内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「創造の病い」からの快癒の後に現れる持続的な人格変容と新しい世界の発見の確信

2017-06-03 17:20:50 | 読游摘録

 エランベルジェは、『無意識の発見』の中のフロイトの生涯と精神分析の誕生を扱った第七章で、フロイトが一八九四年から一九〇〇年にかけて疾患した奇妙な病の経過とその間の経験について詳述した後、そこから「創造の病い」」の定義と諸特徴を引き出す。そこを以下に摘録しておく。
 「創造の病い」は、一般に、集中的な知的活動、長時間に渡る考察、省察・瞑想、ある真理の探究などに引き続いて発生する。外見上、それは様々な形を取る。うつ病、神経症、心身相関疾患、さらには精神障害など。その症状がどのようなものであれ、それらは苦痛を伴うものであり、相対的寛解と重篤化を何度か繰り返す。その病いに苦しんでいる間、その病者はある心配事によってその心が支配されてしまう。病者は、その心配事をほのめかすこともあるが、大抵の場合それを他者に打ち明けはしない。そして、本人にとって何よりも大切なものの探究に取り憑かれてしまう。
 このような特徴を示す「創造の病い」は、多くの場合、社会的な職業的活動や普通の家庭生活を妨げることはない。しかし、たとえその社会的活動を継続していても、病者は自分自身のことにほとんど没入してしまっている。それゆえ、病者は、極度な孤立感に苦しむ。たとえ、この試練の間、指導者が病者に付き添っていたとしても、やはりそのような孤立感に苦しむ。
 この病いの終結は、多くの場合、急速であり、精神的高揚と生きる喜びを感じる過程を経過する。一旦快癒すると、人格の持続的な変容が現れる。かつての病者は、自分は知的あるいは精神的な発見をした、新しい世界を発見をした、その世界は残りの人生すべてをかけても探索し尽くせないほどだという確信を病後は持てるようになる。











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1 コメント

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理路がある精神医学 (あ*=franoma)
2017-06-05 07:47:31
やはり、それですよね。

ヒトも生物ではあり、
生物学的な精神医学とかで、
ホルモンバランスが崩れて “maternity blue” だと言う人は大勢いますね。でも、それは、「理路がある精神医学」にはなり得ません。

以前、先生のブログ記事にコメントしたヴァージニア・ウルフでも読んでいそうな魅力的な女性は、
「何じゃ、その『ホルモンバランスの崩れに対処して』人生の問題が解決するみたいなバカな言い草は!…」って仰り、(当時、私はまだ出産経験がありませんでしたが)彼女がそう仰るから二人で笑いました。
…という昔話を拙ブログ記事
http://ameblo.jp/aya-quae/entry-12280909253.html
に書きました。

精神医学にオカルトを持ち込む神田橋医師らやkyupin医師はダメです。理路がある精神医学を目指しましょう。

「先進国」オランダも「安楽死」への誘導なんてやめればいいのにと思いませんか。

どうも、お邪魔しました。
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