まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

「キャリア形成論」 のワークシートにはどんなことを書けばいいのか?

2016-04-26 07:25:23 | 教育のエチカ
昨日、「キャリア形成論」 のガイダンスのときにいただいた質問にいくつかお答えしておきましたが、

今回は、それらとはちょっと毛色の違う質問にお答えしておきます。

ガイダンスでは、毎回のワークシートを5点満点で採点するとお伝えし、

そのうち出席点分は2点で、残り3点分は書いてある内容に応じて加点すると申し上げました。

そうしたらこんな質問をいただきました。


「Q.ワークシートに書く内容はこのような感じで大丈夫でしょうか?」


なかなかいい質問ですね。

今までこんなふうに確認されたことはありません。

この人はワークシートにはこんなふうに書いてくれていました。


「職業人レポートは、これから私たちが社会で生きていくために必要な厳しい道の一つなんだと思いました。私はまだバイトを何もしていないのですが、これからバイトや自動車学校など、新しい世界に入って上手に生きていくためにこの授業で学んだことを活かしていこうと思います。そしてその中で知り合った人々に、コミュニケーション力を鍛えるためにもレポートのインタビューをしたいと思いました。」


内容的には自分なりの決意や考えを書いてくれていますのでこのような感じで大丈夫ですが、

おおかたの皆さんと比較するとちょっと書いてある内容が少ないですかね。

ですので、これだと5点満点ではなく4点 (出席点2点+記述点2点) ぐらいかなあ。

もちろんこの方よりも短いのもあって、こんなのがありました。


「自分に意識的に負荷をかけることは常に意識しているべきだと感じた。これからの自分のために、丁寧な言葉遣いや、大学生としての自覚をこの4年間で少しずつ身につけていきたい。」

「自分に負荷をかけることで成長できる、という話は理想的な行動の指針をシンプルに示していると思った。コミュニケーション能力を伸ばす場合に当てはめる、常に新しい人に会うことが成長につながるといえる。」


こんな感じだと自分なりに考えたことが希薄で、

ほとんど授業内容の繰り返しになってしまっていますので、3点といったところでしょう。

たった1行だけこんなふうに書いてくれた人がいました。


「主体性 [引用者注:主体的?] に学ぶことをこれからは意識したいと思います。」


これは短いですね。

これぐらいなら授業の大半寝ていたとしても書けますよね。

いちおう授業内容のメモではないので3点にしてあげるか、

もう記述点は0点にしてしまって2点にするか悩ましいところです。

それにしてもあれだけワークシートをノート代わりにするなと注意したにもかかわらず、

ワークシートに教員が話したことを箇条書きにしている人が数名いました。

こんな感じです。


「キャリアは人生の軌跡であること。
 いまから将来の選択をせばめるのではなく広げることが必要なこと。
 自らに厳しい道を選ぶことが成長への鍵であること。
 主体的に学ぶ姿勢が求められていること。
 民間への就職という道もあること。」

「コミュニケーション能力とは友達と話す能力ではなく、初対面の人と話す能力
 高校のときのように受動的に行動するのではなく、
 能動的に行動しないと大学4年間が無駄になってしまう。
 教員を目指してやっていても民間企業に入る人がたくさんいる。」

「(1)今後の講義の進め方:15回を1セメスター中に、担当のアドバイザーを専門ごとに交代しながら進めていく。
 (2)評価方法とレポートについて:出席点が40%、レポートが60%とし、その内容で評価していく。
 (3)ワンデイ・インターンシップ・レポートについて:6、7月に開催するバスツアーに参加し、レポートを提出する。内容を評価。出なければFとなる。
 (4)職業人インタビュー:3人インタビューをし、それぞれ質問をし、レポートにまとめる。」


まあ、たしかに今回のワークシートには、

「キャリア形成論ガイダンスで印象に残ったこと (なるほどと納得したこと、違和感を感じたことなど) を、書いてください。」

とありましたので、この人たちには上記のようなことが印象に残ったのかもしれませんが、

その話のどこがヒットしたのか、それを聞いて自分はどう考えたのかを書いてくれないと、

これではただのノートと同じですよね。

特に3番目の人なんて、まるっきり授業の進め方、単位の取り方のことしか書いてなくて、

そんなことしか印象に残らなかったのかと、こちらとしてはとても残念な気分になってしまいます。

しかも、(2) の評価方法のところは聞き間違ってますからね。

正しくは、「平常点が70%、レポートが30% (職業人レポートまたはインターンシップ・レポート)、

平常点のワークシートは5点満点で採点し、そのうちの2点分 (40%?) が出席点、

残り3点分 (60%?) は書いた内容で加点する」 となります。

あのガイダンスを聞いてどうやったら 「レポートが60%」 なんて話が出てくるのでしょう?

