里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

ようやく、今年を振り返る。

2022年12月31日 | 生活

コロナも納まらず、
物価は、賃金は、年金は、農業は、地球は、軍事費は、・・・

希望も持てない「新しい戦前」状態でしょうか?

希望を持てる社会を、・・・

と思っております。

「地球」の未来は「国軍」によって滅ぶ。

肝に銘じたいと思います。

「非暴力」を貫きます。

今年も1年お付き合いいただきありがとうございました。

また来年もよろしくお付き合いいただきますようお願いいたします。

今年1年、わたしの心を癒してくれたKalafina の美しい歌声で締めくくりたいと思います。

Kalafina 10th Anniversary LIVE 2018 at Nippon Budokan (Multilanguage subtitles)

時間と曲名はこのビデオのコメント欄にあります。


学術会議の独立性侵すな

2022年12月29日 | 社会・経済

「学問と表現の自由を守る会」声明 学者・文化人127人、政府方針撤回要求

「しんぶん赤旗」2022年12月28日

 幅広い学者や文化人、ジャーナリスト、宗教者ら127人による「学問と表現の自由を守る会」は27日、日本学術会議の独立性を侵害する政府の法改悪方針を即時撤回することを求める声明を発表しました。

 政府は今月、来年の通常国会に、日本学術会議の会員選考に第三者を関与させるとする改悪法案を提出すると表明。次期会員の改選は改定法のもとで行う方針を示しています。

 声明は、政府方針は憲法が定める学問の自由を侵害し、思想・良心、表現の自由を脅かすものだと強調。「世界のアカデミーの常識」である会員選考方法と活動の独立性の原則を蹂躙(じゅうりん)し、学術会議を「政府の御用機関」に改変すれば、国民の幸福と人類福祉、日本の国益に反することになりかねないと危惧しています。「方針」は首相による会員6人の任命拒否を合法化すると指摘。軍事優先の学術総動員体制に道を開く法改正に反対し、改めて任命拒否の理由の説明と速やかな任命を要求しています。

 同日、東京都内で同会の発起人らが会見しました。隠岐さや香・東京大学教授は「独裁的な方向に向かう時、学者の任命権や発言権が真っ先に攻撃の対象になる」と述べ、「民主主義の危機」を指摘。翻訳家の池田香代子氏は、19世紀にドイツの大学教授が国王に異議を唱え国外追放になった事件を紹介し、危機感を表明しました。

 大沢真理・東京大学名誉教授は、新型コロナによる死者数の増大は政府による「大人災」だと述べ、政府と距離をとる学術がなければ「国民の生命が危うい」と強調。医療制度研究会副理事長の本田宏氏は、医療界を例に異論の重要性を訴えました。

 元岩波書店社長の岡本厚氏は政府が次に介入してくるのはメディアだと警鐘を鳴らし、元「朝日」論説委員の藤森研氏は軍拡を急ぐ政府を批判。日本キリスト教協議会の金性済(キム・ソンジェ)総幹事は、日本のキリスト教が戦前、政府を翼賛した歴史を振り返り、いま抗議の声を上げる必要性を訴えました。

 佐藤学・東京大学名誉教授は、政府方針は「学術会議つぶし」だと抗議しました。

学術会議の説明文書 要旨

2022年12月29日

 日本学術会議が27日に公表した説明文書の要旨は以下の通り。(全文は日本学術会議のホームページで読めます)

 

 本会議は政府方針について6点の懸念事項を指摘しており、それについて詳しく説明する。

 (1)「方針」も内閣府の説明も、法改正を必要とする具体的な理由(立法事実)に触れていない。法改正を行う場合、合理的根拠となる立法事実の提示が必要で政府は説明責任を負う。立法事実が示されないまま、法改正が既定とされることに強い危惧をいだく。

 (2)現在の会員が主体となって、「優れた研究または業績のある科学者」の中から新会員を選ぶ選考方法(コオプテーション方式)は世界のアカデミーに共通したもので、本会議が独立して職務を行う大前提である。「方針」で示された会員選考に関する第三者委員会の設置は、その権限や拘束力によっては会員選考における本会議の独立性を損なう。

 独立性が重要なのは、学術が政治や経済などと異なる学術固有の価値基準で行動することで、政策決定や学術の発展、人類の福祉に貢献することを目的とするからである。独立性が損なわれれば結果的に国民や人類の福利に影響する。

 コオプテーションの本旨に立ち返り第三者委員会の設置方針自体が見直されるべきだ。内閣府は「方針」策定にあたり国費で各国のナショナル・アカデミーのあり方を調査している。調査結果を公表し、諸外国の事例が参照されるべきである。

 (3)政府は理由も示さず6人の会員の任命拒否を続けている。透明性を欠いた任命拒否が繰り返されないことは、本会議の独立性にとり根幹となる条件である。「方針」では会員選考過程で第三者委員会の意見の尊重義務が想定されている。そうなれば、それを理由に任命権者(首相)が任命を拒否する道が開かれ任命拒否が「正統化」され繰り返されることに強い危惧を抱く。

 仮に会員定数を上回る候補者から首相が任命することになれば、首相の政治的判断で選別することとなる。

 (4)本会議がすでに、現行法の下で説明責任を果たしつつ、新たな方式による会員選考を進めているにもかかわらず、「方針」が現会員の任期を延長し改定法の下で新会員選考を行うとしていることに驚きを禁じ得ない。

 本会議は現行法の下で会員選考を行う責務を負っているが、法改正されれば、選考結果が覆されることになる。それ自体が、会員選考への重大な介入になりうるもので、本会議の職務の遂行に深刻な影響を与える。

 政府の判断で一方的に任期を変更することはご都合主義との非難を免れない。

 (5)現行の3部制に代えて4部制が唐突に提案された。これは学問体系に即した内発的論理によらない政治的・行政的判断による組織編成の提案である。本会議の構成を変える可能性自体は否定されないが、学術コミュニティーを代表する機関として、どのような組織構成をとるかは自律的に判断するもので政府や外部諸団体が決めることではない。本会議の独立性の根幹にかかわり、政治や行政側から一方的に組織改変を行うような法改正は独立性を大きく損なう。

 (6)「方針」では、「政府等と問題意識や時間軸等を共用」することが再三言及されているが、それには建設的な対話ができる環境が必要である。

 学術には一国に限定されない普遍的な価値と真理の追求という独自の役割があり、一国の利害に左右されず知の探究を通じて人類全体に奉仕する意味が含まれる。

 政策決定における重要な学術的知見は、政府と問題意識を共有しないところからも得られる。中長期的観点から物事を考える学術と短期的な判断を迫られる政治的意思決定の間で時間軸を共有できない場面があるのは当然である。政府とは異なる「問題意識や時間軸」で課題を提起し社会に問うことも学術の役割であると強調したい。

 

学問と表現の自由を守る会 会見詳報

2022年12月29日

 幅広い学者や文化人、ジャーナリスト、宗教者ら127人による「学問と表現の自由を守る会」は27日、日本学術会議の会員選考に第三者を関与させる政府の法改悪方針は学術会議の独立性を侵害するとして、即時撤回を求める声明を発表しました(28日既報)。同日、発起人らが東京都内で開いた会見から、発言の一部を紹介します。

学者攻撃 独裁に向かう

東京大学教授 隠岐さや香さん

 私はアカデミー(学術団体)という組織を研究していますが、アカデミーの一つである日本学術会議の行く末を不安に思い、民主主義の危機が来ていると感じています。政治が独裁的な方向に向かう時、学者の任命権や発言権が真っ先に攻撃対象になります。ロシアのプーチン大統領は2010年代に科学アカデミーを改革し、それに追随してメディアがアカデミーをたたきました。憲法の解釈を根底から変える今の政府の動きを、先例として未来に残してはならないと思っています。

学問への圧力 総仕上げ

翻訳家 池田香代子さん

 外国に向け日本の学者コミュニティーを代表する組織である学術会議が、法改正され政府の言いなりになれば、アカデミーでなくなってしまう。学者の皆さんは国際会議などですごく恥ずかしい思いをする。「小泉構造改革」の頃から学問や大学への圧力が強まり、今の学術会議への介入はその総仕上げでもあるのではないか。19世紀のドイツでは国王に忠誠を誓わなかった学者7人が国外追放されました。2022年の私たちは今後何を見るのか。恐ろしい気がしています。

国民の幸福 真っ向否定

東京大学名誉教授 大沢真理さん

 学術会議は人類社会の福祉への貢献を使命とし、中長期の時間軸で国民の幸福や国益を考える組織です。それを政府は真っ向から否定している。「所得倍増」と言っていたのがいつの間にか「資産所得倍増」になっているような岸田政権と問題意識や時間軸を共有していては、国民の福祉や国益、人類社会の福祉への貢献などできようはずがない。コロナ関連死の多さも政府による大人災。政府と距離をとり批判する学術がなければ国民の生命が危ういと思います。

次はメディアへの介入

元岩波書店社長 岡本厚さん

 軍事優先に資源を投入しないのが憲法9条の成果です。政府方針はそれを変え、学問を軍事研究に道を開く強い意見を示しています。その次に必ずくるのがメディアへの介入です。1940年に皇室の尊厳を犯したとして歴史家の津田左右吉と著書の発行元の岩波書店社長が起訴され、有罪判決を受けました。右翼が訴訟を提起して国家権力が加担し、学問と出版の世界を抑え込もうとしたのです。そういう社会にすることを決して許してはならないと思います。

排外主義生み 社会退廃

日本キリスト教協議会総幹事 金性済(キム・ソンジェ)さん

 戦前、キリスト教を保全するから国家政策を翼賛しろという内務省の取引に応じ、キリスト教は敗戦に至るまで侵略戦争・植民地支配を黙認する宗教に転落しました。政府の敵基地攻撃能力の考え方は「日本の敵は誰か」という排外主義を生み、社会を退廃させます。それは日本の歴史が通ってきた道です。平和主義に立ち警告を発する知識人が学術会議から排除されれば、危険な方向に大きく転換してしまう。この現実をしっかり認識しなければなりません。

日本の民主主義の損失

元「朝日」論説委員 藤森研さん

 政府の介入の底にあるのは、学術会議が70年以上貫いてきた軍事研究反対の基本姿勢に対する嫌悪感、ないし「じゃま者感」だと思います。短期・中期・長期的にさまざまな意見を立体的にたたかわせ考え合うことが、民主主義を安定的に成熟させていくこと。国民的な議論が全くないまま軍拡を急ぐ政権と時間軸や問題意識を一緒にしていては、人類の長い歴史を踏まえ地球的視点で考える学術会議の存在価値はなくなり、日本の民主主義にとっても損失です。

国策への奉仕は危ない

医療制度研究会副理事長 本田宏さん

 「医療および医療従事者が国策に奉仕させられるということは、国民の命が国策に奉仕させられること」。患者の権利にかかわって、内田博文・九州大学名誉教授が語っている言葉です。学術会議にも同じことが言えるのではないでしょうか。おかしいことをおかしいと言う人を排除したいというのが、政府による学術会議への介入です。医療の世界に置き換えて考えれば、これでは医療事故が起きやすくなります。これほど危ないことはありません。

経済・社会が破たんする

東京大学名誉教授 佐藤学さん

 一言で言えば「日本学術会議つぶし」です。法改正がなされれば、学術会議は独立性を失い、アカデミーではなくなります。日本の経済成長率は世界157位、公教育費(国内総生産比)は138位なのに、なぜ軍事費だけ世界第3位に躍り出ようとしているのか。安保3文書でも科学研究を戦力とすることが狙われており、こうした一連の動きの中に学術会議法改正の方針があります。このままでは日本の経済も社会もみな破たんすることを、多くの人に理解してほしいと思います。


 どんどんと「危ない」方向へと進んでいる。
「憲法」解釈も変えた。
軍事予算も突出させた。
今、食い止めなければ「独裁」へ「進」道。
「学問と表現の自由」が奪われれば、半ば奪われたマスコミの中で「決定的」になるだろう。
それほどこの問題は重大な局面にある。

カランエコ

今どき咲いている貴重な花。


斎藤幸平・気候変動対策の国際交渉「COP」はもはや無意味だ

2022年12月28日 | 自然・農業・環境問題

東洋経済オンライン12/28(水)

斎藤幸平・東京大学大学院准教授が語る.

『人新世の「資本論」』『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』を著した斎藤幸平・東京大学大学院准教授は、気候変動のCOP交渉の実態を「グリーンウォッシュ」(まやかしの環境対策)と断じ、新たな仕組みを考えるべきだと主張する。

 ――国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が2022年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されました。地球の平均気温の上昇を産業革命時のレベルから1.5度以内に抑えるための温室効果ガス削減対策の強化では、合意できませんでした。

 今回のCOP27の最大のテーマは気候変動による「ロス&ダメージ」(損失と損害)を被った開発途上国への支援だった。形のうえでは合意したが、これを「前進」だと呼ぶ気持ちは湧いてこない。むしろ、今回のCOPで「1.5度目標」の達成が事実上不可能になった現実を私たちはしっかりと反省する必要がある。今後、地球環境は危険な状況になり、食糧危機や水不足、自然災害のリスクが世界的に増大していく。

 「私たち市民はCOP27参加をボイコットすべきだ」と、私は開催前から繰り返し指摘してきた。

 エジプト政府は非常に強権的な支配体制を敷いており、6万人近い人々が拘束されているという。気候変動問題における弱者であるエジプトの市民はCOP27の会場には近づくこともできなかった。

 言論の自由がない国の、社会から隔絶されたリゾート地をわざわざ世界中から二酸化炭素を排出して訪れて、会議に参加してもどれほどの意味があるのか。まさしく「グリーンウォッシュ(まやかしの環境対策)」の典型例ではないか。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんがボイコットを呼びかけたのも当然のことだ。

■COP28もグリーン・ウォッシュとなる

 ――次回のCOP28は、2023年にアラブ首長国連邦(UAE)で開催されます。

 化石燃料を主たる収入にしている国で、果たして脱炭素化に向けた意味のある議論ができるわけがない。次回もグリーン・ウォッシュとなるだろう。これは、COPが形骸化していることを示唆している。

    実際、スタートしてから30年近くになるが、合意文書には「化石燃料の削減」という当たり前の内容すら入ったことがない。世界全体の二酸化炭素(CO2)排出量は減るどころか大幅に増えている。その点だけをとらえてもCOPは失敗だと言える。もうこれ以上無駄にする時間はない。同時に、代わりの方法を探るべきだと思う。

――グレタさんはCO2削減に後ろ向きだとして、スウェーデン政府を訴えました。

    自国の政府を提訴し、削減対策を実行させるほうがはるかに有意義だ。オランダでは国際環境NGOのフレンズ・オブ・ジ・アース(FOE)とオランダ市民が大手石油メジャーのシェルを相手取って、CO2排出削減を義務づける判決を勝ち取った。

 COPの代わりというのであれば、各国が大陸ごとに集まって、もう少し規模の小さい市民会議をやったらどうか。そうすれば、多くの人は飛行機に乗らずに参加できる

 ――COP27でも各国がパビリオンを設け、たくさんの企業が脱炭素の取り組みへの熱意をアピールしました。企業の役割と責任をどう見ていますか。

 会場には化石燃料産業の関係者やロビイストもたくさん来ていた。プラスチックゴミの大量廃棄問題で国際環境NGOグリーンピースからやり玉に挙げられているコカ・コーラがCOP27のスポンサーになっている。

 また、日本企業のブースでは、EACOP(東アフリカ原油パイプライン)という世界最長の石油パイプラインに投資していることが途上国の活動家たちから批判されていた。企業の役割やESG投資が重要だという主張はもちろん否定しないが、グリーンウォッシュには目を光らせる必要がある。

