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自衛隊に個人情報6万人 北海道3市、周知せず提供

2023年02月28日 | 生活

閣議決定で自治体動員 「戦争に子ら巻き込むな」市民怒り

「しんぶん赤旗」2023年2月28日

 北海道の札幌・旭川・帯広3市が、自衛隊に募集のための個人情報約6万人分(2022年、表)を市民に周知せず提供していたことが本紙の取材で27日までに判明しました。市民からは「子どもの個人情報が市から提供されていたなんて知らなかった」「制服姿の隊員が孫を訪ねてきた」「子どもを戦争に巻き込ませたくない」など、怒りの声があがっています。(北海道・中上範子)

 自衛隊はそれまで住民基本台帳を「閲覧」して募集のための情報を入手していました。ところが、3市では2022年5、6月に初めて自衛隊にたいして個人情報を「提供」する方法に変更しました。

 対象年齢は、札幌、旭川の両市では満18歳(高校3年生)と満22歳(大学4年生)、帯広市では18歳から32歳までで、住民基本台帳に基づき、名前、住所、生年月日、性別が提供されました。

 札幌市では、自衛隊への個人情報提供について市ホームページに掲載し、提供を望まない場合には「除外申請」ができるとしています。しかし、対象者に知らされていないため、「除外申請」はわずか2人にとどまっています。

 旭川、帯広の両市では昨年、「除外申請」の受け付けさえ行わず、個人情報が市民に知らされないまま提供されていました。

 両市の日本共産党市議団が、「提供すべきではない」と追及するなか、帯広市は今年度から「除外申請」を設けましたが、旭川市は「除外申請を検討する」にとどまっています。

 自治体の対応が「提供」に変わった契機は、閣議決定(2020年12月18日)です。閣議決定では「自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要な資料の提出を防衛大臣から求められた場合については、市区町村長が住民基本台帳の一部の写しを提出することが可能であることを明確化し、地方公共団体に令和2年(2020年)度中に通知する」としました。

 国は、自治体を総動員しての隊員集めを、いま進めています。

 

孫を制服で訪問に驚き

 自衛隊にたいし市区町村長が「住民基本台帳の一部の写しを提出することが可能であることを明確化」し、地方自治体に通知するとした2020年の閣議決定。この決定を受け、防衛省と総務省の連名で各都道府県あてに「通知」(2021年2月5日)が出されました。

 「通知」では、「資料として、住民基本台帳の一部の写しを用いることについて、住民基本台帳法上、特段の問題を生ずるものではない」としています。

「通知」を受け変更

 札幌市では、「閲覧」から「提供」に変更した理由についてホームページで次のように説明しています。

 2021年度までは住民基本台帳の一部写しの提出について「事務の目的の範囲を超える」との判断から行ってこなかったが、「通知」によって提出が可能であることが明確化されたため、「情報提供の方法を変更」したと。

「人的基盤の強化」

 地方自治体が個人情報の「閲覧」から「提供」に変更した問題について、『防衛白書』(2022年版)にも、具体的記述があります。募集・採用の項には「募集に関する事務の円滑な遂行のために必要な募集対象者情報の提出を含め、所要の協力が得られるよう地方公共団体などとの連携を強化している」と記されています。

 昨年12月16日に政府が閣議決定した「国家安全保障戦略」では「人的基盤を強化する」とし、「防衛力整備計画」では「厳しい採用環境の中で優秀な人材を安定的に確保するため(中略)地方公共団体及び関係機関等との連携を強化する」と強調しています。

 旭川平和委員会の由井久志事務局長は、「住民基本台帳のデータを駆使し、訪問までして勧誘する官公庁は他にない」と指摘。「戦争法(安保法制)を強行し、自衛隊が戦地に派遣される可能性が強まるなか、志願者は年々減少傾向にあります。自衛隊は憲法違反の危険な任務実態を改めず、イメージ先行の広報宣伝で市民との接点を増やし、過度な勧誘が不安を与えています。旭川平和委員会は市に個人情報の提供をやめるよう求めてきました。住民の福祉の増進をはかるべき自治体は、住民の側にたち、個人情報保護を厳守すべきです」と指摘します。

 

“数人で来てなかなか帰らず”“自宅把握されているようだ”

旭川市

 旭川市では昨年、高校3年生の自宅に、「自衛隊への進路を考えている人は、同封の『一般曹候補生』『自衛官候補生』のリーフレットを参考に」と手書きの手紙と募集リーフレットなどを同封した「お知らせ」が、郵送ではなく、自宅ポストに入っていました。父親は「自宅を把握されていると言われているようなもの」と憤ります。

 党旭川地区委員会には、「数人の隊員が自宅を訪れ、なかなか帰らなかった」と苦情も寄せられました。

帯広市

 帯広市でも、杉野智美党市議のもとに、「制服姿の隊員が孫を訪ねてきた」、こんな驚きと戸惑いの声が寄せられました。

 市が提供した年齢に2人の子どもが該当するという母親は、「自衛隊に子どもたちの個人情報が提供されていたなんて知らなかった」とびっくり。「保護されるべき個人情報がこんな使われ方をされたのでは、行政を信じられなくなる。苦労して大事に育て、やっとここまで大きくなった子どもたちを戦争に巻き込ませたくない」と話します。

札幌市

 札幌市在住の伊藤希さん(43)は、高1(16)、中2(14)、小3(9)男児の母親。いまは対象外の年齢ですが、「公園や祭り会場などで自衛隊の姿をよく見かけるようになった」と言います。先日は地区センターに防衛省のカレンダーが張られていて、新日本婦人の会の要請で張り替えさせたことも。「なぜ自衛隊だけ特別扱いなのか。災害現場での活躍が強調され、軍隊ではないと言うけど、実態は敵基地攻撃能力など先制攻撃も可能な兵器を持とうとしている。こういう物騒なことから市民や子どもを守る立場の自治体にするために、日本共産党の議員を増やさなければ」と話しました。


「個人情報」を何やかやと理由をつけて垂れ流す。
「マイナカード」何に使うのか?

 さて、昨年は中止となった「高石ともやコンサート」ですが、今年4月29日に決定。もう80歳ですから、是非・・・


週のはじめに考える 虫の力を無視できない

2023年02月27日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説 2023年2月26日 

 愛知県みよし市にある産業廃棄物処理業者「ハーツ」の処理工場で目にした光景は、かなり衝撃的でした。
 二〇〇〇年の食品リサイクル法成立を機に「食品ロス」に特化した専門の中間処理業者です。食品メーカーの製造過程で何らかの理由ではじき出される「仕掛品(しかかりひん)」が毎日約二十トン、コンスタントに回収されてきます。
 焼きたてのにおいが残る菓子パンの山。パンくずではありません。そのままサラダにできそうなカット野菜の束。野菜くずではありません。
 中でも驚きだったのは、五百リットル詰めのコンテナに山盛りのつややかな、ゆで卵。殻をむくときに傷ができたり、サイズがふぞろいだったりしたために、弁当業者や外食チェーンに納入できなかったものといい、ほぼ毎日七百キロから八百キロほど入ってきます。コロナ禍で需要が減る前は、二トンから三トンずつはありました。
 飼料価格の高騰に鳥インフルエンザの頻発が追い打ちをかけ、卵の相場がかつてないほど高騰しているときだけに、「もったいない」では済まないような、ある意味不可解な光景でした。
 回収された食品は、いくら食べられそうに見えたとしても、「生ごみ」でしかありません。選別されて、養豚事業者や堆肥化工場などに送られ、主に飼料(エコフィード)や堆肥、メタン発電の燃料(バイオマス)として、リサイクルされています。
 五年前の豚熱の流行で、エコフィードの需要が激減したのをきっかけに、上内厚子社長は「生ごみを卸すだけでなく、自社内にアップサイクルの輪を作りたい」と考えるようになりました。アップサイクルとは、廃棄物に付加価値を与えて再利用を図ること。「創造的再利用」とも呼ばれています。
 そこで着目したのが、アメリカミズアブという昆虫の潜在力でした。米国産の外来種ながら、日本中どこででも見られる体長二センチ前後の黒い虫。その幼虫は高タンパクで栄養バランスも良く、可食率100%。海外では生ごみを与えて育てたミズアブの幼虫が「BSF(Black Soldier Fly=黒い兵士)」の名で、養殖魚やブロイラーの飼料、ペットフードの原料などとしてすでに商品化されており、日本にも輸入されています。生ごみを分解し、二十日間で容積を半減させる強力なリサイクラーでもある虫です。

◆月着陸に挑む気持ちで

 農林水産省も未来の食料確保を目指す「ムーンショット型農林水産研究開発事業」の一環として、ミズアブの飼料化、さらには人が食べる食品化の研究を奨励しています。「ムーンショット」とは、月に向かってロケットを打ち上げること。困難だが、実現すれば世の中に大きなインパクトをもたらす事業という意味です。
 上内さんは工場内に「飼育室」=写真=を設置して、海外の文献などをひもときながら二年にわたって試行錯誤を繰り返し、日本の気候風土に見合った成虫の産卵環境や幼虫の成育環境、給餌のノウハウなどを確立。乾燥飼料の完成にこぎ着けました。
 高騰する魚粉飼料に代わる餌として、ヒラメの陸内養殖業者などから引き合いが来ています。
 農水省によると、二〇年度の食品ロスは、推計で五百二十二万トンに上り、このうち、食品工場やスーパーなどから排出される事業系が二百七十五万トンと半分以上を占めています。
 食品ロスに限らず、ごみを減らすための基本は発生抑制です。はじめから、ごみになるものを作らないようにすればいい。
 しかし例えば、売れ残りによる大量廃棄が問題視され、食品ロスの象徴ともされる節分の日限定の恵方巻き。ここ数年、農水省が需要に見合った販売を徹底するよう呼びかけてはいるものの、国際環境NGOの「グリーンピース・ジャパン」によると、昨年も全国で約百四十万本が売れ残った可能性があるそうです。

◆消費者心理が壁になり

 新鮮で見栄えの良い食品が、コンビニやスーパーに常時並んでいることが求められ、「売り切れ御免(ごめん)」を承服できない消費者心理がある以上、どうしても供給過剰になりがちです。一朝一夕に売れ残りをゼロにするのは難しい。
 アップサイクルで用途を広げ、廃棄された食べ物を、むだ(ロス)にしない工夫も必要です。
 「虫たちの力を決して無視はできません」。上内さんのつぶやきが、なぜか心に響きます。

「虫たちの力」もいいのだが、「人の力」を、と思うのだが…
そのうち「昆虫食」として皿の上に並ぶかも。
『「売り切れ御免(ごめん)」を承服できない消費者心理』て、本当でしょうか?

