8日に成田空港から飛び立ち、14日無事に帰国した。
さすがに疲れたが、とても中身の濃い充実したアメリカ旅行だった。
もちろん、旅先であや夫妻があれこれと世話を焼いてくれ、どこへでも連れて行ってくれたおかげだ。
なんだか途中で「優しい親戚のおじさんとおばさんの家に遊びに来ている子供」のような気持ちになった。
本当に、申し訳ないほどいろんなことをしてもらって。
到着した日は、広いお庭でバーベキュー。
4人で久しぶりの再会を祝して乾杯!
いい天気で気持ちがよかった。
この日のために美味しいお肉をたくさん用意してくれていて、それがとにかく全部うまい。
トルティーヤで巻くのもおいしかった。
大きなおうちで、2階はほとんどつかっていないので、2階を私達の部屋としてあてがってくれた。
ちゃんと専用のバスルーム&トイレもある。まるでホテルだ。
何の不自由もなく、とても居心地が良かった。
「行きたいところへ連れていくよ」という言葉に甘えて、少し遠かったがニューオーリンズを希望した。
快諾してくれたので、翌日から1泊のドライブ旅。
大阪~東京間くらいの距離があり、本当に申し訳なかったが、としくんとあやの2人に交代で運転をしてもらって、私と夫は気楽に後部座席でくつろいでいるだけ・・・。
どこまでもどこまでもまっすぐな道を走る。
アメリカの空と雲がどこか日本とは違うような気がして。
何が違うのかずっと考えていたら、どこにも山や高い建物が見えないから、目線の高さに空と雲があるのだ。
それがとても近く感じられた。
雲の形を見ながら、あれは何に似てるかなと考える。そんなことするのも何年ぶりだろうかと思った。
(必死に運転してくれているのに、のんきなもんだ・・・)
途中、大規模な石油コンビナートがいくつもあり、それがもう日本では想像もできないほどの大きさなので、びっくりする。
「大きな国だなぁ」と思う。
そして、やっぱり「資源がある」ということは、国力に直結するんだなと思った。
決して戦争を肯定する意味ではなく、はるか昔から世界中で土地の奪い合いが続いてきた意味が実感として迫ってきた。
果てしなく長い道のりをドライブして、14時頃にニューオーリンズへ到着!
6~7時間かかった。(お疲れさま!)
ホテルにチェックインし、まずは皆で遅いランチを食べに行った。
とても感じの良い店で、この辺りの名物的なメニューは一通りある。ビールで乾杯して、いろんな料理を味わった。
生のオイスター!
クセがなく食べやすいけれど、ちゃんと牡蠣のコクはあって。1人6個ずつをみんなペロリ。
フライみたいなのは、なんとザリガニ!
そう、アメリカザリガニだ。こちらでは普通に食べるらしい。
シチューみたいな味が勝ったので、特に「ザリガニ味」というのはわからなかった。普通においしい。
こういうサンドイッチみたいなのを「Po‐Boy」という。
中身はシュリンプ。美味しかった。
他にも、ガンボというスープみたいなのにご飯が入っているやつとか、ジャンバラヤなども食べた。
全部美味しくて満足!
そして、街を散策した。
公園では普通に、いきなりジャズが始まる。
10年前にシカゴへ行った時のことを思い出した。
あの時も3日間、昼から夜中までずーっとブルースライブを聴いてまわってた。
音楽がある街は最高だ。
セグウェイで街をまわる人々。こんなのもアメリカ的で思わずパチリ。
そして、夜のニューオーリンズは、さらに音楽の街へ。
フレンチクオーターやバーボンストリートを歩けば、あちらこちらから音楽が聴こえてくる。
私と夫の希望で、どうしても行きたかった「B.B.King's Blues Club」へ。
BBキングが経営していた店だ。
おおー!やっと来た!
おおー!!
おおおおーーーー!
