかせなど自民党政治に歴史的責任があります。「食料は安い外国から輸入すればいい」として農業を切り捨ててきた結果です。いま必要なのはその流れの根本的な転換です。

 日本には温暖多雨な自然、高い農業技術の蓄積など農業を発展させる条件は十分あります。ないのは、それを生かす政治の力です。

 欧米諸国では政治が農業・農村の役割を重視し、手厚い保護で支えています。

 日本共産党は農業を国の基幹的生産部門に位置づけ、食料自給率の向上を国政の柱に据え、農業と農村の再生に力を尽くすことを訴えています。なかでも急がれるのは農業者が安心して営農に励み、農村で生活を続けられる土台を政府の責任で整えることです。

■価格と所得補償を

 「若い人がなぜ継がないかといえば(農業で)食えないからだ」。基本法見直しの審議会ででた農業者の声です。これを真剣に受け止め、事態の抜本的改善に力を入れるべきです。近年、困難ななかでも若者が農村に移住し、就農する動きが広がっています。これを政治が本格的に後押しすれば担い手が大幅に増えることは間違いありません。

 最大のカギは生産費に見合う価格保障と所得補償の充実です。EU諸国では食料の安全保障や環境保全、農村の振興などに着目して手厚い所得補償を行っています。日本も同様の補償を行えば、農業と農村の再生の展望は開けます。

 農林水産予算の抜本的な増額も不可欠です。1980年には軍事費の1・6倍あった農水予算が今日では3分の1以下にされ、国の予算に占める割合も8・4%から2・3%へ低下しています。予算のあり方を大軍拡から国民の命第一に改めれば農業の再生に必要な予算は生み出せます。

 「食料安全保障」と言いながら、いざというときに国民を飢餓にさらす亡国の自民党農政、その根本にあるのは米国いいなり、大企業の利益優先の政治のゆがみです。国民の苦しみをよそに「裏金づくり」に熱中し「戦争する国づくり」に暴走するのも同じです。

 改定案の審議は参議院に移りますが、自給率向上目標の明記、価格・所得補償の実施を含めて農政の抜本的転換を迫る運動の強化が求められます。悪政ノーの国民的大運動に合流し、自民党政治を終わらせ、食や農に希望ある未来を切り開こうではありませんか。


支持率20%以下で、次から次と悪法のオンパレードです。
アメリカの核の「抑止力」に頼り、アメリカの食糧世界戦略に組み込まれたニッポン。
自公政権を倒さねばどうにもならない状況です。

園のようす。
寒い寒い。
10℃までにも届かなく、春の花々も足踏み状態。


食料・農業・農村基本法改正案は飢餓輸出を招く

2024年04月19日 | 生活

  食・農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法改正案が昨日衆議院通過。なぜ、農業が限界状況迎えているのに、政府は抜本的な手を打たないか、要するに日本という国が米国へのコバンザメ国家で、米系多国籍企業へのコバンザメ企業が政治を仕切っているから。
  日本で地域の自立した食のシステムを作ることは米国の食料戦略に抵触するからやらない。またそんなシステムを作っても大企業は儲からないからやらない。だから農家の支援政策は打ち出されない。海外で安く作ってもってくる、日本で食料自給するよりも日本の農産物を海外で高く売った方が企業にとっては儲かるのだ。農家は支援せず、飢える人や栄養不良な人がいても無視して、海外に食品を輸出する。
 
 このような貿易のことを「飢餓輸出」と呼ぶ。南の国の多くは外貨を稼ぐために、国内に飢餓があっても、食料輸出を強化し続ける。食料はあるのに国内の飢餓者には食べさせず、国の借金を払うために海外に輸出する。
 
 今回の基本法の改正案の議論でも政府は「農業を発展させるためには輸出しかない」と繰り返す。日本はこのままでは本当の「飢餓輸出国」になる。政府を変えない限り。
 
 そして、これは米軍の考える世界秩序にそれは好都合。日本の大企業もすんなりその方針に従う。でも、今後はそれでは十分な食が確保できなくなることが予想されるのに政府は手を打たない。いや、食はもう確保できなくなってきていて、日本は5%未満の栄養不良者の存在する飢餓国としてFAOにも認定されている。
 学校給食の質も下がり、コンビニの弁当にもその影響は現れている。これは一部の貧困者だけの問題ではなく、日本列島の住民全員の問題であり、すでに日本の栄養状態は悪化し続けている。
 
 こういう問題が多い法案の場合は修正案が出ざるをえない。ほとんどの党が修正案を出すが、自民党と日本維新の会が提出した修正案が採択された。日本維新の会は今後ますます自民党に寄り添っていくつもりのようだ。この修正案には口当たりいいことが並ぶが、肝心の日本の食の危機に有効な施策は見当たらない¹。
 
 メディアはどれだけこの危機を報道するだろうか?