 今日は久々のいい天気です。気温も上がりプラスに。昨夜から今朝にかけては凄く冷え込みました。おそらく-25℃くらいはいってるでしょう。今、家にある温度計は苗床に集合中でした。予報結果でも-18℃でしたから。でも明日からはほぼ毎日プラス気温(最高気温が)。雪解けが進みそうです。石狩川にも氷が流れ出しました。

 


一揆寸前?令和の時代の「五公五民」は本当か 「国民負担率47.5%」の意味を考える

2023年02月26日 | 生活

「東京新聞」2023年2月25日

 財務省は2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表した。国民や企業が所得の中からどれだけ税金や社会保険料を払っているかを示すという率で、防衛増税も取りざたされる中、世間では「江戸時代の五公五民と同じ」などと嘆きの声も。だが、この国民負担率という概念や言葉、実は世界的には使われていない日本独自のものだという。いったいこの数字、どう受け取ればいいのか。改めて考えてみる。(中山岳、岸本拓也)

◆税金・社会保障負担/個人や企業のもうけ

 国民負担率とは何か。財務省のホームページには、「租税負担率と社会保障負担率の合計」とある。租税負担は、個人が納める住民税や所得税、企業が納める法人税などを指す。社会保障負担は、労使で分けあって払う年金、雇用保険、介護保険などの保険料だ。

 国民負担率を計算するには、こうした租税・社会保障負担の合計を、個人や企業が稼いだ「国民所得」で割る。ざっくり言うと、個人や企業のもうけ(分母)に対し税金・社会保障の負担(分子)が占める割合を表している。

 国民負担率は1967年の財政制度等審議会で政府側が出した資料に初めて登場した。財務省の西川昌孝調査課課長補佐は「昭和40年代(1965年~)から算出していたようだ」と話す。公表が始まった1970年度は24.3%で、年ごとの増減はあるもの、79年度(30.2%)に3割を超え、2013年度(40.1%)に4割を突破。21年度は48.1%で過去最高になるなど、近年は5割近い。負担部分の推移では、少子高齢化にともない社会保障の増加傾向が続いてきた。

 ツイッターでは、江戸時代に領民が領主に納める年貢割合を引き合いにして「令和の時代に”五公五民” 江戸時代とどっちがマシなのか」と嘆く声も出ている。ただ、「財務省として国民負担率が高いと悪い、低いと良いといった評価はしていない」と西川氏。例えば社会保障負担の増加は、裏を返せば年金、介護などの公的サービスの受益部分を支えており、「給付と負担のバランスを考えるための一つの材料として提示している」と説明する。

◆歴史的には抑制を目指してきたはず

 とはいえ、歴史的には、日本は負担率抑制を目指す方向で議論が進んできた。

 1980年代前半に行政改革の方向性を示した「第2次臨時行政調査会」(第2臨調)委員だった瀬島龍三・元伊藤忠会長は、83年の参院特別委員会で「受益と負担という観点で、租税負担率よりも社会保障負担はある程度上がることはやむを得ない」としつつ、国民負担率を巡る臨調内の議論を紹介。「できれば40(%)で抑えたい、真にやむを得なくても45(%)以下にすべきである、そしてヨーロッパの水準より低くしておかにゃいかぬ」などと述べた。

 第2臨調解散後、中曽根康弘政権下で発足し瀬島氏が委員を務めた「臨時行政改革推進審議会」(行革審)も、こうした方針を堅持。90年の第2次行革審最終答申は、21世紀初頭の目標として「高齢化のピーク時でも国民負担率が50%を下回る簡素で効率的な政府」を目指すとした。

 こうした方針からは、5割近い国民負担率なら高齢化が進むなかで許容すべき水準のようにも取れる。だが、元財務官僚で明治大の田中秀明教授(公共政策)は「借金でまかなう財政赤字を考慮していない」と語り、国民の負担を測る指標にふさわしいのか疑問を呈する。近年の財政は赤字が続いて国債発行も膨らみ、将来に負担を先送りしている面があると指摘。財務省が毎年公表するのも「途中でやめると批判されると考え、続けているにすぎないのではないか」と本気度を疑う。

◆国際的には低い方に見えるが…

 では、世界はどうなっているのか。たとえば財務省が作成した資料によると、ルクセンブルクの国民負担率は84.6%(2020年)と突出している。ただ、ルクセンブルクは、隣国のフランスやドイツなどから通勤する越境労働者の割合が約半分に上り、これらの労働者の所得は、国民所得に入らない。このため国民負担率の分母が小さくなり、実態より負担率が高くなっているとみられる。

 これは例外としても、同資料では、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国のうち、日本の国民負担率は欧州諸国より低く、米韓などよりは高い22位。一見して負担率が小さい部類のように思える。

 しかし、本当にそうなのか。そもそも、国民負担率という用語は日本独特だという。ニッセイ基礎研究所の篠原拓也主席研究員は「諸外国には国民負担率に該当する言葉はない。海外では国民所得ではなく、国内総生産(GDP)比でみた租税や社会保障負担の指標を用いることが一般的だ」と指摘する。

◆負担は重いのに高福祉は受けられない

 国民所得とGDPの違いで大きいのが消費税などの間接税の扱いだ。GDPを基に算出される国民所得は、間接税が省かれるため、間接税率の高い欧州諸国は、国民負担率が高めに出やすい傾向がある。GDP比で負担率をみると、日本と欧州諸国の差は縮まる。

 さらに、日本は社会保障などを借金(国債)に依存しており、財政赤字分も加味したGDP比の「潜在的国民負担率」はコロナ禍前の19年度で35.8%と、福祉が充実したスウェーデンの37.1%に迫る。コロナ禍で財政支出が増えた20年度には、日本が上回った。単純比較ではあるが、日本は、スウェーデンほどの高福祉は受けられない一方、同等以上の負担を強いられていることになる。

 受益と負担のバランスはどうあるべきか。負担率を下げるには、分子となる税金と社会保険料を減らすか、分母の国民所得を増やすかだ。理想は両方を追求することだろうが、篠原氏は「租税や社会保険料は、高齢者福祉に使わざるを得ない。伸びを抑制するのが精いっぱいで、そうそう削れない」と指摘する。年金や医療、介護などに国が支払う社会保障給付費は22年度で約131兆円。高齢化がさらに進み、25年度には約140兆円、40年度に約190兆円になると政府は試算する。

◆「負担が重いから成長できない」

 経済をもっと活性化して分母を増やす方向を目指すにしても、「日本は長年ずっと経済を発展させようと取り組んできて、なかなか形にならなかった。少子高齢化で労働人口が減る中、リスキリングで既存労働者の生産性と賃金を上げないといけないが、どれも道半ば。これをやったらうまくいくという明確な解決策は見当たらない」と話す。

 一方、「日本が経済成長できていないのは国民負担が重すぎることが要因の可能性が高い」と指摘するのは、イトモス研究所の小倉健一所長。国民負担率が1%上昇すれば、成長率が0.3%低下する「負の相関関係」があるとする、日銀の分析を踏まえて、こう訴える。「国民負担が増えて経済成長に良い影響を与えるわけがない。大盤振る舞いのガソリン補助金などバラマキ政策を見直す一方、減税で国民負担を減らせば、長い目で見て経済成長につながっていく」

 前出の田中教授は、年金などの社会保険料に、所得の高い人ほど負担割合の少ない「逆進性」があることを問題視する。「国民の負担を議論するならば、逆進性のある保険料負担をどう改めるかを、まず考えるべきだ」と現行の枠組みの見直し、あるべき受益と負担のバランスを議論する必要があると説く。

◆デスクメモ

 実は北欧並みの国民負担率だという。では、なぜ日本は北欧並み高福祉社会になっていないのか。われわれが負担したものがどこかに行って目詰まりし、還元されていないとしか考えられない。早急にこの構造を変えるべきだ。今や庶民の負担感は、むしろ旗を掲げる寸前なのだから。(歩)


われわれの納めた「税金」。
どこに消えたか?
「中抜き」、「大企業支援」・・・・・


廃止に向かうローカル線を黒字転換

2023年02月25日 | 生活

“ドン・キホーテ”と言われた市長の発想

岐路に立つ地方鉄道、JRが手放した富山港線の再生を手掛けた前トップに聞く

JBpress 2023.2.25(土)

  河合 達郎

 富山駅北口を走る低床車両。再整備された駅北側の広場「ブールバール」で開かれたマルシェは多くの市民でにぎわった(富山市提供)

「このままの形で維持していくことは非常に難しい」。昨年開かれた地方路線をめぐる国土交通省の有識者会議において、JR西日本は「輸送密度が2000人/日未満」の路線についてこう指摘した。そんな厳しい路線をJRから引き継ぎ、黒字化させた例がある。富山市の富山港線だ。地元主体でLRT(次世代型路面電車システム)化し、利用者数を1.5倍超にまで伸ばした。「廃止か存続か」で全国のローカル線が岐路に立つ今、改革を主導した森雅志・前富山市長に聞いた。(聞き手:河合達郎、フリーライター)

オペラとともに赤ワインを楽しむ

――国交省の有識者会議に、地方路線改革の実務を担った元首長という立場で出席しました。JR西日本が運行していた富山港線をLRT化する改革の中で意識したことは何でしたか。

