去る3月1日に上毛新聞の一面を見て驚きました。
「伊勢崎市は、保健所設置が可能となる保健所政令市』
への移行を目指すことを決めた。」
と書かれていたからです。
市のHPを確認してみると、
「検討の経過と結果
令和4年8月から4回にわたり政策会議を開催し、
全国の保健所政令市及び県内中核市へのアンケート
調査結果を踏まえ検討を重ねた結果、
市が一元的に保健所業務を行うことの意義は大きい
ことなどから保健所政令市への移行を目指すこととし、
今後は、県との協議や国の動向等を踏まえながら、
更に詳細な調査・検討を深めていくこととなりました。」
同じく市のHPには、今年の1月付けで
「保健所政令市への移行の検討について」が公表されており、
次のように結論付けています。(23ページ)
「結論として、今後は検討を一歩進めて、
市として保健所政令市への移行を目指す旨を表明し、
県との具体的かつ詳細な調整を行い、
移行に伴う課題について、さらに詳細な検証を進めるとともに、
県との協議や国の動向等について調査・検討を深めていく
ことが適切であると考えます。」
(なぜ私が驚いたのか)
「県の保健所ではなく、市独自の保健所を設置したい」
というのは現在の市長さんの願望であり、その実現に向けて
市職員が調査研究を進めいる段階と認識しています。
地方自治体の意思を決定する機関は「議会」であると、
憲法や地方自治法で定められています。
伊勢崎市として設置の可否を決めるのは市議会であり、
市長は市議会が決めたことを実行する「執行機関」です。
「市独自の保健所設置を目指す」という
市としての意思決定をするには、市議会へ保健所設置を含めた
「総合計画(案)」を議案として提出して
賛成多数で可決されるか、あるいは、
市独自の保健所設置のための予算案を提出し可決されるか等
の議案審議と議決が必要です。
しかし現状では、総合計画にはまだ記述はありませんし、
予算案も提出されていませんので、市議会としての
審議(質問・討論・採決)は行われておらず、
伊勢崎市としての意思決定はしていない状態のはずです。
それなのに、市のHPにおいて
「保健所政令市への移行を目指す旨を表明し(中略)
今後は、県との協議」を行う旨を記載してあるのは、
手順を踏んでいないと感じたので非常に驚いたのです。
まずは市議会へ詳細な説明と議案を提出し、
設置について可決となってから設置の意思表明を行い、
それから県との調整を始めるべきです。
まだ市としての意思決定を議会が行っていないのに、
なぜこのような書き方や発表になるのか?
「議会軽視」というコトバがありますが、
これでは残念ながら「議会無視」。
市議会の存在理由は市民の代表としての
「自治体の意思決定」です。
参考:生駒市議会