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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『疾風ロンド』

2016年12月04日 | 映画(さ行)
『疾風ロンド』
監督:吉田照幸
出演:阿部寛,大倉忠義,大島優子,ムロツヨシ,堀内敬子,戸次重幸,濱田龍臣,
   麻生祐未,志尊淳,望月歩,前田旺志郎,久保田紗友,堀部圭亮,柄本明他

大阪ステーションシティシネマで3本ハシゴの2本目。
前述の『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』の上映終了から20分後。

本は「買う派」ですが、値段的に単行本には手を出しづらく、
文庫化されるまでいつも待っている身としては、
実業之日本社が火付け役となった“いきなり文庫”は嬉しかった。
しかし、その皮切りの作品だった『白銀ジャック』を読んだとき、
正直に言って、東野圭吾はもう駄目かも(泣)と思いました。

その数年後に同じくいきなり文庫で発売された『疾風ロンド』。
もう駄目かもと思ったけれど、東野圭吾だもん。
しかも雪山が舞台の話に私は惹かれる傾向があるのです。
買ってしまった、読んでしまった。そしてまた思いました。
もうホントに東野圭吾は駄目かも。
だけど、いきなり文庫の合間には『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のような佳作もあり、
やはり無視はできない東野圭吾なのでした。

数カ月前に目にして驚いた本作の予告編。
あんなしょーもなかった『疾風ロンド』を映画化するとは無謀だわ。
けどなんかものすごく面白そう。観るたびに笑ってまうやん。
監督が『サラリーマンNEO 劇場版(笑)』(2011)の吉田照幸とのこと。なるほど納得。
つまらん原作はこういうふうに映画化すべしという見本みたい(笑)。
シリアスで退屈でオチ無茶苦茶だった原作なのに、ワロたワロた。

泰鵬大学医科学研究所の研究員を務める栗林和幸(阿部寛)。
葛原克也(戸次重幸)とともにある研究に携わっていたが、
その過程で予期せず新種の炭疽菌が発生。
“K-55”と名付けられたその菌は、生物兵器として悪用されることが懸念されるため、
公表はせずに厳重保管することに。

ところがK-55が何者かによって盗み出され、所長の東郷雅臣(柄本明)は大慌て。
東郷宛てに犯人から3億円を要求する脅迫メールが届く。
犯人として考えられるのは葛原しかいない。
警察に通報しようとする栗林と、ことを公にしたくないと言いつのる東郷。
揉めているうちに警察から電話が入り、なんと葛原が交通事故で死亡したという。

葛原がメールに添付してきた画像には、K-55の隠し場所が写っている。
どこかの雪山のようだが、いったいどこなのか見当もつかない。
妻に先立たれ、反抗期の中学生の息子・秀人(濱田龍臣)をひとりで育てていた栗林は、
スノボが得意な秀人に詳細は伏せたまま写真を見せて助言を求める。
そこでこの場所が野沢温泉スキー場だと判明。
東郷からK-55探しを命じられた栗林は、秀人を伴ってスキー場へ。

目印はテディベアが打ち付けられた木だということしかわからない。
テディベアには発信器が付いているが、バッテリーは数日間しかもたない。
日本最大級のスキー場で、スキーの下手な栗林が探し当てられるのか。

なんといっても楽しすぎるキャストが最高です。
栗林を尾(つ)けるドドメ色のニットキャップの男にムロツヨシ
スキー場のレスキュー隊員・根津昇平に大倉忠義、瀬利千晶に大島優子などなど。

役名すらないちょっとだけ出演キャストも豪華。
秀人がかようスキーショップの店主にでんでん
スキー場のホテルのフロントマンに野間口徹
ゲレンデのレストランの店員に中村靖日。駐車場で洗車する男に田中要次
最後の最後には生瀬勝久。この超芸達者な脇役陣がオモロすぎる。

原作を読んだときにはこんなオチありえんとあきれましたが、
こうして映像化されるとこれもありに思えてくる。
スキー&スノボシーンは3Dで観ても楽しそうな出来映え。
娯楽作品はこうでなくちゃ。個人的には大満足。
『白銀ジャック』も吉田監督で映画化お願いいたします。

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