森雅志氏(以下、森氏):目指したのは、市民生活の質を向上させる、ということです。公共交通はそのためのツールです。

 富山市には、本格的なオペラが上演できる2200席のコンサートホールがあります。その中にあるカフェはこれまでペイするのが難しく、経営者が次々と変わってきました。ですが、現在経営している方はうまく続けていただいています。

 それはなぜか。

 大きな要因の一つが、お客さんの来方が変わったということです。公共交通の利便性を高めた結果、お客さんもそれを使ってくるようになりました。

 すると、開演前からビールを飲む。幕間には赤ワインを求めて列ができる。そして終わってからは、周辺の店も含めて「さっきの彼らはカッコよかったね」なんて飲みなおす。JR時代は終電が21時20分でしたが、今は23時半過ぎです。

 質の高い暮らしとはこういうものではないでしょうか。

 普段、仕事は車で行くんだけど、きょうはコンサートがあるから公共交通で会社へ行く。そして、アルコールと一緒にオペラや演奏を楽しむ。そんな選択肢のある生活こそが、豊かで質の高い暮らしだと考えています。

公費投入は“ドン・キホーテ”の所業

森氏:日本では、交通は一般的に民営のものだととらえられています。単体で採算が合うということが求められ、不採算になると間引きしようという話が出てきます。すると利便性が下がり、ますます乗らなくなります。そのスパイラルで、最後は廃止です。

昭和30年代、40年代は、単体での採算を求める考え方でも成立しました。奇跡的な高度成長で、人口も右肩上がりで伸びていたからです。

 ところが、時代は変わりました。人口減へと転じ、モータリゼーションも加速していきました。道路特定財源によって、政府も車社会を推進した形になりました。結果的に、公共交通を使う人は奪われていったのです。

 ここで問題なのは、地方交通を単体で切り取ってしまう考え方です。

 単体で切り取るから、B/C(費用便益比:B=ベネフィット、C=コスト)の議論がそこから先へ出ていかないわけです。路線単体で収支が合うかどうかしか見られなければ、大都会の鉄道しか残りません。

 地方公共交通はコストがかかってベネフィットが低い。不採算路線に公費を入れるなんてとんでもない、反対だ、という人も当然出てきます。

 私は単体ではなく、地方公共交通はもう少し広く「社会的便益」というとらえ方をすべきだと訴えてきました。

 交通が持つ社会的便益とは、例えば渋滞の解消効果です。朝、1000人が利用する電車をバスに転換すると、50人乗りのバスが20台必要です。電車であれば車両をつなげ、渋滞を起こさず輸送することができます。

 そして何より、装置としての鉄道が町にあることによってもたらされる利益があるわけです。将来市民にとっての利益にもなり得ます。運行経費と運輸収入の議論だけにとどめないで、そうした社会的便益を含めた議論をすべきだと主張してきました。

――そうした論理のもと、具体的にどのようなことに取り組んだのでしょうか。

森氏:市民の利益になるものには自治体が公費を投じるということです。交通政策基本法ができるもっと前から、富山市は積極的に公費投入をしてきました。何の法的根拠もなく、市議会で予算が議決されたということだけを頼みにしてです。

「近くに電停があったら助かるね」という市民がたくさんいても、JRはローカル線に新たな駅を作ってくれません。であれば、市民の利益のために、基礎自治体である市が駅を作る。これは極めて当然の責務だと思います。JRのためではなく、市民のために、という理屈です。

 駅前のトイレはいくつも作ってきました。迎えに来たママが、トイレに行くのにいちいち駅の中まで入らなければいけないのは不便です。市民の利便性のためですから、JRに頼むのではなく、市で取り組んだのです。

 20年ほど前は、赤字のローカル線に公費を投じるなんてあり得ない、という時代でした。現実からかけ離れているということで、私は“ドン・キホーテ”とさえ言われました。

大反対→やってくれ、変化のきっかけ

――市長就任から約1年後の2003年、富山港線のLRT化を発表しました。当時の空気感はどうでしたか。

森氏:線路を取っ払ってバスに代替するというのが一般的な考え方だったでしょう。そうなると考えていた人たちはたくさんいたと思います。

 ですが、せっかくの鉄軌道をなくしてしまうと、公共交通を軸としたコンパクトな町づくりというコンセプトが崩れてしまいます。

 交通の便利なところに住む人を緩やかに増やしていこうというのが、私の基本コンセプトです。中心商店街が衰退し、郊外のあちこちに大型商業施設ができる拡散型の町づくりを続けていくと、将来市民の負担はものすごく大きくなってしまいます。道路や上下水道を伸ばし、公園も増やさなければなりません。

 だから、そろそろ拡散を止める。コンパクトな町にする。それは腕力で真ん中に寄せてくるということではなく、交通の利便性を高めるということで実現しようとしたのです。

 私はよく「団子と串」と表現しますが、中心市街地から10キロ離れた団子でも、利便性の高い串でつながっていれば、質の高い暮らしを享受できます。

――その実現のために、鉄軌道は欠かせなかったということですね。

森氏:JRが手放すというのであれば三セクで受けるしかないと判断しました。そして、受けるからにはブラッシュアップしなければなりません。

「赤字だから質を落とす」という負のスパイラルにだけはしない、という思いでした。正のスパイラルに変えるためには、先行投資が必要です。LRT化し、便数を増やし、電停も増やさなければならないと考えました。

――空気感から察するに、反発もあったと思います。

森氏:特に車だけで生活している人は大反対でした。LRTを富山駅につなぐ軌道を敷くため、片側2車線の道路を1車線つぶしましたから。

 空気が変わったきっかけは、ヨーロッパへの視察でした。

 市民や議会の代表者、マスコミの記者らと一緒に10日間ほど、自費でヨーロッパへ行ったのです。ストラスブール(フランス北東部)やカールスルーエ(ドイツ南西部)、フライブルク(同)といった路面電車のある街並みをみんなで見ました。

 その様子が、翌日のローカルニュースで流れるわけですね。すると「あんなにおしゃれな街並みになるなら、やってくれ」という声が、市民の中で出てきたのです。

 今でも消極的な支持者が圧倒的に多いと思いますが、ゆっくりと理解が広がっていったように感じます。高齢者の事故が頻発したことも、「公共交通がある暮らしは必要だよね」という考え方への後押しになりました。

LRT化に際して利便性を高め、利用者数は大幅に増加した(「第4回 鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」に提出された国交省の資料より)

今、便数はおよそ日中15分に1本、朝夕は10分に1本です。JR時代の最後は日中1時間に1本でした。運賃は富山市全域が均一で大人210円です。

 便利になったことによって、お客さんが戻ってきました。電停から直接スーパーに入れるようにして、おばあちゃんたちも乗ってくれるようになりました。

 富山港線は、引き継いで開業した初年度から黒字です。民間投資が増え、富山市の人口は、自然減ながら転入超過が続いています。

「よくわからないけど、わかったよ」

――国交省有識者会議では、路線の見直し協議入りの目安として「輸送密度1000人未満」という水準が示されました。森さんが改革に携わった富山港線以上に厳しい路線が対象になりそうです。

森氏:鉄道はいったんなくしてしまえば、回復するのはほとんど不可能です。なるべく公費を入れ、将来市民のために残すのが望ましいとは考えています。

 ですが、これは「何が何でも鉄道を残せ」ということではありません。どこまで残すのが妥当なのか、地域において議論されなければなりません。

 最適化ということを考えれば、ある駅からある駅までは公費を投入してピストン輸送する。でもその先はデマンドバスにする。あるいは、仮に高校生2人しか乗っていないのであれば、タクシー代を払った方が安くなることだってあり得ます。

 どういう選択が妥当なのかということは、自治体や市民、地域のステークホルダーの間で検討し、着地点が探られるべきです。

 そういう必要性がある路線においても、これまで協議の場が設けられないことが散見されました。自治体が「協議の席に着くということは廃止を認めることになりかねない」と及び腰になるケースです。

 今回の提言は、最低限そうしたテーブルで協議しましょうということを国が後押しするものです。

 滋賀県の近江鉄道は今、県と関係市町、ステークホルダーらの間で存続策が検討されているようです。どこまで公費が投入できるのか、便数は減らすのか、増やすのか。関係自治体によって考え方もさまざまでしょう。

 富山市はJR高山線(富山駅―岐阜駅)の活性化にも取り組んでいます。富山県内分はJR西日本が管轄ですが、富山市が負担して増発をしています。駅前広場やパーク&ライドの整備、新駅の設置もしました。利用者数は右肩上がりで伸びています。

富山市による増便や駅周辺の整備により、JR高山線の乗客数は増えている(森氏提供)

 赤字だけど市民の足。だから何とか守りたい。そういう性格の線はあちこちにあります。嘆いているだけでは変化はありません。

――廃線はネガティブな印象が強く、日々地域住民と接する自治体が踏み出しにくいという気持ちもよくわかります。

森氏:この努力をすることが首長のリーダーシップです。一切の努力をせず、交通事業者の責任でやれと言ってしまう自治体も多くあります。お金を配ったり、何でもタダにしたり、そうやって首長を続けるのなら誰でもできます。

 私が大事にしていたのは「説得責任」です。よく行政にかかわる人たちは「説明責任を果たす」と言いますが、そうではありません。目の前の市民をいかに説得しきれるか。情熱を込めて、将来像を語れるかです。

 LRT化に向けた改革の当初は、1回2時間の説明会を年間で120回ほど開きました。1日に4回開いたことも何度もあります。

「よくわからないけど、わかったよ」

 理解はしてくれなくとも、最後にはそう言ってくれる方もたくさんいましたね。そこまで言うなら、と。これが多くの方の実態だと思います。こちらが本気で熱を込めて語れば通じると思っています。