数年前「おにぎりが食べたい」と言って餓死した人のニュースを耳にした時、信じられない思いがあったが、今や状態化してしまった感じである。
今やインバウンドで日本の食が注目されている。
多様性のある和食を守り、お米の需要拡大を目指すべきではないのか。

毎日違う花が咲きだします。


仁藤夢乃さんに聞く 性売買を考える 女性たちの思い“社会変えたい”

2024年04月18日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2024年4月10日

抑えきれないほどの怒り もっと多くの支え必要

 性売買を経験した女性たちは、さまざまな困難を抱えています。その思いを、一般社団法人Colabo(コラボ)代表の仁藤夢乃さんに聞きました。(手島陽子)

 

 性搾取の被害に遭った女の子たちは、メディアから“売春する女性の闇”という取り上げられ方をしたり、“体を売る悪い女”という偏見にさらされたりします。実際は、家が安全な場所ではない、安心して帰る場所がないために、街で性搾取に誘導されたり、貧しさの中でそうせざるをえなかったりした女性たちです。

 そのことを知ってほしいと、2016年に10代、20代の女性たちによる写真展「私たちは『買われた』展」を開きました。きっかけは、慰安婦の写真展で、彼女たちはだまされて連れていかれたと聞いた女の子が、“自分たちと同じだ”と感じたことでした。

ハードルが低くだまされ従事も

 女の子たちを性売買に誘導する方法は、いろいろあります。性売買の入り口はハードルが低くなっていて、ガールズバー(若い女性がカウンターごしに接客する店)だと思っていたら、性売買の店だったという場合もあります。「ちゃんとした店」と聞いて行ってみたら、「その店はエアコンが壊れているので、こちらの店に行って」と、風俗の店で働くことになったという人もいます。

 だまされてワンルームに複数人が押し込められ、4000円以下で性売買に従事させられていた人もいました。本人に渡されるのは、半額なのです。

 歌舞伎町などで「イケメンどう?」「10代でも入れる店あるから」などといいながら、ホストクラブの客引きの男3人が1人の女の子を取り囲む場面に、遭遇することがあります。しつこくされて、仕方なくホストクラブに行ってしまう場合もあります。そうなると借金漬けにされて、性売買にからめとられてしまうので、声をかけて女の子を助けるのも、私たちのアウトリーチ(手を差し伸べる)活動の一つです。

 メイドカフェで働き始めたら、店の人から体をさわられ、心理的な壁を壊される。「うちはちゃんとした店」といいながら、「挿入」以外はすべてOK。そうやって性行為を強要され、生きるためには体を売るしかない状況に追い込まれるのです。日本では、「風俗」の名の下に「挿入」以外はなんでもありです。

 Colaboにくる女の子たちは、韓国の性売買経験当事者のグループ・ムンチの方たちとつながって以降、“声を上げたい”“立ち上がって社会を変えたい”という思いが強まっていきました。社会への怒りや、女性を性搾取に追いやる社会を変えたいという思いが、私にも抑えきれないくらいありました。

 トラウマを抱え、生きていくだけでもつらいのに、性搾取について発信することは、攻撃を受けるリスクを負います。Colaboへの執拗(しつよう)な攻撃があり、当事者が発信すること自体リスクを抱えるような状況になっています。

心にも体にも傷 回復には長時間

 私たちは「いまは、自分たちの時間を共有することを大事にしよう」と話し合いました。たとえばおしゃべりしながらハーバリウムを作って、カンパをしてくれた人にプレゼントしたり。そんな日常を積み重ねないと、「死にたい」と思ってしまうような傷を抱えています。

 10年、20年と性売買の世界にいた人は、心も体も傷だらけで、回復にそれだけ長い時間を必要としているように感じます。性売買の世界は、一番若くて素人の女性が一番価値が高く、年を重ねるほどに価値が下がってしまう。そのことで余計に力を奪われ、そこでしか生きられないと思わされます。性搾取で苦しみながらも、自分のせいだと思い込まされるんです。

