月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

少しだけ話した。

2018-06-30 | 
土曜は祇園の店でイベントだった。
私の担当ではなかったが、以前取材したことのある蔵のお酒を飲む会だったので、サポート役で参加。簡単なレジュメを作成してきて参加者へ配布し、少しだけ皆の前で話もさせてもらった。

人前で講義のようなことをするなんて、何年ぶりだろう。
塾の先生を長年やっていたから、人前で話すことには慣れているが、あまりに久しぶりすぎてどうなることかと不安だった。
でも、お酒も入っていたせいか緊張することもなく、大きな声でよどみなく話すことができた(と思う)。
人前で大きな声を出すのって気持ちいいなぁ、みんなが私の話をじっと真剣な目で聞いてくれる様子を見るのも気持ちいいなぁと、そういう快感も思い出した。

会ではこれだけのお酒を参加者12名ほどで楽しんだ。


参加者はお店の常連さんばかりだが、これまであまり接したことがない人とも話すことができ、そういう面でも収穫のあるイベントだったと思う。
最後の方は漫画の話になり、「全巻持っている漫画」や「今好きな漫画」「人生のベスト」などを皆で言い合った。
やっぱり日本人は漫画好きだなぁ・・・
そういう話題を振られた時に口ごもるような人がいない。今ではなく子供の頃の漫画であったとしても、何かしらある。
私は今好きなのは「ブルージャイアント」と「キングダム」だと発表した。井上雄彦先生の漫画「スラムダンク」「リアル」「バガボンド」は全部持っているし、大好きだということも。
引かれると嫌なので、楳図かずおマニアということは黙っておいた。(賢明!)

別のスタッフが用意してくれたお料理も素晴らしく、お酒は美味しく、終始和やかな雰囲気で、とてもいい会だった。



祇園とユーミンとわたし。

2018-06-29 | 生活
日本酒雑誌を一緒に創っている仕事仲間が2人、祇園の店へ来てくれた。
私の文章の師匠とイケメンデザイナーだ。
師匠が京都で取材があり、たまたま私も入っている日だったので立ち寄ってくれた。
デザイナーさんも大阪からわざわざ足を運んでくれてありがたかった。

私が7月号の原稿を早々に終わらせたことをデザイナーさんはとても喜んでくれていた。原稿をもらってから写真のレイアウトやページデザインをする彼にとったら、原稿はできるだけ早いほうがいいのは当たり前。忙しく売れっ子の彼にとったら、自分のペースで仕事ができることがありがたかったようだ。
前号はギリギリで迷惑をかけてしまったので、喜ぶ顔を見てホッとした。

この日は二人が来ることがわかっていたので、少しだけ自家製のアテも用意していた。(お店のレギュラーメニューもあるが、好きなものを持って行ってよいことになっている)

最近作るのに凝っている(というか、自分が食べたくて仕方がない)半熟卵の燻製醤油漬け、明太ポテサラ。それに枝豆の燻製。


2人ともたくさん飲んでくれて、私にもご馳走してくれた。
店の看板をしまってから、3人で終電まで飲んだ。デザイナーさんが「このアテがうますぎる」と連呼していたので、残りはすべてあげた。
「いい仕事をすれば、いい仕事仲間になれる」というのが私の信条で、とにかくこの人たちと良い関係でいるためにも、いい仕事をし続けなければならないと改めて思った。

この日、師匠はあのユーミンの取材だったという。
すごい。やっぱり師匠はすごい。
ベスト盤のCDを持って来られていたので、お店で流した。懐かしい「守ってあげたい」を師匠と共に口ずさんだ。
久しぶりにユーミンを聴いて、心がそわそわした。なんだろう、この感じ。
師匠が「この間、ユーミンを聴いてたら、気づいたら泣いてた」と言うのがわかる気がした。
ある一定の年代の人間にとったら、ユーミンの昔の音楽にはノスタルジーを含んだせつなさがあるように思う。

