ベクトル解析の歴史については、Croweの "A History of Vector Analysis" (Dover, 1985) があるのだが、私の知りたいことはあまり古いことではなく、もっと新しいことである(注)。
上記の本は話が1910年で終わっている。それ以降の話の筋道を知りたいという気がしている。
ところが、私の知る限りではあまりそういう話はどこにも書いてないようである。数学史の専門家である高瀬正仁さんあたりが研究してくださればいいのだが、問題意識というものは個人的なものであるので、なかなかそうはいかない。
先日も書いた志賀浩二先生の『ベクトル解析30講』(朝倉書店)のはしがきには多様体へと至る話は書いてあるのだが、私の関心は1910年以降で多様体論が出現する前の時代の隙間に至る時代についてである。
そこらへんがどうもみなさんの関心の隙間という気もしている。だからこれは私の勝手な個人的な話であり、普遍性がある関心事ではないのかもしれない。
(注)小著『四元数の発見』(海鳴社、2014)にも四元数の積からベクトル解析でのベクトルのスカラー積とベクトル積が出て来たことを述べている。
だから、Croweの本にはそういうことからベクトル解析の話は書かれている。