 一方で、Colaboに早期につながった人たちは、性売買の被害から少しずつ回復して、性搾取はおとなたちの社会の問題だと考えられるようになっています。

 韓国の運動には、支える人がいっぱいいて、性売買の体験者は、語っても大丈夫だという信頼感を持っています。日本でも、もっと多くの支えが必要です。わかってくれる、わかろうとしてくれる人が増えると、体験者は、語ることができるようになると思います。


ようやくハウスビニールをかけた。

年々しんどくなる。
今年はビニールを新品にする予定だったが、昨年の氣温沸騰で遮光ネットを張るぐらいなら、汚れていてもいいじゃんということで・・・
福寿草が満開である。

カタクリが出てきた。
今日は曇天で、花を開くまではいかなかった。

また、北こぶしも咲きだした。

 


能登復興に「コスト削減」を持ち出した財務省に被災地は憤慨

2024年04月17日 | 生活

 そこまで節約したいなら、万博が先では?

2024年「東京新聞」4月17日

こちら特報部

 能登半島地震から3カ月余り。断水の解消などの復旧が遅れる中、財務省は「維持管理コストを念頭に置き、集約的なまちづくりを」と提言を出した。「コスト削減ありき」がにじむこの姿勢。「過疎地の切り捨て」の危惧も。そんなにカネがないならやはり、万博絡みのインフラ整備などの巨額事業を見直し、復興に予算を割くべきじゃないのか。(宮畑譲、岸本拓也)

◆「維持管理コストを念頭に置き」

 「冷や水をバケツでぶっかけられた気持ちだ。上から目線でものを言われているようで大変気分が悪い」

 石川県の馳浩知事は11日の会見で不快感をあらわにした。

 不満の矛先は財務省の提言。9日の財政制度等審議会の分科会で「今後の復旧・復興にあたっては、維持管理コストを念頭に置き、住民の方々の意向を踏まえつつ、集約的なまちづくりやインフラ整備の在り方も含めて、十分な検討が必要」と打ち出した。

◆「霞が関からすれば端っこなんだろう」

 能登の被災地は復旧すら程遠い。16日現在、石川県内の1次避難所に2895人が避難している。断水も約5240戸で続く。住宅被害は一部損壊も含めると7万6930棟に上る。

 そんな中で示されたのが「コスト念頭」「集約型の復興を」という提言だ。

 「東京・霞が関の住人からすれば、能登は日本の端っこなんだろう。だから、公共投資はしないのかと愚痴りたくもなる」。憤りを隠さないのは元珠洲市議の北野進氏。「元々インフラが手薄で、復旧が進まない原因にもなっていると言える。地方の集落をさらに切り捨てるような感覚だ」

◆「非効率」だからこその地域の価値が

 さらに「海岸線や山の中など、さまざまな地域で生業を営む人が住むから、能登の自然、文化を守ることができる。財務省の提言のような形で進むのなら、能登のよさが一気になくならないか心配だ」と漏らす。

 能登の里山里海は2011年、次世代へ継承すべき伝統的な農業や生物多様性などを有する「世界農業遺産」として国連食糧農業機関(FAO)に認定された。国内で初の例だった。

 輪島塗、棚田、塩田、四季折々の祭—。地域に根差した人が長年、手をかけ守り続けてきた。能登の「遺産」は非効率さと引き換えに残されてきたと言える。

◆「統廃合を多数決で決めるの?」

 農村の景観を活かし、観光誘客に成功した例として挙げられるのが、能登町の農家民宿群「春蘭(しゅんらん)の里」。震災前は約50軒に年間約1万人の観光客を集めた。

 事務局長の多田喜一郎氏は「古民家をつぶしたら売りがなくなる。誰が観光に来るのよ。各集落が一緒になるなんて不可能や。行政的には同じうちの地域でも祭の日は別々」と語り「集約的なまちづくり」の実現可能性はないと断じる。

 「『限界集落』と言われるけど、1人でも残れば『存続集落』。日本の田舎はどこも同じ。統廃合するとして多数決で決めるの? 誰も従いません。無理にやったら暴動が起きる」

◆「住民の意向を踏まえる」と言うが…

 輪島市に実家がある元公務員の60代男性は「コスト意識が必要なのは確かだけど」と口ごもりつつ、「国がどんなイメージで進めようとしているのか分からない」と語り、「自分の生まれ育った土地に残りたい人は多い。国の案に不安な思いを抱く人も多いだろう」と推し量る。

