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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『彼は秘密の女ともだち』

2015年08月24日 | 映画(か行)
『彼は秘密の女ともだち』(原題:Une Nouvelle Amie)
監督:フランソワ・オゾン
出演:ロマン・デュリス,アナイス・ドゥムースティエ,ラファエル・ペルソナーズ,
   イジルド・ル・ベスコ,オーロール・クレマン,ジャン=クロード・ボル=レダ他

シネ・リーブル梅田で2本ハシゴにしたはいいけれど、
これがどうしても観たかったので効率良いハシゴはできず。
1本目の『奇跡の2000マイル』と2本目の本作の間が2時間近く空いてしまい、
ほかに観るものもなかったので、ロビーでずっと読書。
戦争野球の話、横山秀夫の『出口のない海』が時期的にタイムリー。
1時間半経ったところでこれを読み終えてしまったので、
マイブーム中である山本幸久の『笑う招き猫』に突入。
女漫才コンビの話で、『出口のない海』からは雰囲気も重みも一転。

フランソワ・オゾン監督にしては一般受けしそうな予告編。
ますます下品な顔つきになってきて(笑)、タイプじゃないはずなのに、
なぜかいつも見てしまうロマン・デュリス主演にも惹かれ。
昔よく読んだはずのルース・レンデルの短編『女ともだち』が原作。

幼なじみで大親友のローラを亡くした主婦クレール。
残されたローラの夫ダヴィッドと赤ん坊のリュシーを見守りつづけると誓うものの、
ローラを失った悲しみがあまりに深く、ダヴィッドを訪ねることができない。
寝込んだままのクレールを夫ジルも心配、ダヴィッドの様子を見てきてはどうかと言う。

数日後、ジョギング中のクレールは意を決してダヴィッドを訪ねる。
チャイムを鳴らしても返答がないが、家の中からはリュシーの声。
開いていたドアを押して入ってみると、
そこにはローラの服を着てリュシーをあやすダヴィッドの姿が。

ダヴィッドにはもともと女装癖があり、ローラもそれを知っていたという。
にわかには信じられず戸惑うクレールだったが、
ダヴィッドに懇願されて、女装した彼に“ヴィルジニア”と名づけ、
女物のショッピングにつきあうなど、彼を女友だちとして受け入れるのだが……。

オゾン監督が明るいだけのコメディを撮るはずもなく、ちょっと面白い風味。
映像化されるクレールのどぎつい妄想にも笑わされます。
ジルを演じるのは、アラン・ドロンの再来と称されたラファエル・ペルソナーズで、
ものすごい美男子なのに、女性にあっさり捨てられそうなところも可笑しい。

ダヴィッドに女装癖はありますが、ゲイというわけではありません。
男性として女性が好きだということは事実のよう。
ならば結局、クレールが愛するようになったのはダヴィッドという男性なのか、
それともヴィルジニアという女性なのか、女装したダヴィッドなのか。
いろいろ考えさせられるところではありますが、こういう形もあっていいのかと。
ゲイをカミングアウトしているオゾン監督の願いでもあるように思います。

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