夜な夜なシネマ

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『くちづけ』

2013年06月17日 | 映画(か行)
『くちづけ』
監督:堤幸彦
出演:貫地谷しほり,竹中直人,宅間孝行,田畑智子,橋本愛,
   麻生祐未,平田満,嶋田久作,岡本麗,伊藤高史他

先週は伯母の七回忌で、出席者を親戚の女性に限った「女子会」。
やたらB型が多くて(だからってこともないのでしょうけれど)、楽しい面々です。
男性は(私たちから見れば)まだお若いイケメンのお寺さんのみ。
いつもオバサンたちに囲まれてお疲れさまです。(^o^)

和気藹々とした法要を東生駒で終えたあと、梅田へ。
法要が何時に終わるともわからなかったため、
観られるかもしれない映画の時間はつぶさにメモして出かけていました。

梅田に到着した時間がブルク7の本作上映開始時間をちょっと過ぎた頃。
最初の1分も観逃したくない私ですが、
今日観ておかないとDVD化されるまで観られそうにないしと、
観念して5分ほど経過してから劇場に入りました。

宅間孝行が自身の劇団“東京セレソンデラックス”のために書き下ろした戯曲を映画化。
本人が監督するかと思いきや、それは堤幸彦監督におまかせして。
ちなみに、『愛と誠』(2012)の脚本もこの人によるものです。

かつて人気漫画家として活躍した阿波野幸助、ペンネームは愛情いっぽん。
出産直後に亡くなった妻に代わり、漫画家業の手を止めて、
男手ひとつで知的障害のある娘のマコを育ててきた。

マコは30歳になるが、いっぽん以外の男性に極端な恐怖心を見せる。
そんなマコのそばを片時も離れずにいられるようにと、
いっぽんは知的障害者が集団生活する「ひまわり荘」を訪れ、
マコを預けるとともに、自分はそこで住み込みで働くことに。

予想に反してマコは男性入居者らのことも怖がらず、毎日落ち着いた様子。
特に35歳のうーやんには心を開き、結婚の約束まで交わす。
穏やかに流れる毎日だったが、いっぽんは自分が病に冒されていることを知り……。

もとは舞台劇だということもあるのか、セットも舞台風ならば、
出演者のアクション大きめ、滑舌よく、表情豊か。
最初はそのテンションの高さに、桂雀三郎の落語を聴いているかのような印象。
ドタバタぶりも可笑しくて、こんな題材であるとは思えません。

そのドタバタが落ち着きを見せはじめる頃、
さまざまな問題について深く考えさせられるようになります。
善意の経営者がいて、そこを必要としている入居者がいても、
それだけではどうにもならないあれこれ。
悲しい結末ではありますが、こうすることが幸せだったと思ってしまいます。

善人そのもののひまわり荘経営者に平田満。
その妻には近ごろ肝っ玉母ちゃんのイメージがダダはまりの麻生祐未。
彼らの娘はるかを演じる橋本愛が絶品で、
頭のはたきかたなど、ツッコミのセンスを感じます。
ともすれば偽善的になりがちなテーマを上手くまとめていると思います。

学生の頃に何度か参加した知的障害児のキャンプ。
子どもより自分が先には死ねないという親の目を間近で見たことを思い出し、
やるせなさを感じました。
観て泣いているだけでは駄目だなぁとは思うのですけれども。

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