まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.一番好きな哲学者は誰ですか?

2009-04-13 20:58:55 | 哲学・倫理学ファック
4月になってしまいました。
また新しい学期の始まりです。
相馬看護学校での「哲学」の授業も始まりました。
最初の授業ではいつものように皆さんから質問(哲学の先生に聞いてみたいこと)を頂戴しました。
代表質問には授業内でお答えしましたが、
ここでは代表質問には選ばれなかったけれど、
わりと多くの人が疑問として挙げてくれていた質問にお答えしていくことにします。

今年は「哲学者で誰が好きか?(理由も)」という質問が相当多かったです。
これはちょっと意外でした。
というか自己紹介をするときに、いつもだったら自分が専門に研究していることを話すのですが、
今年は慌てていたのか、自分の研究の話をするのを忘れてしまったようです。
そのためにこの質問を数多く頂戴することになってしまいました。
たいへん失礼いたしました。

私の一番好きな哲学者はイマヌエル・カントです。
18世紀ドイツで活躍した有名な哲学者です。
もうとにかくカント・ラブです。
高校のとき「倫理社会」という科目があって(今で言う「倫理」)、
先生は教科書を全然使わない人だったんですが、
私はおもしろくて、1人で勝手に倫社の教科書を読破し、
たくさんの哲学者の思想に触れたのですが、
その中で一番ひかれたのがカントの哲学でした。

その魅力を一言で説明するのはとても難しいのですが、
カント哲学のもつ崇高な「理想」の力に魅せられた、とでも言うのでしょうか。
とにかくカントほど、理想を高く掲げ、
それに向かって前進していくことの重要性を唱え続けた哲学者はいないと言っていいでしょう。
カントに言わせれば、理想というのは現実の世界にはまったく存在しない、
人間の理性が考え出した、この世のあるべき姿です。
理想は頭の中だけにしか存在しません。
どんなに素晴らしいものに思えても現実に存在するものは、
頭の中にある完全無欠な理想に比べたら、何らかの欠陥や欠点をもっています。
だから現実は理想と照らし合わせて常に常に改善されていかなければならないのです。

人それぞれ好きずきがあるのでしょうが、
私はこのような、
決して手が届かないけれど永遠に求め続けていかなければならない理想
という考え方にひどく魅せられたのでした。
最近は老いてきたからか、どうやったら理想は実現できるんだろうという、
理想の現実化の問題に興味関心が移りつつありますが、
しかしやはりカントのような純粋な理想主義というのは、
人類にとっての大事な宝物だと思うのです。
特に現代のように、絶対的価値や絶対的正義を名乗る
人物や団体、国家や宗教があとからあとから登場してくる時代においては、
理想はそんなに容易く実現されるわけがなく、
むしろ理想をめざして現実を改良し続けていかなければならないのだ、
という見方、考え方をしてみることが必要なのではないでしょうか。

うーん、カントの魅力が伝わったでしょうか
どうもまだ全然うまく伝えられていないような気がしますが、
とにかく私はカント・ラブなのです。
授業では「理想の結婚」についてお話ししてあげることにいたしましょう
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大掃除その3・自己効力感 | トップ | 汝自身を知れ! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

哲学・倫理学ファック」カテゴリの最新記事