――地域にとって鉄道は思いのこもった存在です。ノスタルジーを抱く住民も多いと思います。地域の姿勢どうあるべきでしょうか。

「市政は平準的」との常識を捨てられるか

森氏:乱暴な表現ですが、あちこちで口にしていることがあります。それは「市域のどこにいても同じ水準の行政サービスが提供されるべきだ」という常識を、市民も行政も捨てなければならないということです。

 人口が右肩下がりになっている時に、どこにいても同じサービスを提供し続けるということは高コストです。限界です。

 税として還流してくる可能性がないところに投資しても意味がない。都市経営という観点に立ち、最適な投資をする。そう腹をくくった首長のいる地域は、持続性が出てくるでしょう。

 例えば、ある山間部の橋梁が更新時期を迎えている場合。かつては橋の向こうに300人が住んでいたけど、今は20人しか住んでいないというところがあったとします。

 更新する場合、同じ幅員のものにする必要はまったくありません。3キロ迂回して渡れるのだとすれば、廃止する議論も一緒にしなくてはなりません。

 市政は平準的で、表面的な公平性を保たなければならないという、多くの人たちが思ってることを投げ捨てなければいけません。

――中山間地の暮らしはどうなるのでしょうか。

森氏:市民の生活の質の向上ということを考えれば、アイデアはあると思います。

 今関心を持っているのは、交通制限速度20キロのゾーンを作れないかということです。住民は時速6キロのシニアカーで暮らす。通過交通は事実上入ってこない。交通事故死はありません。グリーンスローモビリティの町です。

 米ジョージア州・アトランタから南に50キロほどのところにピーチツリー・シティという町があります。ここではみなゴルフ場にあるカートのような乗り物で暮らしています。高校生でも運転できます。

 もともと、年金暮らしの高齢者がゴルフをしながらのんびり過ごすという町なので、住民同意の上で通過交通が入らないようにしてもいいじゃないかということにしたのです。もちろん、そのゾーンの外側に動脈となる道路はあります。

 こういうゾーンが日本でも実現できないかと、大学教授らと真剣に検討しています。

 繰り返しになりますが、交通は町づくりのための重要なツールです。都市政策が上位にあり、その中に交通政策があるという位置付けです。

 市民の生活の質を上げるためにやると考えれば、交通だけを切り取ってB/Cの議論をするのはナンセンスです。市民のライフスタイルを軸に置けば、さまざまな発想と可能性が出てくると思います。

 

もっと知りたい!続けてお読みください

秋にも激変期へ、赤字ローカル線「廃止か存続か」で泥沼化す


 北海道は幹線、ローカル線を問わず厳しい状況にあり、次々と廃線が決まっていきます。人口密度が低いこと、さらには一層都市集中が進んでいます。地域住民のためになることと、「観光資源」としての要素を組み入れなければいけないと思います。せっかく作ったものを壊してしまうのは、もったいないことです。何とか活用方法をかんがえなければ・・・。
 早く到着したい人は飛行機を使います。のんびりと、生活に合った各駅停車と「観せる」「体験する」がキーワードでしょう。美しい大自然と美味しい食を・・・
 温暖化対策にもなるものです。高速道路はゼネコンのためです。高速道路より「鉄道」です。

 


平和願う高校生たちが動いた

2023年02月24日 | 社会・経済

「すぐ武器を置き、戦争終わらせて」 ロシアのウクライナ侵攻1年 

2023年2月24日 

 「今すぐ武器を置き、戦争を終わらせて」。核なき世界を願い、日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める署名活動を行う高校生らが、ウクライナ侵攻から1年の節目を控えた23日、ロシアの核兵器による威嚇に抗議し、即時停戦を求めて東京都内を歩いた。同日には、これまでの活動を記録した映画の上映会も行われた。高校生らは「私たちの未来に核兵器はいらない。今、動かなければ、世の中は何も変わらない」と訴える。(柚木まり)

ロシアによるウクライナ侵攻に反対し、横断幕を掲げて行進する高校生ら=23日、東京都港区で(平野皓士朗撮影)

◆両国大使館の間を歩き「核兵器使うな」

 署名活動を行う「東京高校生平和ゼミナール」などの中高生、大学生ら約40人は、「核兵器を絶対に使うな」と声を上げ、港区のロシア大使館からウクライナ大使館までの約2キロを歩いた。

 ロシア大使館では「平和憲法を持つ国の未来を担う主権者として、『戦争反対』を強く訴えます」とした抗議文をポストに投函(とうかん)。ウクライナ大使館では「できるだけ早く戦争を止めるために、ロシアに抗議し、声を上げ続ける」と訴えた。応対した同大使館のブニセビッチ一等書記官は「自由な民主主義社会のために戦っている。一緒に未来をつくりたい」と高校生らに語りかけた。

 参加した埼玉県所沢市の高校2年、藤掛葉留太(はるた)さん(17)は「戦争で理不尽に人権を奪われることのない世界にしたい。唯一の戦争被爆国の日本が、核使用や戦争の無意味さを強く訴えるべきだ」と力を込めた。

 現実は停戦や核なき世界にはほど遠い。ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用をちらつかせ、核禁条約に主な核兵器保有国は不参加。日本も核兵器保有国に同調する。岸田文雄首相は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で核廃絶のメッセージを打ち出す方針だが、核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加にも後ろ向きだ。

◆日本政府に核禁条約参加を求め活動

 平和ゼミナールの中高生らは2021年夏、政府に核禁条約への参加を求め、コロナ禍の街頭で署名集めを始めた。昨年8月には愛知や広島、沖縄などの八つの高校生平和学習サークルが協力し、1万3000筆超を外務省へ提出。2万筆を次の目標に、活動を続ける。名古屋市の高校1年、坂本暁穂さん(16)は「核廃絶を掲げる政府は条約を批准し、矛盾のない行動を取ってほしい」と求める。

 こうした中高生らの活動を記録した映画「声をあげる高校生たち—核兵器禁止条約に署名・批准を」(有原誠治監督)が完成し、23日、都内で上映会が行われた。練馬区の高校3年、鳥海太佑(たいすけ)さん(18)は「私たちの声はロシア側に届いているかもしれない。若者がどう行動を起こしていくべきか、考えながら活動したい」と思いを込めた。

 映画は約45分、DVDを1枚2000円で販売する。問い合わせは、同ゼミナール=tokyo-heisemi@peace.nifty.jp=へ。


 若者たちの感性に期待したい。
もっと多くの学生が参加してほしい。

今日はプラス氣温に・・・
朝は-15℃くらいだった。
苗立て中で、温度管理があるので、あまり離れることができないが、1時間ほど江部乙に行ってきた。


○The News ● 失敗続きのコロナ・経済対策 迫る“カタストロフ”に私たちはどう向き合うか【金子勝、児玉龍彦、望月衣塑子、尾形聡彦】

2023年02月23日 | なんだかんだ。

○The News ● 失敗続きのコロナ・経済対策 迫る“カタストロフ”に私たちはどう向き合うか【金子勝、児玉龍彦、望月衣塑子、尾形聡彦】(2時間半に及ぶ長いビデオですが少しづつでもご覧いただけたら、と思います。)

 日が出れば、それなりに強い日差しをもたらしますが、まだまだ冬の様相です。
それでももう種をまかなければなりません。18日に蒔いたミニトマトが発芽して来ました。昨年は温度管理に失敗して種を再注文したりで、すっかり遅れてしまいましたが、今年はまず1段目の難関突破です。


北原みのり おんなの話はありがたい お金に困った女性の「ひととき融資」は金の力を借りた性搾取 なぜ「隠語」を次々と思いつくのか

2023年02月22日 | 生活

AERAdot 2023/02/22

作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、女性への加害欲について。

*   *  *

「わからせ」とか「男女平等パンチ」とか「ひととき融資」とか……女性への加害欲を隠さない言葉が、「隠語」のような形で広まっている。「わからせ」「男女平等パンチ」については本連載で書いてきたが、要は「“生意気な女”を暴力で黙らせたい」男たちの言葉。一方、「ひととき融資」は、「女の弱みにつけ込みたい」と考える男たちの性購買の一種です。あーあ、憂鬱になりますね。

 お金に困った女性(その理由は様々。金融機関から借りられなかったり、家族に知られたくない借金があったりする場合なども多い)たちに、お金を貸し、元金はもちろんのこと、性行為と法外な利子を求める行為だ。「ひととき融資」という言葉の語源は、「ひととき体の関係を持つ」という意味や、人と木=「人」+「―」+「木」=体、という説もあるらしいが、よくもまぁ、こんな言葉を次々に思いつくと言葉を失う。まるで女性虐待を面白がって命名する部署がこの国のどこかにあるのでしょうか。

「ひととき融資」で検索すると、女性からの相談がいくらでも出てくる。ネットで出会った人に20万円借りたが、高額な利子に加え、セックスを要求される。性行為の要求がきつい、性感染症に感染した、激しいSM行為で傷を受けた、あまりに気持ち悪くて断ったら写真を公開すると脅された、などの被害に溢れている。古くは1990年代の「援助交際」から最近の「パパ活」などまで、男性の性購買を「対等な交渉」のように使う言葉がいくつもつくられてきたが、中身は一貫して同じ、金の力を借りた性搾取。とはいえ「ひととき融資」までくると、女性に残るお金は一銭もなく、ただただ何の根拠もない「利子としての性行為」を強いられるだけだ。

 先日、新宿・歌舞伎町を久しぶりに歩いた。歌舞伎町に向かう区役所通りの入り口では、こんなアナウンスが繰り返し流されていた。

「マッチングアプリで出会った女性と一緒に行ったお店で、気がつくと女性はいなく、法外な料金を支払わされるケースがあります。見知らぬ女性にはお気をつけください。席に座ったら支払い方法を確認しましょう」

