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KORAILの新しい高速列車・KTX 山川(2)~一般室車内などの様子

2011-03-16 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先月MAKIKYUが韓国へ出向いた際に乗車した高速鉄道(KTX)の新型車両・KTX 山川(Sancheon)ですが、この車両は両端が動力車となっており、その間に連接構造となった客車が8両挟み込まれています。
(両端の機関車と客車の間は連接構造にはなっていません)

この客車8両の中に1両だけ特室(グリーン車相当)が組み込まれているものの、他の客車は一般室(普通車相当)になっており、MAKIKYUが乗車したのは客車の大半を占める一般室の方でした。
(需要の多い日曜日夕方のソウル方面で、乗車時間3時間前に乗車券を購入した事もあり、乗車した列車は2編成併結でも通路側で1席だけの空席、選択の余地はなく乗れただけ上等と言う状況でした)


この一般室はフランスTGVベースの初代KTXが、客室設備の面で非常に不評(特に一般室)だったため、不評だった問題点の数々を解決した事を謳っており、車体幅拡張に伴う圧迫感軽減や、座席の前後間隔(シートピッチ)の拡張などが行われています。

そして初代KTX一般室では本家フランスのTGVと同様に座席の方向回転・転換機能がなく、半数が進行方向と逆向きに座る事になり、この事が不評を買った最大の要因にもなっていますが、KTX 山川では大半の座席で全席回転式リクライニングシートを採用する事で、この問題を解決しています。
(TGVの本家・フランスではこの方式が当り前で、韓国輸出に当たっても太鼓判を押したらしいですが、この座席の不評は運行開始前から懸念されていた様で、契約上手直しが出来ない期間は過ぎている事から、具体的発表こそ聞かないものの、今後座席の取替えなども見込まれている様です)


ただこの座席はシートピッチこそムグンファ号と同レベル(980mm)が確保されているものの、初代KTXを連想させる引き出し式テーブルの収納スペースが8cm程の厚さがあります。

その上座席下部は若干の空間が設けられているとはいえ、足を大きく伸ばせる程ではありませんので、シートピッチの割にはやや狭さを感じるもので、ムグンファ号タイプの座席+肘掛にテーブルor日本のJR新幹線・在来線特急で一般的な背面テーブルであれば…と感じたものでした。

そのため初代KTXの一般室よりは随分改善されたとはいえ、座席の改善を謳っている割には、KORAILの一般列車に比べても…という程で、その上KTXの運賃設定は最上級に属しますので、高速移動が目的でなければ、KTX 山川よりもムグンファ号などの一般列車に乗った方が良いのではと感じたものでした。
(特に高速線を走らず、一般列車と同じ線路を走る東大邱(Dong-Daegu)~馬山(Masan)間など)

まして3人掛け座席を回転させる関係もあって、普通車でもシートピッチが広く確保され、足元も広々としている日本の新幹線に比べると、普通車/一般室のグレードに関しては言うまでもなく…と言う所で、KTX 山川乗車の前々日、新横浜~博多間で乗車したJR東海のN700系「のぞみ」号との格差は随分なものと感じたものでした。


またグループ利用で向かい合わせで利用する事も想定して、一部はテーブル付きで簡単なガラスの仕切りもあるセミコンパートメントとなっており、列車の性質や設備などは全く異なるものの、この区画はMAKIKYUがKTX 山川乗車前日に乗車したJRのキハ72形気動車(特急ゆふいんの森号)を連想したものです。
(余談ながらKTX 山川が発着する釜山駅と、ゆふいんの森号が発着する博多駅は、直線距離で200km程度しか離れておらず、両都市間は高速船で約3時間で移動できますので、国は異なるとは言えども比較的至近距離にあります)

 
このセミコンパートメントの設置をはじめ、車内には飲み物やスナック類などを販売するコーナーもあるなど、設備面で多様なニーズに応えるという面では、車内に同種座席だけを並べて座席で埋め尽くし、収容力一辺倒で画一感が否めないJR東海の新幹線車両にはない特色が見受けられます。


また車内案内表示装置も、最近ではLCDモニター採用が多く見られる中で、新幹線に関しては未だにLED文字スクロールばかりと言う中、KTXに関してはKTX 山川だけでなく、TGXベースの初代KTXでもLCDモニターを採用している点も評価できる所ですが、KTX 山川は最新型にも関わらず、LCDモニターの設置方法がが如何にも後付けという印象が否めないのは惜しい限りです。

特室車やデッキの様子などは、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。