まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.哲学以外に好きな分野はありますか?

2013-05-03 17:55:18 | 哲学・倫理学ファック
他にもこんな質問もいただいていました。
「Q-1.先生は答えがはっきりと導き出せる学問 (数学、物理学など) に魅力を感じますか?」
こちらのほうが答えやすいので、まずこの質問からお答えしてしまいましょう。

A-1.答えがはっきり導き出せる学問にはあまり魅力を感じません。

中学生の頃までは自分は理系科目のほうが好きで、
理系に進むんではないかと思っていたのですが、
高校に入学して早々に数学で落ちこぼれてしまいましたので、
それ以来、理系科目には苦手意識があります。
答えがはっきり決まっているのにそれが解けなくて間違ってしまうと、
ひじょうにくっきりはっきりと自分のバカさを突き付けられます。
私に限らずそれは屈辱的なことで、それゆえ理系科目がイヤになるという人は多いでしょうね。
解けるうちはむちゃくちゃ楽しいんですけどね。
難しい数学の図形問題などを、自分で工夫して補助線を引いたりして、
すっきり解答が導き出せたときの喜びというのは、
何ものにも代えがたい成功体験だと思います。
そういう成功体験に導いてくれる教師というのはとても大事だと思いますが、
高校の先生は何も教えずにプリント配付して問題やらせて、
解けないと思いっきりバカにするというタイプの人だったので、
15年間理系人間だったはずの私は一夜にして理系苦手人間に変わってしまいました。

実を言うと、高校までの理系科目と異なり、大学以降で学ぶ理系の学問というのは、
それほど 「答えがはっきりと導き出せる学問」 と言い切ることはできず、
答えがあるかどうかもよくわからず、あるとしても導き出すのがものすごく困難なのですが、
ただそのレベルに至るためにはやはり、
そこまでの答えが出せる問題をひとつひとつクリアしていなければならないので、
途中で落ちこぼれてしまった私が今さら追いつくのはちょっと難しいでしょう。
自分にできないことに憧れを感じるという人もいるのでしょうが、
私の場合は自分にできないことにそれほど魅力を感じたりはしません。
それでは本題の質問のほうに移りましょう。

「Q-2.哲学以外に好きな分野はありますか?」

そうですね、以前にも何回か書きましたが (きっかけその1その2なぜ選んだのか?)、
中学生の頃から哲学とは知らないまま、哲学が扱うような学問内容に惹かれていましたので、
もとはと言うと哲学以外に好きな分野というのはほとんどありませんでした。
ただ、哲学を学び始めてみると、歴史的には 「すべての学問は哲学であった」 ので、
他のさまざまな学問とリンクすることがどうしても必要になってきました。
また、現代は 「諸科学の分業化・専門化」 の時代を脱して、
さまざまな現代的諸問題に立ち向かうために諸学問の連携・総合が必要とされる、
「学際化」 の時代となってきました。
そうなってくると哲学だけやっていればいいというわけにもいきません。

私は現在、哲学のなかでも倫理学と呼ばれる部門を直接的には研究していますが、
(哲学と倫理学の関係についてはこちら
倫理学といっても、もともと私の興味関心は戦争や平和の問題から出発していますので、
純粋な倫理学というよりも政治学や法学や国際関係学といった分野に近いと言えるでしょう。
それに現在の倫理学のなかでも一番流行りというか有名なのは、
マイケル・サンデルで有名な 「正義論」 の分野であり、
これは倫理学なのか政治哲学なのかはっきりとは分け難いところがあります。
私は 「正義論」 を直接扱っているわけではありませんが、
私の関心も倫理学と政治哲学の中間あたりにあるといっていいでしょう。

一番興味のあるのはそこらへんなのですが、
もっと広く 「人間とは何か?」 ということもたいへん気になっています。
この問題を考えるにはさまざまな学問の成果を知っておく必要があります。
生物学や考古学や文化人類学、宗教学、また脳神経科学や大脳生理学、認知心理学など、
まあこれらを自分で専門的に研究しようと思うほど好きなわけではありませんが、
それらの学問の最新の動向はいつも気になっています。
また、人間発達文化学類 (元教育学部) というところに就職したからでしょうか、
最近、教育についても関心が芽生えてきました。
そもそも教育とは何か、という教育原理論や教育哲学が扱うような問題から、
実際にどんなふうに教育したら効果的なのか、という教育方法論に関わる問題まで、
教育という問題は常に頭のどこかに引っかかっていると言っていいでしょう。

ただ何にしても、問題を実証的に研究していくという方法論にはあまり関心ないので、
それらは専門の自然科学者、社会科学者の皆さんにお任せするというスタンスです。
政治哲学とか教育哲学という分野は、
学問分類的には政治学や教育学のなかに入れられていますが、
研究スタイルとしてはデータを集めて実証していくという方法論を採らないので、
それらは政治や教育といった特殊な対象を研究する哲学にすぎないと言えるのかもしれません。
その意味ではけっきょく私が好きなのはどこまで行っても哲学だけということなのでしょうか。
ちょっとうまくまとめられませんが、次のようにお答えしておくことにいたしましょう。

A-2.政治学、法学、国際関係学、文化人類学などの社会科学や、
    宗教学、教育学などの人文科学、生物学、大脳生理学、認知心理学などの自然科学等々、
    哲学以外にもいろいろと興味のある分野はありますが、
    研究スタイルとしては実証的な方法ではなく、
    自分の頭で考えていく哲学のやり方が一番気に入っているのだと思います。

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3 コメント

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まさおさま、あなたもですか! (アベ)
2013-05-03 21:56:19
私も中学では数学も理科も好きで得意でした。
そうです、あの高校の数学のプリント。
最低でしたね。
あれで一気に数学がいや、勉強全部が嫌いになりました。
私だけでなかったんですね!
返信する
アベさん、あなたもですか! ( (まさおさま)
2013-05-04 17:22:56
アベさん、コメントありがとうございました。
あなたもでしたか!
腰にタオルぶらさげて、いつも長靴はいてる先生でしょ?
高校の最初は因数分解だったと思いますが、あれで一気に落ちこぼれました。
中学までは因数分解とか超得意だったはずなのに…。
でも、みんなは何も教わっていないのにスイスイ解いていくんですよね。
やっぱ緑が丘高校はレベル高けぇって思っちゃいました。
自分以外にもあのせいで落ちこぼれてた人がいたと聞いて安心しました。
高3になってから共通一次のために、自分で参考書使って勉強してみたら、
ちゃんと解けるようになったので、けっきょくあの先生の教育方針のせいで、
私は文系人間になってしまったんだなあと思います。
まあそのおかげで今の仕事に就いているのですから、結果オーライなのかもしれませんが…。
返信する
Unknown (アベ)
2013-05-05 10:13:32
そうそう、メノコ、オノコとか訳のわからんことを言ってましたね。ホントあの先生、大嫌いでした。
もう一人の数学の先生も東大院出のオカマちゃんでしたっけ。あの人たちのせいで私の人生が変わったと言っても過言では無いと思います。
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