■日本も脱成長への移行を

 ――そうした実態について、日本の大手メディアはほとんど報じていません。そもそも日本では気候変動問題への関心が低いのが実情です。

 再生可能エネルギーや電気自動車導入の取り組みで、日本はヨーロッパなどから2周遅れているのが実情だ。化石燃料の輸入に莫大な資金を支払っている現状にもっと私たちは危機感を持ち、エネルギー安全保障や経済政策として、グリーン産業に積極的な投資をする必要がある。

 しかし、世界はもっと先を行っていて、Z世代を中心に、「緑の成長」ではだめで、「脱成長」に移行しなければいけないという機運が高まっている。その点で日本ははるかに立ち後れている。

    そもそも日本では人権のような理念が社会を動かす力になりにくい。気候変動問題のみならず、ジェンダー問題や、最近ではサッカーのワールドカップに対する反応でも同じようなことがいえる。

 ワールドカップのドイツ代表は1次リーグで敗退したが、選手が開催国カタールの人権状況に抗議の意思を示した。他方、日本ではそうした視点がまったく欠落し、単にスポーツイベントとして楽しめばいいという雰囲気一色だった。

――社会問題の傍観者になっていてはいけないということでしょうか。斎藤さんの近著『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』は、現場に出向いてさまざまな分野の当事者に話を聞き、学び、一緒に経験することの必要性を訴える内容ですね。

  私はマルクスの研究を専門にしてきたが、理論だけでは足りない。この本では気候変動問題を含め、さまざまな社会問題をめぐる現場の実践について私自身が学び直す経験をつづった。取材を通じて多くの人たちがどんな苦難に直面しているかを考える機会を得た。

 ――著書では「脱プラスチック生活」にもチャレンジし、挫折した経験も書かれています。

 プラスチックゼロを個人が徹底することはあまりにも大変で、無理だと認識した。プラスチックが含まれていない製品を探すことに労力を費やすよりも、地元の政治家に働き掛けたり、知り合いと勉強会を開催して解決方法を見出すことのほうが社会を変える力になるのではと感じた。

 ――そのために、どれだけの人たちの考え方が変わる必要がありますか。

『人新世の「資本論」』では、ハーバード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究を引用し、3.5%」の人々が非暴力的な方法で本気で立ち上がると、社会が大きく変わる可能性があるということを書いた。独裁者を権力から引きずり下ろすのであれば、一時的な運動としてそのくらいの数の人たちが盛り上がれば、大きな力を発揮する。

■私たちは自ら学び直す必要がある

 もちろん、気候変動問題には少し違った側面がある。それは何かというと、持続可能な社会を作ることが目的である以上、もっと多くの人たちが積極的、かつ継続的に問題解決に取り組む必要があるということだ。つまり、ゴッホの絵にトマトスープをかけるだけでは、気候変動問題はまったく解決しないのだ。

 その点では3.5%の人たちが出すメッセージからもっと多くの人たちが学び、自らの価値観や生活を変えていく必要がある。だからこそ、私自身を含めたマジョリティが他者から学び、変わることの大切さを今回の本で訴えた。

 ――斎藤さんは見かけ倒しの豊かさを追い求めるのをやめ、「脱成長」を目指すべきだと著書で述べています。

 気候変動問題に関して言えば、過剰な大量生産・大量消費をやめなければ、ガソリン車が電気自動車に代わったとしても、事態はよくならない。

 例えば、毎年、今の年末年始の時期に、クリスマスケーキや正月のおせちなどが、大量廃棄されている問題。これは、環境問題でもあるが、ノルマとか、強制購入、廃棄の心理的負担など労働問題にもつながっている。人間も自然も使い捨てない社会にするためには、未来の技術革新に頼るだけでなく、今すぐできる身近な使い捨て社会の問題を解決していくべきだ。

 私の考える本当の豊かさとは、労働時間をもっと短くし、家族や友だちと時間を共に過ごし、地域でボランティア活動やスポーツをしたりすることだ。そのためには公園や図書館などの「コモン」(人々によって社会的に共有・管理される富)を増やしていく必要がある。

■必要なのは「下からのうねり」

 ――斎藤さんは市民やローカルの役割を重視していますが、国家の役割をどう考えますか。

 国家の役割はまったく否定していない。例えば週休3日制を全産業に当てはめるには、国の役割は重要だ。しかし、そのためには、週休3日制を求める声が、市民や労働者からわき上がってこなければ法制化を実現できない。また、自治体レベルでさまざまな取り組みが必要だ。

 例えば、市民が声を上げることで自分が住む町で自動車が進入できないゾーンを広げたり、東京都が条例化したような、新築住宅の屋根に太陽光パネルを載せることを義務化するといった取り組みも重要だ。人々の意識が変わっていけば、やがては抜本的な格差是正策として、国レベルで年収について上限を定めるといったことも考えられる。気候変動問題もそうしたさまざまな取り組みと密接に関係している。

 いずれにせよ、下からのうねりがあって初めて、国のGX(グリーントランスフォーメーション)も、COPのような国際会議も意味を持つ。私たちが声を上げることのないままに、良心的な政治家や企業経営者のようなリーダーが良い政策や技術で、気候危機から救ってくれるという幻想を捨てなければならない。そうしなければ、世界の気温上昇は1.5度のみならず、2.0度のラインも遅かれ早かれ、突破してしまうだろう。


今、「国を守る」時ではない。「地球」を守らなければ・・・
「世界」に求められているのは「国軍」の解散である。
今こそ「日本国憲法」が輝く時なのだ。

 今日も昼まではいい天気でした。こんなに天気が続き、しかもプラス気温まで上がるというのは異常気象の部類でしょう。

 面白いビデオ見つけました。この人いまブレークしていますね。なんか氣になる人です。

登紀子の「土の日」ライブVol.28「驚きの出逢い!!」


安保3文書閣議決定 各界抗議 同志社大学教授 浜矩子さん

2022年12月27日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2022年12月26日

平和主義が日本の役割

 安保3文書に書かれているのは安全保障政策の大転換です。「専守防衛」をかなぐり捨てて高度な攻撃能力を持つという、慄然(りつぜん)とする内容です。「たたかいたい」という意思が前面に出ています「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼して「安全と生存を保持しよう」という日本国憲法の精神と全然違う。そんな大ごとをぽんと出して、国民に何の相談もなく閣議決定するというのは暴挙です。

 3文書は大転換を正当化するために、周辺環境の変化を強調します。ロシア、北朝鮮、中国をめぐる国民の不安につけこみ、「従来のままではいけない」という雰囲気をつくろうとしています。だけど本当は、周辺事情が危うくなればなるほど、「断じて日本は平和主義を貫く」というべきです。だれかが軍拡合戦に歯止めをかけなければいけません。「それが日本の役割なのだ」と高らかに宣言すればよい。多角的な協調に基づく平和という方策を、日本は執念深く力強く発信すべきです。

 多くのメディアで財源の話が先行して騒がれたのは残念なことです。「軍拡は必要かもしれないけど増税や国債発行はだめだ」という議論は、問題を矮小(わいしょう)化するものです。周辺国との緊張を高める大軍拡こそが問題なのだということを、声高にいい続けましょう。


日本はいつから憲法を変えたのか?
それが諸国民の偽らぬ感情でしょう。

江部乙、今日の散歩道。

今日も太陽が出ました。予報では曇りです。


積雪もかなり締まっています。


杉並区長・岸本聡子氏が取り組む“新しい政治”のカタチ「住民が行政、街づくりにかかわり続ける」

2022年12月26日 | 社会・経済

*この記事の関連【動画】もご覧いただけます。(読むのが難しい方はどうぞ)

日刊ゲンダイ2022/12/26 

 今年6月の杉並区長選で、4選を目指した現職を187票差で制した。区政刷新を求める市民団体の要請で公共政策研究者から転身。同区初となる女性区長が掲げるのは、住民主導型の区政だ。今月9日に開かれた市民団体主催の「ローカル・イニシアチブ・ミーティング」では、来春の統一地方選に向け、志を共にする都内の首長や地方議員、立候補予定者との連携で合意。地方自治から政治を変えるビジョンとは何か。ざっくばらんに聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 ──区長就任から半年が経ちました。

 日々新しい課題や気付きがあります。就任以来、区内の児童館や学校などの再編や、西荻窪と高円寺で進んでいる道路計画について、住民と対話集会や説明会を繰り返してきました。すべての会に参加しているので大変ですが、住民との対話が私にとって最も大切な仕事だと思っています。

 ──意見を集約したうえで、公正な判断が求められます。

 計画に関して対話集会を行った結果、意見を聞く前と同じ結論に至ったとしても、そのプロセスが重要だと考えています。施設再編や道路計画に限らず、そもそも何のための計画なのか、住民が理解できていない状態が長く続いていました。区として説明を重ねてきたとしても、住民に届いていなかったんですよね。

 ──行政からの一方通行だった。

 形式的には結論が決まっていたとしても、住民対話を通じて、ここは修正できるとか、ここは地域の人たちと協力しながらできるとか、計画をより良い方向へと導いていけるはずです。可能なところは見直し、道筋をつくることが、対話と熟議の良いところ。住民に街づくりにかかわっていただくことにより、住民側にも主体性やオーナーシップが生まれます。最後はリーダーが責任を持って判断しなさいと言われますが、今の新しい政治は、区長である私が責任を負うのはもちろん、みんなで責任を負っていきましょう、と。住民が行政、街づくりにかかわり続ける。施設再編や道路計画は、その良いキッカケになるのではないかと思っています。

 ──行政側と住民側がキャッチボールできる仕組みづくりですね。

 役所に手紙を書いたり、陳情したり、あるいは業界団体や自治会などに所属して区政につながっている住民の方も多くいらっしゃるので、必ずしもキャッチボールができていなかったわけではありません。しかし、多くの住民はそのようなつながりを持っていないのが現状です。行政が一方通行にならないためには、住民が参加したからこういうふうに変わったのだと、対話や議論の結果をフィードバックしていかなければいけません。その方が行政側も地域のために良い仕事ができます。

■議員送り出しまでが「ミュニシパリズム」

 ──住民の主体性の高さは感じますか。

 杉並区も含め東京西部は地域活動に熱心な住民が多いと耳にすることもありますが、投票率が突出して高いわけではありません。政治や行政が自分の生活に全然関係ないと思っているという方は、特に若い世代で山のようにいると思います。ただ、そんな方でも、区長選を通じて自分の住んでいる地域が実は道路計画予定地だと初めて知ったり、政治的な問題を話し合う「政治カフェ」を主催するようになったり。

「区政とか政治って、自分たちの生活とマジ直結してるじゃん」という話を聞いた時はうれしかったですね。選挙期間だけではなく、選挙と選挙の間に行政や政治に少しでもかかわることのできる場をつくることが、私のチャレンジのひとつだと思っています。行政が主導する形ではなく、住民独自の取り組みが多発している状態が理想です。

 ──「草の根」や「ミュニシパリズム」(地域自治主義)に通じる考え方ですね。

「ミュニシパリズム」の特徴のひとつは、「草の根の政治参加」です。ただ、地域住民を交えた対話と熟議を通じて生み出された計画であっても、執行にはお金や人材が必要。となると、地域での対話や集会がある程度の政治的な力になっていかなければいけないと思います。したがって、「ミュニシパリズム」は、単なる草の根の政治参加にとどまらず、住民の意見を議会の場に提案して議論できる議員を出していくところまでつながっているのです。

  ──区政において公共政策研究のプロとして積んだ経験が生かされている?

 公共政策を行政の外側から研究して見える問題点と、内側から見える問題点は異なります。例えば、保育園の民営化問題。水道などと同様、保育園もコモンズ(公共財)のひとつであるにもかかわらず、民営化が進んでいます。保育需要の逼迫や待機児童問題は何年も前から全国的に横たわってきたのに、民間事業者にお願いして急いで対策しなくてはいけない状態まで手をこまねいていたことが問題です。共働き世帯が増えるなど、生活様式の変化に対応しきれなかったのです。

 労働集約的であり、決して儲かる産業ではない保育事業を民営化したことによって、労働条件の悪化や保育の質が低下する可能性が高まります。民営の場合、収益やコスト削減を優先して、非正規や非常勤の若い職員に頼らざるを得なくなってしまう。つまり、経験や技能の継承が難しくなってしまうのです。しかし、保育園の運営は民営でも公営でも、かかる費用は基本的に変わりません。ほとんどが施設維持費や人件費です。

 だったら、同じ施設を使って保育職員を区職員として雇用し、区がきちんと人件費を払っていけばよい。それにもかかわらず、民営化が進んでいるのは、民営化をすれば、国から補助が出るからです。本当に国が待機児童ゼロを目指すのであれば、民営だろうが公営だろうが、同じ額の補助金を出せばいいのに、国は保育分野にまで民営化の手法を持ち込みたい。このような国の政策誘導は、行政の内側にいなかったら見えてこなかっただろうと思います。

 ──収益性を優先する民間の論理は、保育事業になじまない。

 保育士さんの雇用の安定や保育の質の維持は、公営でも改善できるはずです。「民」に委ねるのではなく、「公」を良くしていく。これが私の研究テーマでもあった「公の民主化」です。公を良くしていくためには、積極的に情報を公開し、いろんな意見を吸い上げていくことが重要です。公の改善はいくらでも可能なのに、保育園を民営化して公から民にオーナーシップを変えてしまうと、公共政策の及ぶ範囲が著しく減ってしまいます。地域社会や保育士さん、子どもたちにとって何が最善なのか、民営化ありきではなく、立ち止まって検証するべきです。

■政治の優先順位を変え「ケア中心」に

 ──保育士や福祉士など、誰かをケアする側の職業において、待遇の悪さが目立ちます。

 問題は、国や自治体が社会的なビジョンをきちんと描けているのかどうか。私が言い続けているひとつのビジョンが、脱炭素化社会はケア社会であるということ。これから先、化石燃料を使い、二酸化炭素を排出するような生産や輸送、仕事などは減っていかざるを得ません。時代の要請です。

 その一方、どう考えても、ケアの仕事は増えていく。ニーズも多様化しています。発達障害や引きこもりの子に丁寧に寄り添う専門職が必要ですし、認知症の高齢者が患者として収容されるのではなく、のびのびと生活できる環境づくりも大事。政治家は、そういうケア社会のビジョンを持たなければいけないと思います。ケアする側として働く若い世代が、仕事に誇りを持ち、専門性を持って続けられるようにしなければなりません。

 そのためには、政治の優先順位を変える必要があります。脱炭素化社会に向け、政治の優先順位をケア中心に変えて、ケアする側にお金が払われるような社会にする。人の命を中心にして政治の優先順位を変えることが「ミュニシパリズム」の根幹です。

 ──岸田政権は防衛増税を推し進める一方、子ども予算倍増の財源

「命の政治」とは何かを考えなければいけません。だからこそ、民主主義の最高の練習場である地方自治が大切なのです。結局、住民の命を最後に守るのは、防災も含め自治体です。地域単位から政治の順位を変えていき、首長として国のアジェンダに物申していきたいですね。

(聞き手=高月太樹/日刊ゲンダイ)

岸本聡子(きしもと・さとこ) 1974年、東京都生まれ。日大文理学部卒業後、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」に参加。2003年からオランダ・アムステルダムに本拠地を置く政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所(TNI)」に所属。公共サービスの民営化や再公営化の事例を研究。無所属で杉並区長選挙に立候補し、初当選(立憲、共産、れいわ、社民推薦)。著書に「水道、再び公営化!」(集英社新書)、「私がつかんだコモンと民主主義」(晶文社)。年明けに「地域主権という希望」(大月書店)を刊行予定。


