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『崖っぷちの男』

2012年07月11日 | 映画(か行)
『崖っぷちの男』(原題:Man on a Ledge)
監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントン,エリザベス・バンクス,ジェイミー・ベル,アンソニー・マッキー,
   エド・バーンズ,タイタス・ウェリヴァー,ジェネシス・ロドリゲス,エド・ハリス他

「馬鹿と煙は高いところにのぼる」とは昔から言われることですが、
子どものころ、高いところへのぼるのが大好きでした。
塀にのぼって歩くのは毎日で、二度、落ちたことがあります。
そのうち一度は気を失い、目が覚めると両親の青ざめた顔が。
にもかかわらず、それ以降も屋根や塀にのぼるのはやめられませんでした。

さて、先週末より公開中の本作、原題は“Man on a Ledge”。
人生の崖っぷちに追い込まれた男が、高層ビルの縁(へり=ledge)に立ちます。
予告編程度のことしか知らずに観に行き、めっちゃ楽しかったので、
未見の方には何も知らずに観に行っていただきたいですが、少しだけ。

ニューヨーク市警の元警察官ニックは強盗の罪で服役中。
4000万ドル(約30億円)相当のダイヤを盗んだとされ、一貫して無実を訴えるも認められず。

ある日、父親フランクの訃報が届く。
投獄前まで良き相棒だったマイクが刑務所長に掛け合ってくれたおかげで、
ニックは葬儀に出席するための仮出所を許される。

ところが、葬儀の席で弟のジョーイと殴り合いの喧嘩。
止めに入った警官から拳銃を奪ったニックはそのまま逃走。
マンハッタンの高級ホテルに身分を偽ってチェックインしたニックは、
21階の部屋の窓から出ると、幅わずか30cmの縁に立つ。

周辺はすぐさま大騒ぎに。路上は野次馬でいっぱい。
駆けつけた警察官に、ニックは交渉の相手として女刑事リディアを呼べと言う。
身の潔白を訴えるニックだったが、リディアはどこか不自然だと感じはじめる。

ハラハラドキドキは一級品。
しかも、この人はいい人であってほしいと思う人はいい人、もしくは悪くない。
コイツは腹黒そうと思う人はやはりそうで、良くも悪くも期待を裏切りません。
これだけいろいろあっても、最後は正義は勝つに決まっていると思えるので、
ハラハラしながらも安心して観られます。ディズニー配給ゆえか。

地味に豪華なキャストです。
リディアには『スリーデイズ』(2010)が記憶に新しいエリザベス・バンクス。
『恋するポルノ・グラフィティ』(2008)にはドン引きしましたけれども。
本作の彼女はいままでの役柄でいちばん好きかも。

ジョーイには『リトル・ダンサー』(2000)の子役ジェイミー・ベル。すっかり大人になりました。
すっとぼけたアホ面で、賢いのかなんなのかわからない絶妙の演技。
マイクには『セレブの種』(2004)でレッドブルをガブ飲みしていたのアンソニー・マッキー。
渋いところでは、ニックに優しいホテルマン役のウィリアム・サドラー。
『ミスト』(2007)など、スティーヴン・キング原作のフランク・ダラボン監督作品の常連。

久々に見た気がして嬉しくなってしまったのが、エドワード・バーンズ。かすれた声がいつも印象的。
この人、いつからエド・バーンズと短縮形で名乗るようになったんでしょ。
リディアに嫌みを言いつつも、ニックとの交渉を見守る同僚役で登場。

とにかく悪い宝石商エド・ハリスは、ハゲ具合はさほど進化していませんが、
ずいぶん痩せたのが気になります。どうぞ元気でいてください。
TV局のリポーターは、ケヴィン・ベーコンの奥様、キーラ・セジウィックでした。

階上から見下ろすシーンのほうが高さを感じられて怖いはずなのに、
縁に立つニックの上半身だけを映したシーンのほうがちびりそうでした。
パンフレットを読んで納得、あのシーン、本当にホテルの21階の縁に立って撮影したそうな。
トム・クルーズといい、本作のサム・ワーシントンといい、
そこまでやるかという俳優魂、惚れました。

『ブレイクアウト』よりず~っと、家族の絆は深いです。
おもしろかったぞ。

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