 被災地の声に財務省はどう応えるのか。同省主計局の担当者は取材に「復旧・復興が予算の制約で躊躇(ちゅうちょ)することがないように政府を挙げて取り組むことは大前提。今後のまちづくりは住民の方の意向を踏まえて進める」と釈明した。

 財務省が示した集約型のまちづくりは、かねて「コンパクトシティー構想」として全国各地で試みられてきた。

◆「コンパクトシティー」成功例は一部だけ

 元々は欧州を中心にした都市政策で、日本では1998年に中心市街地活性化法を含む「まちづくり3法」の制定を機に推進されてきた。地方の人口減や高齢化に対応するために、都市機能や居住地域を市街地に集め、持続可能な都市を目指したが、成功例は富山市など一部に限られる。

 龍谷大の富野暉一郎名誉教授(地方自治)は「行政側からみると、集約化は合理的で魅力的に映るが、住民にとっては住む場所も集められて、生活も一変するんじゃないかという抵抗感が根強い。地域での熟議なしに、行政が要請しても、うまくいかなかった」と解説した上で「ましてや、災害を機に集約せよと上から押しつけられても、反発を招くだけでは」とみる。

 財務省は「集約的なまちづくり」を推す理由に、東日本大震災での「無駄遣い」を挙げる。国は6562億円を投じて岩手、宮城、福島の3県で地盤のかさ上げなど計1009ヘクタールを整備した。しかし、活用されたのは74%に当たる745ヘクタールにとどまり、中でも集団移転先として、高台に造成した住宅用地などは活用率は低かったという。

◆「東日本」の無駄はトップダウンが原因

 その「反省」から、人口減が見込まれる能登の被災地は集約して効率化せよ、という主張のようだが、大阪経済大の遠州尋美・元教授(地域政策)は反論を口にする。

 「東日本大震災で集団移転したのが、対象世帯の3分の2にとどまったのは、被災者が復興のあり方を主体的に熟議を尽くす条件が整わないうちに、国からトップダウンで復興像を押しつけられたからだ」

◆地域の声が反映されないスキームに

 遠州氏によると、東日本大震災のときには、巨大な防潮堤や高台などを整備する方針が、被災自治体の意向とは無関係に進められていったという。

 前出の富野氏は「復興の方向性を出していくには、被災者や自治体が地域の生活や歴史文化などを踏まえて議論していくことが一番求められている。国や県の役割は、そのための支援メニューや選択肢を提示することだ」とボトムアップの復興手順が重要と説く。

 しかし、能登の復興では既にトップダウンの絵図が描かれるとして、4月に研究者ら有志が懸念を表明する緊急アピールを出した。それによると、3月に国土交通省が示した能登の復興支援の枠組みでは「復興ビジョン」を策定する前に、地域の意向を調査する手順がないと指摘。「被災者一人一人の意向の把握とその集約を行う」よう求めた。

大阪・関西万博の会場建設が進む大阪湾の人工島・夢洲。木造の大屋根(リング)は万博のシンボルとなる=3月4日

大阪・関西万博の会場建設が進む大阪湾の人工島・夢洲。木造の大屋根(リング)は万博のシンボルとなる=3月4日

 呼びかけ人の一人である遠州氏は「被災のダメージのもとで日々暮らし、生命をつないでいる被災者の声は反映されないスキームになっている」と疑問を呈し「避難が長期化する中、被災者の当面の暮らしを保障し、同時に地域のあり方について、被災者同士が主体的に議論できる条件を整えることに覚悟と資源を費やすべきだ」と話す。

◆「万博やミサイルより地域経済再生」

 財務省が支出を抑えたいなら、「既存事業の無駄」を見直してはどうか。

 淑徳大の金子勝客員教授(財政学)は「地震被害をそっちのけで万博を優先し、ミサイルを買って防衛費を増やすことを、国民は無駄だと分かっている」と指摘し、地域経済を再生する視点で復興に向き合うべきだと説く。

 「日本の産業競争力が衰えて貿易赤字に転じた今、輸入に頼っていたエネルギーや食料を地方で作ってもらって自給するしかない。そうした視点で、能登の復興や地方に大きな投資が必要ではないか」

◆デスクメモ

 被災した人たちは不遇にも困難な立場に置かれた。だからこそ手厚く支えたい。ただ「今後どうする」の選択は人により違う。心の整理をつけ、今後を考えるまで時間を要する人も。必要なのは一人一人の選択を支える視点であり、トップダウンでコストカットをにじませる提言ではない。(榊)


国民の生活安定無く、何が「国防」!
軍事費増大をやめよ!
武器爆買いをやめよ!