「ユーミン、すごいオーラありました?」と聞いたら、「そうでもなく、普通の人だった。でも、言う言葉は大物しか言えないようなことだった。あの人が言うならわかる」と。

師匠が神戸の人なので、11時には2人とも店を出た。
遠くから来てくれて本当にありがたかった。
まだユーミンが流れる中、洗い物や帰り支度をしていて気づいた。「師匠、ユーミン忘れて帰ったな」

祇園の薄暗い店の中に流れるユーミンは、とにかく自分の心を深くえぐってきて、このまま帰る気になれず、最近見つけたワインのお店へ立ち寄って1杯。11時過ぎているというのに、その店はまだにぎわっていた。
私は若い時からこうやって一人で店で飲むのが好きだ。その店のマスターや女将さんと話をしたいというわけではなく、隣のカウンターの人と仲良くなりたいわけでもなく、賑わう中で孤独を楽しむのが好きなのだ。静かにグラスの中のお酒とだけ会話して。

でも、やはり一人で飲んでいるとお店の人は相手をしないといけないと思うのか、必ず話しかけてくるけれど。
そこで店員さんと共通の知り合いがいることが判明。世間は狭い。

帰り道も頭の中でずっとユーミンが流れていた。
家に帰ってからも、師匠が忘れて帰ったユーミンを聴いている。そんなに好きなわけでもなかったのに、不思議。なんでこんなにそわそわしてしまうんだろう。

どうかしてる店。

2018-06-27 | 
水曜日は半年ぶりに床床さんと会った。
夜出られるというので「れだん」へ。
昨年移転してから初めてだったが、前と違って広くてきれい。

ここは「7品3900円コース」と「3品1900円コース」があるのだが、おすすめは3品だ。
え~・・・3品?少ない・・と思ったら大間違い。

今回はこんな感じだった。
1品目


2品目


3品目


いやいや、3品ちゃうやん!と思わずツッコみたくなるこのボリュームと種類の多さ!
これで1人分である。

床床さんは2品目が運ばれてきたとき、「えっ!二人で1皿じゃないの?」とびっくりしていた。
連れてきた人のこの反応を見るといつも勝ち誇ってしまう。(なぜ)

久しぶりに来たが、やっぱりよかった。
これで1900円って、どうかしてる。
しかも、日本酒はどれでも1杯500円。どうかしてる。

そして、おいしくて美しい。インスタ映え間違いなし。(インスタやってないけど)

お酒を飲みながら結構長居したので、あと1品注文しようということになり、シメサバサンドを。
これは2人で分けた。


私がビール1杯と日本酒3杯。
床床さんがビール1杯と日本酒1杯とハイボール1杯。
これだけ食べて飲んで、二人で8000円ちょっとだった。この店、大丈夫かと心配になる。
前より広くてきれいになったので、居心地もよくなった。お料理が出るのも今回は早くて(前は遅かった)、大満足。
最近足が遠のいていたが、また来ようと思った。

店を出てから、もう少しだけ飲もうということになり、近くで見つけたイタリアンの店に入って、今度はワイン。
床床さんと話すのはいつも楽しい。
今回は私の愚痴ばっかりになって申し訳なかったが、話せたことで少し心が楽になった。

最近、久しぶりに人間関係で悩んでいるが、ふと振り返ってみると、ここ数年、こんな悩みなかったなと思う。
それはとても幸せなことだ。
出会う人、出会う人がいい人ばかりだった。
だからまあ、たまには「試練」も必要ということなのかもしれない。これを乗り越えればまた大きくなれるかも。
それに、こうやって話を聞いてくれる友達もたくさんいる。
気持ちを楽にして、なんとか乗り越えよう。

飲んで笑って、楽しい週末

2018-06-25 | 生活
今日付けで、新聞の紙面とオンライン両方に掲載してもらった。
https://www.daily.co.jp/society/life/2018/06/25/0011380768.shtml

先週末から仕事も一段落しているので、2週間くらいはのんびり過ごすつもりだ。
日曜はかどやとテルと奥さんが我が家に遊びに来た。
遊びに・・・というか、以前、テルがかどやと一緒に祇園の店に来てくれたとき、いっぱいご馳走してもらい、タクシー代まで出してもらったので、そのお礼だった。

