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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

オックスファム報告書を読む① 「分断の10年」の始まり

2024-03-01 07:12:55 | 政治・社会問題について
オックスファム報告書を読む① 「分断の10年」の始まり
国際NGOオックスファムは1月15日、各国の要人が一堂に会する世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に合わせて、独占的大企業の力の増大が世界的な不平等拡大の原因だとする報告書を発表しました。政治経済研究所主任研究員の合田寛さんに報告書のポイントを紹介してもらいます。(寄稿)

政治経済研究所主任研究員 合田寛さん
報告書はまず、2020年代は「分断の10年」の始まりだと見立てます。20年代は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)で始まり、ロシアによるウクライナ侵略など世界各地で紛争が激化し、気候変動の加速、さらには生計費の高騰という、世界のほとんどの人々にとって前例のない厳しい時代を迎えています。
そのなかで、世界人口の半数以上が貧しくなった一方、世界トップの富豪5人は富を倍増させたと報告書はいいます。



2020年以降、世界の5人の大富豪の富が倍増する一方で50億の人々はより貧しく(オックスファム報告書から)

独占が不平等に
オックスファムはこれまでにも毎年のように、世界に広がる極端な不平等に警告を発してきました。異常な不平等の危機は24年に入り「ニュー・ノーマル(新しい日常)」になりつつあると見ています。そして不平等を容赦なく生み出すマシンは、大企業とその独占的な力だと断じているのです。
たとえば世界最大の富豪の1人であるジェフ・ベゾス氏(アマゾン創業者)の所有する富は、20年から327億ドル増え、1674億ドル(約25兆円)に達しています。ベゾス氏を含めた世界で最も裕福な5人の総資産が20年比で2倍超の8690億ドル(約130兆円)に増えた一方、全世界で50億人が以前より貧しくなっています。
富裕者と並ぶもう1人の勝者はグローバル大企業です。オックスファムによれば、21~22年の世界の大企業の利益は、17~20年の平均と比べて89%増という大幅増を記録しています。
たとえば石油ガス大企業14社の利益は23年に18~21年平均の278%という急増です。同じく製薬大企業H社の利益は22年に32%増、金融大企業22社の利益は32%増とのきなみ大幅増益です。これらの利益増の大部分はコロナショックや、戦争ショックなどによる「棚ぼた利益」です。

「棚ぼた」利益増
この大企業の利益大幅増の最大の受益者は富裕者です。超富裕者の多くは所有する企業のオーナーとして巨額の株式を所有しています。ウォーレン・パフェット氏(バークシャー・ハサウェイ最高経営責任者〈CEO〉)は、所有する富の99%を、ザッカーバーグ氏(メタCEO)は富の95%を、ジェフ・ベゾス氏は富の83%を、それぞれ自社の株式で所有しています。
世界の50社の大企業のうち17社、10大企業のうちでは7社が、CEOまたは主要株主が同時に億万長者です。巨大企業の利益増は富裕者をますます富裕にしているのです。
(つづく)(5回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月27日付掲載


オックスファムはこれまでにも毎年のように、世界に広がる極端な不平等に警告。異常な不平等の危機は24年に入り「ニュー・ノーマル(新しい日常)」になりつつあると。そして不平等を容赦なく生み出すマシンは、大企業とその独占的な力だと断じる。
世界の50社の大企業のうち17社、10大企業のうちでは7社が、CEOまたは主要株主が同時に億万長者です。巨大企業の利益増は富裕者をますます富裕に。
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