“水の女王”、ラジオのスタジオで

パラ競泳で女性アナの実況、島岡美延です。
NHKの澤田彩香アナ、落ち着いて正確な語り。
女性スポーツキャスターは多いけど、実況はまだまだで、ここにも男女差。
昨日は“水の女王”成田真由美選手が最後の種目、50㍍背泳ぎで6位入賞。
8位通過の予選やアテネ大会より速いタイムでも「ベストじゃなかった」と悔しがる姿が印象的。
成田選手は1994年に水泳を始め、1996年アトランタ大会で2個の金メダル、川崎市市民栄誉賞の第一号。
今も川崎市市民文化大使など、確かな発信力で講演活動。
私がかわさきFMのスタジオでインタビューしたのは、十数年前。
意思の強さ、明確さがビシビシ伝わってきて、根っからのアスリート気質。
昨日の予選直後は、8位同着でスイムオフを覚悟しながら決勝への気合いを語り、入賞後はマスコミは、51歳と年齢ばかり強調する、とチクリ。
確かに、嬉しくない…。私たちが気づきにくい、パラアスリートへの偏見かも。
これをなくすため、まだ戦い続ける“水の女王”。ひとまず、お疲れさまでした！

自分だったら、と想像すること

東京パラリンピック2020の選手の言葉にしみじみ…、島岡美延です。
五輪もパラも1年延期され、世論は中止か延期の声が多いまま日程に突入。
東京五輪2020が無観客開催となり、期間中にコロナ感染が急拡大。
パラアスリートの中には、「五輪は出来たけどパラは中止」となる事態を恐れた人もいたのでは。
感染したら重症リスクは五輪アスリートや一般の人より大きいパラアスリート。
文字通り、トレーニングや大会参加も命懸け。
五輪では、大会開催自体への感謝を語る選手が多くいました。
パラアスリートにとっては、日常生活も多くの人の手が必要。
周囲の協力、モチベーションの維持は、より大変だったと想像します。
バリアフリー、ユニバーサル社会など、言葉はずいぶん前から聞いていても、この社会は障害者にとって、まだまだ困難が膨大。
健常者なら経験しない「混んだ電車に乗るな」「車椅子の入店お断り」「盲導犬同伴お断り」という様々な“拒否”。
様々なパラ種目を見て、選手の日常を想像する。もし自分なら、という想像とともに。

聴覚障害者はどうしてる？

昨日のバスに電動車椅子の女性、島岡美延です。
電車に比べ、バスではあまり出会わなかったけど、もっと誰もが自由に出かけられる社会へ。
パラリンピックの選手紹介を聞いていると、障害が生まれつきの人、運動や仕事で事故にあった人、また戦争やテロの被害者…、それぞれの人生の苦悩ははかりしれません。
パラの中継や特集番組には、聴覚障害の人がレポーターやゲストとして登場して、手話を使うこともありますよね。
でもパラリンピックで、聴覚障害のアスリートは？
そう、ないのです、聴覚障害者の種目って。
肢体不自由、脳性麻痺、視覚障害、知的障害がパラリンピックの対象。
パラリンピックは五輪とセットとなり、大きな注目を浴びて選手も有名になる一方、聴覚障害者だけが出場するスポーツ大会は「デフリンピック」と呼ばれます。
正直、よく知らないことだらけ。
夏季と冬季大会があり、今年開催予定だったブラジルでのデフリンピック2021は、コロナ感染拡大のため、来年に延期。
もう少し報道されてほしいです、デフリンピックのことも。

