ホテルの近くの公園にて
(つづき)
旅の続きですが、ここから名称変更し、「スウェーデンお茶の旅」といたします。
「北欧スウェーデンを訪ねてみたい!」
と思うようになったのは、昨年4月にスウェーデンから来日したOさんが暁庵の茶道教室の門をノックしてくださったご縁からです。
日本に留学中の娘さん一家をサポートするために約3ヶ月間滞在し、暁庵へお稽古に通ってくださいました。
その後、Oさんからスウェーデンのお茶事情についていろいろなことを教えて頂きました。
ストックホルムに瑞暉亭という本格的茶室があり、そこで茶の湯を広めるためにいろいろな方が活動していることを知り、いつか瑞暉亭を訪ねてみたい・・・と思うようになりました。
Oさんのお蔭でスウェーデンお茶の旅が実現し、欧米旅行をあきらめていた私にはまるで夢のようなことです(アリガトウ・・・)。
ホテルの近くの公園で・・・いろいろな花が咲き乱れていました
6月26日、その日はストックホルム在住のFさんから茶事のお招きを受けていました。
FさんはOさんの先生で、Oさんが短期ですが暁庵の茶道教室へいらした折に、その旨を快く承諾くだされ、その上、暁庵、Fさん(暁庵社中)、Oさんの3人を茶事へお招きくださったのです。
席入は12時、ホテルまでOさんが迎えに来てくださり、持参の秋草模様の絽の着物を着て、徒歩10分足らずのFさん宅へ向かいました。
そこは大きな古い石造りのマンション、クラッシックな鉄格子のエレベーターが物珍しく、
「どんな方かしら? どのようなお茶の設えをなさっているのかしら?」と初めての御目文字に心が躍ります。
上品なブルーグレイの付け下げをお召しのFさんがにこやかに出迎えてくださいました。
広い居間の一画が待合になっています。
ソファでくつろいでいると、ガラスの汲み出しが運ばれてきました。
美味しい梅酒でしたが、不調法な暁庵は半分も飲めまず・・・残念!
「白雲自去来 (滝画)」の短冊が掛けられ、法谷文雅和尚筆です。
隣りの部屋(茶室らしい)へ続くドアの上に「北暉庵」という扁額が掛けられ、ドアのこちらに蹲踞が工夫して設えてありました。
迎え付けを受け、蹲踞をつかい、高床になっている茶室へ席入しました。
畳敷の四畳半の茶室にびっくり!・・・床(上座)は半間、炉も切られているとか。
床を拝見すると、
「○(円相) 露」と書かれたお軸、紫野大慈院・戸田実山和尚筆です。
このお軸の由来については後ほど詳しく書かせて頂きますね・・・。
ご挨拶を交わし、本格的な茶室「北暉庵」に驚いたことを申し上げると、
友人の建築家、スウェーデンの大工さん、いろいろな方の力添えで茶室が出来上がったいきさつを話してくださいました。
点前座は京畳、点前座の向こうに明かり障子をはめ込むなど、随所にFさんのお茶に対する心入れが溢れている茶室です。
風炉は電熱なので炭手前は省略、待合の居間へ戻り、昼食を頂きました。
懐石にこだわると、なかなか一人亭主の茶事をしずらくなるので、
小林逸翁氏が提案した「どんぶり茶事」を取り入れられているとか。
小さなテーブルが3つ用意され、サーモンとアボガドの丼、向付は大根おろしと枝豆の甘酢仕立て、豆腐の味噌汁が乗った瓢型折敷が運び出されました。
どれも美味しく完食しましたが、サーモンとアボガドの絶妙な取り合わせ、向付の爽やかな味付けが忘れられません。
Fさん手づくりの「夜空」
続いて、主菓子「夜空」を賞味しました。
こちらには和菓子が売っていないのでFさんの手作りだと思うのですが、美しく美味しく・・・いつも手軽に買って済ませている吾が身が恥ずかしい思いがします。
しばしソファへ中立し、いよいよ後座の席入です。
スウェーデンお茶の旅・・・北暉庵の茶事に招かれて(2)へつづく 前へ トップへ