まだそういうことがあるのか……と、ネオン街に吸い込まれていくように歌舞伎町に向かう人々の層を見ながら不思議な気持ちになる。警察が注意喚起している事件の「ターゲット」になりそうなスーツ姿のサラリーマンは少数派に感じるほど、通りには、若い女性たちで溢れている。その女性たちを鋭い目で見つめ、つきまとうような男性たちが無数に溢れている。多くはホストクラブの客引きだったり、AVを含む性産業への勧誘をするスカウトだったり。女性を見定めるように街に立つ男性たちの振る舞いを遠目に見ていると、この歌舞伎町で何が起きているのか、じわじわと輪郭がクッキリしてくる。

 驚いたのは男性たちの多くが、よく知られた、高級ヨーロッパブランドの黒光りするダウンジャケット(20万円以上しますね)を着こんでいることだった。狭い道路いっぱいにホストクラブの広告車が1時間に何台も通り過ぎることにも衝撃を受けた。ネオン街の広告は、十数年前はキャバクラの広告で溢れていたのに、今は高い広告スペースにあるのはホストクラブのものだけなことも、私にとっては「新しい歌舞伎町の景色」だった。ヨーロッパの冬のアルプスを堪える分厚い黒ダウンの男性たちを大量に目の当たりにし、ここは男性が稼ぎ20万円のダウンジャケットを着て仕事をし、壊れそうな高いヒールをカタカタさせながら歩くペラペラの薄着の女の子たちが食われる街になっていることを実感する。「いつから」「なぜ」という疑問は尽きないが、「世界一の歓楽街」「欲望の街」と呼ばれる歌舞伎町のギラギラは、若い女性たちにはどのように見えるのだろう。

 友人たちと歌舞伎町を歩いていると、若い女性2人がホストクラブの客引きの男性に捕まっていた。遠巻きに見ていたが、聞こえてくる会話が不穏だった。「マイナンバーカード見せて」「保険証でもいいよ」「初回は1000円だけだから」。そんな交渉を若い男性が、10代らしき女性2人組にしている。女性たちは迷っているのか、10分以上ずっと「どうする」という感じでもじもじしているのが背中から伝わる。

 ホストクラブが入り口になり、1000円だけと言われていたのに、いろんな理由をつけられ、若い女性には支払えない金額を言われたときは、学生証などのデータを取られているので、店側の言いなりになってしまうケースは少なくないという。大丈夫かな……と思いつつ、私は自分が10代だったらどうするんだろうと、その様子をボーっと見ていた。初めての歌舞伎町で冒険してみたい気持ちもあるのかな……でもそこは危険なんだよ……というか、路上の客引きは条例違反のはず!と心の中でつぶやいていた。すると……私の横にいた友人が、「見てらんない」という感じで、女性たちと客引きの男性の間にすーっと入っていったのだった。「あっぶないよーん!」と手をヒラヒラさせながら。ほんとに、勇敢な女友だちが一人いいれば、世界の景色を変えられるという瞬間だった。

 小柄で威圧感を与えない彼女が、女性たちに明るい感じで声をかけはじめた。「ホストクラブに誘われてるの?」「ホストクラブが入り口になって怖いことになる話が増えてるから気をつけてね!」「あっぶないよー」。その様子を私はただあっけに取られて見ていたのだが、今度は私の隣にいた別の女友だちが、「私も行くわ」と同じく女性たちと男性の間に立った。彼女は山のように大きいうえにファーを着ていたのでかなりの圧をかもしだしながら「どこから来たの? え、○○県? もしかして歌舞伎町は初めて? 大学生なんだ、エー18歳? やめなよ~、あぶないよ~、だいたい、フツーのお店でマイナンバーカードなんて要求しないよね~」と話しかけだしたのだ。

 そうなると、私たちも動かざるを得ない。羊たちの沈黙状態だった私もそろりそろりと女性2人に向かい、一緒にいた女友だち数人が女性たちに声をかけはじめた。客引きの男性は「仕事、邪魔しないでくれる?」と突然現れたおばちゃん集団にひるみながら言うのだが、別の女友だちが「キャッチ(客引き)は条例違反って、そこに書いてあるけど」と言うと、「キャッチしてません、声がけです、違反じゃないです」とモゴモゴ言うのだった。結果的に数の力は大きいのか、女性たちをその男性から私たちは引き離すことになった。

聞けば、彼女たちは地方から上京した大学1年生。初めての歌舞伎町で声をかけられ怖かったけど断れないどうしよう……と思っていたところだった、とのことだった。かなりしつこく勧誘されるので、1000円だし、ま、いいか、と決めようとしたところにおばちゃん登場、という感じだったらしい。ものすごいしつこいナンパや、ものすごいしつこい客引きに、「うるせーな!」「ほっておけ!」と啖呵を切れるような訓練をこの国の女性たちは受けていないので、まず話を聞いて、ニコニコ笑い、相手を怒らせないようなタイミングでフェイドアウトできるかどうかを探りながら、結局フェイドアウトできずに……というような経験をする人は少なくない。キラキラするネオンは魅力的で、そのドアの向こうには何があるのか知りたいという気持ちも、若いときはきっとあるのだろうと思う。そこは危険よ!という女たちのお節介こそ「うっせー」と思う人もいるだろう。それでもこの国は、「女を買う」ことがあまりにも当たり前になり、そのために「女から奪う」ことも当たり前になっている。そしてそのことに罪悪感をもたないで済む価値も生まれている。「これは俺たちの仕事ですから」「仕事を奪うな、邪魔するな」という経済の論理で。

 極寒の2月の歌舞伎町。冷たい夜の空気にネオンは美しく光っているのだけれど、この街でつくられる無数の痛みを打ち消すための過剰な光にも見えてくる。せめて、優しい寝床と安全な関係を、女性たちが信じられますように。そう祈るしかない、かなり無力な私を自覚している。


 こうして「少女」たちを守る活動を続けている団体があるのです。自腹を切ってまでして。

 昨日は-24℃で、朝だけ晴れていました。昼過ぎてから雪になり、今朝はかなりの雪が積もりました。



成田悠輔“老人が自動でいなくなるシステム”子供への指南が再燃「恐ろしい」「刷り込むな」

2023年02月21日 | 事件

2023/02/21

『女性自身』編集部

 

    過去に唱えた「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」という主張が、世界的に波紋を広げている経済学者で米イェール大学のアシスタント・プロフェッサー・成田悠輔氏(38)。

    「米紙『ニューヨーク・タイムズ』で取り上げられたことを機に、イギリスやドイツのメディアでも取り上げられました。イェール大学は2月16日までに公式サイトを更新し、成田さんのプロフィール欄に“成田氏のメディアや学問に対する意見は、彼個人のものであって、経済学部やイェール大学の見解を代表するものではありません”と追記するほど。成田さんは少子高齢化問題の解決策を提起するにあたり、これまでも過激な表現で持論を展開してきました」(全国紙記者)

    国内ではSNSで「#成田悠輔をテレビに出すな」のハッシュタグも出現する一方、渦中にある成田氏は沈黙を貫いている。2月9日にTwitterで、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』と報道番組『ABEMA Prime』(ABEMA)の引退宣言をして以降、更新は止まったままだ。

    そんななか、成田氏の過去の発言が再び物議を醸しているのだ。事の発端はとあるTwitterユーザーの投稿。成田氏がある男子生徒の質問に答える動画を取り上げると、瞬く間に拡散し1100万件以上のインプレッションを集めている。

  問題視されているのは、昨年5月に日経テレ東大学のYouTubeチャンネルで公開されたトーク番組『Re:Hack』内でのこと。成田氏と“ひろゆき”こと西村博之氏(46)が、群馬県・前橋市で20人の小中高生と討論した企画だ。

■“老人が自動でいなくなるシステム”にフィクション映画を紹介

    男子生徒が「成田さんはよく『Re:Hack』内で『老人は自害しろ』とか言っているじゃないですか。老人は実際に退散した方がいいと思います。で、そういう時に、老人が自動でいなくなるシステムを作るとしたら、法律とかでもいいんですけど、どうやって作りますか?」と質問。

すると、成田氏はこう答えた。

「どういう風にやるかっていうと、結構ありえる未来社会像なんじゃないかと思っていて。そういう社会を描いた映画があるんですよ。ちょっとしたSF映画みたいなんで。みんな生まれた時に腕にタイマーが埋め込まれていて、何十年か経つとタイマーが作動して自動的に亡くなるようになっている。みんな等しく、寿命の上限が与えられていて、その時間になったら亡くなるっていうのが埋め込まれている社会が一個」

さらに話は続き、成田氏は別のフィクション映画を紹介。

「もう一個それっぽい社会を描いた映画があって。サマーなんとかっていう映画で、謎の架空の集落を描いた映画なんですよ。その集落では一定の年齢になると、その人が崖の上に上がっていって、飛び降りるのが風習になっている架空の村を描いたものなんですよ」

子供たちに2つの映画を紹介した上で、成田氏は「こういう架空の村みたいなものっていうのは、歴史上だと存在していたらしいんですよね。そんな感じの社会を考えることはできるんじゃないですか。それが良いのかどうかっていうと難しい問題ですよね。もし良いと思うのなら、そういう社会を作るために頑張ってみるのも手なんじゃないかな」と投げかけたのだった。

 「生徒の質問に成田さんは、“老人は自害しろとは言ったことがないけど、切腹が社会保障改革への最短経路と言ったことはある”と説明していました。ですが、これまでの成田さんの発言を元に質問した生徒は、やや困惑している様子でした。また、成田さんが挙げた映画はおそらく『TIME タイム』と『ミッドサマー』だと思われます。フィクション映画を紹介するだけして、良し悪しの判断は子供に委ねる形でした」(WEBメディア記者)

    真剣な面持ちで耳を傾ける生徒たちに、“フィクションの世界の実現”を促した成田氏。Twitterでは彼に対する批判の声や、子供への影響を懸念する声が相次いでいる。

《子供に変な思想刷り込むなや》

《そういう社会を作るように頑張れ? 恐ろしい》

《うわあ成田はほんとに子供の教育に悪影響だな 質問してる子供の表情見なよ 明らかに不信感から質問してるやん》

《これ自分にとって必要の無い人間、必要の無くなった人間を「排除」に繋がりかねない危険な思想や思考を植え付けるような話だよね。いまは老人の事としてるけど、もしそんな世界になったとして、自分の番が来た時にそれを受け入れられるんだろうか?》