オリ・パラの違い、これは・・・

アフガニスタン首都の連続爆破テロで犠牲者多数、島岡美延です。
東京パラリンピック2020が開催中で、オリ・パラ休戦期間中。とはいえ、内戦などは続き、平和とはほど遠い世界。
視覚障害柔道の日本代表選手が、選手村で“自動運転車”と接触し怪我をして、試合欠場に。
“静かすぎる”電気自動車の接近が視覚障害者の脅威なのは、以前から指摘されていたのに、やりきれないです。
そこに乗っていた担当者も“選手が止まる”と思ったとか。
規則違反の「車優先」が当たり前の日本。信号のない横断歩道など、本当に止まってくれないですよね。運転手の皆さん、お願いします。
自国開催でパラリンピック中継を見る機会が増えて、色々気づくことが。
例えば、競泳。
五輪では「午前中の決勝」が選手たちを戸惑わせました。
パラでは「午前に予選、午後から夜に決勝」という当たり前の競技時間に。
これって、五輪はアメリカのTVのゴールデンタイムに決勝、だったけど、パラはその必要ない、ってこと？
あからさまに見せられた違い。モヤモヤしませんか。

「資本論」英語版を刊行した末娘

全く涼しくない朝、島岡美延です。
猛暑も豪雨も地球の悲鳴。
斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』新聞全面広告に驚きました。“SDGｓじゃ、解決しない”という主張に耳を傾けたい…。
経済思想家と名乗る彼が今こそ、と光を当てたカール・マルクス『資本論』。
映画『ミス・マルクス（9月4日公開）』をご紹介します。
父の遺作や「資本論」英語版の刊行を手掛けた、末娘エリノア。
イプセンの『人形の家』のノラを演じたり、女性や子ども、労働者の権利向上に生涯を捧げた激動の半生の映画化。
1883年、イギリス。
最愛の父を失ったエリノア（ロモーラ・ガライ）は、劇作家で社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い、恋に落ちるが、不実なエドワードへの献身的な愛は、次第に彼女の心を蝕んでいく。
社会主義とフェミニズムを結び付けた草分けの一人として時代を先駆けるも、彼への愛と政治的信念の間で引き裂かれていくエリノアの魂。
パンクロックの激しい楽曲を重ねる大胆な演出。
43歳の若さでこの世を去った彼女の叫び、届け！

これで、どんなメッセージが？

猛暑続きでパラアスリートが心配、島岡美延です。
緊急事態もまん延防止も、もうどこがどうだか。
「これまでに経験のない感染拡大」と言いながら、五輪は行われ、パラも始まり、プロ野球などもある日常。
昨日の会見で「人流は減っている」の言及はもはやなく、“どう考えても減ってない”のが首都圏の実感。
そういえば、コロナ陽性者との接近を知らせるアプリCOCOAって不具合が長く放置されていた、ってニュースのあとはどうなった？
今頃、バンバン通知が来ているのかしら。
入院を拒否したり、疫学調査を拒否した人への罰則は、半年前に決まりました。
何か所も入院を拒否され、家に戻るのみ…、これを“自宅療養”って言い続けること自体、どうなのか。
今年の春に感染した知人女性は37度台の発熱、嗅覚異常で入院し、同居の両親にうつさずすんだことに感謝していました。
コロナにかかる時期によって救われない命。
世の中の深刻さとメッセージとの乖離。
尾身会長まで「政府は楽観的」と。宣言期限の9月12日の先の明るさって、誰の分析？

青空の下、移動式テーラー？

競技場の周辺は密な光景、島岡美延です。
五輪開幕の1か月前と比べ物にならないほどコロナ感染は深刻化。
東京パラリンピック2020、選手には能力を発揮してほしいけど、五輪以上に心配だらけ…。
“人生の途中で、やむなくパラに転向”というアスリートも多くいます。
何かに一筋に打ち込んできて、いきなり大転換を迫られたら…。
映画『テーラー 人生の仕立て屋（9月3日公開）』をご紹介します。
アテネで36年間、高級スーツを仕立てる店を父と営んできた寡黙なニコス、50歳。
不況がギリシャを襲い、店は差し押さえられ、ショックで父は倒れてしまう。
途方にくれたニコスが思いついたのは、手作り屋台の“移動式テーラー”。
だが、道端で高級スーツは全く売れず、商売は傾く一方。
そんなある日、思いがけないオファーが。
「ウェディングドレスは作れる？」
紳士服一筋だったニコスの新たな挑戦が始まる…！
新鋭の女性監督ソニア・リザ・ケンターマンが細部まで丁寧に描く、“人生を仕立てる工程”。
幸せな気持ちになれます。

