夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『プリンセス トヨトミ』

2011年06月03日 | 映画(は行)
『プリンセス トヨトミ』
監督:鈴木雅之
出演:堤真一,綾瀬はるか,岡田将生,沢木ルカ,森永悠希,
   笹野高史,和久井映見,中井貴一他

万城目学の原作では、事の起こりは5月30日でしたけれど、
映画版では前述の『23年の沈黙』と同じく、7月8日。
いろんなことが起きる日らしい。(^o^)

原作とのさまざまな設定のちがいに、「そう来るか~」の楽しみも膨らんで。

東京から大阪へ出張でやってきた、会計検査院の調査員たち。
鬼の異名を取る副長の松平元と、その部下2名。
そのうちのひとりは、天然ながら稀に驚くべき勘によって不正を暴く、鳥居忠子。
もうひとりは、クールなハーフのイケメン、新人エリート、ゲンズブール旭。

調査対象の機関をまわり、順調に仕事を片付けてきた彼らは、
“財団法人OJO(大阪城趾整備機構)”の入るビルがある、空堀商店街へ。
何の問題もなく調査終了かと思われたが、
忘れ物をした松平がビルに戻ってみたところ、とてつもない違和感を抱き……。

ストーリーがわかりやすくて、伝えたいメッセージがはっきりしている。
かつ、説教臭くない。ほろりと来る場面があればなお嬉し。
娯楽大作はこの点をクリアしていれば私は大満足。
本作は、その点をすべてクリアしてくれていました。

豊臣家の末裔である少女を守るためだけにつくられた“大阪国”。
けれど、実際のところはプリンセスはオマケで、どうでもいいこと。
その名目のもと、人びとが歴史を継続していく極意がここにあります。

原作ではほぼ終盤だった副長・松平と大阪国総理大臣・真田の会見場面ですが、
映画では会見が決まった時間は、まだ50分ほど残しているときでした。
こんなに時間を割いただけあって、中井貴一演じる真田の長台詞は圧巻。
大阪人としては、役者陣の大阪弁が気になるところではありますが、
彼の大阪弁は、多少イントネーションがおかしくても気になるヒマもなく、
呑み込まれてしまうのもスゴイ。

玉木宏や別名サタケミキオの宅間宏行
カメオ出演しているのも嬉しいし、
『ダメジン』(2006)で川に浸かりっぱなしだった村松利史は
登場した瞬間にウケてしまいました。

映画には出てこなくて残念だったもの、
たとえば、ゼー六のアイスモナカやヤクザの組長の謝罪場面はあるけれど、
壮大なホラ話が映像化される醍醐味を満喫させてもらいました。

そしてそのホラ話によって教えられること。
ずっと正直であれ。

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