予想通り、冷え込んだ朝の根室市内を5時前に出発。
根室半島は南北にダートがいくつも走っていて、途中で半島を縦断するとさらに良い景色が見られそうですが、
ここはこの先の移動距離の都合もありますので、海沿いを時計回りに一周してみましょう。
市街地を出るとすぐにもう大草原
今日も天気予報は晴れのハズなんですけど、道東の天気はコロコロ変わるので油断できません。
太陽が出ていないと寒いので、電熱ウエアとグリップヒーターが大活躍しています。
最東端の「納沙布岬」
国後島、そして天候が良ければ歯舞群島のいくつかと、幻の灯台が傾いて立つ「貝殻島」などの他の島々も見ることができたはずなのに
海上には霧がかかっていて何も見えていない。
シンボルとしてのモニュメントが無かったからではなくて歯舞群島が全くと言っていいほど見えなかったのが残念…
道東では天気に恵まれなかったみたい、でも大きく崩れたとするともっと過酷なツーリングになったかもしれないと思うと
初日の朝方以来、レウンウエアを着ていないのだから、やっぱりツイていたと思うべき。
その後は根室半島の南側海沿いを足早に駆け抜けて
最東端の駅となる根室本線「東根室駅」を無意識に素通りして北海道の道東南側を今度は太平洋に沿って
淡々としたハイペース。
海沿いからなぜだか内陸を走らされるようになってしばらくのところで、脇道にそれてダートへ。
映画やドラマのロケ地にもなる(そりゃなります)根室市の太平洋側に位置し、湖沼と草原で形成され、北海道の海岸線の原風景が残されている美しい眺め。
この広い「フレシマ湿原」に人間は我々二人だけ…
日本野鳥の会の鳥獣の保護区域
今日はこの後「釧路湿原」に向かうのでそちらメインで考えていたけど
ツーリングマップルにコメントがついていた場所なので、少しだけ覗いてみようかな…くらいのことでしたが、
ココからの眺めは秀逸で、少しではありますがダートを走ってやってきてよかった。
やっぱりある程度ダートを走れる装備と気持ちでいたほうが、北海道では楽しめるようです。
鹿の群れも大所帯、これほどの数は地元では見たことはありません。
フラットダートだからと派手に砂煙を舞い上げながら走るのははばかられるような、清らかな自然の風景でした。
この日は「霧多布岬」で朝ごはんの時間となりました。
岬の手前にはキャンプ場とバンガローがあり、キャンプツーリングを楽しんでいらっしゃるライダーさんには絶好のロケーション。
しばらく滞在して、周辺に豊富にある湿原と海岸線が美しく見渡せる天候を待つと言う作戦もありですね。
また少し進んで厚岸町では「原生花園あやめケ原」
もう少し早ければアヤメの大パノラマを見ることができたようです
自然のままの草原群落は北海道では多く見ることができましたが、何処も寒さのせいでしょう高い木が無いので遠くまで見渡せるのです。
厚岸漁業協同組合の直売店を覗いてみました。
厚岸カキをはじめまさに北海道の海の幸でありまして、花咲ガニやホタテの生けすなど、僕たちの地元では見ることのない圧巻のラインナップ。
今日は朝からいくつもの湿原を眺めながら進んでいるのですが、いよいよ「釧路湿原」
釧路湿原はものすごく広いので、少し高いところから見下ろせるいくつかの展望台の「細岡展望台」に向かいます。
すでに自然豊かなエリアに入ってきていたのに鉄道が通っていて、越える踏切は「釧路本線」
ずっと前から民家は見えていませんからこれはもう観光駅。
ログハウス風の駅舎の「釧路湿原駅」
観光シーズンには、釧路~塘路(とうろ)間に、「くしろ湿原ノロッコ号」というトロッコ列車が
湿原ギリギリを走り、運が良ければ車窓からタンチョウも観察できるらしいのですが
平日の午前中、誰もいない虫の声しか聞こえない秘境駅。
ココを列車が走るところ、鉄道ファンではない僕でも見てみたいと思いましたが
列車本数少なくて、次の便まで待てるものではないですね。
駅を出てからもさらにダートを8.5Km走って「細岡展望台」
山の中を走り続けたので、この先に開けた湿原の眺めは素晴らしかった。
広大な湿原の中を緩やかに曲がりくねる川、東京の広さを知らないけど東京23区がすっぽり収まってしまう広さ (^_^;)
やっぱり自分の目で見るのが一番、来てよかった。
釧路湿原の北部、湿原内を走れるダートがあるようなので。ぜひ走ってみたいところでしたが…
