まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.哲学をやろうと思ったきっかけは何ですか?(その1)

2009-07-18 22:58:08 | 哲学・倫理学ファック
「哲学・倫理学ファック」のカテゴリを立ち上げた初期の頃に、
「Q.哲学の先生になろうと思ったきっかけは何ですか?」という問いに
お答えしたことがありました。
その問いと同じくらいよく聞かれる質問です。
質問者は同じことを聞きたくて質問してくださっているのでしょうが、
答えはそれぞれでまったく異なりますので、
改めてこちらの問いにもお答えしておきましょう。

A-1.最初のきっかけは「イマジン」です。

男の子というのは概してそうだと思いますが(性差別的発言かな)、
私もけっこう長じるまで自我の目覚めはありませんでした。
毎日友だちと遊んだり、テレビ番組(基本ヒーローもの)を楽しんだりするだけで、
自分でものを考えるということはずっとありませんでした。
中2のときに初めてステレオを買ってもらい、
最初のうちは映画音楽やポール・モーリアなんかを聴いていました。
そこからカーペンターズを経てビートルズに至りました。
ビートルズのおかげでロックンロールに目覚めましたが、
この段階でもまだ自我の目覚めはありませんでした。
当時、英語の曲に惹かれたのは、英語がなんとなくカッコよく聞こえたのと、
中学生の英語力では歌詞の意味がわからず、それがよかったからでした。
あの頃はフォークソングが大流行中でしたが、
「小さな石けんカタカタ鳴った」とか
「目の前にあった幸せにすがりついてしまった」とか、
子どもの私は、そんなことを熱唱されてもなあ、とちょっと引いてしまっていたのです。
ならばいっそ歌詞の意味なんてまったくわからないほうが音楽にのめり込めたわけです。

そんな私が中3のときに運命的な出会いを果たすことになります。
ジョン・レノンの「イマジン」です。
この曲は歌詞の英文が簡単で、中3の英語力でも十分に理解可能でした。
imagine というのは imagination とかの元になっている動詞で
「想像する」という意味です。
この曲では Imagine there's no ~.という歌詞が繰り返されるのですが、
つまり「~なんてないって想像してごらん」という命令文が反復されているわけです。
特に2番がお気に入りでした。

Imagine there's no countries 想像してごらん 国なんて無いんだと
It isn't hard to do そんなに難しくないでしょう?
Nothing to kill or die for 殺す理由も死ぬ理由も無く
And no religion too そして宗教も無い
Imagine all the people さあ想像してごらん みんなが
Living life in peace ただ平和に生きているって...
      (http://day.aimnet.ne.jp/kanrinin/kanrinin5.htm)

この曲をきっかけに自分でものを考えるようになりました。
「イマジン」が私に与えたインパクトは何だったかというと、
「理想の力」に目覚めさせてくれたということだったんではないかと思っています。
それまではただ現実の中で与えられたものの中をウロウロしているだけだったのですが、
人間は、現実には存在していない世界を想像してみることができ、
そうしたものを生み出していく力をもっているということに、
この曲は気づかせてくれたのです。
当時はまだ米ソ冷戦の真っ最中で、
核戦争がいつ始まってもおかしくないというご時世でしたから(実は今もそうなんですけれど)、
そんな時代の中で、国家も戦争もない平和な理想的な世界を想像してみようというのは、
ものすごく意味のあるメッセージでした。

先に「Q.一番好きな哲学者は誰ですか?」という問いに対して、
イマヌエル・カントの名前を挙げ、
「カント哲学のもつ崇高な理想の力に魅せられた」と書きましたが、
その原点がまさに「イマジン」だったわけです。
というわけで最初のきっかけは「イマジン」だったのですが、
一口に「きっかけ」といっても、実は複合的です。
「イマジン」でものを考え始めるようになったとはいえ、
それがストレートに哲学の道を歩むことにつながるわけではありません。
さらにいくつかの出来事が積み重なって、
そういう方向へ私の人生を推し進めることになったわけですが、
長くなりそうですので、それはまたの機会にお話しすることにいたしましょう。
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