夢色

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基本ネタバレ注意。
火月 神の気まぐれ よろずメモ。

<「蜩ノ記」 試写会>

2014-09-30 | Movie

公開前なので、念押しして、ネタバレ注意!です。
単に感想だけ連ねてますが。




今回は役所さんが主役で、岡田くんは官兵衛とはまた違う とても若いというか青いという感じの侍、の役でした。
初々しかった!
堀北真希ちゃんも、とっても可憐で、着物姿が良く似合う
普段の演技は、個人的にはどんな演技も目が笑ってない印象が強くて・・・でも今回は、むしろ武家の娘という 感情を大きく外に出すことを抑える役だったから、 逆にとても凛とした芯の強さ、やさしさ が出ていたと思いました。
原田さんも役所さんとの夫婦役が本当に素敵で。
郁太郎くんも、可愛らしいというか微笑ましいコでした。

そして、サントラは加古隆さんなんだね!
もうとっても良かった!
映画の世界観にぴったりで、エンドロールの最後まで、心から浸れる音でした。


原作を読まずに行ったから、最初の展開が早くて、んん?ってなったけど、雨の中で信吾ともみ合う岡田くんの動きがカッコよくてそれだけで惚れ惚れ。

秋谷の元へ歩きながら向かう岡田くんの周りの景色は、昔の日本の風景で。
何の違和感もなく、この映画の時代に入り込むことが出来るような懐かしくて切ない映像だなぁと感心しました。
最後のフィルム作品になるかもしれない、というこの映画。
CGでは描くことのできない空気っていうのがやっぱりあると私はいつも思っているので、嬉しかったです。

役所さん演じる秋谷は、一番最初に出てきた時、見るだけでほっとするような、安心感のあるような大きな男だな~と思わずため息をついてしまいました。
期せずして父親の命の期限を知ってしまった郁太郎と、河原で相撲を取るシーンの岡田くんは、もう腰の入り具合が全然違うくて(笑) 
片手で郁太郎の体を受け止めてもビクともしない芯の入り具合に、流石やな~と そればっかり見てた私(笑)

今回は全体的に所作がキーポイントになってくる映画だったので、筆をとる手や、紙をめくる指、言葉の合間の無音など、作品の隅々まで神経が張り巡らされているのを感じました。
撮影入る前に監督から、居合と書道の稽古を言われてたらしいけど、私は岡田くんの達筆具合をよく知ってるので(笑)、居合の心配は全くしてなかったけど書道・・・大丈夫かな・・・と、始まる前から私が緊張
しかも、祐筆やーゆーとるけど?
え?マジで大丈夫・・・?
と思っているところに、まず、役所さんの筆記姿→役所さんの手元。
・・・結構このカット長い・・・あ、岡田くんの筆記姿・・・これはまずいぞ。あかん!次絶対来る!とハラハラはmax(笑) 
予想通り岡田くんの手元。
もう勝手に息詰めて見ちゃいますよ ええ。
そしたら一文字だけの筆で終わったから、もう、はぁぁ~と 思わずため息つきながら監督に感謝   ←超失礼。ごめん、岡田くん。
そのシーンだけで難癖つけられたらイヤだもん~。
でもこういう映画って、一瞬の違和感で 全体が壊れちゃうんだもん~。   ←やっぱり超失礼。


私も庄三郎や秋谷と同じように全体像が見えないままで映画を観てたので、最後にその意味が分かって、なるほど~と思ったと同時に、理不尽すぎる秋谷の扱いに やるせなさを感じました。
昔の武士は、皆こういう生き方をしてたんだろうか。
だとしたら、今の世の中は、恵まれてるな、と。

まじめな映画かと思ってたら、意外に間でくすっと笑えるところを挟んできて、試写会には珍しいと思ったんだけど場内笑いが起きてて、嬉しかった!
嫌な代官に秋谷が一芝居打ってるところとか、もうニヤニヤが止まらず。
秋谷の向こう隣りで隠れながら笑いをこらえている岡田くん観て、余計にニヤニヤが止まらず。笑。
役所さんなのか秋谷なのか もう分からないくらい同化してる、ナイスな話しっぷりに爆笑でした

