まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

三春病院合同研修会 「倫理学入門 幸福の倫理学」

2009-09-29 19:06:19 | 幸せの倫理学
先日、三春町立病院に行ってきました。
三春・田村地区医療職合同研修会に講師として招かれたのです。
いつもは実践的なテーマで研修をされているようで、
「血液データの判読と病態生理」とか 「股関節脱臼に焦点を当てたリハビリテーション」 とか、
いかにも役に立ちそうなテーマばかりが並んでいます。
そんな中なぜ私が招かれたのか、
福島大学卒で私の授業を取ったことがあり、
看護教育の会合で私が講義をしたときにも聞いたことがあるという助産師の方が、
私を御指名で呼んでくださいました。

上記のような実践的な研修をやっている会とは知らなかったので、
打ち合わせの中でなんとなく決めてしまったテーマが、
「倫理学入門 幸福の倫理学」 という楽しげな (怪しげな?) タイトルです。
まあ最近、高校の出前授業とかでやってるような話を大人向けに練り直して、
なんとか楽しんでいただければ、なんて考えておりました。
毎度のことながら、あらかじめきちんと準備をしておくなんてこともできず、
日々の仕事に追われているうちにあっという間に当日が来てしまいました。

たまたま夕方の研修だったので、
当日もギリギリまで資料を作ったり印刷したりしていました。
とはいえ、これも高校の出前授業と同様、用意した資料はマインドマップ1枚きりです。
あとで知ったことですが、参加者の皆さんは私の回に限って、
資料代300円を払ってくださっていたようで、
300円も取ったのにペラペラのA4用紙1枚だけかよと呆れられたにちがいありません。
まあ、こんなマインドマップ1枚で90分も話し続けられてしまうのも、
ひとつの芸といえば芸なので、それで勘弁していただきたいですし、
マインドマップっていろいろなことに使えて便利なんですよということもお話ししましたので、
私としては300円というのもあながち高すぎるわけではないのでは、
などとも思っているところです。

今回の講義では 「受け止め方の問題」「ありがたい話」 を中心に
幸せになる方法をレクチャーしたあと、「ノーブレス・オブリージュ」 の話をはさんで、
最後の 「医療と倫理」 の話につなげるという構成を考えました。
いずれも、そのうちこのブログで論じたいと思いますが、
簡単に言うと、幸せになる方法を身につけて幸せになってしまった人は、
ただ自分が幸せならそれでいいのだろうか、というお話です。
ノーブレス・オブリージュというのを私は 「恵まれた者の責務」 と訳していますが、
人よりも恵まれている人は、その幸福をただ自分のために使うのではなく、
恵まれない人びとに幸せを分かち与える義務があるのだということを意味しています。

昔から 「医は仁術」 と言いますが、
医療というのは人びとに幸せを与える (少なくとも不幸を取り除く) 仕事です。
その意味では医療というのはノーブレス・オブリージュを職業にしてしまったような、
人もうらやむ素晴らしい仕事です。
そういう仕事に携わる人たちにはどのような倫理が求められるのか、
逆に現代は医療従事者がまったく報われない (むしろ迫害されている) 時代ですが、
社会や国家や国民は医療をどのように守っていかなくてはならないのか、
といったことを最後の 「医療と倫理」 のところで語り講義を終えました。
最後の結論は、「自分が幸せでないと人を幸せにすることはできない」 ということでした。
だからこそ、まずは自分が幸せになり、
そしてその幸せを人にも分けてあげるようにしましょう、というのが話の全体像です。

後日、研修会アンケートを送っていただきました。
どんな結果でもいいので、ありのままの声を教えてほしいとお願いしていたのです。
④満足した、③まあまあ満足した、②あまり満足しなかった、①満足しなかった、
の4択アンケートです。
結果は3.84。
ひじょうに高い評価をいただけたのではないでしょうか。
時間もなかったので記述意見はそれほどありませんでしたが、
「自分が本当に幸福であることを実感することができました」 とか、
「今日、話を聞いて幸せになった」 という、
講師冥利に尽きるお言葉も頂戴しました。
三春病院をはじめとして三春・田村地区の医療施設で働く人たちがものすごく幸せになり、
その人たちに支えられて生きている患者の皆さんにその幸せが伝播し、
そして三春から福島へ、福島から日本へ、日本から世界へと、
幸せが広がっていくことを祈っています。


(たぶんマインドマップは中身をまったく読めないだろうと思います。
 なんとかうまいこと公開する方法はないか、模索中です。)
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