 今日も昼間はプラス気温。とは言え、せいぜい1℃ですが。連日のプラス氣温で雪も締まり、積雪は70㎝。
 昨日の記事の倒れた桜。

よく見たらかなり虫に食われて腐っていました。
新たな倒木も。

ウサギの足跡、大きいです。

雪の花ばかりですが、ツルアジサイです。


「犯罪のような罪悪感」 クリスマス商戦の「フードロス」でアルバイトが精神的苦痛

2022年12月25日 | 自然・農業・環境問題

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

YAHOOニュース(個人) 12/24(土)

 

 今年も街中にイルミネーションが輝き、クリスマスの季節がやってきた。

 クリスマスのシーズンは、街やお店の華やかさと対照的に、それを支える労働現場からは様々な悲痛な声が寄せられる時期でもある。クリスマスケーキの「買い取り強要」や「シフト強要」の問題だ。これらの点について、筆者はこれまでも多くの問題提起を行ってきた。

参考:ブラックバイトに支えられる日本のクリスマス 消費者が理解すべき実情

参考:クリスマスケーキの自腹購入 店長も「被害者」

 また、クリスマスケーキに関しては、イベント期間終了後に大量に廃棄されることがたびたびメディアで取り上げられ、食品ロスの問題として扱われることも多い。筆者が代表を務めるNPO法人POSSEがオンラインアンケートを取ったところ、年々食品ロスに対する社会の目線が厳しくなる中で、現場で働く社員やアルバイトたちは精神的苦痛を感じている実態も浮かび上がってきた。

 そこで今回は、クリスマスの労働問題と食品ロスとの関係をあらためて問い直し、その解決策を考えていきたい。

クリスマスの労働問題と食品ロス

 クリスマスの時期になると、色々と話題になる「シフト強要」と「買い取り強要」、食品ロス問題だが、それらはどのような関係にあり、なぜ起きてくるのだろうか。

 クリスマスは、大手コンビニ各社が力を入れてケーキやチキンなどを販売する商戦期だ。人の入り具合も普段よりも多くなるため、慢性的な人手不足のコンビニ業界では、人手の確保がカギとなる。そこで起きてくるのがアルバイトの事情を考慮せず、時には「脅迫」をもちいて無理やりシフトに入れさせようとする「シフト強要」だ。

 さらに、コンビニ本部は、クリスマスケーキの売上を増やすために、ケーキを大量に各店舗に仕入れるよう加盟店のオーナーに対して事実上「強要」することがある。大量のケーキが搬入される各店舗では、「シフト強要」などを用いて確保したアルバイトに対して、販売ノルマを課し、売れ残れば自腹で買い取るように「強要」するケースが相次ぐのだ。

 また、販売ノルマが課されていない場合でも、最低ひとり一個クリスマスケーキを予約・購入するように「強要」されることもある。そのような手段を用いても、売り切れなかったケーキは廃棄となり、例え、コンビニで働く人たちに自腹で買い取りさせても、それぞれの自宅ですべてを消費できるわけもなく結局、食品ロスが生まれる。

 このような「買い取り強要」は、日本の学生アルバイトや「主婦」パートに限らず「外国人」労働者に対しても行われている。今年の8月には、クリスマスケーキや恵方巻などの季節商品の購入を強要された「外国人」労働者たちが、労働組合・東京ユニオンに加入し、コンビニ本社に対して団体交渉を申し入れた。彼ら彼女らは、宗教上食べることができない商品も購入させられており、組合員のバングラデシュ出身の労働者は「買わされたものはほとんど捨てていた」そうだ。

参考:ローソンに団体交渉申し入れ 外国人従業員が改善要求

参考:無理やり恵方巻を…ローソンで働く外国人ら待遇改善を申し入れ「宗教上食べられないのに強制」

食品ロスと労働者の精神的負担ー職場の食品廃棄がストレスで退職が約4割ー

 このような形で毎年大量のクリスマスケーキが廃棄され、大きな社会問題となっている。そして、食品ロスの問題は、食べ物を無駄にしており環境に悪いということだけでなく、実は、アルバイトへの心理的な負担も大きい。この点はまだあまり知られていない。

 今年に入り、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEには、「食品廃棄作業が苦痛で退職した」という学生バイトからの相談が寄せられるようになった。そこで、冒頭で述べたように、今年の秋から職場の食品廃棄の実態を明らかにするために、オンラインでアンケート調査を始めた。

 この調査で明らかになったのが、職場の食品廃棄がストレスで退職した人が約4割にも上ることだ。(有効回答者61人中24人が「食品を廃棄するさいのストレスが要因で退職したことはありますか」という設問に対して「はい」と回答)。調査の回答者の中には鬱状態になっている人もいた。

 アンケートに寄せられた声を一部紹介しよう。

大学生・結婚式場に勤務

 ストレスで過食になったり、顔面半分がかるいマヒ状態になりました。披露宴では、1回に50~120人くらい、1日2回、炊き込みご飯やケーキ、パン、肉料理、ドリンク等を捨てていました。まったく手を付けられていないものも多くありました。上司は「食べきれないほど提供するのが披露宴でのおもてなしだ」と正当化し、過密スケジュールのため余った食品を慌ただしくゴミ箱に突っ込まないと次のグループのための準備が進まない状況で、廃棄を強制されていました。

正社員・道の駅の食堂に勤務

 まだ食べられる物を次々捨てていくのは本当にストレスだった。残飯として、ご飯にドレッシングを浴びせ、揚げ物が次に来るご飯の食べ残しに埋もれていき、どんどんゲロみたいになっていく。食べられない人もいるのにと思うと素直に心が痛い。

 その他にも、「廃棄する食品を中身が出るまで踏んづけて原型がなくなるぐらいぐちゃぐちゃにしてから廃棄しないといけない」(アルバイト・コンビニ)、「食べ物をバケツに投げ入れるのは普段の生活とかけ離れた作業。仕事の為に「もったいない」と感じる気持ちを押し殺すのはとても辛い」(アルバイト・ホテル)、「犯罪を犯すような罪悪感だった」(アルバイト・コンビニ)などの声が寄せられた。

 食品ロスの問題は、一般的には、「毎年〇トンの廃棄がでています」というような廃棄量ばかりが注目されがちだが、そこには廃棄作業を担っている労働者たちがおり、彼ら彼女らは大きな精神的ストレスを抱えているのだ。

有効な解決方法とは?

 これまでみてきたような「シフト強要」や「買い取り強要」、職場の食品ロスの問題に対して、私たちはどのように対応すべきだろうか。いくつか考えられる対応方法を列挙してみよう。

コンビニ本部へ相談

 「シフト強要」や「買い取り強要」については、コンビニ本部は容認していない。食品ロスについても大手コンビニ各社が問題視している。そのため、まずはコンビニ本部への相談という手段が考えられるだろう。しかし、本記事でも紹介したとおり、クリスマスの労働問題と食品ロスの背景には本部からの加盟店への圧力がある。どこまで誠実に対応してくれるかは未知数だ。

労働基準監督署へ相談

 次に、労働問題を監督する行政機関である労働基準監督署はどうだろうか。労働基準監督署とは、労働基準法違反等の取り締まりや行政指導を行う機関である。「シフト強要」や「買い取り強要」については、罰金などが設定されている場合には労働基準法で一部対応できるが、多くは民事的な問題であり、基本的には労働基準監督署の管轄外となってしまう。また、職場の食品ロスについては労働基準法とは関係ないため、対応できない。

ユニオン(個人加盟の労働組合)へ相談

 シフト問題や買取強要、食品ロスといった職場内の運営に関係する問題の改善を目指すのであれば、ユニオンに相談することが有効であると考えられる。ユニオンが会社に話し合い(団体交渉)を申し込んだ場合、会社は拒否することはできず、誠実に応じなければならない。

 そして、ユニオンが扱えることは職場に関することであれば基本的に何でもOKだ。賃金や労働時間だけでなく、パワハラやセクハラ、仕事の内容についてまで幅広く対応できる。

 例えば、エステ業界で働く労働者による労働組合「エステ・ユニオン」は、設定することじたいは「違法」ではない販売ノルマとその販売ノルマ達成のために生じる自腹買い取りを防ぐためのルール(労働協約)を企業との間に結んだ。また、最近では私学の教員たちによる労働組合「私学教員ユニオン」では、教員の長時間労働を助長させている部活動の顧問を「拒否」できる画期的なルール(労働協約)を学校との間で取り結んだ。

 このように必ずしも「違法」行為ではない事柄に関しても幅広く交渉・解決できるのがユニオンの強みである。「シフト強要」や「買い取り強要」といった労働問題だけでなく、職場の食品ロスを防ぐためのルールの設定や働き方の改善を、ユニオンという手段を活用すれば、食品廃棄作業を担っているパート・アルバイトや社員などの労働者の視点から主張していくことができる。

おわりに

 クリスマスやお正月のアルバイト問題は毎年繰り返されている。食品ロスが叫ばれる中で、私たちの「ライフスタイル」も見直しを迫られているのかもしれない。

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命より大切な仕事ない

高橋まつりさん過労自殺7年 母が手記

「しんぶん赤旗」2022年12月25日

 広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺から7年となる25日、母幸美さん(59)が手記を公表しました。過労死や長時間労働に伴う疾病は増加しているとし、「いのちより大切な仕事はない。経営者は生き生きと健康に働ける環境を整備する義務がある」と強調しました。

 手記は「まつりがいない、静かなクリスマスです」と始まり、生きていたら31歳になっていたとしのびました。「『お母さん大好き』と言って抱きしめてくれたあの温もりを私は決して忘れることはありません」とつづりました。

 長時間労働を防ぐ取り組みを国に求めたほか、過労死で社員が亡くなった企業には原因究明と再発防止を要請。「働いている人はどうかぎりぎりまで我慢しないでSOSを出してください。大切な家族が苦しんでいたとしたら、まつりのことを思い出して全力で守ってください」と訴えました。現在はがんで闘病中ですが、「これから元気になって、誰もが安心して働き、若者たちが希望を持って人生をおくれる国になるよう、まつりと共に力を尽くしていく」と結びました。


 昨日に続き今日もプラス気温に。と言っても数時間プラスになったという意味です。国道は雪もなく乾いています。そんなそんなわけで2駆走行ができました。
江部乙の敷地を眺めるとまた20cmほどの幹の桜の木が根元からぼっきりと折れています。まだ12月です。これからどんな被害が出るのか心配になってきました。スマホ、携帯せず、写真なしです。


2023年度政府予算案

2022年12月24日 | 生活

命守る現場・技術 ないがしろ

「しんぶん赤旗」2022年12月24日

 岸田文雄政権が23日に閣議決定した2023年度の政府予算案は、軍事費2倍化を実現するため、同予算を過去最大の約26%増とする一方、社会保障など国民生活を犠牲にするものとなりました。

科学・技術を軍事動員

防衛省の研究開発費は3.1倍に

 岸田文雄政権が16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」は、「有事と平時」、「軍事と非軍事の分野の境目も曖昧(あいまい)になっている」などという口実で、民生用の最先端科学・技術の軍事動員を強調しました。

 同戦略は「民生用の技術と安全保障用の技術の区別は実際には極めて困難」だとして、「安全保障に活用可能な官民の技術力を向上させ、研究開発等に関する資金及び情報を政府横断的に活用する」と政府一丸の体制づくりを提起しています。

 このもとで防衛省は23年度予算案で、装備技術分野の「研究開発」費を22年度比で3・1倍となる8968億円(契約ベース)を計上。憲法違反の敵基地攻撃能力となる「スタンド・オフ防衛能力」や、「統合防空ミサイル防衛能力」を大幅に強化します。

 民生分野や政府の科学・技術投資で得られた研究の成果を「装備品」や「防衛用途」に取り込むための橋渡し研究を拡充するとして188億円を盛り込み、民生技術の将来的な軍事転用を見込んだ「安全保障技術研究推進制度」に過去最高水準の112億円を計上しています。

 また、国家安全保障戦略は、米国の対中国戦略に日本を巻き込む「経済安全保障」の政策推進をうたいました。政府は大量破壊兵器やミサイルなど軍事に転用可能な次世代半導体の開発・製造拠点を整備する方針。「半導体・デジタル産業戦略」を23年中に改定し、巨額の補助金拠出を狙います。

 政府は、軍事・非軍事の手段を組み合わせた「ハイブリッド戦」を重視しています。サイバー攻撃やSNSを通じたプロパガンダ(宣伝戦略)の「情報戦」で軍事的優位に立つことを目的に市民に対する監視強化を狙います。そのために防衛省の諜報(ちょうほう)機関・情報本部の機能強化を推進。法務省は、23年度予算案で「経済安全保障体制・サイバーセキュリティ対策等」の推進を目的に公安調査庁の「人を通じた情報収集」などの体制強化に32・4億円を計上しました。

コロナ対策など削減

感染症・社会保障抜本強化に背

 23年度予算案の社会保障関係費は22年度比6154億円増で過去最大の36兆8889億円です。しかし、3年近いコロナ禍のもとで「自宅療養」中に相次いだコロナ患者の在宅死や、絶対的な人手不足などで疲弊している医療・介護現場の窮状に正面から応えない不十分な内容です。むしろ社会保障費の抑制に躍起です。

 新型コロナの感染拡大「第8波」の中にもかかわらず、コロナ対策に限っていた予備費はすでに別の使途にも広げ、22年度比で1兆円減らします。22年10月から病床確保に対する補助金の支給要件の厳格化や削減を実施。23年度予算案で看護・介護職員らの賃上げは、「ひとケタ違う」と批判が殺到した22年度と同水準にとどめています。

 自身の感染などで仕事を休んでいる看護職員は全国で9400人超(14日時点)で、人手不足は深刻です。

 逆に、高齢化などで当然増える社会保障費の伸び(自然増)を1500億円も圧縮します。圧縮分は▽医療体制の拡充に充てるルールだった薬の公定価格の引き下げ分で国費約700億円減▽75歳以上の医療費窓口負担に22年10月から導入した2割負担の通年実施に伴う国費約400億円減▽従業員を休ませ休業手当を支払った企業を支援する雇用調整助成金の特例措置の縮小で、国費約300億円減―など負担増・給付削減を充てます。

 生活保護費のうち食費や光熱費に充てる生活扶助を19年の消費水準に合わせて改定したうえで、物価高をふまえ23年10月から1人当たり月1000円だけ特例加算をします。特例加算をしても減額となる世帯は据え置きます。急速な物価高のもと、据え置き世帯の受給額は実質減となります。

 23年1月中旬に確定する公的年金額は、少子高齢化に合わせて支給水準を引き下げる「マクロ経済スライド」が発動されます。少なくとも物価高に応じた2・5%の引き上げが必要ですが、同スライドの影響で67歳以下は2・2%、68歳以上は1・9%の引き上げにとどまり、実質的に削減となります。

 

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マイナンバーカード交付率

上位市町村 交付税増

「しんぶん赤旗」2022年12月24日

 松本剛明総務相は21日の会見で、2023年度の地方交付税の算定根拠に、市町村ごとのマイナンバーカードの交付率を反映させる項目を設けると明らかにしました。本来は自治体が自主判断で使える財源に、国が勝手に政策目標とするカードの普及を絡めるのは、交付税制度の趣旨に反しています。

 国は、交付税の算定根拠となる項目として、23年度からマイナンバーを利活用した取り組みに500億円を計上する方針です。松本氏はこの500億円分について、マイナンバーカードの交付率が高い上位3分の1の市町村へ手厚く配分すると説明しました。

 地方交付税は、すべての自治体が一定の行政サービスを行う財源を保障するために、人口や面積などに基づいて必要な経費を算定し、収入が足りない分を補てんする仕組みです。国は地方に代わって交付税を徴収しているにすぎません。

 カードの交付率で配分に差をつけるのは、制度の趣旨にそぐわないばかりか、任意のはずのカード取得について、国が地方に事実上の圧力をかけ、無用な自治体間競争をあおるものです。

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沖縄振興費さらに削減

一括交付金は過去最低額に

「しんぶん赤旗」2022年12月24日

 政府は23年度予算案で沖縄振興費に2679億円を計上しました。3000億円を10年ぶりに割り込んだ22年度当初予算からさらに5億円削減されました。県が使途を決められる一括交付金は4億円減の759億円になり、一括交付金の制度が創設された12年以来の過去最低を更新しました。

 一括交付金は、22年度に前年比で2割以上削減されるなど、名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する「オール沖縄」の翁長雄志県政が誕生(14年11月)してから減少傾向。民意に応えて翁長知事の遺志を受け継いだ玉城デニー県政への露骨な圧力が続いています。

 沖縄振興費は沖縄振興特別措置法(沖振法)に基づくもので、県民生活に欠かせません。同法は1972年の本土復帰を機に、沖縄戦による県土の破壊や、27年間の米軍による占領支配でインフラ整備が遅れているなどの特殊事情の解消を国が責任をもって支援すると定めています。

 安倍政権下で基地と振興の「リンク」論が公然と語られるようになり、岸田政権でもその傾向が続いています。しかし、一括交付金の減額で、県の河川、港湾、学校などの改修事業が遅れた事例もあります。札束でほおをたたく政府の手法が県民の安全も危険にさらしています。


露骨な「飴と鞭」です。
国民へのさらなる「分断」を持ち込むものです。

もう、こんな政府いやだ~‼

湿った雪でした。
多くの木が折れたり、倒れたり。

鳥の足跡か?

