暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長月の稽古だより・・・三重棚で盆香合

2016年09月13日 | 暁庵の裏千家茶道教室


9月7日(水)は長月の最初の稽古日でした。
8月の夏休みモードに終わりを告げ、気合を入れて稽古に励まなくては・・・と、気持だけは前向きです。

その日は、FさんとN氏が残暑にもめげず、颯爽と着物姿で来庵してくださいました。
・・・ところが、暁庵は暑さでバテ気味のため洋服で失礼しました。

購入したばかりの三重棚を使ってみました。
関西のS先生宅で三重棚の稽古をして以来、いつか購入して使いたい・・・と憧れていた棚です。

三重棚は利休が初めて用いたと記憶にありましたが、調べてみると、お好みが多いのにびっくりです。
    三重棚は、地板の他に三枚の棚板が三重に重なっている棚をいう。
    元来は仕掛棚といって棚が五重の水屋用であったものを、
    千利休が桐木地で三重に好み直して席中に用いた。
    再好みとして、宗旦好みは一閑張で、表千家七代如心斎好みは桑木地、
    九代了々斎好みは真塗、裏千家十代認得斎好みは黒掻合せ、
    久田宗全好みは真塗爪紅(つまぐれ)です。   茶道大辞典(淡交社)


暁庵のは表千家如心斎好みの桑三重棚写で、指物師・仙正(仙水正之)作です。
一番上には花や香炉を飾っても好いそうで、これも楽しみです。


   三重棚 
(カメラ故障にてS先生宅の三重棚です)

さて、肝心のお稽古ですが、Fさんが盆香合と貴人清次薄茶、N氏が茶杓荘と唐物です。

棚を使う盆香合は久しぶりです。
8月に入って茶友Kさんから電話があり、
「盆香合で棚を使う場合、貴人畳の角に置いた炭斗はいつ元の場所に戻したかしら?」
・・・う~ん、つい先だって「夕去りの茶事」で盆香合をしたのですが、棚なしでした。
そんなこともあって、棚ありにしました。

盆香合は、いつもと同じ初炭手前ですが、香合が名物であったり、由緒がある場合
香合を炭斗に入れずに、後から盆に載せて運び出し、香を手で焚きます。
香合は初雁蒔絵香合(春斎作)、盆は真塗四方盆、心入れの香(稽古では白檀3枚)を香合に入れます。

・・・(前略)・・後掃きをし、羽箒を炭斗の上へ置いてから、炭斗を持って客付を向き、
貴人畳の角に炭斗を置き、風炉正面に戻り、左ひざを下げて灰器を持ち、香合を取りに水屋へ下がります。

香合をのせた盆を左手で持ち、右手で香合を持ち添えて運びだし、風炉正面に座ります。
棚の前に盆を両手で置き、香合を両手で取り左掌にのせて蓋を取り、盆の上に置きます。
香は手で焚き、蓋を閉め、盆の上に香合を置くと、拝見が掛かります。

盆を持ち客付にまわって拝見に出し、一膝下がって、手をついて控えています。
盆を取りに出た正客が自席へ着くと、一膝進み、貴人畳の炭斗を持って正面を向き、
棚の前に炭斗を置きます。
客付へ戻り、カンをかけ、釜を上げた位置へ引き、カンをはずし、水次を取りに水屋へ下がります・・(後略)。


 雁金草 (季節の花300)

盆香合のハイライトは問答・・・と思っていますが、さて問答は
「香合のご由緒は?」
「先年茶室披きをした折、恩師から頂戴しました「初雁蒔絵香合」でございます。
 ちょうど9月でございましたので、この時期になりますと恩師のことを思い出しながら
 使わせて頂いております。作は前畑春斎でございます」
「それは何よりのお品と存じます。
 美しい木目が、重なる雲のようにも波のようにも見えますね。
 はるばると空や海を渡って来た初雁(ご亭主)をきっと恩師の先生も嬉しく迎えたことでしょう・・・
 お盆は?」
「真塗四方盆で、輝斎作でございます」
「先ほどから好い香りがしておりますが、お香は?」
「茶室披きの時と同じにと思いまして、鳩居堂の伽羅(香銘・藤袴)を焚かせて頂きました」
「・・・初雁蒔絵香合と藤袴、ご亭主様のいろいろな思いを感じながら拝見させて頂きました。
 ありがとうございます」

Fさんもあれこれ考えてくださって、問答は難しいですが、伺うのを楽しみにしています。
                                      

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