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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

民営化40年 NTT法廃止の狙い④ 国民の財産を投げ売り

2024-04-17 07:13:36 | 経済・産業・中小企業対策など
民営化40年 NTT法廃止の狙い④ 国民の財産を投げ売り
JMlTU通信産業本部特別執行委員 重見幸春さんに聞く

―電信電話公社の民営化は、1980年代の世界的な新自由主義の潮流のなかで専売公社、国鉄の民営化と一体で強行されました。株主還元のため短期利益を最優先し、貧困と格差を拡大する新自由主義の弊害があらわになるもと、80年代にさかのぼった検証が必要になっています。

大企業奉仕狙い
電電公社の民営化が打ち出されたのは82年7月の第2次臨時行政調査会第3次答申です。答申は、公社形態のままでは「赤字になる」「企業性が発揮できず効率性が悪い」といって民営化を合理化。背景には市場開放を求める米国からの外圧もありました。
通信労組は当初から民営化の本質を①国民共有の財産である電電公社の資産の投げ売り②大企業がより多くの情報を、より早く、より安く、より便利に利用できるようにする③大企業が電気通信分野で大もうけを図る―ことだと指摘してきました。その後の40年に起きた事実は、この分析が正しかったことを示しています。
NTTは全国に電柱1181万本、ケーブル238万キロメートル、約7千の局舎ビルなど巨大な資産を持っています。これらの資産は電電公社時代に国民と利用者の負担で整備された国民共有の財産です。競合するKDDIも「競争事業者が持ち得ないNTTのみが承継した『特別な資産』」「公益的な施設」だと指摘しています。
ところがNTTは、人員削減と事業拠点の集約で空いた土地を不動産投資に使うなど、国民共有の財産を自らのもうけのために利用しています。大阪城公園近くに建っていたNTT西日本の本社跡地では高級ホテルの建設が進んでいます。
NTTが進めた人員削減と事業拠点の集約、通信設備建設や保守工事の外注化は、災害時の即応対応などにも影響を及ぼしています。



NTT西日本本社跡地に建設中の高級ホテルの完成予想図(NTT都市開発のホームページから)

役割後退の懸念
―固定電話の減少と携帯電話の拡大、さらに最近は音声サービスからインターネツトサービスへと、情報通信は利用形態が大きく変化しています。
NTTは現在、NTT法で「国民生活に不可欠な電話サービスをあまねく公平に安定的に提供する」と定められています。そのうえで加入電話(固定電話)、公衆電話、緊急通報の電話サービスを「ユニバーサルサービス」として、全国どの世帯でも公平で安定的に利用できるようにすることになっています。
NTT法の見直しを議論している総務省の審議会で、全国町村会が「低廉で合理的な料金水準でのあまねく全国での提供は、NTTでないと現実的には難しい」と表明したように、完全民営化でユニバーサルサービスが後退するのではないかとの懸念はぬぐえません。
情報通信サービスの進展と多様化は広く社会生活に定着し、固定電話も携帯電話もインターネットも不可欠なサービスとなっています。ユニバーサルサービスを「縮小」させるのではなく、むしろ国民生活に不可欠なサービスをユニバーサルサービスに新たに位置付け、それを国民全体に公平かつ安定的に提供する役割を国民共有の財産を継承するNTTに果たさせることが重要です。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月13日付掲載


通信労組は当初から民営化の本質を①国民共有の財産である電電公社の資産の投げ売り②大企業がより多くの情報を、より早く、より安く、より便利に利用できるようにする③大企業が電気通信分野で大もうけを図る―ことだと指摘。その後の40年に起きた事実は、この分析が正しかったことを示しています。
NTT法の見直しを議論している総務省の審議会で、全国町村会が「低廉で合理的な料金水準でのあまねく全国での提供は、NTTでないと現実的には難しい」と表明したように、完全民営化でユニバーサルサービスが後退するのではないかとの懸念はぬぐえません。

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