いろいろと作ってもてなした。写真撮っておけばよかった。

・ホタテのカルパッチョ
・チーズのスモークサーモン巻き
・ローストビーフ
・まぐろと長いもとアボカドの山葵醤油和え
・明太ポテトサラダ
・きゅうりの中華風漬け物
・生春巻
・ハッセルバックポテト&ローストポーク
・スモークチキンサラダ
・枝豆ととうもろこしのかき揚げ
・小松菜と豚肉のかた焼きそばあんかけ

みんなよく食べてくれたなぁと思う。
最後に、かどやが持ってきてくれたレ手作りのアチーズケーキを食べた。これがまた旨かった。

ビールと日本酒もよく飲んだ。
そしてよくしゃべった。
12時過ぎに来たのに、帰ったのは8時をまわっていた。
「もう8時間以上経ってる!」とテルがびっくりしていた。これもまた“あるある”だ。

テルの奥さんは初めて会ったけど、噂通りの面白い人で。
それにとても優しい。初めて会ったとは思えないほど普通にしゃべって、すぐに打ち解けた。

うちの夫はひたすら笑っていた。
本当に、夫があんなに笑うのを久しぶりに見たような気がする。
笑って飲んで、しゃべって笑って。
そうしていたら、時間が過ぎた。幸せな日曜日だったなと思う。

かどやが「祇園の店なんか行くひまあったら、あなたは文章を書いておけばいい」と言う。
本当にそうなんだろうと自分でも思う。
でも、そのことに気づくためにも、あそこで働くことは必要だったとも思うのだ。(そしてもう少しだけ続ける)

今の朝ドラ、「半分、青い」が面白い。
北川悦吏子さんの脚本らしく、恋愛ストーリーがちりばめられているのが、朝ドラっぽくなくていい。

主人公の鈴愛が私と同じ1971年生まれなので、時代背景もわかりやすい。懐かしい。
ドラマに出てくるくらもちふさこ先生の「いつもポケットにショパン」を納戸から引っ張り出してきて読みたいと思っている。

漫画家を目指す鈴愛に秋風先生が言うのだ。「描け!」と。
失恋した苦しみも物語にして描けと言う。
「先生、それはとても苦しい作業ではないですか?」と尋ねる鈴愛に、秋風先生は言う。
「苦しいけれど、物語にすれば、自分が救われる。物語にはそういう力がある」と。

ああ、昔、同じことを考えていたなと思い、涙が出る。
自分を見つめて、自分の心の奥へ奥へと入りこんで、物語を創り上げる。
その作業はとても苦しかったけれど、書き終えるといつも恢復していた。
誰のためでもない。評価を受けるためでもない。自分自身を救うために物語を書いていた。

あのセリフをドラマで言わせるということは、北川悦吏子さんもそう思いながら創作してきたんだろうな。

今日はとても暑い日だった。
夕方になると、隣の竹やぶからウグイスの声が聞こえる。
去年もそうだったけど、このウグイスはホーホケキョと、うまく鳴けないのだ。ヘタくそなのが、可愛い。

地震の日、秋田へ

2018-06-20 | 生活
伊丹空港で秋田へのフライトを待っている時だった。
ガタガタと建物が音を出し始め、壁がしなっているのではないかと思うほど、大きく揺れた。
地震だ!と思った。その間、数秒だと思うが、あまりに大きな揺れなのでこのまま崩れるのではないかと一瞬思う。
椅子の下にもぐれるか?PCで頭を防ごうか?
数秒の間にいろんな考えがフラッシュのように浮かんだが、どれも実行に移す前に揺れは止んだ。

しかし、空港にいるたくさんの人達の携帯が一斉に警報を鳴らしていて、それだけでも縮み上がるほど恐ろしい。
あちらこちらでいろんな声がする。
自分のスマホの警報も止めて、気持ちを落ち着かせた。
すぐに夫に連絡すると、家は物が少し落ちた程度だというので一安心。
「棚の二段目のぐいのみが落ちた」という文字を見た時は血の気が引いたが、奇跡的に割れなかったと聞いて、またホッとする。
金額はともかく、二度と手に入らないものばかりなので、これが割れることだけが怖い。

