今朝のスタートは雲ひとつない夜明け前。
早々に会津若松市内をあとにして奥会津を南下していきます。
江戸時代に会津若松市と日光今市を結ぶ重要な道であったらしいルートで初っ端から豪快に峠越え。
下り始めてしばらく行くと、薄っすらとした霧の中に茅葺屋根の建物が軒を重ねている集落が見えてきます。
ココは江戸時代の町並みを今に残す宿場「大内宿」。
「下野街道と呼ばれた会津と日光を結ぶ街道の両脇には、茅葺き屋根の民家が並び、江戸へ向かう大名や旅人の宿駅として重要な役割を果たしていた宿場
現在も江戸時代の面影そのままに30軒以上の茅葺屋根の民家が街道沿いに建ち並び、国選定重要伝統的建造物郡保存地区に指定されているそうで
どこを切り取ってもフォトジェニックな茅葺き屋根の民家は、まるで江戸時代へ飛び込んでしまったかのような錯覚を覚えるはず…
じつは去年もこの道は走っているのですが、朝早くに福島市内を発ってからというもの
浄土平に磐梯山周辺と那須高原などなど、食事を摂ることも忘れ絶景三昧の天空ツーリングだったので
何やら道路沿いの駐車場に大型観光バスがたくさん停まっていて、駐車場で誘導しているおじさん達がしきりに我々を誘導しようとしているのに
そちらには興味がなくて、わけも分からず通過してしまっていたのでした。
せっかくだから今回は少し覘いていこうということになりバイクを停めて踏み込んでみましたがまだ時間が早すぎて未だ何も動き出していない様子
どの宿も何らかの営業をしていて民宿にカフェ、みやげ物屋にお食事処にそば処などなど…
これは女性とだったらまる一日付き合うくらいでは足りないくらいのものですね。
そして外国人の観光客が日本人以上に好みそうな場所でした。
再スタート後すぐに霧は晴れて、今日本来の晴天
東に進めば那須高原とその先に日光、西に行けば会津高原そして尾瀬に向かうという素晴らしい座標に居て
そのうえ晴天の一日はまだ始まったばかりと言う嬉しさいっぱいの状況です。
おまけにツーリングマップルを開いてもどの道(国道でさえ)もお勧めの快走ルート。
会津高原の南側を横切る国道から少し山側に入って行くと、これまでに見たことのない広大な蕎麦畑
12ヘクタールの広さを持つ「たかつえ高原そば畑」
福島県の観光情報にも取り上げられている山の中にある広大な蕎麦畑の周りには人工的な建物も見えず、
かれこれ1週間バイクに乗り続けている僕でなくてもこれはもう誰でも日常を忘れることのできる、蕎麦と山と空しか見えない標高1000mの高原でした。
ちょうどそばの花満開のこの時期、夜だったらライトアップの演出もされていて
このまま夜まで待てばこんな幻想的な風景も見られたはず。
その後も左右にそば畑の状況は続き、国道を離れて農道に入ると
人も車もいなくて、そば畑の中を爽快に走り抜けるという
我々の地元ではまずありえない快走です。
そうこうしていると会津高原を離れて「尾瀬」が近付いてきます。
福島県と新潟県と群馬県の3県にまたがる高地にある盆地状の高原「尾瀬」
小中学生くらいの時に誰もが耳にしている童謡唱歌「夏の思い出」の歌詞にあるような
水芭蕉の花や野の小道をこの目で見てはみたいけど、この先から県道に入り
バイクで行けるところからさらに徒歩で1時間歩いてやっと「尾瀬沼」
そこからさらに進んで、尾瀬のプロモーション写真によく使われる景色の広がる「尾瀬ヶ原」まで足を延ばすとなると。
我々はライダーではなくて二日間くらい「ハイカー」になる必要があるみたい。
さすがにそこまでは無理なので、そんな人たちのために尾瀬の季節と雰囲気を手軽に体験出来る公園とされる「ミニ尾瀬公園」で雰囲気だけ (^_^;)
水芭蕉やニッコウキスゲ、コマクサなど尾瀬や近隣の山々に咲く草花を中心に公園内に植栽されています。
2015年の信州ツーリングでは通年マイカー規制のためバイクを置いてシャトルバスに乗り
上高地の「河童橋」までは歩いて到達したものですが、「立山黒部アルペンルート」とこの「はるかな尾瀬」については
前者を高校の修学旅行で訪れたことを除けば(高校の修学旅行なんて友達と騒ぐことしか考えていないので行っていないのも同然)自力で近隣まで来ているのに
核心に触れることなく(大げさ)やり過ごしているのです。
この先、元気なうちに再び訪れることができるのならば、もう少し計画的に有意義な時間の使い方をしたいところです。
こう言うのは帰ってきてから後悔するものですからね。
そのままR352を進むと(この国道以外に道は無し)福島県から新潟県に入ります。
去年もこの豪雪地帯の「只見」は走っているのですが、少し北側のJR只見線に沿った(と言ってもJRはほとんどトンネル)絶壁ルートで新潟県から福島県へ入りました。
今年はひとつ南側になりますが、これがまたさらに凄い豪雪地帯を貫く国道。
11月中下旬から6月中下旬まで冬季閉鎖される冬が長いエリア。
向こうの山の上に見えているのは「万年雪」ではないのかな?