メリークリスマス!
食品ロスに目を!


敵基地攻撃能力に沖縄・石垣市議会が「容認できない」意見書可決 台湾に近い有事の際の最前線で何が起きたのか…

2022年12月23日 | 社会・経済

「東京新聞」2022年12月23日 

 安保関連3文書に盛り込まれた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を巡り、意外な地域から異論が上がった。自公系市長が舵かじを取る沖縄県石垣市だ。注視すべきは市議会の動き。市内で開設予定の陸上自衛隊駐屯地に「反撃能力をもつミサイル配備を容認できない」と訴える意見書を可決したのだ。有事が懸念される台湾に近く、防衛の最前線になりうる石垣市。今回の動きをどう捉えるべきか。(西田直晃、宮畑譲)

◆近隣諸外国を必要以上に刺激する

 「反撃能力の保有は、他国を攻撃する能力を持つことに他ならない。にもかかわらず、16日に閣議決定された安保関連3文書に書き込まれた。軍拡に反対する地元の思いを発信すべきだと考え、腰を上げた」

 そう語ったのは、石垣市議会の野党会派「ゆがふ」の花谷史郎市議。くだんの意見書の提案者だ。

 陸上自衛隊のミサイル基地の配備計画を巡り、市民の賛否が割れてきた石垣市。今年2月の市長選では、自公政権の支援を受ける容認派の現職、中山義隆氏が4選を果たし、玉城デニー知事に近い市議らが推す新人を退けていた。

 それから10カ月。自公政権が閣議決定した反撃能力の保有を巡り、市議会で目を見張る動きに出た。今月19日、異を唱える意見書を可決したのだ。

 この意見書では「(反撃能力の保有に関する)法整備が進むことで、他国の領土を直接攻撃することが可能となり、近隣諸外国を必要以上に刺激する」「有識者からも慎重な議論を求める声があがり、憲法違反の可能性も指摘されている」と記されている。

 花谷市議は「周辺国の受け取り方によっては、攻撃の意思があると見なされる。尖閣諸島の防衛を掲げていたこれまでと異なり、直接的な戦争を引き起こす恐れがある」と懸念する。

 意見書の採決では、議長を除く市議21人のうち、自公系会派の9人が反対(1人は欠席)した一方、野党系の8人、中立の3人の計11人が賛成に回った。複数の市議によると、当初は全会一致を目指して文言を調整していたが、政府方針への反対を示す表現で自公系会派と折り合えなかったという。

◆抑止力と言われても、反撃能力であれば話が違う

 戦禍を避けたい願いが込められたこの意見書。過半数の議員が賛成に回ったのはなぜなのか。

 同市がある石垣島は、有事が懸念される台湾が近く、周辺海域を中国海警局の船が連日のように巡航する。昨年は過去最長となる157日間連続で現れた。

 花谷市議によると、今年8月、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けた中国のミサイル発射を伴う軍事演習で「戦争のリスクを身近に感じる市民が目立ち始めた」という。

 有事に最前線になりかねない石垣島。そんな中、意見書を支持した議員たちは「反撃能力の保有で近隣国を刺激する」と危ぶむ花谷氏の訴えを重く捉えた。

 野党会派「ゆがふ」の内原英聡市議は「米中の軍拡のチキンレースで、意図しない衝突が戦闘に発展し、住民が巻き込まれることが怖い」と語る。「抑止力と言われても、反撃能力であれば話が違う。うそをつくことは沖縄方言で『ゆくしむにー』だが、これでは『抑止むにー』だ」

 別の野党会派に籍を置く長浜信夫市議も、反撃能力を保有すれば抑止力につながるという考え方に懐疑的だ。「われわれは備えと位置付けても、緊張感を高めるだけだ」と主張する。宮良操市議は「南西諸島が軍事要塞ようさい化するのを見過ごせない。政府の説明を早期に求めたい」と語った。

◆「反撃の拠点」は標的の懸念

 石垣市議会で可決された意見書は首相宛てになっているが、岸田政権は反撃能力と称した敵基地攻撃能力の保有を掲げ続ける。防衛関連予算も2027年度には対国内総生産(GDP)比で2%へ倍増させる方針で、戦後の安保政策を大転換し、軍拡にひた走る。

 従前から台湾有事を念頭に南西諸島では自衛隊の配備が進められてきた。石垣市では来年にも陸自の駐屯地が開設される予定で、12式地対艦ミサイル(SSM)の配備が報じられる。

 先の意見書は、この点も神経をとがらせ「危機を呼び込むのではないかと心配の声が尽きない」と記す。これをどう捉えるべきか。

 12式地対艦ミサイルは改良を施し、射程を1000キロ程度に延ばすことが予定されている。具体化すれば、日本から中国沿岸部に届く。そのため、敵基地攻撃能力を担うと想定される。

 敵基地攻撃の拠点となれば、狙われる敵からすれば脅威にほかならない。安全保障問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁氏は「先制攻撃を受けるリスクが高い」と指摘する。つまり、標的になる可能性が高まるということだ。

◆防衛省は住民に「迎撃用であくまで専守防衛のため」と説明

 だからこそ、意見書では「自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力を持つ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認できない」と指弾される。

 その意見書では「政府の裏切り」も疑われる。石垣市の住民説明会で防衛省は「(配備する兵器は)迎撃用であくまで専守防衛のため」と説明したという。敵基地攻撃能力を備えるとなれば随分と話が違う。

 ただ、沖縄国際大の石原昌家名誉教授(平和学)は「駐屯地がつくられることが決まった時点でこうなる可能性はあった。もう大きな歯車は動き出している。今の段階から止めるのは難しい」と悲観的に見通す。

 敵基地攻撃の拠点化の懸念は、石垣に限った話ではない。長射程化が予定される12式地対艦ミサイルは、石垣島のほかに沖縄県うるま市宮古島市、鹿児島県の奄美大島に配備される見通しになっているからだ。

 沖縄県の玉城知事は20日、安保3文書に沖縄の自衛隊部隊の増強が明記されたこともあり、「自衛隊の増強はさらなる基地負担増にほかならない。沖縄だけが日米の安全保障を担えばいいという方向性は正しくない」と述べている。

◆南西諸島以外にも配備「リスク高まる」

 先の布施氏は、12式地対艦ミサイルを運用する陸自の部隊が「台湾有事を念頭に『南西シフト』している。まずは南西諸島で配備を進めるということだろう」と指摘する。

 一方で「現代の戦争は『ミサイル戦争』。軍事的な観点で言えば、ミサイルを発射できる基地、場所は分散しておいたほうがよい」と述べる。南西諸島以外も敵基地攻撃能力を備えた拠点とする案が浮上しており「今後は他国のミサイルの標的となるリスクが高まる地域は増える」とみる。

 他国を攻撃射程に入れた軍拡を進めるほど、拠点がある地域の住民はリスクにさらされかねない。本来なら事前に民意をくむなど、丁寧な合意形成が求められるが、政府はそうしない。敵基地攻撃能力の保有は、閣議決定で決まった。石垣市の例をみても、敵基地攻撃能力を持つ部隊配備が地元の合意なしに進む可能性はある。

 流通経済大の植村秀樹教授(国際政治学)は「政府はロシアのウクライナ侵攻を受けた国民の不安に乗じ、慌てて進めている。予算ありきで何をどうするかといった議論がない。国民はあおられてはいけない。冷静になり、何がどう必要か、国会などでの議論を求めなくてはいけない。このままでは5年、10年後に大きな禍根を残す」と訴える。

◆デスクメモ

 世間を揺るがす出来事が続いたこの1年だが、忘れてならないのが日本復帰50年の沖縄だ。傷を負った地に苦痛を強いる構図は変わらぬまま。政治家たちは現地を訪れ、じかに悲鳴を聞いているか。この問いに向き合うべきは私たちも。うわべの寄り添いほど空虚なものはない。(榊)


こちら荒れた天気にはなっていない。朝から5㎝ほどの雨混じりの雪が降っただけ。

江部乙の家に行き、帰りは温泉に浸かってきた。帰り道に温泉があるというのは結構なことだ。電気風呂がお気に入りなのだ。今低周波で筋肉を鍛える機器も人気なようだが、それと同じ原理ではないだろうか?長く浸かっていると、翌日筋肉痛になる。源泉のぬるいお湯、加温した高温湯、普通の湯、ジェット風呂、サウナ風呂と、狭いながらも楽しめる。


【寄稿】「前川喜平さんをNHK次期会長に!」の意味(永田浩三)

2022年12月22日 | 社会・経済

Byマガジン9編集部

 
 

 今年10月、公共放送であるNHKの次期会長人選をめぐり、ある署名運動が立ち上がりました。「前川喜平さんを次期NHK会長に!」。現会長の任期が2023年1月で満了となるのに伴い、元文部科学省官僚の前川喜平さんにNHK会長になってもらおう──と集まった市民による呼びかけでした。そこには、どんな思いが込められていたのか。運動の中心となった市民グループ「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」のメンバーで、元NHKプロデューサーの永田浩三さんにご寄稿をいただきました。

「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」

 2023年1月に新しいNHK会長が決まります。3年に一度の改選があるのです。
 第1次安倍政権以降、政権の意向を色濃く反映したNHK会長が選出されてきました。中でも、2014年から17年まで会長を務めた籾井勝人という人は、会長就任当日の記者会見で、「政府が右と言うものを左と言うわけにいかない」と発言し、厳しい批判を浴びました。時の政権に忖度したニュースや世論調査、社会の関心事に応えようとしない「日曜討論」や「NHKスペシャル」といった番組が日常化する中、次期会長がこれまでの悪弊を引き継ぎ、市民の宝である公共放送をこれ以上毀損することは許されません。
 そこで、私たち「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、メディアのありようを問う市民団体、NHKのOBとOG、NHKの現役職員有志、メディア研究者、メディア関係者の思いを結集し、次期会長候補として、元文部科学事務次官で現代教育行政研究会代表の前川喜平さんを推薦しました。

前川喜平さん

 放送法によれば、NHK会長は経営委員会によってのみ選ばれ、私たち市民が直接選ぶ仕組みにはなっていません。ですからルール上は私たちに会長を直接選ぶ権利はないのですが、「こんな人にリーダーになってもらいたい!」「そのリーダーのもとで現在のNHKの病弊から訣別してほしい」と訴えることには大きな意味があり、公共放送が再び息を吹き返すために多くの人びとと理念を共有し、働きかけることはできると私たちは考えたのでした。
 「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」が立ち上がったのは、今年10月初めのことです。元NHK経営委員で、国立音楽大学名誉教授の小林緑さん、元日本テレビの社会部長で日本ジャーナリスト会議運営委員の河野慎二さん、NHKとメディアの今を考える会共同代表の丹原美穂さんの3人が共同代表を務め、私もその会の立ち上げメンバーに加わりました。今回大事な機会をいただきましたので、私のNHKでの体験やその後の人生も含めて書かせていただこうと思います。

「頭を下げ続ける」ことから始まったNHK人生

 すこし昔の話をさせてください。私がNHKに入局したのは、1977年のこと。前年にNHKの小野吉郎会長(当時)が、ロッキード事件の被告だった田中角栄氏の目白の私邸を公用車で訪問。家の前で待ち構えていた記者たちにとり囲まれました。小野会長は元郵政事務次官。かつて郵政大臣だった田中氏の子分のような存在で、刑事事件の当事者になった「親分」のご機嫌伺いに行ったのでした。世の中は大騒ぎ。NHKの組合が立ち上がり、わずか一か月で、130万筆もの署名を集め、小野氏の代わりに初めてのNHK生え抜きの会長を誕生させたのでした。新たに会長に選ばれたのは、朝ドラの生みの親であった坂本朝一氏。私は坂本会長から、入局の辞令をもらったのでした。
 当時のNHKは世間の指弾を受け、受信料不払いの嵐でした。新人ディレクターとして京都放送局に赴任しましたが、取材に伺うとまずお叱りを受け、おわびをしてから話を聞かせていただくことが当たり前でした。中継現場でNHKの中継車の横でお弁当を食べていると、「あっ、あいつら受信料で飯を食べている!」と指を差されたこともあります。居酒屋でNHK職員であることが発覚するとからまれ、酔いつぶれて夜の街で泣きました。一方、地域のさまざまな組合と連携をはかり、「組合員として放送を変えよう地域会議」という組織を立ち上げ、改革プランをつくったこともあります。世の中の声を聴き、公共放送のありようを考える日々でした。頭を下げ続けることからNHKでの人生が始まったことは幸運だったかもしれません。
 その後、教養・ドキュメンタリーの世界で仕事をし、「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代」を制作するプロデューサーを長く務めました。

NHKの現役職員からも声が集まった

 2001年1月のことです。日本軍「慰安婦」問題を取り上げた「ETV2001」が、放送直前に安倍晋三氏ら与党の政治家の介入によって、番組の内容が大きく改変されるという事件が起きました。私はその番組の編集長。政治家の意向を汲んだNHK幹部の指示に抗いはしたものの、制作にあたったプロダクションの仲間を守ることができず、番組はズタズタになりました(そのときの私の見苦しいふるまいについては、以前、このマガジン9の場でお話ししたことがあります)。そのとき、私たち制作陣は、こんなひどいことが起きています、みなさん助けてくださいと、いっしょに闘いましょうと、世の中に向けてSOSを出すことができませんでした。大きな後悔があります。

 しかし、今回の「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、私の時代とは違います。匿名ではありますが、現役のNHK職員の多くが声をあげ、このままではいけないと、市民とともに歩むことを何より大切に考える会長が選ばれるよういっしょに活動してくれるようになったのです。これはほんとうに久しぶりのことです。

 籾井会長の時代、もうこんな時代はこりごりだということで、NHKのOBたちが声を上げ、学者の会で、元日本学術会議会長で法学者の広渡清吾さん、作家の落合恵子さん、元NHK放送文化研究所研究員で東京学芸大学学長だった村松泰子さんに、会長候補になっていただいたことがあります。しかし、今回はOBだけでなくより広範な運動の輪が広がりました。 「こんなNHKに変えていきたい」という、現役職員の声の一部を紹介しましょう。

