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『サバイバルファミリー』

2017年02月20日 | 映画(さ行)
『サバイバルファミリー』
監督:矢口史靖
出演:小日向文世,深津絵里,泉澤祐希,葵わかな,時任三郎,藤原紀香,
   渡辺えり,宅麻伸,柄本明,大地康雄,ミッキー・カーチス他

TOHOシネマズ伊丹にて、『ドクター・ストレンジ』とハシゴ。
この日の劇場内はとても寒くて、また風邪をひいたかと思ったりもしたのですが、
体調がよくないと感じるのは、風邪というよりも前日飲み過ぎたお酒のせいかも。
体調悪いならやめようよ映画、と思うけれどもやめられない。

矢口史靖監督は大好きな監督のひとりではありますが、
私が思う彼の最高傑作は『ひみつの花園』(1997)。
あのとき必死のパッチだったヒロイン役の西田尚美は、
いつのまにかすっかりよいお母さん役が似合う普通の人(笑)になってしまいました。
ちょっと残念だったりして。

電気が電力会社だけから買うものではなくなって、
あちこちで電気の宣伝を見かけるいま、タイムリーで面白い設定です。
が、いうほど面白くもなかったのですよねぇ。
『ひみつの花園』には勝てないだろうと思っていたので、まぁこんなもん。

東京に暮らす鈴木一家は四人家族。
仕事一筋で家のことは何もしない義之(小日向文世)とその妻・光恵(深津絵里)、
長男で大学生の賢司(泉澤祐希)、長女で高校生の結衣(葵わかな)。
光恵には鹿児島在住の父親・佐々木重臣(柄本明)がいるが、
重臣が送ってくる魚を義之も光恵もおろせなくて腐らせるだけ。
また、重臣が育てた野菜には虫がついていると母娘でギャーギャー。

そんなある朝、いきなりすべての電気が点かなくなる。
時計は止まり、電話もパソコンも使用不可。冷蔵庫は真っ暗、レンジも駄目。
会社や学校に遅れると慌てて家を飛び出せば、車も電車も動いていない。
仕方なく二駅分を歩いて出勤した義之だったが、会社も停電中で仕事にならず。

当初はすぐに復旧するだろうと誰しもが笑っていたが、
数日経過して不安に駆られはじめる。
ニュースも聞けない状況だから、東京だけのことなのかどうかもわからない。
そのうち、大阪より西は停電していないとの噂も流れ、
家をほっぽらかして東京から出て行く人が増える。

お気楽に考えていた鈴木一家もようやく心配に。
鹿児島の重臣のもとを訪ねようと羽田空港へ行くと、飛行機もストップ。
家に戻ってもどうしようもないだろうと、
四人とも自転車で鹿児島へ向かう覚悟を決めるのだが……。

「お父さんにまかせておけばなんとかなる」と大口を叩いておきながら、
実際にトラブルに見舞われると何もできない父親の義之。
野山で生きていくすべを持たず、火もおこせない。
父親としての威厳を失いたくなくていつまでも偉そうにしているわけですが、
彼が何もできないことなど、妻はずっと前からお見通し。
子どもに罵られる義之を見て、妻が発する言葉にお父さんガックリ(笑)。
「もうやめなさい!お父さんがそういう人だって前からわかってたじゃない!」。

でもこの後から義之の様子に少しずつ変化が見えはじめます。
子どものためなら恥も外聞もなく土下座もするし、
弱音は吐かない、生きるためなら何でもしようとする。

一家が一時身を寄せる田舎家の主を演じる大地康雄がよかったです。
電気がなくなっても慌てない。ちゃんと生きていける人。
だけど出て行った子どもたちは戻ってこない。切ない。

たいして面白くもなかったなぁと思っていたけれど、
こうして書いてみるとまぁまぁですね(笑)。

豚の解体シーンにオエーッとなりかけた人には、
『ある精肉店のはなし』(2013)をご覧になることを強くお勧めします。
まさしく「命、いただきます」。

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