内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「時」の果実を味わう暇

2024-04-30 23:59:59 | 雑感

 今月も時がゆっくりと過ぎていった。一日から六日までの五泊六日のラ・ボルド滞在がずいぶん前のことのように思える。その滞在以降はなにも特別なことはなく、坦々とした日々を淡々と過ごしてきただけだ。二月一日から研究休暇中で、授業の準備から完全に解放されており、大学関係の雑務も前期と比べればはるかに少なく、自分の研究と自由な読書と日課のジョギングとにかけたいだけ時間をかけられているということが気持にゆとりを与え、周囲のペースやリズムに影響されること少なく、心身において「私」の時間がゆっくりと経過しているから、いい意味で「時」を長く感じているのだと思う。昨年からずっと気にかかっていた辞書項目の執筆も一応終えることができて肩の荷が下りたことも気持を楽にしてくれている。思いがけず『荘子』を「再発見」できたこともけっして小さな出来事ではない。研究対象とすることはないけれど、『荘子』を読むことは、身体・世界・時間等についての単なる知解の付加ではなく、それらを根本から見直し捉え直し、それらとの「息」の合わせ方を教えてくれる。あるいはこうも思う。あれこれの経験が心身においていつのまにか腐葉土と化し、その土壌の中に根を広げた「時」が熟し、その果実を味わう暇を今恵まれているのかも知れない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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