・政権に忖度しない、毅然としたNHK
・少数者、困った人々に寄り添うNHK
・視聴率に左右されない多様で魅力的な番組を送り届けるNHK
・過去の映像・音声資産をできるかぎり公開・活用するNHK
・ベテランの経験・知識が活かせるNHK
・「情勢」ではなく「政策」の選挙報道をするNHK
・職員がモノが言える、内部的自由が保障されたNHK

 どれも当たり前のことです。私などがニュースを見て憤慨する以上に、現場の記者やディレクターたちは、日々切ない思いの中で、闘っていることを改めて実感します。

〈政府が「右」と言っても、右を向くとは限らない〉NHKへ

 なぜ会長候補が前川喜平さんなのか、少し説明させてください。2017年、森友学園問題と加計学園問題が発覚したとき、前川さんが告発のための記者会見を行い、安倍首相ら政権の嘘を暴きました。官僚のトップに上り詰めた官僚が政府の不正を告発するという、日本の行政の歴史の中で特筆すべき事件でした。
 さらに、前川さんは一市民となった後、日本のジャーナリズムのありようを問い、教育の機会に恵まれなかった夜間中学の生徒に学ぶことの素晴らしさを教えるボランティアを続けておられます。私は5年前、千葉県松戸市の自主夜間中学校を取材したことがありますが、そこにも前川さんの存在がありました。
 
 NHKがやるべきことは、政権の顔色をうかがうのではなく、真実を伝え、社会の課題を議論するプラットフォームとなり、豊かな文化を放送を通じて日常的に市民に届けることです。それは前川さんが長く身を置いた文部科学省の柱の一つである社会教育や生涯学習、学校を離れて教育や教養をあまねく普及させることとも重なります。
 政権からの不当な圧力に屈せず公僕としての職責を果たす。これは放送法にうたわれた公正中立や、真実を追求し健全な民主主義のために資するジャーナリストの精神と共通するものです。

 前川さんにNHKの次期会長候補になっていただきたいと打診をしたのは10月11日。返ってきた返事は、「お受けします」というものでした。「市民とともに歩みNHK会長を求める会」は勇気百倍。一気に弾みがつきました。前川さんを次期NHK会長にという署名運動がスタートし、それは現在も続いています。12月15日の段階で、紙の署名とネット署名を合計して45000筆を超えました。それをNHK経営委員会に提出しました。

 11月4日、衆議院第2議員会館で開かれた「市民とともに歩みNHK会長を求める会」の記者会見での前川喜平さんのお話は注目を集めました。そこでの前川さんは背筋が伸びているだけでなく言葉がユーモアに満ちており、会場には何度も笑いの輪が広がりました。前川さんのお話の全文を紹介します。

 このたびは、市民の皆さんから「NHKの会長に」とご推薦をいただきまして、身に余る光栄と思い、お受けした次第でございます。
 NHKの会長に就任いたしました暁には、その「暁」があるかどうかはわかりませんが、会長に就任したとすれば、私は、「憲法」と「放送法」にのっとり、それを遵守して、市民とともにあるNHK、そして不偏不党で、真実のみを重視する、そういうNHKのあり方を追求してまいりたいと思います。
 そのためには、番組の編集、あるいは報道にあたって、「完全な自由」が保証されなきゃいけない。その自由こそがほんとうに真実を追求することにもなるし、「不偏不党」も、その自由の中でしか実現しないと思っております。これは教育行政にもいえることですけれども、政治的中立性は大事なんですが、「政治的中立性」というのはですね、上から求める政治的中立性は、必ずこれは、権力に奉仕する結果になります。上から「政治的中立性」を求めてはいけないんです。これは現場の一人ひとりの心の中にだけ、なければいけない。それは、現場が自由であるということが最も大事だったわけですね。
 これは、いかなる分野であれ、「報道」とか、「教育」とか、「文化」とか、表現に関わる仕事をする、そういう分野では、どの分野にでも言えることだと思います。
 はっきり言えば、「経営が余計なことしない」ということが、いちばん大事なことであってですね。これは、「文部科学省が余計なことしなければ、教育は良くなる」ってこととも同じなんですよ。
 まあそういう意味で私は、「余計なことはしない会長」になりたい。政府が「右」と言っても、右を向くとは限らない。政府が「左」と言っても、左を向くとは限らない。政府が「止まれ」と言っても、止まるとは限らない。政府が「行け」と言っても、行くとは限らない。そういうふうに要するに、政府の言いなりには絶対にならない、そういう公共放送、それこそがほんとうの公共であってですね。お上(かみ)に従うことが「公共」ではないんだ、そういうほんとうの意味での公共というものを追求するということにしていきたい、と思っております。
 「放送番組編集の自由」というのは、これは放送法の3条にしっかりと書いてあるわけでありましてですね。番組、編集の自由というものは100%保証しなければならないと思っておりますが、会長になった暁には、まあその暁があるかどうかわかりません。会長になった暁には1つだけ提案したいと思っているものがございます。それはこの四半世紀ぐらいの間の、NHKのあり方を検証する番組を作ってほしい。これはぜひ、その現場の人たちに頑張っていただいて、そういう番組を作るということですね。これは命令でなくて「お願い」、提案をしてみたいなと、そんなふうに思っております。以上です。

 鮮やかでした。なかでも〈政府が「右」と言っても、右を向くとは限らない。政府が「左」と言っても、左を向くとは限らない。政府が「止まれ」と言っても、止まるとは限らない。政府が「行け」と言っても、行くとは限らない〉というくだりは、永遠に記憶に残る名文句だと思います。

記者会見での様子

公共放送・公共メディアを市民の手に取り戻すために

 そして12月1日。今度は衆議院第1議員会館の多目的ホールで、前川さん、ジャーナリストの金平茂紀さん、法政大学教授で国会パブリックビューイング代表の上西充子さんの3人のパネリスト、元NHK放送文化研究所研究員で次世代メディア研究所代表の鈴木祐司さんの報告による、公共放送のありようを考えるシンポジウムを、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」の主催で開きました。ネット中継も行いました。

 そこで前川さんは、かつて加計学園問題が発覚した際、NHKの社会部記者はどこよりも早く1時間にわたる前川さんの単独インタビューを撮影し、文部科学省のなかでの部下たちの裏トリを行っていたにもかかわらず、そのスクープ映像は今日までお蔵入りしたままであることを明らかにしました。
 上西さんは、働き方改革法案を取り上げたNHKの番組「クローズアップ現代」について言及されました。放送日はすでに委員会で採決され、衆議院本会議で採決される前日。もはや帰趨が明らかななかで、ここが問題だと問うことがどれほど異常なことかを指摘されました。まさに「あとの祭り」放送局の面目躍如? といったところです。
 そして、金平さんは、NHKのETVやBSの番組のなかに優れた番組が多くあることに言及しつつ、「社会共通資本・コモンとしてのNHKであるべき」と語りました。
 さらに、鈴木さんの報告によれば、英国のBBCはすでに公共放送ではなく、インターネットという伝送路を中心とした公共メディアとしてのスタートを切っています。日本でも、「NHKニュースを当てにしない」という視聴者の層は高齢者にも拡大しており、安倍・菅時代の「首相記者会見垂れ流し」というNHKニュースは、もはや通用しないことを明らかにしました。

 NHKはこれからどこへ向かおうとしているのか。公共放送・公共メディアを市民の手に取り戻すために、政権にとって都合のよい人間を密室の中で決めるのではなく、広く叡智を集め、よりよいひとをリーダーにしていきたいという私たちの運動は、前川喜平さんというシンボルとともに船出をしました。

またしても「ブラックボックス」の選考、そして……

 12月5日、NHK経営委員会は、1月からのNHK次期会長に日本銀行元理事でリコー取締役を務めた稲葉延雄氏を選びました。読売新聞の報道などによって、その選考過程が徐々に明らかになってきています。それによれば、いったん丸紅の社長だった人が選ばれそうになったものの、前田晃伸現会長に近いということで政権周辺が難色を示し、岸田首相の意向を受けて、稲葉氏に急遽決まったとされていますが、真偽のほどはわかりません。菅氏の動きがあったことも想像されますが、体調不良で動けなかったという話もあり、こちらも真偽のほどは不明です。今回も選考の過程がブラックボックスだっただけでなく、官邸によって決められたとすれば、ゆゆしきことです。この結果、6人連続で財界出身者がNHK会長におさまることになります。
 
 こうした動きに対して、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、抗議をするとともに、選考過程について明らかにするよう、NHK経営委員会に公開質問状を提出しました。45000人を超える署名を無視することは、視聴者とともに歩むというNHKの存立基盤を否定することと同じです。

 これまでの専守防衛を改め、敵基地攻撃能力の保有に踏み出し、アメリカの中古兵器を爆買いし、防衛予算を倍増し、大増税に踏みきろうとする岸田政権。このような歴史的大転換を閣議決定だけで決めてしまってよいものでしょうか。NHKニュースは現状を追認するだけでなく、政権のお先棒をかつぎ、NHKスペシャルは議論のテーブルさえ設定しません。NHKが病んだままだと、その被害は視聴者・市民、未来の世代に及びます。まっとうな公共放送、自由で独立したNHKをみんなでつくろう。私たちはまだ歩み始めたばかりです。どうかご支援ください。

 最後に、12月20日、NHK西口の前で、私はドイツ文学翻訳家の池田香代子さんたちともに、NHKの経営委員会、そして現役職員に向けて街宣車の上から、「ともにつくろう! 自由で独立したNHKを!」と訴えました。NHKの前のイチョウの木は黄金色に輝き、寒波のはざまの陽気のなかで、桜の木はきっと春には満開の花を咲かせる予感がしました。そのときの原稿をご覧ください。

永田浩三と申します。
 この西口。道を渡って見えるあの桜の木を見るたびに、毎年のように4月からの新年度番組のスタートに当たってもがき、のたうち回っていたころを思い出します。
 みなさんたちが、番組やニュースで、日々どのように格闘しているか、だれよりも知っているつもりです。「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」が生まれ、前川喜平さんを次のNHK会長にという運動を始めたのは、今年10月のことです。署名はネットでも紙でも増え続け、きのうで46000筆を超えました。

 みなさんたちは、前川さんが声をあげてくれたこと、45000筆の署名が集まったことをどう受け止めますか。意味がない、いい迷惑だと思う人がいるかもしれません。私も、むかしならそう思ったかもしれません。放送現場の大変さなんて、自分たちにしかわからない。好き勝手にNHKのことを批判しているのだと。しかし、それは大間違いです。それは違うと私はある出来事をきっかけに気がつきました。

 22年前の「ETV2001」番組改変事件です。アジア太平洋戦争中、日本軍「慰安婦」にさせられ被害に遭った女性たちの人権の回復をテーマにした番組が放送直前に、大きく変わりました。番組の改変には先日亡くなった安倍晋三元総理も関わっていたといわれますが、真相はわからないことだらけです。私はその時のプロデューサー、編集長でした。
 放送のなかで証言が紹介されるはずだった女性たち、もと日本軍兵士、制作にあたったプロダクション、NHKのスタッフ、たくさんの人たちの人生が大きく変わりました。責任は私にもあります。悔やんでも時間は戻ってきません。

 当時、私はプロデューサーとして孤独のなかにありました。
 いま思うんです。なぜあのとき、こんなひどいことが起きています。どうか助けてくださいと声を上げなかったのかと。しかし、わたしはそれができませんでした。
 だれもわかってなどくれないと、口を閉ざしていたのです。
 でもそれは間違いでした。助けを求めるべきでした。
 世の中は、政権与党の政治家、NHKの幹部たちよりはるかにまっとうです。
 理不尽なことは理不尽なこと。声をあげるべきなのです。

 NHKが安倍チャンネルと揶揄されて、どれぐらいたつでしょう。
 NHKニュースは政権のお先棒かつぎ。NHKじゃなくて、犬HK.
 こんなことを言われて悔しくありませんか。
 私は悔しい。もだえるほど悔しい。ですが言われて当然なぐらいひどい。
 私が悔しいのは、まともなNHKがいっぱいあることを知っているからです。やればできる、公共のためにいい仕事をしたいひとがいっぱいいるから、悔しいのです。

 今回の敵基地攻撃能力、防衛費倍増という岸田政権の強引な方針。しかし、それでよいのか、どうすればよいのかという視点でニュースはまったくつくられていません。戦後最大の憲法の危機とも言われますが、NHKは、いつものように、すべてが決まってしまってから、これでよいのかと言い出すのです。あとの祭り放送局。
 世の中はちゃんと見ています。NHKの人は取材を通じて本当のことを知っているのに、政権にとって不利なことは伝えないと。その方がNHKという組織の延命につながり、政権と癒着したNHKの偉い人にとっても都合がいいのではないかと。

 前川喜平さんが語っています。加計学園問題に、どこよりも早く肉薄し、前川さんへの独自インタビューを撮影したのはNHK社会部でした。しかし、そのスクープは5年たった今も、お蔵入りのままです。それでいいのですか。現場の記者たちの切なさ、悔しさ。そんなことでほんとうにいいのですか。

 今回決まったとされる次期会長は、元日銀の理事。その陰にあったとされる菅さんと岸田さんとの間の暗闘。そして、実験を握るのは副会長なのだそうです。まるで「鎌倉殿の13人」を地で行く感じです。またも政権の意向がNHKの会長選びに色濃く反映されました。
 そしてNHKの経営委員会は、押し付けられた案を全会一致で賛成しました。まじめな議論もないままに、原案を追認して、年収500万。お金のことをあまり言いたくないですが、高い給料にふさわしい仕事をしているとは思えません。経営委員会はNHKの最高意思決定機関。それが機能しないことは、視聴者への背信行為です。こんなことを繰り返していては、NHKはますます信頼を失い、壊れて、なくなってしまいます。

 あのスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんは言います。これは地球温暖化対策に向けての言葉ですが、私にはNHKに向けて発せられた言葉のように見えます。

 私たちにはまだ問題を修復する可能性がある。
 望みさえすれば、不可能はなにもない。
 一人ひとりの行動が、大きな運動になる。
 私たちは私たちで自分にできることをしなければならない。
 だれでも大歓迎。どんなひとも必要だ。
 口から口へ、街から街へ。
 集中しよう。行動しよう。波紋を起こそう。

 NHKを変えましょう。みんなでいっしょに変えましょう。
 自由で独立したNHKに。今ならまだ間に合います。壊れてしまうまえに。


永田浩三(ながたこうぞう)1954年生。東北大学卒業。武蔵大学社会学部教授。NHKでドキュメンタリー・教養番組を制作。著書『ヒロシマを伝える』『奄美の奇跡』『NHKと政治権力』『ベンシャーンを追いかけて』など。編著書に『フェイクと憎悪』。『命かじり』『闇に消されてなるものか』のドキュメンタリー映画の監督も務める。表現の不自由展委員、高木仁三郎市民科学基金理事、江古田映画祭実行委員会代表。現在、新著『原爆と俳句』を執筆中(来年夏以降刊行予定)。

 


 久しぶりの太陽でした。でも、1時間くらいで消えてしまいました。今夜からまた大荒れの天気だそうです。


冬至カボチャ。
カボチャはよく食べていますし、ポタージュにしたりと。今回はぜんざい風に。


雨宮処凛がゆく!「餓4・孤独4も人ごととは思えない」「自satuするしかない」「睡眠薬を飲んで寒い公園で4ぬことを考える」〜民間のボランティアに丸投げせず、国は責任を果たして

2022年12月21日 | 生活
 せっかく「アピールチャンス」が来たのに逃してしまった。「禁止語彙」満載だった。
 
マガジン9 (maga9.jp)
 

 「80代男性。夫婦で年金生活。物価高、医療費負担増で生活が苦しい」

 「50代男性。単身。4にたい。睡眠薬を飲んで寒い公園で4ぬことを考える。コロナでタクシー運転手の収入が半減し、今は17万しかなく、10万の住宅ローンを支払うと生活が厳しい。物価も高騰し、1日1食で、毎日豆腐とうどんしか食べていない」