家の中では苗の鉢上げ作業が本格化。
ハウスのビニールかけを明日に予定して準備作業。

園のようす。

 


「核なき世界」も基地問題も…

2024年04月16日 | 社会・経済
「東京新聞」2024年4月16日 
  
こちら特報部
 
 国賓待遇として訪米し、米連邦議会で演説した岸田文雄首相。防衛予算の増額や敵基地攻撃能力の保有を成果に「日本は米国と共にある」と訴え、同盟の深化を印象づけた。一方、米国への配慮を背景に、緊迫する中東情勢や核なき世界への対応は踏み込み不足で、沖縄の基地強化と引き換えに対中国を念頭とした枠組み連携をうたう。日米一体化で独自の外交スタンスはかすむ中、日本はどう世界の平和構築に寄与するべきか。(森本智之、山田祐一郎)

◆スタンディングオベーションに笑み

 「米国の最も親しい友人、『トモダチ』として、日本国民は、自由の存続を確かなものにするため、米国と共にあります」
 11日(日本時間12日)、米連邦議会の上下両院合同会議。岸田文雄首相が声を張り上げると、議場を埋めた民主、共和両党の議員たちは立ち上がり、スタンディングオベーションは20秒近くも続いた。岸田首相は手ぶりを交え、笑みを浮かべながら日米関係の深さ、とりわけ安全保障分野での関係の深化を訴えた。
 中でも強調したのが、防衛力の抜本的な強化を掲げた、2022年の安全保障関連三文書の改定だ。23年度から5年間の防衛予算を43兆円へ大幅に増額、敵基地攻撃能力の保有にかじを切ったことを示し「米国は独りではない」などと日本が米国を支える姿勢を強調。これに先立つ日米首脳会談でも、自衛隊と在日米軍の指揮・統制面の連携強化で合意した。

◆歴代の首相も…

 関係強化の背景には、対中国への抑止力を高める狙いがある。前のめりにも見える米国への協力姿勢だが、これまでの日米首脳会談を振り返ってみると、今回に限ったことではない。
 例えば、1983年1月、初訪米した中曽根康弘首相は、日本が武器輸出三原則の例外として米国への武器技術協力を認めると表明。レーガン大統領を喜ばせた。中曽根氏側には前政権で生じた米国との摩擦解消を図る狙いがあった。

 2001年9月、同時多発テロの直後には、小泉純一郎首相が急きょ訪米。ブッシュ大統領に対し「米国を強く支持し、日本として主体的に最大限の支援と協力を行う」として、自衛隊派遣を含む対応策を説明。直後に始まったアフガニスタン戦争では海上自衛隊をインド洋に派遣し米艦船への補給活動を展開した。

 その後のイラク戦争でも、小泉氏はいち早く米国支持を表明。両氏の最後の首脳会談となった06年、ブッシュ氏は小泉氏がファンだというプレスリーの旧宅に招いて歓待。日米首脳会談は米国への協力姿勢をアピールする場になってきた。

◆首脳会談のたびに「お土産」

 日米安保に詳しい九州大の中島琢磨教授(外交史)は「たしかにそういう側面はあった。これまでは首脳会談のたびに『お土産を用意する』とか『対米追従』と決まり文句のように批判されてきた」と指摘する。
 今回はどうか。「日米共同声明のよく練られた内容を見ると、日本政府が主体的にそうした立場を選んだようにみえる」と述べる。
 
 対中国の問題が差し迫っていることの表れとしつつ「こうした大きなビジョンを岸田首相がどこまで国民に自分の言葉で説明してきたのか、印象が薄い」と批判する。国民の大きな関心事である沖縄・辺野古新基地建設についても十分な説明はないとして、問題を提起する。

◆「これで対等な協力関係が築けるのか」

 「基地問題をはじめ日米同盟で長く争点となっている問題をそのままにして同盟の未来を話しても、国民、とりわけ沖縄の理解や協力を得ることは難しい。米国側にとっては耳が痛いテーマについて今回、日本はどれだけ主張したのか。岸田首相本人の言葉で発信が必要だ」
 岸田氏は演説で、日本が米国の「グローバル・パートナー」と強調した。これまでの米国が国際秩序を維持してきたことを評価し、自由と民主主義、法の支配を守ることは日本の国益だと訴えた。
 これに対し「米国を国際秩序の盟主としてのみ見るのは一面的で古い価値観だ」と指摘するのは、同志社大の三牧聖子准教授(米国政治外交)だ。