どこかのガラスが割れたようで、「窓から離れてください」というアナウンスが入る。
スタッフはバタバタと駆け回る。
飛行機は点検をしてから飛ぶということで、なかなか搭乗できない。
その間にも、いろんな人からLINEやメッセージが次々に入ってきて、自分が感じていたより大きな地震だったのかと気づいた。
ニュースを見ると、高槻や茨木で大きな被害が出ているとのこと。
友達はもちろんだが、熊本で仲良くなった飲み屋の女将さんや、滋賀県の酒蔵の社長、以前仕事でお世話になっていた社長、神戸に住むクライアントなど、普段はほとんど接触のないような人たちからも安否を気遣ってもらった。

1時間遅れで飛行機は無事に飛んだ。
秋田行きは需要が少ないから、新幹線の1輌分くらしかないような小さな飛行機で、乗っているとブルブルとプロペラの回る音が聴こえるほど頼りない。
地震よりこっちのほうが怖いわ・・・とひやひやした。

秋田に到着して、他の3名と合流し、この日は1蔵見学させてもらった。
今回の秋田ツアーは取材ではなく、祇園のバーの店長と従業員で行く勉強会&商談。
個人ではなかなか見学させてもらえない蔵だったので、何が何でも来たかったのだ。
翌日も1蔵行ったのだが、実は両方とも2013年に取材をさせてもらっている。
酒蔵の雑誌がスタートして、最初に取材した2蔵なのだ。そういう意味でも私にとっては思い入れの強い蔵であるし、この4年で蔵がどんなふうに変わったのかを見たかった。
何よりも、私自身はこの4年で60蔵も取材して、知識もあの頃とは全く違う。そういう自分があの最初の蔵を見た時、何を思うのか、新たな気づきはあるのか、そういうことも確かめてみたかった。

実際、4年前には何を言っているのかわからなかった内容がスムーズに頭に入ってきたし、とんちんかんな質問もしなくて済んだ。
そして、この蔵の“進化”を確かに感じることができた。
うまい酒を造る蔵というのは、常に進化し続けているのだ!
酒は工業製品ではなく、微生物を相手にしているから、果てがない。ゴールがない。
もっとうまくなるのではないかと、いつも考えて新しいことに挑戦し続けている。
だから面白いし、私も何十蔵見ても飽きないし、同じ蔵に数年後に来ることもまた大きな意味があるのだと思った。

また、案内してくれた営業部長さんがとても熱い人で、とにかく語る語る。
酒造りを愛している人の話は、時折ぐっときて涙が出そうになるほど心に響く。
あとで同行していたスタッフに「かおりさん、目がきらきらしていましたよ」と言われた。
取材じゃないのだからあまり出しゃばらないようにしようと思ったのだが、気づくとつい店長より前に出てしまっていた。反省。

夜もみんなでたくさん秋田の酒を飲んだ。
地元食材の料理もいろいろ食べた。

黒そいの刺身


ハタハタの唐揚げ


根曲がり竹の焼き物


などなど・・・。

私はみんなと飛行機が違ったので、秋田駅で別れた。
一人で稲庭うどんと明太しらす丼のセットを食べた。


その後、まだフライトまで時間があったので、秋田県立美術館へ。
ここはもう3回目かな。
展示は少ないけど、2階にゆったりとしたカフェがあるのだ。
目の前はこんな景色。


ここで静かにコーヒーを飲んだ。

大阪へ戻って、いつものようにモノレールで帰ろうとしたら止まっていて、ああ、地震があったんだったと思い出す。
バスで新大阪まで出てJRで帰るが、JRも35分遅れ。
やや浦島太郎状態。
そうだ、そうだった、まだ避難している人もいるんだったと、無理やり日常に自分を戻す。

もう大きな地震が来なければいいけれど。
自分の町にも、日本のどこにも。