 「70代女性。単身。年金が月13万円、タクシー運転手の給与が月9万円だった。昨年、コロナ打撃を受け、会社が倒産した。住宅ローンもあり、年金だけではやっていけず、特例貸付を110万円借りた。来年1月から償還が始まるが、返したくても返せない。仕事も失い、生きる目標・希望もなく、明日4んでもいい気持ちだし、餓4・孤独4も人ごとと思えない」

 「80代男性。前立腺がん。年金生活。週に一回だけ買い物をしている。自分で食べたいものも買えない。電気代もずっと上がっている。自satuするしかないという気持ち」

 「70代女性。年金6万円。光熱水費が高くて生活できない」

 これらの言葉は、10月22日に開催された「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」に寄せられたものだ。

 全国で弁護士などが無料で電話を受けるこの相談会は、コロナ禍すぐの2020年4月に始まり、これまで隔月で開催されてきた。10月の相談は実に16回目。

 私もこの相談会で相談員をつとめてきたのだが(ここ数回は予定が合わず参加できていないが)、10月22日、この相談会で受けた相談件数は774件。この日は高齢者からの相談が多く、70代以上が45.2%と過去最多。また無職率も過去最多で68%になった。それだけ仕事を失う人が増えているということだ。

 電話相談には、生活保護を利用する人々からの悲鳴も寄せられた。13年からの生活保護基準引き下げにより利用者たちは生活苦に喘いできたのだが、そこを今、物価高が直撃しているのである。

 「60代男性。生活保護を受給中。今日で5日間、食事ができていない」

 「相次ぐ保護費の引き下げと物価高で生活していけない。これ以上どこを削ればいいのか」

 「70代男性。三食食べられない。毎日風呂に入れない」

 「60代女性。電気が使えない。100均の懐中電灯を使っている。弁当を半分ずつ食べている」

 「60代女性。単身。生活保護利用中。物価高騰で例えばコロッケが50円から100円に値上げ。トイレットペーパー、ティッシュなどの紙製品、パン類、麺類など幅広い品物が値上げされ、生活保護費だけでやっていくのが以前にも増して厳しい。電気・ガスも値上げ」

 また、生活保護の水際作戦にあったという事例も寄せられた。

 「60代女性。2人世帯。夫婦合わせて年金が月額11万円だけで、物価高もあり生活が苦しい。区役所に行ったら、怒られて追い返された」

 「60代男性。単身。行くところがないので火事になった自宅で生活。火元が風呂だったので風呂に入れない。精神障害があり障害年金月7万円で生活しているが、物価高騰で生活に困り社協の食料支援を受けている。福祉に相談したら持ち家だと生活保護は受けられないと言われた」

 「80代男性。がん治療中。治療費がかさむ。市役所にも相談に行ったがあてにならず、就労支援を勧められた。物価が上がり生活できない」

 80代のがん治療中の男性に生活保護ではなく就労支援を勧めるとは一体どういうことなのだろう。非道、という言葉が浮かぶのは私だけではないはずだ。また、持ち家があると生活保護は受けられないと断られた人の話もあるが、持ち家は二千数百万円くらいの資産価値であれば、そのままそこに住みながら生活保護を利用することができる。

 さて、ここまで紹介したように、今回の相談では高齢者からの悲鳴が多く聞かれたが、そんな高齢者をいじめるような事態が進行していることをご存知だろうか。今年10月から、一定の所得がある75歳以上の医療費の自己負担が1割から2割になったのだ。

 また、前回の原稿でも75歳以上の生活保護基準引き下げが懸念されることに触れたが、その理由をざっくり言うと、「生活保護を受けていない高齢者はもっと貧しいじゃないか」というもの。

 が、その根拠となるサンプルはごく少数。また、高齢者の中には上に書いたように水際作戦によって生活保護から排除されている人もいれば、「生活保護だけは受けたくない」と強い忌避感を持つ人もいる。そこと比較して保護基準を引き下げるなんてことは絶対にあってはならないことだが、12月15日、生活保護引き下げは当面見送りという報道が出て、ひとまず胸を撫で下ろした。

 ちなみに生活保護を利用する人における高齢者の割合は高く、半数以上が65歳以上の高齢者。厚生労働省の「被保護者調査」(2019年)によると、「高齢者世帯」は55.6%。とにかく社会保障費を削りたい政権にとって、保護世帯の半数を占める高齢者の保護基準引き下げは「手っ取り早く削れる部分」なのだろう。が、それによって一人ひとりの生活は今以上に破壊される。なぜ、そこをしっかり見ようとしないのか。もう見捨てているとしか思えない。

 また、「働けるのに怠けている」などの批判を浴びやすい生活保護だが、「高齢者世帯」55.6%についで多いのが「障害者・傷病者世帯」で25.3%。実に高齢者と病気や障害で働けない人で80.9%を占めるのだ。

 さて、電話相談では2年半以上にわたって人々の悲鳴を受け止めてきたわけだが、今年6月、20年4月から22年4月までの2年間・13回分の電話相談を報告する院内集会が開催された。

 そこで発表されたデータによると、13回までの相談総数は1万2936件。男性は56%、女性は43.2%。世代別で見ると、もっとも多いのは50代で27.3%。

 正規・非正規の割合を見ると、約7割が非正規。また、時系列で辿ると2年かけて無職者の割合がじわじわと増えているのがわかる。20年6月には25.1%だったのが、1年後には47.8%となり、22年4月には54.6%にまで増えている。コロナによって仕事を失い、それが長期化しているという相談も増えている。

 相談者の月収はどうなっているのかというと、13回の平均で「10万円以下」が65.9%。「10〜20万円」が24.2%。厳しい状況が伝わってくる。

 一方、所持金は、平均で1万円以下が36.3%。コロナ禍初期の20年6月では1万円以下の人は18.5%だったものの、22年4月では43.6%に増えている。

 残金は減っている一方、増えているのは「借金・滞納」だ。

 「貧困研究会」の後藤広史氏(立教大学教授)は3〜12回の電話相談の5592件を分析しているのだが、それによると、借金や滞納が「あり」と回答したのは17.2%。

 そのうちもっとも多いのは「借金」で314人。ついで「その他」で170人。これはカードローンや奨学金が多いという。次に多いのは「住宅ローン」で165人。その次は「家賃」で151人。そこから「公的保険料(医療・年金)」119人、「公共料金」110人、「税」103人と続く。

 また、コロナ禍2年目から増えたのは、自身や家族が感染したことによる困窮の相談だ。

 「感染で仕事を休んだことでクビになった」「濃厚接触者となって自宅待機を命じられたがなんの保証もない」「高齢の夫がコロナで死亡し、生活が苦しい」など。

 電話相談ではないが、第5波以降増えているのは、路上からSOSメールをくれた人が発熱していたケースだ。住まいも住民票も保険証もない人の陽性が疑われた場合、速やかに病院や療養ホテルに入れる仕組みが必要なわけだが、第8波だというのにこれもいまだに確立していない。

 さて、このように、民間には困窮者の悲鳴が多く届き、そのデータもある。電話相談の実行委員会はこのデータをもとに政策提言もしている。

 また、私もコロナ禍での政府交渉にこれまで5回ほど参加し、実態を訴えてきた。そのたびに主張するのは、「実態調査をすることの必要性」だ。実情を把握していなければ、政策など打ち出せない。が、それができているとは到底言えない状態だ。だからこそこういった民間のデータを活用し、使い勝手のよい支援策を打ち出してほしいのだが、政治の目が向けられているのは「旅行支援」など余裕がある層への優遇策ばかりで、困窮者の存在を忘れているようにすら感じる。

 ちなみに、来月からはある制度を利用した困窮者にとって一層厳しい状況が訪れる。

 それは国の特例貸付。この返済が23年1月から始まるのだ。コロナ禍で多くの人が利用した特例貸付は緊急小口資金や総合支援資金という名前。最大で200万円が貸し付けられたのだが、そのツケがとうとう回ってくるというわけだ。

 この制度には、「貧しい人に借金させるのか」「コロナ禍での国のメインの困窮者支援策が給付ではなく貸付とは何事か」と批判も多かったのだが、貸付総数は約335万件で総額は1兆4268億円。住民税非課税世帯などは返済が免除されるが、すでに10月の時点で免除申請は貸付を受けた人の3割以上にのぼっている。また、自己破産も7500件以上確認されている。返済免除の対象はもっともっと拡大されるべきだろう。

 さて、今回は電話相談に寄せられた声について書いてきたが、3年近くにわたって困窮者の悲鳴を受けとめてきた「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」は12月17日の相談会をもって終わりとなった。

 よく3年近くも、全員がボランティアという形で続いてきたと思う。しかも電話相談をするたびに毎回40〜50万円の経費がかかってきたのだ。

 隔月での開催はなくなるが、各地域での取り組みは続くし、今後も全国一斉の電話相談が開催される可能性はある。しかし、このような形では一区切りとなったのだ。

 ということで、コロナ禍3回目の年の瀬、民間がボランティアでやってきた支援が終わったり、規模が縮小したりするケースが相次いでいる。

 今年の年末年始は、昨年や一昨年ほどには相談会などは開催されないという情報も耳にしている。コロナ禍の3年近く、ずっと「野戦病院」状態で続いてきた民間の支援だが、ここに来てボランティアで活動を続けるのも限界になっている団体や支援者が増えている。

 というか、そもそも本来であれば公助がやるべきことなのだ。しかし、あまりにも支援が遅く乏しいので、これまで民間が身銭を切るような形で自身の生活を犠牲にして活動してきた。

 しかし、こんなことは当たり前だが続かない。

 国はそろそろ、公助に本気を出してほしい。そうでなきゃ、多くの命が失われてしまう。ボランティアが息切れしつつある今、まさに国の姿勢が問われている。


 今日も日差しはなく、どんよりとした日であったが雪は小降りになってきた。スマホで写真を撮ってみたが、なんとかカラー写真であることがわかる。我が家は「豪雪」地帯なのだが、今年は江部乙のほうがダントツに多い。

江部乙雪模様


少子化対策 財源確保を怠る不誠実

2022年12月19日 | 生活

「東京新聞」社説 2022年12月19日 

 政府の全世代型社会保障構築会議が岸田文雄首相に報告書を提出した。少子化対策を最重要課題と位置付け、改革の方向性や工程を整理したものだが、財源確保には踏み込んでいない。
 防衛費「倍増」や増税は性急に決めながら、少子化対策では財源確保を放置するとは、政権としてあまりにも不誠実ではないか。
 社会保障制度の大きな改革は二〇一二年に関連法が成立した「社会保障と税の一体改革」だ。団塊世代が七十五歳以上となり医療や介護のニーズが高まる二五年に向けた制度の整備が目的だった。
 今回の改革論議は、高齢者数がピークを迎える四〇年に向けて制度を整える狙いがあるが、消費税を財源とした一体改革とは異なり、当てにできる財源がない。
 四〇年には少子化がさらに進むと懸念されており、社会保障制度を支えるためにも少子化対策は先送りできない喫緊の課題だ。
 有識者でつくる社会保障構築会議は、政府の少子化対策が効果を上げていない反省を踏まえ、政府全体で取り組む対策の提案を目指してきた。報告書には、これまで支援が手薄だった個人事業主や非正規労働者にも目配りした支援策の拡充案が並んでいる。
 こうした政策の実現には兆円単位の財源が必要になるが、報告書は「社会全体で連帯し、広く負担し支える仕組みの検討」にとどまり、具体論を先送りした。
 岸田政権は防衛、GX(グリーントランスフォーメーション)、少子化対策を三大重要課題と位置付けてきたが、少子化対策の冷遇ぶりは、首相が予算額や増税まで指示した防衛費とは対照的だ。
 防衛力増強のための増税が優先されれば、たとえ少子化対策だとしても、これ以上国民に負担を強いることは難しくなる。それどころか防衛費捻出のために社会保障費が削られる懸念すらある。
 「子ども予算倍増」は首相自身が打ち出したものだが、財源確保に本気で取り組まなければ、実現は疑わしい。少子化対策は「未来への投資」でもある。それを怠れば、防衛力をいくら増強しても守るべき国自体が衰退してしまう

「こども家庭庁」(3) 泉房穂・明石市長(1.5h長くてごめん。講演1h質疑0.5hです)

 


  堤 未果   今ニッポンで起こっている≪食の安全を脅かす新たな危機≫

2022年12月18日 | 食・レシピ

 “人工肉”は本当に夢のテクノロジーなのか? 

文春オンライン2022.12.17

    堤 未果        source : ライフスタイル出版

 気候変動問題、ウクライナ侵攻による食料危機を背景に、食をめぐる世界市場では今なにが起きているのか? 急速に進むフードテックの裏側を描いた新著『ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?』が話題の国際ジャーナリストが語る、“食の文明史的危機”とは?

――今後、フードテックの世界市場規模は700兆円を超えるとも言われていますが、アメリカの代替肉大手ビヨンド・ミートがついに日本にも上陸しました。

 近年、「気候変動」と「食料不足」を一気に解決する“夢のテクノロジー”として、人工肉が大きな注目を浴びています。牛のゲップによる環境破壊も減らせるし、大量の飼料と水を消費する畜産よりもコスパがよく、動物性タンパク質じゃないから健康にもいいと。

 植物性の代替肉自体は以前からあり、アメリカで私も食べたことがありますが、パサパサした食感で肉の味とは程遠かった。ところが、インポッシブル・フーズ社が遺伝子工学を使って開発した肉汁したたる人工肉はかなり肉の食感に近くて驚きました。

――ベジタリアンや環境意識の高い世代にも熱烈に歓迎されていますね。

 一方で、インポッシブル・バーガーは原材料に遺伝子組み換え(GM)大豆が使われていることや、グリホサート系残留物が検出されたこと等をめぐり、アメリカでは市民団体から訴訟も起きている。当局の拙速な「安全認可」が疑問視される中でも、市場のスピードはそれを上回り、すでに去年から全米500ヶ所の学校給食メニューに取り入れられています。

 ビヨンド・ミートのようにGM作物を使用していない人工肉もありますが、いずれにせよ乳化剤や結合剤のような添加物や保存料の多い「超加工食品」です。

「超加工食品」に安全上の問題点はないのだろうか?

――安全性の検証が拙速な感は否めませんね。

 はい。ですが巨大資本がマネーゲームを繰り広げるこの分野の勢いは、とどまるところを知りません。豆さえ使わず直接細胞からつくる「培養肉」もホットな市場で、シンガポールですでに培養鶏肉の提供を始めた米イート・ジャスト社は、世界最大規模のバイオリアクター建設計画を進めています。

 1基につき4億5000万ドルもかかる莫大な建設費、電力消費の大きさ、動物細胞の培養液の感染リスクなど問題は山積みですが、各国政府は「気候変動」「人口爆発」などの対策を掲げて我先にと規制をゆるめ、代替タンパク質の開発競争に力を入れています。

 これはどこかで見た光景だと思ったら、14年前『ルポ 貧困大国アメリカ』で取材した、大規模な工業型畜産の推進と同じ構図だったんですね。あの時は、欧米だけでなく新興国で急速に拡大してきた食肉と乳製品の需要を、「畜産の生産性を高めることで」解決するという流れでした。増え続ける世界人口にとって重要なタンパク源を賄わなければ起きる飢餓を解消するために、農業と畜産を工業化しなければならない、と。

 1頭の牛から取れる肉を増やそう、牛乳を増やそう、食肉処理のスピードをあげよう、管理する牛の数を増やして効率化しよう――生産性が飛躍的に上がる一方で、効率化でぎゅうぎゅう詰めにされ感染症に弱くなった牛たちに大量の抗生物質を投じ、その糞尿は地域の水源や大気を汚し、餌にする遺伝子組み換え穀物の単一栽培(モノカルチャー)によって土壌汚染が拡がりました。

 豚や鶏も同様です。今や世界中で批判の声が上がっていますが、工業化された畜産や農業で推し進められた「もっと大量に、もっと早く、もっと便利に」というグローバル資本主義的手法がもたらしたものは、南北格差を拡げ、環境・健康・エネルギーという3大社会的コストが途上国に押しつけられ、食料不足の解消にもならなかった。

食料不足解消の妨げになっていた“巨大なマネーゲーム”

――飢餓を救うという触れ込みだったのに?

