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JR岩泉線・廃線が正式決定~永らく休止が続いていましたが…

2013-11-11 | 鉄道[東北]

既に様々な所で話題が出回っていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、ご存知の方も多いかと思いますが、岩手県内を走るJR東日本・岩泉線の廃線がJR側より正式発表され、2010年夏から永らく運行休止状態が続いていた同線は、復旧する事なく廃線となりました。

岩泉線は日本全国に数多く存在する「ローカル線」の中でも、希薄な沿線人口や、人の流動と一致しない運行区間、運行本数の少なさなどが災いし、永年「日本一輸送密度の低い路線」の座に君臨する状況でした。

旧国鉄時代の不採算閑散路線整理に当たっても、輸送量は僅少ながらも、「沿線道路が未整備」という事で辛うじて残存し、沿線の道路整備さえ行われれば、何時廃線になっても不思議ではないと言っても過言ではない状況でした。

元々が超閑散線区である上に、2010年夏の土砂災害による脱線事故発生→多額の復旧費用などを懸案すると、もはや民間企業による鉄道運行は…と言わざるを得ないのが現状で、仮に無償でタクシーやマイクロバス貸切による代行輸送を行ったとしても、その方がコスト面でまだ割安なのでは…と感じる程です。
(現にJR現存路線でも、冬場の積雪期になると長期運休→代行輸送が近年常態化している路線も、幾つか存在していますが…)

 
MAKIKYUも岩泉線には、2004年夏に一度だけ乗車した事があり、今は全車退役となった非冷房のキハ52形気動車が専ら専従している状況でしたが、利用状況は相当低調で、今回の廃線正式発表は「遂にこの時が来た」と言うのが正直な心境です。
(写真は全て2004年夏に撮影したものです)

今後岩泉線は正式にバス代替される事になり、人口希薄な土地柄では路線バス運営も容易ではないかと思いますが、どの様な形態での運行になるにしても、地域に必要な公共交通が維持され、運行本数や運賃(利用者負担)などで大幅な利便性低下に繋がる事だけはない事を願うばかりです。

現状では岩手和井内~茂市~宮古間の岩手県北バスや、岩泉町内を運行する町営バスなども存在しますので、これらの一部と代替バスを統合する事で、全体の運行本数を調整して運行コスト(自治体持ち出しも含む)を下げつつも、実質的な利便性を低下させない再編などが行われるのかも気になる所です。

また岩泉線の廃線とは別件ですが、JR東日本では永らく首都圏~北東北間の足として親しまれてきた寝台特急「あけぼの」号も、来年春以降の定期運行廃止が正式発表されています。
(写真は既公開記事で使用した画像の再掲です)


こちらもMAKIKYUは何度か乗車した事があり、車両の老朽化に加え、新幹線整備の進展や夜間高速乗合バス運行の拡充など、取り巻く状況が大きく変化した今日では、廃止は致し方ない気がします。

その後「北斗星」も後を追って定期運行廃止→ブルートレイン自体が過去帳入りとなると、「クルーズトレイン」の類を除く客車寝台列車の旅を追い求めるとなれば、はるばる遠く大陸まで足を伸ばさなくてはいけなくなり、一つの時代が終焉を迎える事になるのは少々寂しいものです。
(それでも超高額運賃や、少ない定員の「クルーズトレイン」に乗車する事を考えると、旅程の都合さえ付けば大陸の客車寝台列車に乗車する方が遥かに容易ですが…)



