まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

子どもの発見(その3)

2010-03-28 08:19:40 | 人間文化論
男の子というのはクルマが好きです。
しかし小さい頃は運転できませんから、クルマというのは謎に包まれた存在でもありました。
今日はそのクルマに関する発見です。
私は長い間、ある勘違いをしていたのですが、
その間違った知識も、たんに元からそう思い込んでいたというだけでなく、
あるときにそれを自分で発見しましたので、
私としては子どもの頃に2回、大発見をしたのだと言えるでしょう。

それは、ウィンカーに関する発見です。
私は団地育ちです。
団地の敷地内にはいくつか公園もありましたが、
どれもちまちました公園でしたし、
そこでは自分たちよりももっと小さい子たちが遊んでいましたから、
小学校入学前後、プラスチックのバットとゴムボールで遊ぶ野球とかを楽しむようになった頃は、
よく団地内の道路で遊んでいました。
道路もそんなに広くはありませんし、細長い形ですから、
野球場として使うには向いていなかったのではないかと今では思いますが、
子どもというのは工夫の天才ですから、
そんな環境の中でも適宜ルールを改変しつつ、野球を楽しんでいたのです。

道路で遊んでいるとクルマが通りますから、しばしば試合は中断されます。
そのあいだは早く通り過ぎてくれないかなあと思いながら、
クルマを観察して待つわけです。
そうやってクルマを見ながら、ちっちゃなまーちゃんは、
ある日大発見をしてしまったのです。
黄色いピコピコのランプ (ウィンカーのことです) が左側に点くと、
そのクルマは左に曲がり、右側に点くと右に曲がるっ!
これはものすごい発見だと思いました。
これを知っているとそのクルマがどちらに曲がるか予言することができます。
で、私は一緒に遊んでいた友だちにそのことを誇らしげに話したのですが、
「そんなの当たり前じゃん」 と一蹴されてしまいました。
どうやらみんなはそんなこととっくに気づいていたようです。
なんでちっちゃなまーちゃんは、みんなと同じ場所で同じ回数クルマを観察していながら、
そのことに気づかなかったのでしょうか。
というか1回か、せめて2回くらい見たらその関連性に気づこうよ。
何年ものあいだ、あのピコピコのことを何だと思っていたのでしょうか?

さて、遅ればせながらピコピコとクルマの進行方向の関連性にやっと気づいたまーちゃんですが、
彼はまだ勘違いをしていたのでした。
上述したとおり彼は、
「左のピコピコが点くとそのクルマは左に曲がり、右のピコピコが点くと右に曲がる」
というように定式化してその法則性を捉えていました。
本来ならその関係性は、
「左に曲がるクルマは左のウィンカーを点滅させ、右に曲がるクルマは右のウィンカーを点滅させる」
と定式化されなければなりません。
しかもこの場合の 「点滅させる」 の主語は実はクルマではなく、ドライバーのはずです。
ちっちゃなまーちゃんはそのあたりの因果関係まできちんと理解していませんでした。
まるで自然法則かなにかのように、
「左のピコピコが点くとそのクルマは左に曲がり、右のピコピコが点くと右に曲がる」
と思っていたのです。
だから、その法則を発見したあとに、
ピコピコが点かないまま左折したり右折したりするクルマもけっこういることに気づき、
ちっちゃなまーちゃんは混乱してしまったのでした。
「なんでピコピコが点かなかったのにあのクルマは曲がることができたんだろう?」

この疑問に対する答えを発見したのは、
小学校2年生の頃に市電が廃止され、バス通学になり、
(バスで20分ほどかけてあの関内駅まで行ったあと、国鉄根岸線に乗り換えていました)
バスの運転手さんが運転しているところを、バスの中から観察できるようになって、
その後何年か経ったあとのことでした。
クルマが大好きなまーちゃんは、一番前の席に陣取ってよく運転を見ていました。
バスの運転席は、ジェット機かロケットのコックピットのようで、
たくさんのレバーやボタンが溢れ、子どもにとって目眩く世界でした。
ハンドルとアクセルとブレーキぐらいはゴーカートにもついていたのでわかっていましたが、
運転手さんの左側に床から突き出ている長いレバー (ギヤ) や、
前進や停止とはタイミングがズレながら左足で踏んでいるペダル (クラッチ) などは、
けっきょく運転免許の教習所に行くまで何の装置か理解できないままでした。

ピコピコの謎が解明されるのにもけっこう時間がかかってしまいました。
バスの中でカッチッ、カッチッと音がしているときにピコピコが点いているらしいこと、
さらには、運転手さんがハンドルの右側についているレバーを操作すると
カッチッ、カッチッと音がして、ピコピコが点くということはわりと早く気がつきました。
ところが、私が通学に使っていたバス路線は鎌倉街道をまっすぐひた走るだけでしたので、
右折や左折がほとんどなかったのと、
バスの場合、バス停に停車するときとバス停から出発するときにウィンカーを使用しますから、
そのせいで、野球のときに見たあの右折時、左折時のピコピコと、
バスの運転手さんがやっている停止、発進時のピコピコとを、
ちっちゃなまーちゃんは関連づけて考えることができなかったのだろうと思います。
しかし、関内駅始発のバスや関内駅終点のバスに限っては、
関内駅近辺で何回か右折や左折をするので、
それを何年か見ているうちにやっとちっちゃなまーちゃんは次のことを発見したのです。

発見その3 「クルマのピコピコは、クルマの動きに合わせて自然に点くわけではない。
        運転手さんがハンドルの右側のレバーを操作するとピコピコが点く。
        運転手さんは右折するときや左折するとき、
        その他よくわからないけどいろいろな機会にピコピコを点ける。」

うーん、ちょっと時間がかかっちゃったけど今回もよく発見したね、ちっちゃなまーちゃん。
前の2つの発見に比べると、段階的に少しずつ解明されていったし、
けっきょく最後まで謎の部分も残ってしまったので (これはやはり自動車教習所に通うまで解明できず)、
おおという驚きは少なかったのですが、
因果関係に関する理解が進んだという意味では大きな発見だったと言えるでしょう。

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