堤 私が金融業界にいた時に、食料不足による飢餓、というヘッドラインが出ると失笑が起きたのを、よく覚えています。食料が投機商品になったときから、必要とする人に届かない歪みが深刻になり、それで潤っていた業界だったからです。

    人類全員が食べられるだけの食料は十分あったにも関わらず、人災としての食料危機が頻発するようになってしまった。 

「人口爆発はもう止まらない、飢饉が訪れる」と恐怖を煽られた私たちは、巨大なマネーゲームのなかで踊らされているに過ぎなかったのです。

 その反省から、工業型畜産や単一栽培、遺伝子組み換え食物などに対する反発が世界中で広がり、「家族農業の価値」「持続可能な食と農」の形へと見直しが進んでいたところで、今度はSDGsの名の下に、気候変動や食料危機を解決する夢のテクノロジーとして、ゲノム編集や合成生物を始めとするフードテックや、デジタル農業が勢いよく台頭してきました。

 歴史を見てもわかるように、政府やマスコミ、学者などによって、飢餓など「恐怖」を煽られ、「この道しかない」といわれる時、私たちはよくよく注意しなければなりません。

――すでに日本ではゲノム編集されたトラフグやマダイ、トマトなども流通していますね?

 いち早く規制緩和に踏み切っている日本は、〈クリスパーキャス9〉という手法で開発された、通常の1.9倍の速さで成長するトラフグや、1.2倍の身がある「肉厚マダイ」を市場に出しています。

 日本ではメーカーが届け出さえすれば安全審査も表示もなしでOKですから、ゲノム編集トマトの苗はすでに5000以上の家庭に無料で配布され、トマトはオンライン販売されています。全国の福祉施設や小学校に無料配布する計画も着々と進んでいます。

 マーケティング的には実にうまい戦略で、もちろんそれは営利企業の自由でしょう。ただしここで大切なことは、私たち市民にも「食を選ぶ自由」という権利があること。国や企業は消費者に向かって「どうぞご自由に」というけれど、選択の自由は情報公開があってこそのもの。そこに情報の非対称性があってはダメなのです。

 ゲノム編集かどうかを表示し、判断材料として商品が作られる過程を公開すること――安全性の是非で議論が平行線で終わる前に、特に食や薬など、いのちや健康、子ども達や地球の未来に影響するものについては、大前提として、情報の民主化が不可欠でしょう。開発した研究者もこれについては同意見ですから、私達消費者が、食の選択肢を望むかどうかで、今後変わってきます。

警戒すべきゲノム編集食品のもう一つのリスク

――確かに情報の非対称性が大きい分野です。

堤 またゲノム編集のもう一つの問題は、そこに特許がついてくることです。たとえば〈クリスパーキャス9〉は研究には無料で使えますが、商業用には巨額のライセンス料がかかります。種子・農薬大手のコルテバと医薬・農薬大手のバイエルの2社だけでも、ゲノム編集作物の特許出願数が1500件を超えていることが、すでに欧州で問題になっています。

 ゲノム編集で破壊された遺伝子の特許が一度認められると、自然界で生まれた同じ破壊遺伝子も特許の対象となるため、該当する自然の種子やたまたま同じ性質をもった作物まで、カバーされてしまう可能性が高い。このリスクを警戒すべきでしょう。

 本書に詳しく書きましたが、遺伝子工学を駆使したフードテックについてくる様々な特許、小規模農家を次々とつぶすデジタル管理とテクノロジーの問題は、川の上流を「誰が握るか」なのです。単に新しい技術だけに目を奪われてこの部分を見逃せば、文字通り一握りの巨大企業による食と農の支配が完成するでしょう。

 特に、今のテクノロジーは「何を食べるか」という食の主権だけでなく、私たち人間にとって「食」が持つ意味や、他の生き物・大地との関係までも根底から変えてしまうほど進化しています。そういう意味で、私たちは今まさに、〈食の文明史的危機〉を迎えているといっても過言ではありません。

――在来種まで外資による特許で支配されてしまったら本当にディストピアです。フードテックが様々な問題を抱えていることは確かですが、その一方で、気候変動問題への迅速な対応には、牛を減らせる人工肉のようなテクノロジーも必要ではないでしょうか?

 ええ、それは当然の疑問でしょう。私も以前はそういう考え方でした。いま、牛のゲップによるメタンガスが温暖化の主要因とする説が有力ですから、人工肉は救世主と謳われ、私が取材した方の中にも、畜産そのものを廃止すべきだという声が少なくありませんでした。

 でも本当にそうでしょうか?  

 この問題を考えるにあたって、まずは歴史を見なければなりません。

牛はむしろ環境再生の切り札になりうる

 大規模な環境破壊を引き起こした「工業型畜産」が登場する前まで時計の針を巻き戻し、牛という生き物を、大きな生態系のなかで捉え直すのです。

 たとえば、私が取材した米バージニア州の〈ポリフェイスファーム〉は、牛と土壌の共生が持つ驚異的な力を確かめに、世界中から視察が相次ぐ牧場です。ここの牛達は、〈輪換放牧〉といって、区画から区画へと草を集中的に食べながら移動させられるのですが、これを見た時、本当に驚きました。

 土の上に落ちた牛の排泄物が栄養価の高い肥料となり、たくさんの蹄にふまれて草の種とともに土中に押し込まれ、菌根菌に栄養を与える。菌根菌は、植物の根の中から土の中へ菌糸を伸ばして、土の中の養分を吸収して、それを植物に与えますが、根っ子はそのお返しに、植物が光合成で作った炭素化合物を菌根菌へ提供するのです。まさに「お互いさま」の関係ですね。

 これによって炭素がしっかり土に閉じ込められて、土の中の微生物が活性化し、生物多様性に富んだ循環型のサイクルが生まれるのです。

 牛のゲップが問題になるのは、工業型畜産で牛肉を年間5800万トンもの規模で大量生産しているからであって、問題はその育て方のほうだったのです。

 こうした生態系の循環にそった方法は、リジェネラティブ・アグリカルチャー(環境再生型農業)と呼ばれ世界で注目を集め、日本でも実施が始まっています。適切な規模感で本来の生態に沿ったアプローチをとったとき、牛はむしろ環境再生の切り札になるのです。

超加工食品を食べ続けると引き起こされる深刻な不調

――土から牛を見た時に全く違う側面が見えてきて驚きました。

堤 ゲップという要素だけで、牛を欠陥品とみなし切り捨てる、テクノロジーで置き換えればいいという発想自体が、極めてアメリカ的な合理主義、科学技術至上主義的なものの見方なんですよね。実は何を隠そう、私自身がかつてそうだったので、反省を込めてなんですが。

 大学で渡米した私にとって、アメリカンライフスタイルは憧れそのもので、ファストフードにもしっかりハマっていました。どの州に行っても同じ味が手に入る安心感! なんて早くて安くて便利なんだろうと感動していた。画一化された大規模なトウモロコシ畑を見ても、わぁ一面黄色いな、凄いなアメリカ映画と同じだ、ダイナミックだなぁ……などと喜んでいる、今思えばとんでもない学生だったんですね。

 ところが大学院を出たあと、国連や現地の証券会社で働きながら、アメリカ的な超加工食品を食べ続けた結果、20代の終わり頃になって、ひどく身体の調子が悪くなってきたんです。吹き出物がいつまでも治らなかったり、食べても食べても痩せてゆく、腹痛に苦しめられ、精神的にも不調が出はじめた。食べたものが私になる、という言葉の意味を実感した、とても怖い時期でした。

 9・11のあと日本に帰国して、医者に告げられたのは、「総理と同じ消化器系の難病です。一生治りません」という言葉でした。難病指定なので保険こそ利くものの、ステロイドの薬を使わないといけないし、乳製品から揚げ物まで食べてはいけない食事のリストがすごかった。

 いろいろな薬やサプリも試しましたが全く効かない、まさに絶望的な日々でした。

偶然出会った中国医学が症状を改善し、価値観を大きく変えることに……

――潰瘍性大腸炎は相当つらいですよね。

 でもある時、偶然出会った中国医学の先生に、「あなたは自分の身体をモノ扱いしてきましたね」と言われたんです。「腸と畑の土壌は同じ。ボロボロになった腸にいくら高いサプリを入れても吸収しません。まずは土台を自然からもらった状態に戻しなさい」と。

 藁にもすがる思いで、食を変えて腸内蘇生治療を行ったところ、なんと3ヶ月で症状が出なくなったんです。「食」というものを通して「土と腸は同じ」であることや、全ては循環の輪の中の一部であるという気づきは、その後長い時間をかけて私のなかで温められ、人や、社会や、あらゆるものに対する考え方の根幹を、大きく変えてゆくことになりました。

 毎日口にするものは、肉体だけでなく、私達の価値観も作ってゆく。食を問うことは、文化を作り、未来を変えてゆくこと、本当に大切なんだと、深く考えさせられたのでした。

『ルポ 貧困大国アメリカ』の取材で、大規模にオートメーション化された畜産現場に大変ショックを受けた時、単純にもう肉食は止めなければ、などと思った事を思い出しました。 

 考えてみれば、アメリカでは悪いところがあれば切る、足りない栄養素があれば外から足す、という考え方が主流で、それこそが、近代工業的なものの見方だったんですね。いつでも、どこでも、好きなだけ、あらゆるものが便利に手に入ることを目指すグローバル資本主義は、農産物も、畜産も、「生産性」という物差しが最優先される結果、いのちは「モノ」になってゆく。でも、食べ物と工業製品との大きな違いは、食はすべて自然からの「いただきもの」だということなんですね。

 工業化された畜産が、動物だけでなく、生産する人間もモノ扱いする手法である事をみれば、気候変動対策で、牛を“悪魔化”するより大事なことが見えるでしょう。問題の本質は、人間VS家畜ではなく、一握りの人々が市場全体を支配する、独占型の構造なのです。個々のフードテックやデジタルなど、テクノロジーは道具にすぎず、そこに善悪はありません。

3年にわたる取材を通して見えてきた“大きな鍵”は日本にあり

――非常に示唆に富んだ視点ですね。

 今回の『ルポ 食が壊れる』の3年にわたる取材を通して見えてきたのは、今まさに私たちの食卓を大きく変えようとしているフードテックの裏側や激化する農地争奪戦、デジタル化による新たな支配構造という〈食の文明史的危機〉のみならず、生き物と土の深い循環関係であり、食と農の根源的な再生への道を探る、現場の人々の謙虚さと叡智でした。その果敢な試みは想像を超えて、世界各地で力強く拡がっていたのです。

 そして何よりも、この「食と農」という分野では、他でもない私たちの国日本にこそ、これから先の人類と、全ての生き物にとっての持続可能な道へ続く、大きな鍵があったこと。取材を通して触れた、先人達の残してくれたものの価値に、私は改めて、胸がいっぱいになりました。

 本書が私たちの生活、社会の中での食のあり方を見つめ直し、未来を選択するヒントになることを願ってやみません。

堤未果(つつみ・みか) 

 国際ジャーナリスト。東京生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。国連、米国野村證券などを経て現職。米国と日本を中心に政治、経済、医療、教育、農政、エネルギー、公共政策など、公文書と現場取材に基づく幅広い調査報道と各種メディアでの発信を続ける。『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞、『ルポ 貧困大国アメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞、新書大賞を受賞。著書に『政府は必ず嘘をつく』『日本が売られる』『デジタル・ファシズム』などがある。WEB番組「月刊アンダーワールド」キャスター。

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? (文春新書)


今日の雪景色


今日も一日吹雪模様でした。


今こそ「戦争をしない国」になろう

2022年12月17日 | 生活

三枝成彰の中高年革命

国に対する評価は国力だけにあらず…今こそ「戦争をしない国」になろう

日刊ゲンダイDIGITAL2022/12/17

 

 サッカーのワールドカップで準決勝に進んだ4カ国(フランス・アルゼンチン・モロッコ・クロアチア)は、いずれも日本と比べると小国だ。人口は400万~7000万人。GDPは1番上のフランスが世界7位で、クロアチアに至っては79位(IMF調べ)。にもかかわらず、その熱い試合は世界から絶賛され、輝いている。国に対する評価が、国力だけで決まるものではないことの証しだ。

 軍備の多寡もまたしかり。防衛費増額を唱える人たちには、はっきりと答えてもらいたい。「有事」の際、あなたは兵士として最前線に立てますか? 夫や恋人を戦地に送り出せますか? 答えられないのなら、増額論など即刻取り下げるべきだ。

 国の守りは絶対に必要であるが、“仮想敵国”に怯えて防衛費を上げ続けていたらきりがない。もはや「戦争ができる国」「戦争ができない国」で逡巡する時は過ぎた。「できる」「できない」ではなく、あえて日本は「戦争をしない国」であることを選ぼう。毅然として、戦争から距離を置くべきである。

■国を豊かにして再び存在感を高めるべき

 今、何より必要なのは国の立て直しだ。この30年、平均給与は400万円台のままで、「生活が苦しい」という人は54.4%(2019年厚労省調査)、世帯年収が平均値の半分以下という貧困家庭の子どもは12.9%(21年内閣府発表)と深刻だ。

 物価高で消費はふるわず、企業の倒産も増えた。いつ使うともしれぬ兵器を買う金があるのなら、それは国民生活の改善に充てるべきである。皆が未来に希望を見いだせずにいるのを差し置いて、防備のための増税など論外だ。

 日本の防衛費は今でも対GDP比0.96%で5兆4000億円。2%になれば11兆円だ。しかもそれが上限ではない。あくまで“中期”の防衛力整備計画だ。防衛費の世界第1位はアメリカの102兆円、日本は現状でも9位(ストックホルム国際平和研究所調べ)となっている。そこからいくら増額しても、人口で10倍の開きがある2位・中国の37兆円には遠く及ばない。3位で9兆8000億円のインドと戦争をするはずもないし、北朝鮮への備えも的外れだ。

 そもそも日本には徴兵制度がなく、兵力も知れたもの。“腰抜け”と言われても、死ぬよりはましだ。平和が保たれるなら結構ではないか。

 30年前まで、世界が抱く日本人のイメージは“金持ち”だった。しかし今、日本人が外国に行くと、大抵中国人か韓国人に間違われる。立場が逆転して彼らが豊かになり、日本が貧しくなったからだ。

 「戦争のできる国」をめざすより、国を豊かにして再び存在感を高めるほうがよほど国益にかなうはずだ。焦って防備を固める必要は少しもない。大切なのは「待つ」ことだ。待てば必ず時代は変わる。プーチンも習近平も時が経てばいなくなり、国際情勢も変わる。政治家は国民の命を危うくする愚策を撤回し、豊かな暮らしの実現に注力すべきだ。

「日本は絶対に戦争をしない」と宣言しよう──。80歳を過ぎて怖いものがなくなり、こう言えるようになった。今のご時世、それで仕事を失う可能性があることも覚悟の上。たとえ聞いてもらえなくとも、私は断固として「戦争はいけない」と言い続ける。死ぬまで反戦を貫くつもりだ。

