伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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財政破綻への備え

2012-05-22 08:40:53 | 政治・政策・経済


(とうとう1000兆円の大台に)

5月10日に財務省が国債等の残高を発表しました。
日本政府の借金は、今年度末にとうとう
1000兆円の大台を超えそうだと
産経新聞ウォール・ストリート・ジャーナル日本版などが報じています。



(日経新聞「大機小機」から)

この状況を受けて、
5月18日付け日経新聞コラム「大機小機」では、
次のように破綻に備える必要を指摘しています。

(要旨)
 財政の持続性(借金残高を減らすのではなく、これ以上増やさない状態)を
 消費税増税だけで達成するには、税率30%が必要と
 経済学者の間では共通認識になりつつある。
 
 しかし、これほどの増税、または同等の歳出カットは
 日本の政治の現状では実現困難。

 万一日本財政が破綻した場合、
 国民へのダメージをできるだけ小さくするため
 政府は「善後策(プランB)」を策定しなくていいのか。

 しかし、それにはハードルがある。
 政府の立場は「財政破綻は絶対に起こさない」というもの。
 したがって、財政破綻を前提にした善後策を表立って考えることは
 自らの責務を否定する異なってしまいます。

 政府がそのような検討をしていることが公になれば、
 そのことが国債暴落のきっかけになってしまうかもしれない。

 政府は秘密のうちに「プランB」をつくるべき
 という意見もある。
 この場合正式な業務に出来ないので、
 位置づけがあいまいになるおそれがある。



(エックスデーへの備え)

自民党はすでに国債暴落のエックスデーに備えた対応を
ネット上で公表しています。
今年2月には銀行最大手の三菱東京UFJ銀行が、
日本国債の急落に備えた「危機管理計画」を策定したことが
新聞で報じられました。


「ネバダレポート」という資料があります。
IMF(国際通貨基金)に近い筋から出たものといわれ、
日本が財政破綻し、IMFの管理下になったら
どのように立て直すかという内容です。
10年前の国会審議で取り上げられ、大臣が答弁
しています。



(政府と国民の関係)

日経新聞「大機小機」は、次のように分析しています。

 政府は「このままでは財政破綻になる」と自分からは言い出せない。
 一方、国民は政府が言わないのだから大丈夫だろうと安心している。
 今の状態が続けば、わが国は備えのないまま財政破綻に突入してしまう。
 これでは後世の人から指弾されはしないか。



(改革してから増税で間に合うのか?)

「増税して国民に負担を求める前にムダをカットし、
 十分に行政改革を行ってから増税すべし」
という意見もあります。

順番として理想的ですが、
これは対応の時間がたっぷりある場合の話です。
行財政改革は、十年以上も取り組んできて、
いまだに終了のめどはありません。

「行財政改革を完全に終えてから」
と言っていては、いつになっても増税できません。
改革が先といいつつ、いつになっても増税を避けるより、
増税により、まずデフォルトの危機を回避しつつ、
行財政改革も断行していく、というのが
現実的に望ましい選択と考えます。


日本の借金がこれほど大きくても国債が暴落しないのは、
 「ヨーロッパの消費税率(20%)に比べて、
  日本はまだ増税する余地が十分あり、
  いざとなれば日本政府は増税するだろう」
とみなされているからです。

しかし、事態がここに至っても、まだ増税を決断できないようでは、
日本に対する信頼が揺らぎます。
私は日本国債に対する信用はかなり低下しており、
時間的猶予はもうあまりないと心配しています。

「財政破綻がいつ起こるのか」は、
日本政府が決めることではなく、世界の金融市場が決めることです。
日経新聞の指摘のように、何の備えもないまま最悪の事態を迎えるのか?
それとも、万一に備えてせめて善後策を準備しておくのか。



(地方自治体も備えよ)

国だけでなく、地方自治体も
エックスデーの対応プランを作っておく必要があると考えます。
もし起こったときには、素早く対処できるでしょう。
起こらなければ、使わなければよい。

私は昨年、地方自治体のために
国の財政破綻時における自治体経営」を作成し、
私の公式ホームページにアップしました。
モデル県とモデル市のケースを取り上げました。

国の財政破綻時に、自治体はどう対応したらよいのか。
それを検討するうえで一番のポイントは、
「どうしても実施しなければならない最小限の行政サービス」の吟味です。
上記の私のレポートには、
NPO法人地方自立政策研究所の役割分担明確化研究会が調査した
その最小限の事業が「ミニマム事業」と添付してあります。

「ミニマム事業の資料」は、
全ての自治体に当てはまるわけではありませんが、
自治体における議論のたたき台になります。
現時点では、とても貴重でありがたい資料です。

私のレポート作成のために、
NPO法人地方自立政策研究所からは
快く資料を提供して頂きました。
ありがとうございました。






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