全然、印象に残っていないじゃないですか。

うーん、ちょっと心配だぞ、今年の1年生。

なんにせよ、こういうノート代わりの箇条書きの人たちはワークシート点は2点になります。

でも、こういう人たちは少数派で、大多数の人たちは、

ワークシートいっぱいに自分の考えたことを書いてくれていました。

こういうのは文句なしに5点満点です。


「初めて 『キャリア形成論』 という言葉を大学に入学してから耳にしました。今日、ガイダンスを受けてキャリア形成論は社会に出るための準備なのだと感じました。自分がいかに社会に出てから必要とされる人材になれるか、この授業で大切にしていきたいと思います。自分に厳しくすることで卒業してからの自分のキャリアになるのだと思います。そのために受け身で授業を受けるのではなく、積極的に攻めていこうと思います。月曜日の1時間目ということで朝は早いですが、大変なのは先生方も一緒だと思うのでしっかりと授業を受けたいです。そしてテキストは絶対忘れないようにしたいです!!!」

「キャリア形成論のガイダンスを聞いて、改めて自分から主体的に行動することの必要性を感じました。ガイダンスで何度も [引用者注:入学式後のさまざまなガイダンスのことと思われる]、大学は高校とは違うということを言われましたが、今日のガイダンスで、その違いは今まで与えられていたものがなくなるのだと気付きました。今までは課題には問題が書かれていて、それを解いて提出すればよかったのですが、これからは自分が問題を見つけ、それに解答しなければならないのだと思います。大学生は高校生の延長だと考えていましたが、そうではなく福島大学の看板をせおっていることを自覚して自分に負荷をかけてキャリアアップしたいと思います。」

「『書き留めなければ何も行わなかったのと同じこと』。この言葉がとても印象に残った。今までの生活と大きく異なり、履修登録など、能動的な行動の大変さを感じている。社会に出て、恥のないよう 『キャリア形成論』 を通して言葉遣い、身だしなみ、電話のかけ方など基本から自分を見直していきたいと思う。特に言葉遣いについては、普段敬語と思って使っていたものがふさわしくない言葉遣いであったりするため、今後注意していきたい。ワンデイ・インターンシップ・バスツアーなど、福島大学では1年生から机上の学習だけではなく、実践実習のチャンスが多いため、自ら行動して活用していきたい。」

「履修登録が未だ決まらず、昨日の夜に、『もう楽な授業をとろうかな』 と思って寝ました。今日、先生方のおっしゃられた、『楽な道より辛い道を』、『福大に入ったらどうしたいと思っていたか』、『入学費分学べ』 というお言葉を聞いて、やはり楽な授業ではなく (もちろんそのような軽い授業などあるわけありませんが)、興味がある、やりがいのありそうな授業をとることにしました。また、大学では、将来へ向けた科目をとった方が良いのだろうかとも思っておりましたが、『選択肢を広げる選択を』 と聞いて、もっと様々なことに目を向けてみようかと思いました。たくさんの視野をもった人物になりたいと思います。」

「最も印象に残ったのは 『コミュニケーション能力』 についての説明です。親しい人間だけではなく、仲の良くない人間や苦手に思う相手にもきちんとした態度で接することを意味すると聴きましたが、意外に思いました。特に私は狭い人間関係を好む性格なので、将来のためにも、この授業中に、様々な人に話を聞いて、広い見識をもちます。最初の授業から様々な事を沢山教えていただき、全てのことを覚えきれたわけではありませんでしたが、コミュニケーション能力・言葉使い、手紙の書き方など、全て 『人間関係』 を築いていく上で必須の能力であることが分かりました。この学類では 『広い人間関係』 を作ることがテーマなので、今日の授業でこれから学ぶことがいかに多いか、社会で人間関係を築いていくことはそう簡単ではないことがわかりました。高校までの 『座学』 だけではなく、フィールドワークを数多く経験し、これまで以上に人との関わり方を学んでいきます。」

「今自分にできることだけをやっているだけでは成長することができないということに対して、納得することができ、再確認することができました。また、接点のない他の企業の方々などとコミュニケーションをとることの大切さも再確認することができました。私は高校時代よく、自分の恩師である部活の顧問の先生に、他の学校の生徒・先生たちがやっていないようなことをやり、すごい選手や強い選手を育てる先生の真似をしろと言われてきました。また、他の学校の人達と交流しろとも言われました。そうすることにより、新しい情報やたくさんの経験をつむことができます。しかし、私は、このガイダンスを受けた後、コミュニケーションを取ることは大切だが、どのようにコミュニケーションをとり、どのような表情・態度・目の置き場・話し方をすれば、相手は気持ちよく話せるのかもっと考えていくべきだと思いました。」

「中学校までは充実した日々を送ることができたと自負していますが、高校3年間は思い返すと、心が満たされるような達成感やキャリアはなかったと思います。ガイダンス内で今後の活動の概観を知ることができましたが、教室内での授業だけでなく校外の自主活動でも学ぶことが多くなるだろうと感じました。職業人レポートでのインタビューを含め、正式な場所や目上の方と接する際の身だしなみ、言葉遣いなどをきちんとしようとする姿勢が、相手に対しての誠意として伝わるだろうし、そういった自主的に働きかける姿勢は、大学生活しかり、社会人になるにあたっても重要なことになると思いました。年齢を重ねて自由度が高くなる環境へと移り変わっていますが、キャリアを積むことで、自由に勝る責任を負う必要があると改めて思いました。キャリア形成論以外でもその心持ちを忘れずに、厳しい選択をし続け、社会に出ても恥ずかしくない人間に成長できるよう努力をしようと思います。」


ただの第1回目のガイダンスだったのに、皆さん多くのことを学んでくれたようでうれしいです。

ただし、人間というのは熱しやすい反面冷めやすく、

せっかく学んだ大切なことをすぐに忘れてしまえる動物です。

今回心に刻んだことを何度も反芻しながら、

先輩や友人が差し伸べる 「楽な道」 への魔の手を振り払って、

自分を成長させる有意義な4年間を送ってください。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