三枝成彰 作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。


「日本は絶対に戦争をしない」、憲法を制定したときに決意したはずなのだが・・・
「平和国家としての歩み」は、地域の安定と発展に寄与する日本の国家戦略だった。こうした安保政策の大転換が国会審議も経ず、内閣や与党の一存で決められ、国民の合意なく「軍拡増税」が進められようとしている。衆院解散・総選挙で軍拡や増税の是非を国民に問う。それが議会制民主主義の筋道である。

何度も言おう。
「国」を守ることは「地球」への攻撃である。
「地球」を守れ!
「徴兵制」が間もなく来るかもしれない。


戦争への道 勝手に決めるな 「戦争ではなく平和の準備を」

2022年12月16日 | 社会・経済

戦争への道 勝手に決めるな 「安保3文書」改定閣議決定に反対

総がかり行動実行委が緊急行動

「しんぶん赤旗」2022年12月16日

 岸田政権が憲法違反の「敵基地攻撃能力」保有などを盛り込んだ「安保3文書」を改定する閣議決定を狙うもとで、総がかり行動実行委員会などは15日夜、衆院第2議員会館前で緊急行動を実施しました。野党の代表とともに、集まった800人(主催者発表)が、「戦争へ向かう道を、閣議決定で勝手に決めるな」と怒りの声をあげました。

 4歳と1歳の子どもを連れて、神奈川県大磯町から参加した内海彰子さん(39)は、「『お母さんは戦争へ向かう政治に反対したよ』と言えるように来ました。武力で命を守ることはできません」と語りました。

 主催者あいさつで菱山南帆子さんは、「国会の議論すらなく、何でも閣議決定だけで進める政治は許せない」と強調しました。

 日本共産党の小池晃書記局長、立憲民主党の大河原雅子衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員、沖縄の風の伊波洋一参院議員があいさつ。小池氏は、「安保3文書」改定について「国会での議論もなく、選挙で信を問うことなく、戦後の安全保障政策の根幹を変えることを閣議決定するなど、断じて認められない」と強調。憲法違反であり、暮らしを破壊する道だとして、「市民と野党の共闘を新しいステージに発展させ、敵基地攻撃、大軍拡と暮らし破壊を許さない共闘にするために力をつくす」と表明し、「たたかいを広げに広げ、国会を包囲するたたかいにしていこう」と呼びかけました。

 市民連合の中野晃一さん(上智大学教授)は、「『反撃能力』というが、どう見ても先制攻撃だ。反対の大きな声をあげ続けよう」とスピーチしました。

*      *      *      *

「戦争ではなく平和の準備を」安保関連3文書改定、憲法学者らが対案公表

2022年12月16日 

 政府が16日に閣議決定する方針である外交・防衛の指針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書に関し、憲法学者らによる「平和構想提言会議」は15日、3文書に現行憲法では認められないような内容が盛り込まれているとして、対案と位置付ける提言「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」を公表した。政府が進める敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の大幅増を批判し、憲法9条に基づく専守防衛の堅持や、外交交渉で緊張緩和を実現する重要性を訴えている。 (柚木まり)

◆政府・与党の考え方「極めて短絡的で危険」

 提言では、3文書改定は日本の安保政策の大転換となり、「日本が自ら戦争をする国家に変わる」と指摘。改憲が必要になるほどの重大な政策転換であるにもかかわらず、「国会の徹底的審議もないままに憲法の実質が勝手に上書きされようとしている」と懸念を示した。

 その上で、政府・与党の議論の中心にある「軍事力の増強が抑止力を強め、平和を担保する」という考え方を「極めて短絡的で危険」と問題視。防衛力強化がかえって周辺国との軍拡競争を招いて戦争のリスクを高めると警鐘を鳴らし、今こそ憲法9条が定める平和主義の原則に立ち返るべきだと強調する。

◆「国民的な議論もなく勝手に決めていいわけがない」

 今後、取り組むべき具体策として、朝鮮半島の非核化に向けた外交交渉の再開や中国を「脅威」と認定しないことなど、アジア諸国との対話の強化を提唱。専守防衛の堅持も明記し、米国製巡航ミサイル「トマホーク」など敵基地攻撃能力の保有につながる兵器の購入や開発の中止を求めた。

 憲法や国際政治、軍縮の専門家、市民団体代表ら有志の15人でつくる同会議は15日、国会内で記者会見した。共同座長の学習院大の青井未帆教授(憲法学)はオンラインで参加し、「憲法9条があるのに、なぜ先制的な反撃が可能になるのか。議論が圧倒的に足りない」と幅広い議論を呼びかけた。

 上智大の中野晃一教授(政治学)は敵基地攻撃能力の保有に関して「国民的な議論もなく勝手に決めていいわけがない。認めないとはっきり言っていく必要がある」と訴えた。

 平和構想提言「戦争ではなく平和の準備を―”抑止力”で戦争は防げない―」の要旨は次の通り。

 (1)いま何が起きているのか

 安全保障関連3文書改定は、日本の安全保障政策を根本的に変更し、自ら戦争をする国家に変貌する。国民投票を通じて憲法を明文的に変えなければ許されないほどの重大な変更だ。憲法の実質が勝手に上書きされようとしている。

 政府・与党は「抑止力を高める」とするが、実際には戦争のリスクを高める。北朝鮮の核ミサイル開発、中国の軍備増強や海洋進出は重大な問題だが、日本の対応策が軍備増強や攻撃態勢強化ばかりなら、平和的解決は遠のく一方だ。

 今日の軍事的緊張がエスカレートすれば、戦争は現実となる。東アジアにおける戦争は世界の経済、食料、環境に壊滅的な影響をもたらす。軍事的な「勝利」の想定に意味はない。

 米中対立の中で、「日米同盟強化」一辺倒の姿勢をとり、米国との軍事協力関係の強化に突き進んでいくことは極めて危険。その失敗は、世界大戦となるリスクと背中合わせだからだ。

 (2)「国家安全保障戦略」改定のどこが問題なのか

 敵基地攻撃能力の保有について、政府・与党は「専守防衛の考え方の下」で進めると強弁するが、専守防衛の肝は、隣国に届く武器を持たないことで他国への脅威とならないようにすること。この大原則が根本から覆されようとしている。相手国にミサイルを撃ち込めば、当然、日本は報復攻撃を受ける。その先はミサイルの撃ち合いの戦争だ。

 首相は、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)の2%程度に増額するよう指示した。実現すれば、世界第3位の軍事費大国となる。増額論の前に、その透明性と説明責任の確立こそ急務だ。

 防衛装備移転3原則の運用指針を改定し、殺傷能力のある大型武器の輸出も検討されている。日本製の武器によって他国の人々が殺傷されることが現実となる。紛争当事国に肩入れすることは、日本が紛争の予防や解決の仲介者となるための国際的信用を失わせる。

 政府は米国による核の使用・威嚇政策を支える側に回っている。核兵器禁止条約にも背を向けたままだ。

 (3)考え方をどう転換すべきなのか

 軍事力中心主義や「抑止力」至上主義は、極めて短絡的で危険だ。抑止力は、武力による威嚇に限りなく近い概念。安保論議の中心に据えられている状況は憂慮すべきだ。持続可能な安保のため、抑止力の限界を認識し「抑止力神話」から脱却しなければならない。

 民主主義や人権、法の支配といった基本的価値は妥協すべきではない。平和もまた基本的人権で、紛争を平和的に解決することは国際法の要請だ。民主主義のためだと称して、戦争の準備に突き進むべきではない。米国への過度な軍事的依存を正し、アジア外交と多国間主義を強化すべきだ。平和は一国で作れない。中国との緊張緩和と関係改善、朝鮮半島との関係の安定化は、日本の社会・経済をより豊かにする。

 (4)平和のために何をすべきか―今後の課題

・朝鮮半島の平和と非核化に向けた外交交渉を再開させる

・元徴用工問題について、過去の被害を踏まえた解決策を探る

・中国への「敵視」政策を停止する

・日中の首脳レベル相互訪問の早期再開に合意する

・日中間の安全保障対話を進める

・「攻撃的兵器の不保持」の原則を明確化・厳格化する

・トマホークを含め「敵基地攻撃能力」を構成し得るあらゆる兵器の購入や開発を中止する

・辺野古新基地建設と南西諸島への自衛隊基地建設を中止する

・核兵器の先制不使用を米国をはじめ核保有国に働きかける

・核兵器禁止条約への署名、批准。まずは同条約締約国会議にオブザーバー参加する

*     *     *

岸田首相の政治の師、自民・古賀誠元幹事長が嘆いた…「敵基地攻撃能力保有は専守防衛を完全に逸脱する」

「東京新聞」2022年12月16日

 岸田政権が安全保障政策の指針「国家安全保障戦略」など3文書改定を閣議決定するのを前に、岸田文雄首相が会長を務める自民党派閥「宏池会」前会長の古賀誠元幹事長(82)が本紙のインタビューに応じた。文書に盛り込まれる敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に懸念を示し「完全に専守防衛を逸脱してしまう」と主張。師弟関係にあった首相には「少なくとも国民にきちんと説明しなければならない」と注文した。(坂田奈央)

◆憲法9条も脅かされるのではないか

 古賀氏は、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事の懸念、北朝鮮の核開発など安全保障環境の変化は認めつつ「それで、なぜ敵基地攻撃能力を持つミサイル(保有)につながるのか。抑止力になるのか」と疑問視。「保有すれば実質的に専守防衛という基本がなくなり、憲法9条も脅かされるのではないか」と警鐘を鳴らした。

 「日本の安全保障は政治や経済、国防、外交といったありとあらゆる力を結集し、軍事大国への道を避けるのが基本だった」と強調。「軍国主義につながらない他の分野でやれることが多くあるはずで、冷静な議論が必要だ。例えば安全保障で一番大事なのは人口を増やすこと。子どもが増えることが一番の抑止力になる」と訴えた。

 宏池会は戦後の「軽武装・経済重視」の道筋を築いた吉田茂元首相を源流に、池田勇人元首相が創設。党内ではハト派色が強く「保守リベラル」と呼ばれ、衆院議員だった首相の祖父と父も所属した。古賀氏は2012年まで会長を6年務め、首相を指導。後継の会長に首相を推して退任した後も、名誉会長として長く後押ししてきた。

◆戦争がいかに愚かか、体験しているからこそ、平和言い続ける

 古賀氏は幼少時、太平洋戦争でフィリピンに出征した父を失った経験から「戦争につながること」に一貫して異を唱える。敵基地攻撃能力の保有に懸念を示すとともに「あの戦争がいかに愚かだったかを語り伝えていきたい」と話す。古賀氏との一問一答は以下の通り。

 ―日本が敵基地攻撃能力を保有することになる。

 「これは(戦後の安全保障政策の)大きな転換だ。安全保障を取り巻く環境が大きく変わり、何とかしなければならないと考える国会議員の気持ちは理解できる。しかし(3文書の改定が)抑止力になるかどうかは別問題。敵基地攻撃能力を持てば、完全に専守防衛を逸脱してしまうのではないか。抑止力よりも不安のほうが大きくなるのではないかと懸念している」

 ―財源問題が注目されているが、それまでの議論は十分だったか。

 「平和憲法がある以上、敵基地攻撃能力のある兵器を保有するなら、専守防衛のあり方、例えば攻撃対象をどうするのかといった説明責任を(政治家が)国民にしっかり果たさなければならない。財源問題は大事なことだが、その前の(防衛力強化の)議論が拙速過ぎではないか」

 ―岸田政権をどうみる。

 「安倍政権のツケと言うのは変だが、大変な時にかじ取りをさせられていると思う。懸念を払拭するよう、どういう手順、議論で今に至ったのか真実を語ってもらいたい」

 ―国会議員に戦争を知る世代がほぼいなくなり、安保政策のかじ取りを不安視する声もある。

 「戦争がいかに愚かで、いかに多くの人たちが苦しみ、血と涙を流したか、ということを僕は体で知っている。体験しているからこそ、自分の考える平和を言い続けていきたいし、国政に携わるすべての人に語り伝えていきたい。これからが本番だ」

 こが・まこと 1940年、福岡県生まれ。80年衆院選で初当選し、通算10期。運輸相、自民党国対委員長、幹事長などを歴任し、2012年に議員を引退した。政治信条の柱に「平和」を据え、日本遺族会会長も務めた。03年、イラクに自衛隊を派遣するためのイラク復興支援特措法案の衆院採決では退席した。


 今夕閣議決定される予定である。今年の漢字「戦」が現実味を帯びてきた。ウクライナの話ではない。


「軍拡増税」論議 議員特権は手付かずか

2022年12月15日 | 生活

「東京新聞」社説 2022年12月15日

 岸田文雄首相が防衛力強化のための財源として増税を求める意図を「今を生きる国民が自らの責任として、その重みを背負って対応すべきだ」と説明した。ならば問う。国民に新たな負担を求める政治家は痛みを分かち合い、その責任を果たしているのか、と。

 国会議員の特権や高額給与を温存し、国民に責任と負担増を押し付けるとは、理解に苦しむ。

 特権の代表格は、国会議員歳費とは別に非課税で毎月百万円が支給されている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)だ。使途の報告や領収書提出の義務はなく、事実上何にでも使える。

 税金から支払われる旧文通費は昨年秋の臨時国会で与野党が見直しに合意したが、実現したのは名称変更と日割り支給にとどまる。十日閉幕の臨時国会でも使途公開は実現せず、抜本的な是正策は三国会連続で先送りされた。

 野党は使途公開や未使用分の返金を義務付ける法案を提出したが与党は審議にすら応じず、首相が議論を促すこともなかった。必要経費は実費精算という社会常識を無視し続ける与党に、国民に負担増を求める資格があるのか。

 東日本大震災後、国民は復興特別所得税の形で復興を支援し、国会議員も歳費を減額した。歳費はその後、消費税増税時や新型コロナウイルス感染拡大時に減額されたが、今は満額支給に戻った。

 政府与党は防衛力強化の財源として復興特別所得税の流用を検討しているが、国民に税負担を強いながら、議員歳費は手付かずとは保身が過ぎるのではないか。

 国民生活は、円安やウクライナ侵攻による物価や光熱費の高騰で苦しい。賃金は伸び悩み、社会保障の負担も重い。そうした状況での増税は消費をさらに冷やし、企業の賃上げ機運にも水を差す。

 そもそも与党は直近の衆参両院選挙で、防衛力強化のための増税を公約していない。補欠選挙を除き国政選挙は当面予定されておらず、国民に不人気な政策でも進められると政府与党が考えているなら、思い違いも甚だしい。

 「軍拡増税」の是非は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有など安全保障政策の転換と合わせ、主権者たる国民に信を問うべきであり、それが議会制民主主義の手順だ。その前に政治家が旧文通費などの特権を手放し、痛みを分かち合う姿勢を示すのは当然である。


すごいことをおっしゃる!
耳を疑った。
「今を生きる国民」いまにも死にそうな国民、殺されそうな国民である。
甘味を吸い続ける政治家どもよ!

「今を生きる政治家が自らの責任として、その重みを背負って対応すべきだ」

2022年は参議院議員通常選挙が行われたことで、交付金額(政党助成金)の再算定が行われます。2022年の政党交付金総額は315億3,600万円。

参院選の結果をふまえて、NHKが試算した配分額は以下の通りです。

  • 自民党:159億8,200万円
  • 立憲民主党:67億9,200万円
  • 日本維新の会:31億7,000万円
  • 公明党:29億4,900万円
  • 国民民主党:15億3,200万円
  • れいわ新選組:4億9,800万円
  • 社民党:2億7,100万円
  • NHK党:2億6,200万円
  • 参政党:7,700万円
  • なお、共産党は政党交付金の制度の廃止を主張しており、交付金を受け取っていません。これこそ「政権」が他党を「飼育」する「ひも」ででしょう。早期の廃止を求めます。