面積が最小となるこの9月を越すのであればおそらくそう言うことでしょう。
それにしてもお天気と視界は最高~
ツーリングマップルで「日本屈指の峠越えルート」と称される国道はほぼ交通量ナシ。
奥只見ダムにより貯えられる「奥只見湖」を見下ろしながら
対岸にも見渡せる1.5車線の断崖絶壁に沿った、それでいて路面コンディションもそれほど悪くないワインディングをパワフルに快走。
所々、特にカーブの途中に現れる水の流れ…
道路の側溝に落ち葉が詰まって雨水があふれているのかと思ったら、側溝なんて有るわけもなく
その上、流れを越えるたびに路面も前後で盛り上がっていてちょっと不快。
でも流れている水はとても綺麗です。
これは沢の水が道路を川として横切って流れるようにわざと仕組んである「洗い越し」といわれるもの。
川に橋を架けずに道路と川が平面交差する部分を言います。言い換えれば、川が道路をそのまんま横断して流れているということ。
コーナーリング中に突然路面が濡れているのはあまり気持ちのいいものではありませんが
こんなところに道路が通っていて洗い越しをいくつもいくつも越えながら走り続けていると
どれだけ山深いところにいるのかを実感できます。
これで熊にでも遭遇するようなことになったら…と思いましたがさすがにそこまでツキはありませんでしたね (^_^;)
ここでも豪雪地に見られる桁違いな「スノーシェッド」
ひたすらワインディングを駆け抜けて魚沼市近くまで下って来ました。
しばらく見ていなかった建物が見え始めたころようやく食事。
もう蕎麦以外に考えられない我が胃袋事情 (笑)
魚沼市街から関越自動車道で小出IC~六日町ICまでの一区間
そこから野沢村から始まる「奥志賀林道」の北側の始まりから全線を走って
あの国道292号線「志賀草津道路」の途中に合流することにしましょう。
奥志賀林道では珍しく先行車。
我々が追いついたわけですが、いきなり追い越すのは無礼なのでしばらく後ろに付きます。
もう8日間も2台だけで前になったり後ろになったりを続けているので
たまには違うライダーさんと触れ合いたいと思うのは自然なことです。
かと言って、ライダーさん達が多く留まっている駐車場に滞在してお話を伺っていたいわけではなく
後方から前にいらっしゃるMT09トレーサーのライディングを見せていただきながら、ライディングの方法について自分が勝手に考えるだけのことです。
嫌がられないよう少し多めに間合いを取り、一定の距離を変えずしばらくの間…ご一緒させていただきました。
今更ながらやっぱりあの時、下北半島で出会った外国人ライダーさん達とご一緒したかった (^_^;)
志賀草津道路に繋がるにはかなり標高も高まってきます。
周囲の樹木も高山化してきて目に入るものが非日常的感覚になってきて少しでも長くこの場所を感じていたくて、もう走りのペースは落ちるばかり。
志賀草津道路に入ってさらに上昇を続け、志賀高原横手山渋峠スカイレーター前にある横手山ドライブイン。
とても眺めがいいのでいつも少しだけ止まるのですが、以前からあった建物が新しいカフェとしてオープンしていました。
「2307スカイカフェ」なんだかとってもわかりやすいお名前。
標高2000m以上ののとてつもない高いところ(2307は志賀高原横手山・渋峠スキー場 日本最高地点のスノーリゾートの高さのこと)
にあって超絶眺めがいいことは疑いようのないところデス。
大都会の高層ビルのラウンジも憧れるけど、この窓際カウンターの席は季節や天候により、
そこからの景色を様々に変化させて見せてくれるので飽きることなく楽しめるのではないですかね~ エレベーターも無くてここまで来るのは大変ですけどね (^_^;)
