毎年この時期に組まれる「ダンチュウ」の日本酒特集。
昨年は、もうネタ切れかなぁと思って見ていたが、今回は面白かった。
「新しい日本酒の道標」として、新たな日本酒の分類を提案しているのも良かった。
「モダン」「ローカル」「トラディショナル」「フォーザフード」「ネオクラシック」
数年前から吟醸や大吟醸といった部分にだけこだわることもなくなっていたが、最近の日本酒はものすごいレベルで進化しているものだから、辛口・甘口や、爽酒・薫酒・醇酒・熟酒、という分類すらもう当てはまらなくて。
その点、今回のこのモダン・・・という分類はすごくしっくりして、いい分け方だと思った。
また、「造りの工程」に焦点を当てて詳しく説明しているのもよかった。
それも有名蔵でその造りの部分だけを取材している。
例えば、「十四代」の「火入れ」とか。
あの十四代へ行って、火入れだけを取材するなんて、なんという贅沢!!
しかしながら、贅沢なだけあって充実した記事になっていたと思う。本当に楽しく読めた。
そんな中でも群を抜いて光っていたのが、「越乃寒梅」の記事だった。
先週、広島のホテルのベッドの上で読んでいたのだが、このような雑誌(グルメ情報誌)の記事にも関わらず、ひどく大きな感動と衝撃を受けた。
明らかに、情報誌の書き方ではないのだ。ノンフィクションだ。
また、題材が「越乃寒梅」であることにも驚いた。
「越乃寒梅」といえば、その昔、1970年代に起こった地酒ブームの火着け役。
生産量が少ないものだから手に入らず、「幻の酒」と呼ばれプレミアがついた。
もともとは1升瓶で2000円台のリーズナブルな酒なのだが、東京などでは1万円以上もの値がついていた。
少し前の焼酎ブームを彷彿とさせる。
森伊蔵、村尾、魔王など、確かに旨いけど、本来は安いはずの焼酎になんで?と思うような値で取引されていた。
それからブームも去って、新世代の日本酒が生まれ始めたこの数年は、私をはじめとする新しい日本酒ファンの中では「越乃寒梅」は時代遅れの酒のようなイメージで、見向きもされなかった。
「たいしておいしくもないのに、高い酒」
そんなイメージは、少なくとも自分の中でぬぐえなかった。
また、最近日本酒の仕事を始めると、業界の中で「越乃寒梅は絶対取材させてくれないから」「あそこは誰にも蔵を見せない」とのウワサを聞いた。
そうなのか・・・と思っていた矢先のこの記事。
え、取材させてくれるんやん!と思わず紙面につっこんだ。
そして、知る。
本当の越乃寒梅の姿を。この酒が辿ってきた哀しい運命を。そして、新たに「地酒とは何か?」ということを考えるようになった。ものすごい衝撃だった。
切り口も文章も素晴らしく、こんな記事を書くのは一体誰なんだと名前を見ると、「稲泉蓮」とある。
プロフィールを読めば、なんでも大宅壮一ノンフィクション賞を最年少で受賞、とのこと。
やっぱりなぁ・・と合点がいく。文章が光っていた。
また、自分の理想とする文章だとも感じた。
読みやすくわかりやすく、スピード感があり、情緒的にならず、ふつふつと文字では表現されていない情熱が見える。
もっとも基本的な取材記事の書き方で、非常に好感をもった。
確かに取材者はその場にいて、その人の目を通して書かれているのだけれど、書き手の存在がかき消される。
私がいつも目指していることだ。
「はいっ、今日はこちらへ取材に来ています!すごいですねー、私はこう感じますよー、実態はこうなんですよー、がんばってほしいですねー」
と、書き手の存在バリバリの記事を読むと、いつもしんどくなる。
テレビのレポーターじゃあるまいし。
そうじゃなくて、静かに、自身がカメラのレンズやマイクのような役割を担って、的確にその絵を切り取り、声を拾う。
視点や理解が正しければ、そのまま書き写すだけで、読者はまるで同じ場で同じものを見て聞いたような気分になるはずなのだ。
ただ、署名入りのノンフィクションで、書き手の私的な感情が入ることを前提としたものももちろんあるし、それはそれでありなのだが。
と、偉そうに書いているが、自分がそういうものを書けているかは、かなり怪しい・・・
あくまでも「理想」ということだ。
それに近づきたいと思って、毎日必死にやっているわけで
と、話が逸れたが、この記事に感動したわけだ。早速その場で検索して、この著者の販売されている本をすべてAmazonで購入。
偶然だけど、仕事をしない若者の話なども結構書いているので、今やっている案件の参考にもなりそうだ。
問題は、これをいつ読むのか、ということ。
電車の中で開いているけれど、久しぶりに睡眠不足で乗り物に乗るとすぐに眠ってしまう。
とにかく今週の山を越えよう。そして月末まで頑張ろう。
終わったら、またびりけん行って食べまくってやる。
友達にも会いたい。会っていろいろ話がしたい。
今は、週末に夫と二人でゴハンを食べて、おしゃべりする2、3食だけが楽しみ。
(1週間で21食あるうち、あとは全部一人で食べる私・・・孤食はダメね)
昨年は、もうネタ切れかなぁと思って見ていたが、今回は面白かった。
「新しい日本酒の道標」として、新たな日本酒の分類を提案しているのも良かった。
「モダン」「ローカル」「トラディショナル」「フォーザフード」「ネオクラシック」
数年前から吟醸や大吟醸といった部分にだけこだわることもなくなっていたが、最近の日本酒はものすごいレベルで進化しているものだから、辛口・甘口や、爽酒・薫酒・醇酒・熟酒、という分類すらもう当てはまらなくて。
その点、今回のこのモダン・・・という分類はすごくしっくりして、いい分け方だと思った。
また、「造りの工程」に焦点を当てて詳しく説明しているのもよかった。
それも有名蔵でその造りの部分だけを取材している。
例えば、「十四代」の「火入れ」とか。
あの十四代へ行って、火入れだけを取材するなんて、なんという贅沢!!
