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JR九州 BEC819系「DENCHA」~交流電化区間初の充電式電車

2016-12-14 | 鉄道[九州・JR]

先月MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、日韓間を結ぶ高速船(JR九州高速船「BEETLE」)が博多港発着と言う事もあり、少しだけですが韓国だけでなく九州内も動き回る機会がありました。

その際には「若松線」とも呼ばれる筑豊本線の折尾~若松間にも乗車する機会があり、この区間は非電化区間ながらも複線、一時大きく栄えた筑豊炭田の栄光の面影を今に残す路線と言っても過言ではない状況になっています。

この区間を運行する列車は昼間時間帯で毎時2本程度、それも2両程度の短編成ワンマンとなっており、一応政令指定都市内を走る路線ながらも、ローカル線の雰囲気が強く漂う状況と言っても過言ではない状況です。

充当車両も現段階では旧国鉄が製造・JR九州に継承されたキハ47形が主力となっていますが、10月に充電式電車の運行が開始されており、この充電式電車がBEC819系です。

BEC819系は「DENCHA((DUAL ENERGY CHARGE TRAIN)」という愛称名が付けられており、MAKIKYUも正式な形式名ではなくこの愛称名で呼ぶ事が多いですが、車体形状はJR九州では最新鋭の一般車両・817系に酷似しており、817系の充電式電車版と言っても過言ではない車両と言えます。

 
交流電化区間で充電を行う充電式電車としては初の存在、電化区間(現段階の運行区間では回送と折尾駅停車中のみ)ではパンタグラフを上げて走行するものの、非電化区間となる若松線内ではパンタグラフを下した状態で運行するのは充電式電車ならではです。

乗車した際の乗り心地も、電化区間を走る817系電車と大差なく、古くて重たい国鉄型気動車(キハ47形)とは雲泥の差で、某有名デザイナーを起用したJR九州らしい内外のデザインも、交流電化区間初の充電式電車を更に際立たせるものになっていると感じたものでした。


専ら短距離区間での運用となる事もあり車内座席はオールロングシート、この座席は最近JR九州で流行している背もたれが合板剥き出しとなった非常に特徴的なものが用いられています。

この座席を最初に装備した817系増備車(2000番台・3000番台)は、真っ白な塗装も影響してか一部で「白缶」と呼ばれ、MAKIKYUも何度か乗車した事があります。

白缶の座席は座面のクッションが非常に薄い上に、背もたれが壁面に固定されておらず不安定な状況であるなど、見た目は斬新ながらも不評の声も多く、一部では「板切れ」「ベンチ」などとも呼ばれ、他形式車両と併結して運行する列車では、他車両へ移動してしまう乗客もいる程です。

さすがにJR九州もこれはマズいと判断したのか、その後登場した筑肥線の新型車両・305系では、座席も見た目は大差ないものの、クッションの改良をはじめ、背もたれを壁面に固定する事で安定感のあるものとなり、相変わらず合板剥き出しの背もたれなどは賛否両論があるものの、個人的には長時間乗車でなければ充分許容範囲と言えるレベルになったと感じています。

DENCHAでも構想図で合板剥き出しの背もたれが描かれていましたので、817系と305系どちらの座席が採用されるのかと気になっていましたが、座席自体はモケットや座席数などを除くと305系に類似したものになりましたので、白缶の問題点を認識して改善に動く傾向は喜ばしいと感じたもので、現在活躍中の白缶各車両座席の改良と、今後白缶が増備されるなら305系・819系タイプで…と感じたものでした。


817系に類似した車体形状の車両ながらも、スマートドア(押しボタン式半自動ドア)や4か国語表示のドア上LCDモニター、車内LED蛍光灯など、これまた305系で取り入れられたものが採用されているのは評価できる所ですが、ドアチャイムも305系と同様のものになってしまいましたので、これは個人的には少々残念と感じています。


