伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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社会保障の構造改革

2015-04-07 17:20:55 | 行政経営



(根本的な問題)

少子高齢化が進んでいます。
40年前の日本は、およそ11人の労働者世代で
1人の高齢者を支えていました。いわば「おみこし」状態。
現在は、わずか2~3人で1人をかつぐ「騎馬戦」。
40年後には、1人が1人をかつぐ「肩車」時代になります。



全ての税金が社会保障費に使われるわけではありませんが、
単純化して考えてみます。

担いでいる人数が11分の1に激減しますので、
受給者の社会保障等を現在と同水準に維持するには、
一人当たりの納税額を11倍にしなければなりません。
これは不可能。

では、一人当たりの納税額を現在と同じにするならば、
高齢者が受け取る社会保障サービス等は、
かつての11分の1に減らさなければなりません。
年金が11分の1に減って生活できるでしょうか?

それでは、
増税と、社会保障サービス削減のどこに妥協点があるのか、
具体的に探ってみましょう。
ためしに、中間点ではどうなるか?

一人当たりの納税額が5倍になったとき、
納税者は自分の生活ができるでしょうか?
おそらく大多数の方は5倍も税金を払えないと思います。

では受給者の側から見て、
年金などが半分になって生活できるでしょうか?
多くの方が困るでしょう。

納税者と受給者の双方とも、
中間点まで歩み寄ることができないのですから、
増税したり、サービスを削るという
小手先の対応ではこの問題は解決しません。
社会保障のあり方を根本から見直す必要があります。



(行政がとるべき戦略)

将来の日本は高齢化が進み、社会保障サービスの需要は増えますが、
それを支えるだけの税収・財源が無い。どうしたらよいのか。

将来、ニーズはあるけれども、
財源不足で行政サービスでは対応できなくなります。
需要と供給の間に断絶が生じるのです。



ニーズはあるけれど、「行政」で対応できないなら、
「行政以外の主体」が対応するしか解決策は無いでしょう。

その主体とは、地域、隣近所の助け合いや、
NPO、企業のCSRなどが有望です。

財源の面から行政の対応の限界が見えたわけですから、
不足分を補ってくれる地域コミュニティーやNPOなどを、
積極的に産み、育て、増やしていく戦略が、
行政としては超重要です。

社会保障の支援につながるような団体には、
減税や、寄付の優遇制度どの支援策を
積極的に研究していく必要があるでしょう。



(聖域なき改革)

日本の財政赤字は膨らみ続け、財政破綻寸前です。
国は、毎年の歳入のおよそ半分を借金でまかなっており、
借金の総額は1000兆円を超えています。

現在の長期国債の金利は、歴史的な超低金利なので、
なんとか借り換えてしのいでいますが、
金利が2~3%上昇するだけで、年間の税収総額に迫り、
財政破綻につながります。

日本は、人口や税収が減っているのに、
逆に高齢化の進展により社会保障費は、
毎年1兆円づつ増えていると言われます。

この先、消費税率を上げるにも限度がありますので、
財政破綻を回避するためには、
社会保障費の問題に手を打たなければなりません。

人気ブロガー「ちきりん」さんの本、
「自分メディアはこう作る!」の中にヒントがありました。

ちきりんさんの提案は、
「生活保護費以外の社会保障制度は全廃すべし!」

極論、暴論のように見えますが、
ちきりんさんは国の予算を分析した上で提案しています。



平成27年度の国の一般会計当初予算に占める社会保障費は約33%。



この社会保障費の中で特に大きいのは、年金35.2%、医療29.8%
であり、
生活保護費はわずか15.4%しかありません。



もし今後、国が財政破綻したり、
もしくはそれを避けるための超緊縮予算になった場合、
社会保障費と言えども手つかずというわけにはいきません。

本当に、どうしても削れないギリギリの福祉施策は何?
と考えるならば、それは最終的なセーフティーネットである
生活保護制度です。

現在は、
年金や医療、介護などに大量に税金が投入されていますが、
それらは、お金に余裕がある方にも支給されています。

ちきりんさんは、まず個人の収入や貯蓄で生計を立て、
どうしてもダメな場合に生活保護で救えば良い、
という趣旨の提案です。

社会保障費の中の年金と医療の制度がなくなれば、
その影響で生活保護費が増加したとしても、
十分対応可能という読みです。

国や自治体の財政に余裕がある時には、
ここまで極端に切り詰めなくても良いのではないかと思いますが、
本当に追い詰められた場合には、本質を捉えた提案だと思います。

ちきりんさんは、大手のコンサルタント会社勤務の
ご経験があるようなので、
情緒に流されず、冷静で合理的な分析をされたものと思います。

日本が財政的にもしもの事態になった場合には、
真剣に検討すべき提案だと思います。



(参考ブログ)
公務員を受験するにあたって
緊縮財政に反発
財政破綻への備え 


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