信吾と再会して川で二人で喋ってるシーン。
二人の笑い声のところ、岡田くんの笑い声が一瞬響いて、もうキュンキュンです(マテ


郁太郎のお友達の子
百姓だからってなんて酷いことするんだ!
こういうやつら、大嫌いっ
郁太郎の言う事は、ちゃんと筋が通っていたよね。
知らなかったというままで、済まされたくない。
ただそれだけ。
死んだ命は戻ってこないけど。
だけどのうのうと知らないままで生きてるのはおかしい。
乗り込んでいくのを庄三郎が止めなかったのも驚いたけど、助太刀するところも驚いて、青いなぁー!!って思った。
でも、その青さが眩しく映る。 
なんて素敵な 真っ直ぐさ。

家老の部下を刀で止めるまでの一連の動きが早すぎて、流石 岡田くん、、、早すぎるから(笑)恰好よすぎですから(笑) 

秋谷も最後、家老にあんなことするなんて思ってなかったけど、それでも足りないくらいだよね。 
家老が改心したのが、早すぎるけど ほんまか?!って思ったけど(笑)
でも、ずっと最初から、こいつが怪しい・・・絶対悪い奴や・・・って思ってたのが、足袋を繕っているのをみて、あれ?この人・・・実は善い人?と思ったので、そこはそういうお話でいいのかな、と。
死に行く秋谷のやるせない結末に対して、救いになるのかな、と思いました。


ひとつだけの卵。
あれは、爆笑(笑)
郁太郎のKY具合が可愛らしすぎて
薫と庄三郎の気持ちは、秋谷と織江は気付いているだろうけど、やっぱり郁太郎はまだ子供やね
でもあんなにあからさまにやられたら、庄三郎、食べたくても食べられない・・・
手に取った卵が次にどうなったか、めっちゃ気になるやん!
あれ、食べたの?秋谷にあげたの?どうなったの 岡田くん!!!
笑。 
甘酸っぱい二人の関係が、とても素敵でした。 

私のこの映画のイチオシポイントは、お寺の階段を上るときに 岡田くんが堀北ちゃんに手をぴっ!と差し出すシーンです ←細かい。笑。
背中から照れがダダ漏れです。
もう可愛すぎます。
この、そっと でもなくて、ぴっ!て出す。
ここがポイントです。
笑。
そして、その後、堀北ちゃんが周囲を気にしてきょろきょろと念入りに見回すのが、もう最高です。
そこまで警戒しないといけない時代なんだな~
今の人たちにはこの100分のイチでいいから、「はしたない」という言葉を知っておいてほしいよね。
何度も出てくる、この お寺の階段を上に人が登っていくアングルが、なんか良いなぁって思いました。

最後の日にお茶を淹れる夫婦のシーンが 沁みて。。。
実は私にしては珍しいけど、これ、最後まで泣かない気がする~って思いながら観てたのに、まさかここでズドーンって来て涙涙 
髪を結えて、向かい合った二人。
何故か晴れ晴れとした顔の二人。
あぁ、ここでこういう顔をするんだ。。。と胸を突かれました。 
そして立ち上がった秋谷が、振り返らずに すたすたと部屋を出ていく。
その普段通りの振る舞いが、呆気ない気もしたけど。。。この時のそれぞれの人物の気持ちは、一言では表すことのできない思いが、一瞬の中にたくさん溢れているんだろうなと。 
そのままの塊のままで、私の心に残しておきたいなと思います。 

家族に見送られ。
早足に近いくらいのスピードでいつも通りに歩いて行く秋谷。
ただ一度だけ振り返って 家族を確かめるように。
そして、ふと 動く空気が。
あぁ、日本に生まれて 良かったな、日本映画って 良いな、ってそう思いました。


派手ではない、淡々とした中に こうやって生きていた人たちがいるんだっていう、静けさが愛おしいと思える映画です。
この歳、この時期に、岡田くんが小泉監督やスタッフさん達、役所さん達の大御所キャストの皆さんと一緒に映画を作る時間が持てた事が。
良かったねぇって嬉しく思いました。
笑。
岡田くんの居合のシーン、本当に流石です。
役所さんに引けを取らない、それを誇りに思います

一つ一つを沁み込ませて。
そんな丁寧な映画です。 
10月4日 公開、皆さま是非。 



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