そしてさらにさらに上昇して志賀草津道路で最も眺めの良いところに向かうと、ここは何度走っても興奮しますね。
朝から雲一つない空模様だったのですが、さすがにこの高さでは山のこっちと向こう側では空の様子もめまぐるしく変化。
横手山と白根山の間を通過する「渋峠」
走るよりも眺めていたい「道」
去年の東北ツーリングの帰り道にもルートに取り入れたかったほどですが、朝に日光の鬼怒川温泉を発つときからの天候不良でパスしています。
バイクで高いところを走るの大好きでありまして、雨で濡れた路面を走るのは苦にならなくても
楽しみにして上って来た山の上に雲がかかっていて景色が見渡せないのは苦痛ですね。
ここには何度か訪れていますけど、運悪くこの石碑の向こう側の景色が見えたことがない…
やっぱり高い山の上の天気は急激に変化するので、ツーリング中に目に飛び込んでくる絶景は一期一会
貴重な時間とそのほかにもいろいろとやりくりしてツーリングに出かけて来ているのだから、運よく見えている絶景は真剣に見ておかないといけないな~ また来よう (>_<)
白根山の噴火警戒レベル2 オープンカーもダメってことですがそれはそうですよね。
我々はこの先、白根山から草津に向かう予定ではないのでこの規制からは免れます。
天候に季節(雪)に火山… 絶景を見られる確率は高くないですね。
間もなく万座方面への分かれ道
くねくね曲がった道が遠くまで見通せるビューポイント。
あの路「上信スカイライン」で行きましょう。
この先の群馬県と長野県の境にある「毛無峠」に行ってみましょう。
ルートから外れていくと舗装された車道の終点にある毛無峠は、北には群馬百名山の御飯岳とその周辺に連なる山々の稜線上にあり
「毛無」の名のとおり、辺りには木々が少なく、地面がむき出しの荒涼とした場所もある。
条件良いときは素晴らしい絶景、対して悪いときは寒々としてあまり長居はしたくない両極端な場所
未だそのどちらも体感できていないようなので…また来ましょう。
これでも前回よりは晴れていたので自分を慰めながらここまでで行き止まりの道を引き返す途中
来るときには見えていなかった景色が一変見えてきたりと、本当に高~いところは気が抜けません。
そんな標高2000メートルの天空ツーリングを終え
そろそろ今日の宿に向かうことにします。
そのまま西へ続くクネクネをグイグイ下り
須坂市の街中で明日の早朝スタートに備えて燃料補給。
そして嬬恋村を大きく反時計回りに回り込み菅平高原に少し昇りかけたところが本日の宿「あずま高原ホテル」
こちらも去年の東北ツーリングで最終日の宿となるはずだったのですが
満点の星空を眺めながら露天風呂に浸かるなんて絶望的な天候だったので、
急遽キャンセルし飛騨高山に宿泊地を変更した(アドベンチャーの早業のおかげ)ところです。
下りてきたとはいっても標高は1452mもあって
見渡す限りの山々と大自然に抱かれた山岳リゾート
写真には写らなかったけど、長野の山の上で満天の星空と温泉…叶いました。 (*^^*)
今日はほぼ下道で450Kmほどの走行、ルートの難易度と高低差を考えると
今回のツーリングではかなりタフな道のりではなかったのかなと思います。
本日の移動はこのくらい
上の赤い線、右上の猪苗代湖の左側の会津若松から画像の左下あたりまで
よく走りました。
明日もお天気は快晴。
とうとう最終日になりますが
これまで何度も訪れていながら、未だに満喫できていない「ビーナスライン」
更には雲海チャレンジ
大阪に下り始めるまでは気分が落ち込まないでいられるような幸運に期待します。