◆ガザ攻撃には触れず

 岸田首相は演説でロシアの侵攻を受けたウクライナ支援で結束を呼びかける一方、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃には触れなかった。「ガザに関して法の支配を乱しているのはイスラエルであり、支援する米国だ。演説であえてガザに触れないことで、米国の耳が痛い問題に触れられない日本の姿勢を世界にさらしてしまった」
 イランとイスラエルの軍事的応酬で中東の緊張はさらに高まっている。三牧氏は「イランを批判する一方で、ガザの市民を巻き込むイスラエルの軍事行動を批判しない欧米は、アラブやグローバルサウスの国々には二重基準に映る。米国が負の歴史を持つ中東では、日本は米国とは距離を取った外交が求められているはずだ」と訴える。

◆「中国の脅威」を強調

 また今回の訪米で強調されたのが中国の脅威だ。共同声明には沖縄・尖閣諸島が米国による防衛義務の適用対象と明記。日米同盟の抑止力維持のため、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設は名護市辺野古での建設が「唯一の解決策」と改めて言及された。
 青山学院大の羽場久美子名誉教授(国際政治学)は「米中で紛争が起きた場合、戦場となるのは台湾や沖縄南西諸島、さらには日本列島だ。国民の犠牲を前提としたもので極めて危険」と警鐘を鳴らす。日米の指揮統制連携の強化は「米国の指揮下に入り、主権を放棄することにつながる」と懸念する。
 そもそも緊張緩和のため、日本が中国にとってきた対応は十分といえるのか。
 羽場氏は昨年10月に訪中代表団として北京を訪れ、外交筋と意見交換した。「中国側が強調したのは、日本との経済協力と若者育成など。米国の『同盟』は周りの国を巻き込むが、米国の利益にしかならない。中国との対立をあおり、軍事化を進めるのではなく、経済交流を維持し信頼醸成に努めることが、日本の利益になる」

◆「核なき世界」も中身なし

 岸田首相の持論である「核なき世界」についてはどうか。共同宣言では両国がその実現へ決意を共有すると表明したが、具体的な中身には触れられなかった。
 日米首脳会談の直前、緊急提言を発表した有識者グループの座長を務めた長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)は「今までやってきたことの繰り返しでしかない」と物足りなさを指摘する。提言では、日米首脳会談の場で、すべての核保有国と核の傘で恩恵を受ける国が「核の不使用継続」の理念を共有するべきだとの宣言を求めた。また、核保有国同士の対話についても米国と中国の間で「日本は特別な役割を果たすことができる」と促していた。
 鈴木氏はこう危ぶむ。「共同宣言は日米のパートナーシップを強調し核抑止論への依存をさらに高めるというメッセージ。被爆国の日本が核保有国と非保有国の首脳との核軍縮の議論の場を提供することを期待していたが、正直残念だ」

 平和構築の努力が見えないまま、米英豪の安全保障枠組み(AUKUS)や日米豪印の協力枠組み(クアッド)など米主導の対中国包囲網は強化が進む。前出の三牧氏は日本に求められる外交をこう提案する。

 「対中強硬論では具体的な対応が次々と出てきたが、中国との対話については具体案がない。米国は、経済的相互依存を意識した対中外交をしている。隣接する日本は中国とはさらに複雑な関係を構築しなければならないはずだ」

◆デスクメモ

 安保関連法案を巡る与野党の攻防が続いた2015年秋。若者たちが雨の国会を囲み「法案通すな」と夜通し叫んでいた。採決を告げるスマホを見つめ「やりやがった」とつぶやいた高校生。あれから8年余。戦争はより近くに迫り、日本の平和ブランドは一層色が失われて見える。(恭)

今日も22℃超え。
昨日より1度ほど低かったが、風が強く、ハウスのビニールかけの準備ははかどらない。
北海道にも桜前線が到来した。
道南松前町で、記録的な早さとなった昨年(4月11日)よりは5日遅くなったが、平年(4月27日)より11日早い開花とのことでした。
 
園のようす。
シイタケが出てきました。
春の山菜。
ヤチブキ。
ヤブカンゾウ。
咲きだした花。
スイセン。
ホトケノザ。