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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

危険な経済秘密保護法案③ “マル秘”級の新法づくり

2024-03-08 07:09:53 | 政治・社会問題について
危険な経済秘密保護法案③ “マル秘”級の新法づくり

東北大学名誉教授 井原聰さん

岸田文雄首相は1月30日の「経済安全保障推進会議」(座長=岸田首相)で、コンフィデンシャル(マル秘)級の新法づくりを述べる中で、同法案は秘密保護法とシームレス(継ぎ目なし)に運用せよと指示しました。新たな適性評価制度は秘密保護法と2本立てになる見込みです。




運用手直し対処
政府は、新法によって指定される重要情報(重要経済基盤保護情報)のうち、トップシークレット(機密)級およびシークレット(極秘)級の情報については、新法に盛り込まず、秘密保護法の政省令の運用の手直しで対処するとしています。
マル秘級の情報に対して、漏えい行為を処罰する既存の不正競争防止法や国家公務員法などとのバランスも踏まえた扱いにすれば、国会審議で野党の追及を乗り切れるものと考えているのかもしれません。
それはおくとして、米国ではマル秘級の情報も適性評価の対象となっています。米国との整合性を考慮すると、日本のマル秘級の情報も適性評価制度の対象にしないとなりません。
経済産業省は、技術情報の取り扱いについて早くから「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会報告書」(2008年7月)をまとめ、そこで米国の事業者に対する「国家産業保全プログラム運用マニュアル」を検討していました。このマニュアルにならえとしたのが、政府の有識者会議の「中間論点整理」(23年6月6日)です。法案の適性評価のたてつけも米国の運用マニュアルにならったものになるかもしれません。
では秘密保護法で「特定秘密」の取り扱いはどうなっているでしょう。
同法の「統一的な運用基準の概要」によれば、特定秘密指定の範囲には防衛、外交、特定有害活動、テロリズムの4分野があります。4分野はさらに、武器、弾薬やそれらの使用法、安保関連の貨物の輸出入の措置、外国政府からの情報などと対象範囲が細かに分類されています。

政府の意のまま
法案での重要情報の取り扱いはつまびらかにされていません。重要情報のもっとも機微な情報部分を既存の4分野に振り分けるのか、それとも新たに経済・科学技術の項を設けるのか、いずれにせよ政府の意のままであることに変わりはありません。
経済や科学技術のように幅の広い多様な分野の情報が機密指定されることによって、国民の知る権利が大幅に制限され、学術研究体制にも大きな影響を及ぼすことが危倶されます。
特に政府は機密の定義を「安全保障に支障を与えるおそれのある」情報だとしており、抽象的です。機密の指定・解除は不明のままであり、政府の恣意(しい)的な運用が可能です。それどころか政府の恣意的な運用を規制する監察機関についても一顧だにされておらず、危険な法案です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月6日付掲載


経済秘密保護法。「統一的な運用基準の概要」によれば、特定秘密指定の範囲には防衛、外交、特定有害活動、テロリズムの4分野があります。4分野はさらに、武器、弾薬やそれらの使用法、安保関連の貨物の輸出入の措置、外国政府からの情報などと対象範囲が細かに分類。
経済や科学技術のように幅の広い多様な分野の情報が機密指定されることによって、国民の知る権利が大幅に制限され、学術研究体制にも大きな影響を及ぼすことが危倶。
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