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4 コメント

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岩泉線の思い出 (6994)
2013-11-12 22:56:25
 岩泉線に初乗車したのは学生時代の夏でした。宮古のYHに泊まり翌朝宮古発岩泉行き乗りました。管理人さんが掲載した写真と同じく、キハ52形非冷房車の1両編成でした。そのころから利用不振や廃止の噂は囁かれており、JR東日本が「減量と効率化」に走り始めたこともあり、いつ廃止になってもという状況でした。しかしながら、並行道路などの理由からか路線はその後も存続し、国鉄色リバイバル車が運用されたりして「絵になった」り、2007年には水郡線からキハ110系が転属してきて近代化が達成されたりもしました。それでも、利用者層はお金を落とさない18キッパーばかりのような感じが続きました。2010年7月の水害で全区間運転見合わせとなると、誰もが廃止に流れが向かうことを確信したことでしょう。問題は岩泉線にとどまらず、盛岡と最短経路で連絡している山田線が閑散線区に陥っており、さらに東日本大震災後釜石~宮古が不通のままであることなどを考えると、宮古地区の軌道系JR線の将来は絶望視せざるを得ません。
 また10年代に入り、4年連続で7月に豪雨で地方閑散線が被災する事態が続いています。地球温暖化の影響ですが、そろそろ不採算路線の夏季の豪雨対策に本格的に取り組まなければ、さらに廃止の流れが加速していくでしょう。但し、近年はマイカーの電気エネルギー化も進捗しており、「鉄道=環境にやさしい」という図式は必ずしも当てはまらないことを認識しての議論が期待されます。
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インフラ維持なども考えると… (MAKIKYU)
2013-11-13 23:44:40
6994様こんばんは。

鉄軌道はインフラ維持に莫大な費用や手間を要しますので、岩泉線の様な超閑散線区で、尚且つ3桁億円程度の復旧費用をかけてまで…ともなると、代替交通確保による鉄路廃線は止むなしと言わざるを得ない気がします。

また山田線の沿岸部は、未だに代行輸送すら実施されず、定期券・回数券のみ路線バス振替対応と言う状況が続いていますね。

不通長期化が避けられず、復旧方法を模索する状況が続くのであれば、代行バスだけでも早期に運行開始するか、普通乗車券や各種企画乗車券類利用時でも路線バス振替輸送を早期に実施して欲しいと感じるものです。

経営余力のあるJRには、閑散線区の災害被災でも復旧費用が出ない仕組みも、脆弱な経営基盤や過大な特定自治体財政支出が問題となる地方3セク鉄道の被災復旧とはまた異なる問題点がありますが、どちらも今後更に問題となる事例の増加が見込まれますので、復旧支援・補助のあり方自体を見直さなければならない気がします。

また自動車の電気エネルギー化進捗も、自家用車だけであればまだしも、バス車両などでも導入が進めば、BRT化などで古参気動車を運用するよりも環境負荷面で…という事も出てくるかと思います。

需要が限られるものの、地域にとっては必要不可欠な地方交通の維持は、必ずしも従来型の鉄軌道だけではなく、地域の実情に合わせてBRTやDMVなどの導入も検討余地はあり、山田線沿岸部などは今後どのような形での復旧となるのかも気になる所です。
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トラバありがとうございます (diamond next)
2013-11-16 00:05:52
土砂災害以前に、いつ廃線になってもおかしくない路線のようにも思えます。なので廃線が決まっても大して驚きませんでした。あと震災による経済的打撃も無視出来ない要素に思えます。

話変わって恐縮ですが、弊ブログが移転しましたので、お手数ですがブックマークの変更をお願いします。
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岩泉線以外にも… (MAKIKYU)
2013-11-16 13:13:15
diamond next様こんにちは。

岩泉線は災害発生以前から、何時廃止が発表されても不思議ではない印象があり、現在旅客営業が行われている路線の中でも、同感と感じる路線は他にも幾つか存在しますね。

地域の公共交通自体が失われる、或いは著しく不便になるのなら話は別ですが、無償で代行輸送を実施しても復旧費用より遥かに割安、尚且つ道路事情などにより代行輸送に支障が出るのでなければ、廃止は致し方ない気もします。

公共交通だけあり、不採算と言うだけで安易に撤退するのは…とも思いますが、JR側が運行本数・運賃面などで鉄路に劣らない代行輸送を提供するなど、地域状況にも配慮した形で可能な限りの策を講じるのであれば、むしろよくやっていると評価しても良い気がします。

今回の岩泉線廃止に際しても、トンネル区間などの無償譲渡に加え、道路整備費用負担まで申し出ている事などを踏まえると、自治体側にはかなり破格の条件を提示している印象がありますので…
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