きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「タバコ問題」実は「政治問題」 国が喫煙者に仕立て上げて

2024-03-17 07:07:54 | 政治・社会問題について
「タバコ問題」実は「政治問題」 国が喫煙者に仕立て上げて
国民がきれいな空気を吸う権利を求めて、嫌煙権運動を始めてから46年。社会の至る所で禁煙が進んでいますが、いまだ政治とタバコをめぐる問題には課題があります。長年にわたりタバコ問題を追及してきた、渡辺文学さんが『日本の嫌煙権運動45年史』(花伝社)を出版。タバコをめぐる現状と今後について聞きました。(横田和治)

『日本の嫌煙権運動45年史』の著者 渡辺文学さんに聞く




わたなべ・ふみさと 1937年生まれ。禁煙ジャーナル編集長、日本禁煙学会理事など務める。著書に『タバコの害とたたかって』(大日本図書)など多数。

46年前、日本の成人喫煙者は男性が75%、女性が15%で、職場や新幹線、学校、病院などどこでも喫煙可能でした。
この状況に対し、国・国鉄・日本専売公社を相手に、国鉄車両半数以上の禁煙化などを求めたのが嫌煙権訴訟です。
当時から、日本のタバコをめぐる状況は、世界的に非常に遅れていました。「健康を害するタバコ産業と国が密接に関わること自体おかしいのですが、国連やWHO(世界保健機関)がタバコ産業との連携を拒否する中、『日本たばこ産業(JT)』の筆頭株主は財務省で、保有株は33%にもなります」と渡辺さん。
さらにJTは、ロシアで事業を行っているため、毎年3000~4000億円もロシアに納税しています。「事業はウクライナ侵攻後も継続しており、海外からも批判されています」
タバコと戦争の関係性は密接です。日露戦争では戦費調達のために、タバコの完全専売制が敷かれました。日露戦争が始まった1904年でした。
「反戦・平和の問題に取り組んでいる人々は、今の政府・自民党の軍備拡張路線にも反対ですよね。タバコ専売制の歴史を鑑みて、禁煙に踏み出してほしいです」


「日本のタバコ事情」45年比較リスト
 1978年2023年
成人喫煙率男性=75.0%
女性=15.0%
男性=27.0%(22年)
女性=7.0%(22年)
加熱式タバコ0本522億本(22年)
病院78年に国立病院の待合室が初めて禁煙に。それまで野放し状態病院内禁煙は常識に
地下鉄駅ホーム・構内ともまったく規制なし1988年以降駅構内終日全面禁煙に
(『日本の嫌煙権運動45年史』から作成)


煙を憎んで人を憎まず
2022年の成人男性喫煙率は27%、女性は7%にまで低下。しかし一方で、加熱式タバコは522億本も売れています。この状況に渡辺さんは、「健康を害す危険性がないと思われている」と話します。
「加熱式タバコは、確かに紙タバコよりニコチンやタールの量は少ないですが、ゼロではありません。最近の研究では、人体への悪影響もわかってきています。粘り強くこの事実を伝えていくとともに、喫煙場所をつくるJTの動きにも真っ向から対峙していきたい」
現在、JTは「愛煙家のために」という名目で喫煙場所を各所に設置。しかし、その後の維持費は公的資金から出されるなどの問題があるほか、「喫煙場所の設置が、多くの中毒者を生み出す危険がある」と指摘する渡辺さん。「“愛煙家”というのはJTが作り上げた虚像で、私から言わせれは“哀煙家”です」と語ります。
「大切なのは『煙を憎んで人を憎まず』。世の喫煙者は、ほとんどがやめたいと思っています。
しかし、国が構造的に喫煙者に仕立て上げている。JTの喫煙所設置もその一環です。自民党のたばこ族議員は、せっかく作り上げた禁煙政策を骨抜きにしています」
渡辺さんは、タバコを規制する国際条約(FCTC)にJTが違反していることにも言及します。
「タバコ産業は、FCTCによって社会貢献活動(CSR)が禁止されています。健康・社会・環境に悪影響を及ぼしているにもかかわらず、良い会社であると勘違いする人が生まれるからです。JTのCSRについて、タバコと政治が絡む構造的な問題として追及しなければいけません」



駅前にある公衆喫煙所

吸い殻毎年4兆5000億個
タバコは環境破壊にもなります。渡辺さんは毎日、自宅周辺の吸い殻を拾っています。19年から始め、これまで拾った合計は9万5000個以上にも。「紙タバコのフィルターは地球上で毎年4兆5000億個もバラまかれ、生物の健康を脅かしています。近年、ヨーロッパでは吸い殻をタバコ産業が買い取る動きも出ています」
今後、喫煙者を減らすためには、タバコの値上げや喫煙場所の撤廃など、やるべきことはたくさんあると渡辺さん。
「タバコの本質は政治問題です。JTや国との対決姿勢を、今後も緩めるわけにはいきません」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月15日付掲載


46年前、日本の成人喫煙者は男性が75%、女性が15%で、職場や新幹線、学校、病院などどこでも喫煙可能。
この状況に対し、国・国鉄・日本専売公社を相手に、国鉄車両半数以上の禁煙化などを求めたのが嫌煙権訴訟。
JTは「愛煙家のために」という名目で喫煙場所を各所に設置。しかし、その後の維持費は公的資金から出されるなどの問題があるほか、「喫煙場所の設置が、多くの中毒者を生み出す危険がある」と指摘する渡辺さん。「“愛煙家”というのはJTが作り上げた虚像で、私から言わせれは“哀煙家”です」。
大切なのは『煙を憎んで人を憎まず』。世の喫煙者は、ほとんどがやめたいと思っています。
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