しかしながら、贅沢なだけあって充実した記事になっていたと思う。本当に楽しく読めた。
そんな中でも群を抜いて光っていたのが、「越乃寒梅」の記事だった。
先週、広島のホテルのベッドの上で読んでいたのだが、このような雑誌(グルメ情報誌)の記事にも関わらず、ひどく大きな感動と衝撃を受けた。
明らかに、情報誌の書き方ではないのだ。ノンフィクションだ。
また、題材が「越乃寒梅」であることにも驚いた。
「越乃寒梅」といえば、その昔、1970年代に起こった地酒ブームの火着け役。
生産量が少ないものだから手に入らず、「幻の酒」と呼ばれプレミアがついた。
もともとは1升瓶で2000円台のリーズナブルな酒なのだが、東京などでは1万円以上もの値がついていた。
少し前の焼酎ブームを彷彿とさせる。
森伊蔵、村尾、魔王など、確かに旨いけど、本来は安いはずの焼酎になんで?と思うような値で取引されていた。
それからブームも去って、新世代の日本酒が生まれ始めたこの数年は、私をはじめとする新しい日本酒ファンの中では「越乃寒梅」は時代遅れの酒のようなイメージで、見向きもされなかった。
「たいしておいしくもないのに、高い酒」
そんなイメージは、少なくとも自分の中でぬぐえなかった。
また、最近日本酒の仕事を始めると、業界の中で「越乃寒梅は絶対取材させてくれないから」「あそこは誰にも蔵を見せない」とのウワサを聞いた。
そうなのか・・・と思っていた矢先のこの記事。
え、取材させてくれるんやん!と思わず紙面につっこんだ。
そして、知る。
本当の越乃寒梅の姿を。この酒が辿ってきた哀しい運命を。そして、新たに「地酒とは何か?」ということを考えるようになった。ものすごい衝撃だった。
切り口も文章も素晴らしく、こんな記事を書くのは一体誰なんだと名前を見ると、「稲泉蓮」とある。
プロフィールを読めば、なんでも大宅壮一ノンフィクション賞を最年少で受賞、とのこと。
やっぱりなぁ・・と合点がいく。文章が光っていた。
また、自分の理想とする文章だとも感じた。
読みやすくわかりやすく、スピード感があり、情緒的にならず、ふつふつと文字では表現されていない情熱が見える。
もっとも基本的な取材記事の書き方で、非常に好感をもった。
確かに取材者はその場にいて、その人の目を通して書かれているのだけれど、書き手の存在がかき消される。
私がいつも目指していることだ。
「はいっ、今日はこちらへ取材に来ています!すごいですねー、私はこう感じますよー、実態はこうなんですよー、がんばってほしいですねー」
と、書き手の存在バリバリの記事を読むと、いつもしんどくなる。
テレビのレポーターじゃあるまいし。
そうじゃなくて、静かに、自身がカメラのレンズやマイクのような役割を担って、的確にその絵を切り取り、声を拾う。
視点や理解が正しければ、そのまま書き写すだけで、読者はまるで同じ場で同じものを見て聞いたような気分になるはずなのだ。
ただ、署名入りのノンフィクションで、書き手の私的な感情が入ることを前提としたものももちろんあるし、それはそれでありなのだが。
と、偉そうに書いているが、自分がそういうものを書けているかは、かなり怪しい・・・
あくまでも「理想」ということだ。
それに近づきたいと思って、毎日必死にやっているわけで
と、話が逸れたが、この記事に感動したわけだ。早速その場で検索して、この著者の販売されている本をすべてAmazonで購入。
偶然だけど、仕事をしない若者の話なども結構書いているので、今やっている案件の参考にもなりそうだ。
問題は、これをいつ読むのか、ということ。
電車の中で開いているけれど、久しぶりに睡眠不足で乗り物に乗るとすぐに眠ってしまう。
とにかく今週の山を越えよう。そして月末まで頑張ろう。
終わったら、またびりけん行って食べまくってやる。
友達にも会いたい。会っていろいろ話がしたい。
今は、週末に夫と二人でゴハンを食べて、おしゃべりする2、3食だけが楽しみ。
(1週間で21食あるうち、あとは全部一人で食べる私・・・孤食はダメね)