出典元:WEB女性自身


 なんとも耐えらない話である。
底が抜けた国日本、タガが外れた国日本でこのような発言をする個人は予想される。

 しかし、これがメデイアを通じて流されたという点に最も重大な問題を感じる。
わたしはTVがないので、この番組がどこで放映されたのかわからなかった。TV局も地に落ちたもんだとの想いだった。調べるとYouTubeチャンネル『日経テレ東大学』と「ABEMA」 であったことを知り、少し「安堵」。いや、決して許すような問題ではない。

 この番組を支援しているスポンサー等への「不買運動」など何らかの対応が必要と思う。コンプライアンスの自覚を企業に持たせなければ…


岸田首相「LGBT理解増進法」文言変更でお茶濁し…旧統一教会「被害者救済法」と同じ光景

2023年02月20日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL  2023/02/20

   首相秘書官の差別発言を機に、LGBTなど性的少数者をめぐる法制度がにわかに重要テーマになってきた。

「G7でLGBT差別禁止法がないのは日本だけ」という事実が国際問題化してきたこともあり、岸田首相は先週金曜(17日)、LGBT支援団体の関係者と官邸で面会。「不当な差別と受け取られる極めて不適切なものだ」と秘書官の発言を陳謝した。森雅子首相補佐官を「LGBT理解増進担当」に充てることも決めた。

 だが、岸田首相が“本気”と思ったら間違える。

「これだけ大ごとになって、何もしないのはマズい。それは自民党内も分かっている。ただ、岸田首相は差別禁止に踏み込むなど、反対している党内保守派を突破するつもりはありません。『理解増進』と強調し、『不当な差別』と表現に気をつけているでしょう。議員立法なので党に任せる形を取りつつ、たなざらしとなっている『理解増進法案』の文言を変える形でお茶を濁すのでしょう」(自民党関係者)

 2年前に議員立法が提出できなかったのは、法案の「『性自認』を理由とする差別は許されない」という文言が自民党内で問題視されたからだった。これを「不当な差別」と修正したり、「差別」という言葉自体をなくすことなどが検討されるようだ。

■ヘイトスピーチ問題でも「禁止法」が罰則なし「解消法」に

 これって、どこかで見た光景だ。昨年の臨時国会で成立した旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済法と同じじゃないか。「禁止」ではなく「配慮義務」となり、そこに「十分な」を加えて与野党が折り合った。当事者や弁護士からは「ないよりマシだが、役に立たない」という声が上がった。

 LGBTの当事者は「差別禁止」を求めているし、世論の6割超が「同性婚」に賛成している中で、相変わらず自民党はズレている。既に「差別禁止法」を提出している立憲民主党は、文言修正の議員立法で骨抜きにされていいのか。

「ヘイトスピーチ問題の時も、当初の禁止法が結局、罰則のない解消法になった。『ヘイトはよくないが、ヘイトはしてもいい』というおかしな話です。もっとも、この解消法をベースに自治体が罰則条例をつくる動きが出てきた。LGBT法も理解増進ではなく、せめて裁判に援用できる差別解消法にしないと意味がありません。理念だけでは、国際社会で汚名返上はできません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 岸田首相は「正当な差別」なら許されると思っているのだろうか。“やってる感”で広島サミットの議長が務まるのか。


今頃「理解増進」などと言っているのは時代遅れの自民党だけだろう。
理解不能集団。


Colaboへのバッシング

2023年02月19日 | 事件

ジャーナリスト 安田浩一さん

「しんぶん赤旗」2023年2月19日

   2023焦点・論点

攻撃の背景に女性差別がある 「何が真実か」という姿勢必要

 虐待や性被害に遭う若年女性に寄り添う一般社団法人Colabo (コラボ)に、インターネット上で「公金の不正利用」などとする攻撃が止まりません。差別問題に詳しく、自身もコラボを取材するジャーナリストの安田浩一さんは「攻撃の背景には女性への差別がある」とみます。(聞き手・安川崇)

 ―コラボに対する一連の攻撃は、昨年末から今年初めにかけて、都内の男性による東京都への住民監査請求をきっかけに激化しました。

 コラボが都の若年被害女性等支援事業の委託料を受けていることについて、男性は「医療費不正」「車両費不正」「報告書の不備」などがあると主張しました。しかし、監査結果は男性の主張のほぼすべてを「妥当でない」などとして退けています。

 経費精算の一部などに「不当」「不適切」とされた部分はありますが、同時に監査結果は「実際には都の委託料以上の経費が生じており、コラボが持ち出して負担している」「都に損害をもたらすという関係にはない」と明言しています。「不法」や「違法」、「不正」が具体的に認定されたものは一切ありません。

 にもかかわらず、ネット上で一部の人たちが「コラボが行政から公金をむしり取っている」かのようなデマを広げています。リベラルとされる人の一部も影響されています。

 そもそもこの事業は都が頼んだものです。若年女性支援は本来、行政の仕事ですが手が回らずノウハウもないので、以前から事業を展開してきたコラボに委託しました。

 私もコラボの事業を取材して、活動地である繁華街、新宿・歌舞伎町の風俗産業への認識を改めました。

 家出してスーツケースを引っ張る10代女性や、薬物の影響らしく意識がもうろうとして倒れ込んでいる若年女性を目の前で見ました。そして意外なほど多くの男性が若年女性に声をかけ続ける。風俗業者や関係者です。

 若年女性をビジネスの材料として引き込み利用する構図をみることができます。そういう女性を救済するコラボの役割は、絶対に重要です

 ―「コラボたたき」と差別の問題を指摘しておられます。

 「コラボたたき」もそうですが、「公金」や「血税」といった言葉を多用し、「自分たちが被害者だ」として特定の個人や団体、集団を攻撃するのが「21世紀型差別」の特徴だと思っています。差別問題を取材してきた私には、強い既視感がある。

 そのはしりが、2006年に現れた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)でした。「在日韓国人は生活保護を優先利用できる」などの、虚偽の「在日特権」を言い立て、全国で残酷なヘイトスピーチ(差別扇動行為)を繰り返しました。

 圧倒的多数の日本人より優越的な立場にいる外国人などいないのに、「外国人が日本人を苦しめている」という倒錯したロジック(論理)が、ネットを通じて流布されていく。コラボにぶつけられている「公金不正」も、「在日特権」と地続きの言葉だと感じます。

 デマに数多くの匿名ネットユーザーが喜々として飛びつき、バッシングに手を貸すところも似ています。

 ネットのデマは、攻撃する側が一方的に力を持ちやすい。デマは簡単で証拠も不要、匿名という安全地帯から数秒で書けます。一方、反論する側は証拠をそろえ、言葉を紡ぐのに手間がかかる。攻撃側が瞬間的に勝てるから「勝つ勝負に加担する楽しさ」を味わうのでしょう。「娯楽」です。いじめの風景と同じものを感じます。

 コラボの場合、それに加えて「未成年者を食い物とする一部風俗産業の構造を維持したい人々」が攻撃に加担しています。夜の街で、コラボの活動を威圧するようについて歩く業者らしき男性を、私も見ています。

 コラボがたたかれるのは、女性が中心になって活動する団体だからだという点も指摘したい。今の日本社会では、女性であることだけで差別を受けやすい。同じことをしていても、男性ではなく女性が差別の標的になります。

 差別者の根底には、口には出さないミソジニー(女性嫌悪)があり、女性を「たたきやすい、たたいてもいい存在」だと思っている。攻撃そのものの前提に、女性差別があると思っています。

 ―私たち市民は何をすべきでしょうか。

 まずはデマに流されないこと。「何が真実か」という姿勢が必要です。そして家族や職場など、身近な人に真剣に、それを伝えてほしい。「口をつぐまないこと」が大切だと思います。

 やすだ・こういち 1964年静岡県生まれ。週刊誌記者などを経て2001年、フリーに。12年、著書『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。


 現時点でコラボの活動は重要な役割を持っています。その活動に寄り添い、支援してこそです。


「はだしのゲン」の何が問題視されたのか 広島市教委の平和学習教材から外された理由

2023年02月18日 | 教育・学校

「東京新聞」2023年2月18日
       こちら特報部

世界中で親しまれている「はだしのゲン」。すでに23言語に翻訳されている

 

 広島市教育委員会は、市立小学校3年生向けの平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」を、2023年度から削除し、別の被爆者体験談に差し替えることを決めた。理由は「被爆の実相に迫りにくい」からだという。原爆の恐ろしさを伝える世界的な名作「ゲン」への評価としては首をかしげたくなるが一体、何が問題なのか。(宮畑譲)
 
 

◆「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」

 同市の全小中学校、高校では、2013年度から平和教育プログラムが始まり、市教委が学齢に応じて作った教材「ひろしま平和ノート」が使われている。

 「はだしのゲン」は小学校3年生向けの教材に掲載。家計を助けようと浪曲を歌って小銭を稼いだり、栄養不足で体調を崩した母親に食べさせようと池のコイを盗んだりするシーンが引用されている。家屋の下敷きになった父親がゲンに逃げるよう迫る場面も使われてきた。

 だが、13年度のプログラム開始後、市教委が設置した大学教授や学校長による会議が教材の改定を検討する中で、引用された漫画の場面が「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」「コイ盗みは誤解を与える恐れがある」などの指摘が出ていたという。

 市教委の高田尚志指導第1課長は「ゲンは市民に広く読まれており、市にとって大切な作品という認識は変わらない」としつつも、「漫画の一部を切り取ったものでは、主人公が置かれた状況などを補助的に説明する必要が生じ、時間内に学ばせたい内容が伝わらないという声があった」と説明。23年度版からはゲンの掲載をやめ、被爆者の体験を親族に聞き取って再構成した教材を使うという。