広がれ、“女子の夢舞台”、そして

初めての甲子園での優勝は神戸弘陵、島岡美延です。
女子硬式野球の新たな歴史、ニュース映像や新聞の記事を見るだけで、自分でも驚くほど涙が止まりませんでした。
身体は小さいけれど、甲子園での躍動感は、男子以上？
この舞台に立つまでに、どれだけの「女の子なのに」をはねのけてきたことか。
勝利の瞬間、マウンドにいた島野投手は、中3の時、男子に交じったチームで大会優勝投手になった経験も。
2人の兄は大阪桐蔭、履正社に進み、甲子園出場。自分の高校生活にはないと思っていたよう。
小学生の頃は男子より体格がよくても、だんだん「女子には無理」という現実を突きつけられる思春期。
マラソンだって「女子には無理」といわれ、隠れて参加した女子選手の存在が、常識を変えてきました。
1964年の東京五輪になかった女子マラソン、登場したのは1984年のロサンゼルス五輪。
女子の夢舞台がもっと広がり、誰にとっても「○○のくせに」などという言葉で選択の幅を狭められない世の中へ。
今夜、東京パラリンピック2020開会式。

政治のプロより、という選択

蒸し暑く傘も必要な処暑、島岡美延です。
東京パラリンピック2020開幕前に、今日は甲子園で初の女子硬式野球の決勝が行われる歴史的な日。
テレビ中継はないけれど、がんばれ！
市民以外にも注目された横浜市長選挙が昨日行われました。
過去最多8人の候補者。当初、決選投票も？と報じられたけど、蓋を開けてみれば、開票前に山中竹春氏の当選の速報。
知名度も政治経験もない元横浜市立大医学部教授という異色の経歴の候補を野党がそろって推した選挙。
多くの無党派層は、政治のプロより、科学的でエビデンスに基づいた政策に期待したのでしょう。
投票率も久々に50％近い数字に。
科学的根拠より政治的都合で物事を楽観的に考え、周りの声に耳を傾けず突き進んで、国民の安心安全を脅かすリーダーはいらない、そんな有権者の叫びが形になったような選挙結果。
横浜市民は377万人、東京都の各自治体より小回りがきかない巨大な政令指定都市。
高齢者が多く、未来への課題山積だけど、私が育ち、両親が今も暮らす街。
希望を感じたいです。

1969年、NYハーレムの音楽フェス

横浜市長選は曇り空の投票日、島岡美延です。
1969年、ニューヨーク市長はジョン・リンゼイ。もちろん、白人でした。
映画『サマー・オブ・ソウル（ あるいは、革命がテレビ放映されなかった時）（27日公開）』をご紹介します。
あのウッドストックと同じ夏、NYで30万人を集めた大規模フェス。しかしその存在すら50年間封印されていた…！
この幻のフェスを当時の社会を反映した記録映像と出演者や観客の現代の証言を交え、画期的な編集で蘇らせた監督は、4度のグラミー賞に輝くアミール“クエストラブ”トンプソン。
19歳のスティーヴィー・ワンダーやB.B.キング、マヘリア・ジャクソン…、演奏に圧倒されると同時に、出演者も観客も「ほぼ黒人のみ」の驚きの光景。
「青い目のブラザー」と紹介され、ステージに上げられたリンゼイ市長。
市や市警の協力、テレビ局なしには成立しなかったフェス。
一方で、収録された映像がオンエアされることはなかった、という意味。
音楽ドキュメンタリーを超えた、生きたアメリカ現代史、必見。