現在のところ周辺の水位が高く残念ながら通行止め。
それでも諦めきれないので、大きく回り込み
反対側も行けるところまで行こうと大きく迂回。
途中、道路沿いの草原に天然記念物のタンチョウを何度か見ることができました。
適度な曲がり具合のワインディング、北海道は舗装されている道路は路面コンディションが全般的に良いと思いました。
30Kmの迂回も美しく曲がる道を見ながらのスピードコントロールとバンキングの楽しさであっという間。
北海道は直線道路が多いので、少し曲がりが立てこんでくると目が覚めると言うものです。
そして通行止めエリアの対岸、ツーリングマップルでは薄い水色で表示されているようなところ
ストリートビューでは普通のダートに見えていたけど、水位が高くなることによりどれだけ水辺に近いところを走れるのかと興味があったのに残念。
足早でしたが、雄大な湿原とタンチョウを見ることができたので、次の場所へ引き続き走ることにしましょう。
釧路湿原を離れてすぐに道道1093号線(4ケタ)で「阿寒湖」へ向けて峠越え。
見通しが良くてセンターラインもあり気持ちよくクルージングを続けていられたのに、この後の未舗装路への移り変わりがいきなりで劇的。
フラットダートが14Kmも続くのに直線が多い、ダート得意なライダーならカッ飛んでいけそうな珍しい道。
頂上の鶴見峠では霧の中、下界に広がる阿寒湖を見ることは叶わず、
下りは一変、ダートのワインディングで山深い雰囲気。
ひと山超えるだけでこれほどまでに気象と道路が変化するとは (^_^;)
ダートを走り終えて国道へ出てみるとまた快走舗装路。
今回のツーリングルートでDL1000を選んだのは正解でした。
それはアドベンチャーも然り。
阿寒湖と言えば「マリモ」
しかし湖の観光にあまり興味がない我々は、ランチで「ザリガニ」を食べるためだけに湖畔へ。
阿寒湖で釣り案内のサービスを行っている「フィッシングランド阿寒」にある「海平」
ザリガニというと食べるのに抵抗がありますが、ここでは「レイクロブスター」と呼び、阿寒湖の特産品となっているそうです。
生きたものをすぐに茹でた、新鮮なものが食べられるのは北海道でも阿寒湖だけらしく
ココでこれを食べるのはもともとツーリングのプランに組み込まれていました。
湖では必ずと言っていいほど定番のワカサギの天ぷら。
何処でもほぼ揚げたてが出てくるので美味しいこと間違いなし。
その後も霧が晴れたり曇ったりの山間部を北上して、摩周湖と屈斜路湖の中間のエリアに向かいます。
山間部を走っていても長い長い直線が続くことは珍しくなく、ほかに交通量も無いのでスピードも出ます。
クルマにも歩行者にも取締りとかにも注意と気配りが必要ですけど、もっと怖いのは自分のミス
そして最も怖いのが「シカ」。
ちょうどこの頃、シカと衝突し大事故になってしまったと言う悲しいニュースを耳にしたところなので
視界の先々まで見通せていても安心なんてできません。
シカは真横からでも飛び出してきますからね。
宿まであと少しと言うところ、「硫黄山」の看板に目がとまり急遽見物となりました。
目の前の山肌からゴウゴウと音を立てながら勢いよく噴き出す噴煙。
黄色の硫黄の結晶がいくつも見られ、なんだか近付くのを躊躇うくらいのエネルギーと強烈な硫黄の匂い。
まるでアトラクションを楽しむかのように噴気孔のすぐそばまで近づいてみましたが、
かつて硫黄の採掘で栄えたこの山が、沿線の近代化に貢献するとともに今日のJR釧網本線の礎を築くことになり、
今夜泊まる「川湯温泉」の発展を支えていたことは後から知りました。
アイヌ語で「アトサヌプリ」、裸の山と呼ばれる硫黄山
これを背景に少し走れば宿に到着します。
温泉はもちろん源泉かけ流し、さっき見た山の活動とこのお湯の気持ちよさが直結して、
なんとも気持ちのいいこと…
缶ビールの自販機が無く、フロントにて瓶ビール購入。
一日の無事を祝うのはこのほうがいい (>_<)
そんな温泉宿でも食事は外で…
この温泉街以外には周囲に民家などしばらくなかったのに、飲食店はけっこうあるようですからこの宿を素泊まりにしたのも頷けます。
2軒目は寿司店、ここは南の釧路よりも北の知床オホーツクのほうが近い。
本日の走行は400Kmほど、
山の中に居る気分なのに、職人さんの寿司はうまかったな~。