夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ハクソー・リッジ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の12本目@伊丹)

2017年07月05日 | 映画(は行)
『ハクソー・リッジ』(原題:Hacksaw Ridge)
監督:メル・ギブソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド,テリーサ・パーマー,サム・ワーシントン,
   ヴィンス・ヴォーン,ヒューゴ・ウィーヴィング,レイチェル・グリフィス他

時間を間違えて観損ねた本作、リベンジ。
午後休を取った先週の金曜日、TOHOシネマズ伊丹で12:30の回に滑り込み。
なんだか毎月「プレフラ」に午後休を取っている気がするのですが、
決して意図したものではありません。ただなんとなくそうなっているだけ。

ほぼ10年に1度メガホンを取るメル・ギブソン
『ブレイブハート』(1995)、『アポカリプト』(2006)に続く監督作品。

敬虔なクリスチャンで、「良心的兵役拒否者」でありながら陸軍入りを志願、
銃を持たずとも多くの人を救い、同拒否者として初めて名誉勲章を授与された、
デズモンド・ドス氏の実話に基づく

アメリカ・ヴァージニア州の田舎町で生まれ育ったデズモンド。
兄のハルと野山を駆けまわって幼い頃を過ごした。
優しい母親バーサの愛に守られてはいたものの、
第一次世界大戦の兵士だった父親トムは、心に大きな傷を負っていた。
酒に溺れてバーサに暴力をふるうこともあれば、息子たちにはいつも喧嘩を強要。
行きすぎたデズモンドがハルを殺しかけたことすらある。

第二次世界大戦が始まり、両親が反対するなか、ハルは志願して兵士になる。
デズモンドは家に残るが、ある日、仕事中に大けがをした住民に応急処置を施す。
病院まで付き添ったさいに見かけた看護師ドロシーに一目惚れし、猛烈にアタック。
交際を始めるかたわら、ドロシーから本を借りて医学の知識を高める。

やがて戦争が激化し、デズモンドは衛生兵として陸軍に志願することを決意。
ドロシーと婚約し、挙式の日には帰ってくると約束して出発する。

ところが、訓練兵の中でも上位の成績を叩きだしていたデズモンドは
銃に触れることを頑なに拒否。自分は人を殺したくない、殺せないと。
戦争とは人を殺すもの、人を殺せない奴は要らないと上官は言うが、
銃を持たない衛生兵として戦場に行くことを認めてほしいとデズモンドは主張。

上官や他の兵士らは、なんとかデズモンドを辞めさせようと、
執拗な嫌がらせを繰り返すが、彼は決して信念を曲げようとしない。
軍法会議にかけられるまでに至るが、ついに彼の主張は認められ、晴れて衛生兵に。
こうして太平洋戦争の地、沖縄の前田高地、
通称“ハクソー・リッジ(=のこぎり崖)”へと赴くのだが……。

日本が相手なのが日本人としては辛いところですが、
皮肉なのかコメディなのか理解に苦しんだ『レイルロード・タイガー』とは明らかに違います。

訓練中、如何なる仕打ちを受けようとも信念を曲げない姿に、
周囲の上官や兵士らの彼を見る目が少しずつ変わってゆきます。

デズモンド役には『沈黙 サイレンス』の牧師を演じたアンドリュー・ガーフィールド
最近はお笑い系の印象しかなかったヴィンス・ヴォーンが軍曹役で好演。
以前からちょっとタイプだと思っていたサム・ワーシントンは大尉役で、顔よりも声に惚れ直し。
最初はデズモンドを嫌う兵士スミティにはイケメンのルーク・ブレイシー
ドロシー役のテリーサ・パーマーも美しく知的、ピッタリです。
何より素晴らしいのは父親トム役のヒューゴ・ウィーヴィング
ろくでなしだった父親が立ち上がるとき。この姿に胸を打たれない人はいないはず。

日本を憎む作品ではないと思います。
そういう視点で描かれていると考えれば、アメリカ万歳みたいな映画になっちゃいます。
これはたまたま日本が相手だったけれど、
言いたかったのは、戦場で大切なのは何なのか、ではないでしょうか。

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