早朝ベッドでまどろんでいるところ、太字で黒々と書かれたメールの件名がビジョンで見えた。
<Aで御用! 「B」>
とある。
Aはある地方都市の名前で、僕がそのとき宿泊していた町だった。
Bは人の名前か地名と推測される。
そのメッセージの主張の強さに気圧され、モゾモゾとiPhoneに手を伸ばしてAとBを検索した。
Bは果たして、A市にある地名だった。
地図アプリを開くと、Bの地名を冠した神社が見つかった。
それを見て、そこの神社に建造物を奉納した写真を送ってくださった方があったことが頭をよぎった。
奉納の相談も受けたような気がする。
少しずつ記憶がはっきりしてくる中、まさに今日がその神社の年に一度の大祭の日だったことを検索結果に見出し鳥肌が立った。
奉納した方の奥さんはよく神事にもご一緒するSさんなので、連絡をとってみると、
「昨日と今日はお祭りです。」
と返信がくる。
昨日が宵宮、今日がメインの本宮だ。
前日、経営する店に山車がやってきて、上部先端がぶつかるギリギリまで自動ドアから入り、威勢をつけてくれた写真が添付されていた。
神社は店からすぐ近くなのだと言う。
時間があるなら今日そこにお連れしますよ、とのありがたい申し出に是非ともと応じる。
実は4日前に、今日が僕にとって『交替』の区切りの日だと伝えてきている。
何かが用意されているのだろうか、わずかな間に一気に整った。
都合の良いことに、直前のキャンセルがあったせいで予定が空っぽになり、どのように一日を過ごそうかと思案していたのだった。
不可解なスケジュールには必ず理由があるというこれまでの経験をさらに濃く裏付けた一日の始まりだった。