◆総発行部数1000万部、アニメやミュージカルにも

 「はだしのゲン」は、広島に投下された原爆で父や姉、弟を亡くした少年・中岡元が、たくましく生き抜く姿を描く長編漫画。1973(昭和48)年から87年にかけ、「週刊少年ジャンプ」などで連載された。故中沢啓治さんが、自らの被爆体験を基に描いた。

 愛蔵版などを含めた総発行部数は1000万部を超える。エンターテインメントとしても評価され、アニメやミュージカルにもなった。多数の言語に翻訳されていて、2007年には、核拡散防止条約(NPT)の委員会で日本政府が英訳版を配布する一幕もあった。

 それだけに今回、作品が平和教材から消えることのショックは小さくない。

 中沢さんの妻ミサヨさん(80)は「市教委が決めたことだから仕方がない」としつつ、残念さをにじませた。中沢さんは、原爆の悲惨さをどう描けば子どもたちに伝わるか、面白く読んでもらえるか、必死に掘り下げて考えながら一コマ一コマ描いていたといい、教材に採用されることを知った時は喜んでいたという。

 ミサヨさんは「これまで子どもに親しまれていて、理解してくれていると思っていた。物語で描いているから、全部読んでもらえば、戦争の悲惨さやなぜ戦争が起きたかも分かってもらえると思う」と話す。

◆子どもの世界を広げるのが教育なのに…

 「はだしのゲンは多くの人に読まれてきた社会的価値のある作品」と評価する名古屋大の中嶋哲彦名誉教授(教育行政学)は「授業で使うことで作品を読むきっかけになり、学習が広がる。子どもの世界を広げていくのが教育。切り出した場面が分かりにくければ、違う場面を使う方法もあったのでは」と指摘する。

 ゲンを巡っては12年、松江市教委が「描写が過激」として、学校図書館の倉庫に移して閲覧を制限するよう市内の小中学校に要請し、後に撤回する騒動もあった。この件も踏まえ、中嶋氏は「今回のことをきっかけにして、学校からゲンがなくなることにつながってはいけない。これまで以上に学校図書館に置いてあるといったことをアピールしていくべきだ」と話す。


 少し前のこと、「教科書検定」で「パン屋さん」を「和菓子屋さん」に変えさせた。「浪曲」を「ロック」にすればよいのか?いつから逆転したのか!こんな機会に「浪曲」とは何かと調べれば教育的でもあろう。日本の文化を発展、継承しようと思う子が現れるかもしれない。
「戦争」を考えるうえで食べるための「鯉泥棒」を記述することに何の問題があるのか? そもそも「戦争」とは人殺しであろう。「戦争法」が成立し、利権、忖度のはびこる現代のほうがおかしいとは思わないのか?

散歩道

 


発がん性物質PFASによる水汚染が全国で…危ない街は114カ所も!身を守る方法は?

2023年02月17日 | 健康・病気

「女性自身」2023年2月28日号

「自分の血液から、こんなに高い濃度の発がん性物質が検出されるなんて……」

そう驚くのは、東京都国分寺市在住の竹内和子さん(仮名・67)。竹内さんが語る発がん性物質とは、有機フッ素化合物(以下、PFAS)のこと。水や油をはじく作用があり、フライパンのコーティングや撥水加工された衣類などに多用されている化学物質で、約4千700種類あり、代表的なものにPFOA、PFOSがある。

PFASは自然界で分解されにくいため“永遠に残る化学物質”とも呼ばれ、長期間摂取することで発がんリスクがあるという。歯磨き粉などに配合されている“フッ素”とは異なる。

米軍基地などで使用されている泡消火剤にも含まれており、米軍基地の多い沖縄県や、横田基地(東京都福生市)を抱える多摩地区は、かねて河川や地下水、水道水などから国の暫定基準値(PFOAとPFOSの合計が50ng/l)を超えるPFASが検出され、問題になっていた。

昨年末、多摩地区の有志が住民87人の血液検査を実施。すると、前出の竹内さん含め74人の血液から、アメリカが定める血中濃度の指標(20ng/ml)を超える値が検出されたのだ。住民らの値は、一般の人の血中PFAS濃度に比べ、3〜4倍高かった。

「国分寺市は、井戸水を水道水に引いています。近所には、遠方からもくみに来るほど“名水”と呼ばれる湧き水もあって、私も時々、その水でお茶やコーヒーをいれて飲んでいました」(竹内さん)

現在多摩地区では、基準を超える恐れがある11の浄水施設で井戸からの取水を中止している。

実は、1月24日、このような河川や地下水のPFAS汚染が全国的なものであることが判明した。環境省の発表によると、全国13都府県の河川や地下水など81地点で、国の基準値を超えていたのだ。さらに、県独自の調査を行った沖縄県でも、33地点の汚染が判明している。

住民らと共に血液調査を行っている京都大学(環境衛生学)准教授の原田浩二さんは「大勢の住民が長期間にわたって摂取する水源が汚染されると、その影響は広範囲に及ぶ」と指摘する。

「今回公開された81地点は、あくまでも河川や地下水からPFASが検出されただけで、水道水に含まれる量ではありません。ただし、なんらかの汚染源があるということですから注意は必要です」

さらに多摩地区や沖縄県以外にも「水道水からも高いレベルのPFASが検出されている場所がある」という。

「明らかになっているところでは、愛知県豊山町、北名古屋市は2年前、国の目標値を超える汚染が見つかり取水場所を変更しています。ただし、これまでずっと汚染された水道水を使っていたわけですから、その影響は残っていると思います。兵庫県明石市も水道水の水源自体が汚染されている場所があって、’25年までに取水場所を変更するなどの対策を取るようです」

浄水場では、PFASなどの有害物質を除去するために、活性炭でろ過するなどの処理を行っているという。

「ただし、活性炭の効果は3年程度で、経年により効果も薄くなっていきます。そのうえ活性炭に吸着したものが出てしまうということもあるので、汚染源自体を突き止めて除去する必要があるのです」

つまり、河川や地下水からPFASが検出されている地域は、現在、水道水から検出されていなくても注意が必要というわけだ。

蛇口に活性炭フィルター取り付けて自衛を

「問題は、水道水のPFAS調査は義務ではないこと。調査していない自治体の場合、汚染に気づいていない可能性もあります。また、水源だけでなく農地なども汚染されている可能性があるので、食物を通して摂取してしまうことになりかねません」

PFASは自然界に存在しない物質なので、工場や廃棄物処理場、米軍基地など、なんらかの形でPFASを使用している施設が汚染源となっている可能性が高い。すでにアメリカでは、米軍や企業が市民から訴えられるケースが続出している。

「アメリカではコレステロール値が高くなる脂質異常症や、甲状腺疾患、子どもの低出生体重、腎臓がんなどが懸念されています。これらの健康被害が生じる可能性があるとわかったのも、PFASを使用していたデュポン社が’02年に、オハイオ州の住民から集団訴訟を起こされたのがきっかけでした」

実際に、最新の研究ではPFASを摂取した人では腎臓がんのリスクは2倍以上高まることが明らかになっている。

一刻も早く改善策を打ち出すべきだが、10年以上前から規制が進んでいる欧米と比べて日本政府の対応は鈍い。

「欧米では、’10年ごろには暫定的な目標値が定められていましたし、アメリカでは、飲料水だけでなく土壌を含めて農産物に対するモニタリング支援を行っています。一方日本は、海外での規制強化を受けて、今年1月からようやく専門家会議などで数値目標の“検討”が始まったばかりなんです」

規制する方向に進んでも、「日本の場合、米軍基地周辺の汚染源の特定や除染が極めてむずかしい」と指摘するのは、元・陸上自衛隊員の井筒高雄さん。

「米軍は、自国だけでなく、ドイツや韓国、ベルギーなどの在留米軍基地周辺の住民からもPFASの被害で訴えられています。米軍は、それぞれの国の規制に従って除染を進めていますが、日本の場合は日米地位協定という“不平等条約”があるせいで、除染どころか米軍基地内の汚染の調査すら十分に行われていないのが実情です」

前出の原田さんいわく「自宅の蛇口に安価な活性炭フィルターを付けるだけで、おおよそのPFASは取り除ける」という。活性炭フィルターは安価なものでも効果がある。汚染が発覚した地域では「高価な浄水器」の売り込みも行われているので注意が必要だ。

【解説】汚染水が検出された114地点


今日の一時の晴れ間。


「結社の自由」侵害 看過できぬ 憲法学者・慶応大学名誉教授 小林節さんに聞く

2023年02月16日 | 社会・経済

敵基地攻撃能力 国を滅ぼす

「しんぶん赤旗」2023年2月16日

「結社の自由」侵害 看過できぬ

 日本を戦争への道に引き込む岸田文雄首相の敵基地攻撃能力の保有、大軍拡路線と、その中で起きている日本共産党への新たな反共キャンペーンについて、憲法学者で慶応大学名誉教授の小林節さんに聞きました。(日曜版・田中倫夫)

 私は、日米安保体制と自衛隊を是とする立場です。一貫して「専守防衛」を唱えています。

 その私からみても、岸田内閣が閣議決定した「安保3文書」に書かれた、敵基地攻撃能力の保有に沿った大軍拡・大増税路線は、「国を滅ぼすものだ」、と厳しく批判しなければなりません。

 ロシアのウクライナ侵略以降、国際的な緊張は激化しています。「専守防衛」の立場に立ち、本当に必要な防衛力の整備は進めなくてはいけないと考えています。しかし、いわゆる敵基地攻撃能力の保有や、防衛予算の2倍化などは、どう見ても「専守防衛」とはかけ離れています。

 日本は第2次世界大戦で大きな失敗をし、日本国憲法という「宝」を得ました。「国の能力を奪われた屈辱」という人もいますが、私は国が成長できたのは憲法のおかげだと思います。その素晴らしいところは、「戦力不保持」「交戦権の否定」を定めた9条2項です。日本は外に出て戦争してはいけない。これはすごいことで、日本は世界でもユニークな国です。