車内の床材も305系で採用されたQRコードもどきの絵柄が散りばめられたものとなっており、座席下部分までしっかりと絵柄が散りばめられているのは、様々な柄のモケットが存在する座席などと共に、某有名デザイナーの拘りが表れていると感じたものですが、この絵柄も好みが大きく分かれるのでは…と感じたものでした。

また充電式電車と言う特性故に、電動車の車端部分は機器スペースとなっており、パンタグラフ設置個所周辺が低屋根構造になっている事で、天井の一部が低くなっている事や、制御車の床下に設置された充電池ボックスは目立つ水色になっている事なども大きな特徴となっています。

充電式電車と言うと、直流電化区間での充電を行う車両ながらも既にJR東日本が烏山線でEV-E301系「ACCUM」を登場させ、MAKIKYUもこの車両に一度乗車した事がありますが、こちらは車端部分に機器スペースを設置・化粧室なしとなっているのに対し、DENCHAは制御車の車端部に化粧室を設置しているのも特徴で、この点は車端の機器スペースをトイレと勘違いして一生懸命トイレを探す状況の姿が見受けられた「ACCUM」に比べると、評価できる点と感じたものでした。

このDENCHAは来春大増備予定、現在は火曜日以外の日中4往復だけに留まっている運用列車が大幅に増えると共に、ほぼ同種の車両がJR東日本でも導入される事が発表されており、老朽気動車代替で今後数を増やしていく事になるのか否かも気になる所です。

またJR東日本が導入予定の車両は、交流電化区間と非電化区間に跨る運行を予定しており、この事もあってJR東日本の一般車両では珍しく、DENCHAベースの日立A-train採用となっています。

それでも名称は「ACCUM」、形式名も既に烏山線で運行している充電式電車(EV-E301系)を交流版にしたEV-E801系と発表されており、BEC819系の別番台ではなく、DENCHAの名称も採用されないのは少々残念と感じていますが、こちらもかなり個性的な車両になりそうで、今後の動向に注目したい車両の一つと感じています。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マイカーに勝てるか (6994)
2016-12-15 20:40:31
鉄道がいくら環境優位を主張しても、電気自動車や自動運転が普及した現代では虚しいレジスタンスにしか思えません。座席を転換クロスシート化するなど、マイカーにないプラスアルファを追加しないと、鉄道に旅客は戻らないでしょう。
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運行区間を考慮すると… (MAKIKYU)
2016-12-15 21:22:31
6994様こんばんは。

DENCHAの客室設備は、都市圏の通勤電車では一般的とも言えるオールロングシートで、某デザイナーが近年好んで用いている木材が使われているのが大きな特徴ですが、この手の座席の登場当初に比べると座り心地は随分改善されています。

現在の運行路線・若松線は全区間乗り通しても20分程度という短距離ですので、車内流動性なども考慮すると却ってオールロングシートの方が良いのでは…と感じる程で、客室設備が要因で乗客減を招く可能性は低いと思います。

ただ若松が若戸海峡を挟んで戸畑と対峙している特異な立地故に、戸畑や小倉と若松の間への移動ではまず利用されず、折尾(もしくは乗り換えて以遠)への利用が大半になってうのは難点かと思います。

こちらも綺麗に20分毎で他路線との接続が考慮されているなら、使い勝手も悪くないと思いますが、現状では毎時2本程度、昼間は運転間隔が40分程度開く時間もあるなど、政令指定都市内を走る路線らしからぬ状況になっており、ダイヤ面では今後改善余地は大いにあると感じます。

また若松線を中心とした運用なら、設備面では特に問題なしと感じるものの、今後他路線でもDENCHA導入を進めるのであれば、路線特性を考慮し1時間以上の乗車となる事が多い路線で運用する際には、ドア間を転換式クロスシートとした方が…とも感じます。

九州の場合は自家用車普及率の高さだけでなく、路線バスや都市間バスも発達しており、これらとの競合もありますので…
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