 安倍晋三元首相がつくった戦争法(安保法制)は、米軍にくっついて自衛隊がその「2軍」として世界に出ていけるようにしてしまった。この明確な憲法違反を前提に、敵基地攻撃能力の保有とか防衛費の倍増が進んでいることに、危機感をもたねばいけません。敵基地攻撃能力の保有を言いだしたのは安倍元首相です。

 「安保3文書」「大軍拡」の大本は、第2次安倍内閣が強行した戦争法です。それを岸田首相は重装備で海外派兵できる形にして突き進もうとしています。日本が攻撃されてないのに、米国が起こした戦争に自衛隊がいっしょに行動することになりかねません。自民党の国防族の人は「安全でないと思ったら最初から撃つ」とも言っています。これは国連憲章で否定されている「先制攻撃」です。日本は報復を受け、「新しい敗戦」をすることにもなりかねません。とんでもない話です。

大軍拡止めるため頑張る共産党をバッシング

 この事態にストップをかけるために、野党は結束しなければならない。ところが、いま、岸田大軍拡の道を止めようと野党の中核でがんばっている日本共産党に、メディアなどのバッシングが強まっています。

 「朝日」の社説(8日付)には驚きました。規約に反して、外部から党を攻撃した党員を日本共産党が除名処分にしたことを、“党勢は細るばかりだと思い知るべきだ”と最大限の言葉で非難しています。

 この問題を考えるには、憲法21条1項が保障する「結社の自由」の意味を深く理解する必要があります。21条には集会、結社、言論、出版の自由が列挙され、「表現の自由」としてくくられ、保障するとしています。

 「結社」とは人の集団のことで、犯罪を目的としない限り、どんな結社を作ろうが自由です。その結社の入会資格や内部規律(規約)もそれが犯罪でない限り各結社の自由です。その目的や規律が嫌いな人はその結社に入らないか、いったん入っても後にそれがいやになったら出る自由もあります。

 すべての結社には内部規律に関する自治権があります。違反者には懲戒処分をすることができます。これは日本共産党に限ることではありません。日本共産党は戦前、人権が認められていなかった大日本帝国憲法のもとで人権と反戦を主張するとして弾圧され、非合法政党とされました。日本国憲法のもとで合法政党になってからも、他国の共産党からの干渉などで党が分裂したこともありました。そのような経験をしたため日本共産党の規律は厳格で、派閥は禁止されています。結社の自由です。

 処分された党員が、「全党員による党首選」の意見を持つことは自由です。しかし、それを認めると必然的に派閥が生まれ、規約に反することは自明です。

 処分された党員が“日米安保条約の堅持”“自衛隊合憲”という意見を持つことも自由です。しかし、日本共産党は綱領で、国民多数の合意での安保条約の廃棄をきめています。自衛隊についてもアジアが平和になるなど国際情勢が許し、主権者国民の多数が認めたら、解消するとしています。

 それが正しくないと思うなら、まず規約通りに党内で意見を述べるべきです。それが通らなければ、自分の意見を「保留」することも、「結社の自由」を行使して離党することもできます。

 日本共産党は規約で、党員がどの機関にも意見を出し、回答を求めることができると保障しています。にもかかわらず、除名となった党員は党内議論を行わずに、時間をかけて準備した出版という形で、いきなり党外から党への批判的な意見をぶつけてきた。これはルール違反です。他のどの組織であれ、除名を含む処分はありうると思います。

 「朝日」などメディアがこの件で日本共産党をバッシングしているのは、看過できません。新聞は「第4の権力」といわれるような社会的権力です。ある意味で人権を大切にしている「朝日」が、日本共産党の「結社の自由」を侵害する行為をしていると言わなければなりません。

 多くのメディアは岸田政権の敵基地攻撃能力の保有や大軍拡路線にたいしてまともな批判をしていません。日本共産党を攻撃する前にもっとやることがあるのではないでしょうか。

 こばやし・せつ 1949年東京生まれ。77年慶応大学大学院法学研究科博士課程修了。ハーバード大ロースクール客員研究員等を経て、89年慶応大教授。2014年同名誉教授。21年全国革新懇代表世話人。『「人権」がわからない政治家たち』など著書多数。


全くそのとおりです。
批判すべきところにまともな批判をして欲しいものです。
これではメデイアの「力量」が疑われてしまいます。


少女の居場所 妨害撃退 女性ら「壁」 活動守る 東京・歌舞伎町 Colabo「バスカフェ」

2023年02月15日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2023年2月15日

 性搾取や虐待の被害に遭った少女らに寄り添い活動する一般社団法人Colabo(コラボ)の事業で、食料の提供や少女らの居場所となっている「バスカフェ」への妨害が激しくなっています。コラボの活動を守ろうと8日夜、雨が降る中25人以上の有志の女性たちが東京・新宿に集合。「女の壁」をつくり妨害者を追い払いました。現場を見ました。(取材班)

 居酒屋や風俗店が並ぶ新宿区歌舞伎町。この日もピンクのバスの周囲にいすなどを置き、少女たちを受け入れるバスカフェが始まりました。

バスに近づき

 午後9時すぎ、数人の男性がバスの前に。中にはすでに20人以上の少女たちがいました。

 男性らは「ただ通るだけ」と言いながらも、バスカフェを覗き込みカメラを回します。

 その男性たちはこの日以前にも数回バスカフェを訪れ、怒鳴ったり動画を撮影したりしてきました。

 「女の子たちが怖がるからやめて」「早く向こうへ行って」―。

 そう説得しながら、バス前や周囲で待機していた女性たちが、男性らをバスに近づけないよう囲みます。

 女性たちに対し男性らは「ブス」「ババア」などの暴言も。ある男性は自慰行為の仕草をしながら「風俗王」だなどと叫びます。

 押し返されながらも執拗(しつよう)にバスに近づこうとする男性らに女性たちは詰め寄り、コールしながら、じりじりと遠くへ追いやりました。

 一方で、バスカフェから離れたところに「Colaboに連帯します」「デマはやめろ」といった自作のプラカードを持つ男性たちの姿が。

 その一人は「本来行政がやるべき支援をコラボがしているのに、デマを流し、妨害を楽しんでいる。ヘイトクライムの域だ。女性をたたいて面白がっているのはグロテスクだ。今連帯の意思を示さないと」と話します。

 静かに立つ理由は「コラボの活動の邪魔をしたくないから」といいます。

 「コラボは女性が主体でやってきた。男性が近くにいるだけでも、少女たちがバスカフェを利用しづらくなってしまうかもしれない」

相談件数減る

 この間、コラボや代表の仁藤夢乃さんに関するデマや中傷がネット上で広がり、事業への直接の妨害に発展。少女たちが安心してバスカフェを利用することが困難な環境になっています。相談件数は減少。仁藤さんは「本当に支援が必要な女の子につながれていないかもしれない」と憤ります。

 これまでバスカフェには▽開設前から複数の男性が無言で立つ▽バスカフェの前でライターを片手に「火つけたろか」とつぶやく▽陰から望遠レンズで撮影する▽撮影したものをネットに投稿し、中傷する▽バスカフェの利用者や関係者を特定する―などの嫌がらせが多発しています。

 そんな状況を「見過ごすわけにはいかない」と1日から有志で集まった、議員や弁護士も含む女性たち。夜が深まるにつれ気温が下がる中、体を小刻みに動かしたり、コートの襟やマフラーを締め直したりしながら見守りを続けています。

 仁藤さんは「女性たちだけでコラボの活動を守ってくれるのは大きな力だ。一緒に声を上げ、連帯し、行動してくれる女性たちの存在を、女の子たちも喜んでいる」と声に力を込めます。


今季一番の冷え込み。
今朝はいい天気でしたが昼前から雪がちらつきます。


原発60年超稼働の結論を急いだ原子力規制委

2023年02月14日 | 自然・農業・環境問題

「法案の締め切りがあるので仕方ない」と山中伸介委員長 

「東京新聞」2023年2月14日

 議論は尽くされたのか。原発の60年超運転を容認する新たな規制制度を、原子力規制委員会が多数決で決定した。賛成した委員たちも少数の反対論を封じ込める性急な手続きが進められたことに懸念を示した。(小野沢健太、増井のぞみ)

◆反対貫いた石渡委員 最後は多数決で結論

「この改変は科学的、技術的な新知見に基づくものではない。安全側への改変ではない。審査を厳格にすればするほど、より高経年化(老朽化)した原子炉が動く。私はこの案に反対します」

 臨時会の開始から約1時間20分が経過した13日午後7時50分ごろ、最終的な採決で賛否を問われた石渡明委員は、淡々とした表情であらためて「ノー」を突きつけた。傍聴席からは「原発やめて」などと怒声が飛び交う中での強行採決となった。

 石渡委員は、審査による停止期間を運転年数から除外する政府方針が、審査が長期化した原発の延命策につながることに対し「審査する側として耐えられない」と吐露。ほかの委員が規制案の妥当性を説明すると、時折、顔をしかめながら聞いていた。

◆賛成した委員も「じっくり議論するべきだった」

 賛成した委員からも疑問の声は上がった。杉山智之委員は「締め切りを守らなければいけないように、せかされて議論してきた。われわれは独立した機関であり、じっくり議論するべきだった」と指摘。伴信彦委員は、60年超の原発の審査について詳細が決まっていない段階での決定に対し「制度論ばかりが先行し、60年超をどう規制するのかが後回しになっていることに違和感がある」と懸念を示した。

 臨時会後の記者会見で、性急さを問われた山中伸介委員長は「法案のデッドライン(締め切り)があるので仕方ない」と釈明した。


これが「政権」が嫌う科学なんでしょう。
これで、もしものことが起きた場合、どう責任を取ってくれるのでしょうか?
いつまでも裁判所は「無罪」を言い渡してくれるとは限らないでしょう。
「規制委員会」ですからね。
責任は重たいですよ。

自分の良心に従うこと。
科学を手にする者たちの最低限の立ち位置ではないか!