「ルシール」はBBキング愛用のギターの名前だ。
テーブルに描かれていた。「ルシール」という言葉を口にするだけで泣きそうになる。
思わず「ルシール」というカクテルを注文したら、めっちゃ甘くて別の意味で泣きそうになった。
ライブが始まると、やっぱりバーボンが飲みたくなり、あやに正しい「Maker's Mark on the rock」の正しい発音を教わる。
(前にシカゴで何回言っても通じなかったという嫌な思い出がある)
なんとか伝わって、なみなみと注がれたバーボンを舐めながらブルースを楽しんだ。
残念だったのは、商業的なショータイムといった選曲だったこと。
もう少し本格的なブルースを楽しみたかったが、それでも今ニューオーリンズのBBキングクラブにいるのだと思うだけで気分は高揚した。
もう1カ所、ふらっと立ち寄ったオープンな店でジャズ(などいろいろ)を聴いて。
私と夫はもう少しこの雰囲気を楽しみたくて、ホテルに戻るあやたちと別れて街を歩き回った。
賑やかを超えて、どんどん騒がしくなる夜の街を歩き、また別のライブハウスへ。
そこでも残念ながら本格的なブルースは聴けなかった。
もう少し調べて、お金を払ってもいいから、ちゃんとしたブルースバンドが演奏しているところへ行けばよかったのだが、そこまで気がまわらなかったのだ。
でも、街の喧騒と酒に少し酔い、熱い気持ちでホテルへと戻った。
翌朝、有名な「カフェ・デュ・モンド」へ行き、ベニエとコーヒーで朝食。
タイミングよく座れたが、一瞬で長蛇の列!
ニューオーリンズへ来たら、これを食べなくちゃ!という店なので、みんな並んでいる。
(正直、そんなに美味しいものでもないのだけど)
そして、ついに、ついに、ルイ・アームストロング公園へ!!
それこそ20歳くらいからずっと「いつか行ってみたい」と思っていた場所だ。
当時やっていた同人誌でエッセイまで書いたことがある。
愛と平和を願って歌ったルイ・アームストロングの像の前が、皮肉なことにこの地域で最も治安の悪い場所らしい、と。
朝早かったので、公園にはほとんど人の気配がなかった。
ゲートをくぐり、静かな公園を歩いていった。ベンチに黒人が座っていた。
見上げると、その人は穏やかな表情で迎えてくれた。
ようやく来たんだなぁと、感動でドキドキしながら像へ近づいていった。
青空の下で見上げるルイ・アームストロングは、とてもいい顔をしていた。
公園は静かで、誰も争ったり奪ったりすることなんて考えていないように思えた。
ジャズって何なんだろう。
ブルースって何なんだろう。
自分はどうして黒人の音楽(もしくはそれをルーツに持つ音楽)しか心に響かないのだろう。
ある日、「ブルース」で検索して、夫のブログに出会った。
夫の書く文章に惹かれて、この人に会いたいと思った。
そして、本当に出会えて、結婚した。
ブルースが2人を繋いでくれたし、「ブルースをわかる」ということが、今でも私達のベースになっているように思う。
自分の一番深いところが、同じ人なのだ。
2人でまたひとつ、同じものを見て、感じられたことに感謝。
四半世紀前、夢に見た場所にようやく立つことができた。
公園を出て、アメリカ最古の大聖堂「セントルイス大聖堂」へ立ち寄った。
海外に来ると、どうしても「信仰」というものについて考えざるを得ない。
帰りもまた長い長い道のりを車で走る。
行きと違って大きな湖の真ん中にかけられた、長い橋を何十分もかけて走った。
右も左も前もほとんど360度すべてが水平線のような不思議な空間を駆け抜けていくのは爽快だった。
こんな湖の真ん中に橋をかけてしまうアメリカ人。ほんまスケールが違う。
としくんが美味しいハンバーガーの店を調べてくれたので、大きなチーズバーガーをお昼に食べた。
美味しくて大満足!
日本にいたら、年に1、2回しかハンバーガーを食べることはないが、本当は結構好きなのだ。
しかし、こんなものばっかり食べてたら、そりゃ、アメリカ人太るわ!
帰り道はまた湿原を走る。
途中、休憩で降りたところにワニがいた。
すごい風景だった。原始的だ。
家に着くと、運転で疲れていると思うのに、2人でせっせと夕食を準備してくれた。
この日のメインはカニだった。
出してくれるものすべてが美味しくて、ビールやワインもたくさん飲んだ。
日本にいた時、4人でたまに飲んでしゃべっていたことを思い出すような、親密で明るいディナーだった。
とりとめもない話が続き、ひたすら盛り上がり、気づけば夜中2時半。
さすがに明日もあるからお開きねと、それぞれの寝室へ。
疲れているのに眠ってしまうのが惜しいような夜だった。
(人生のうちで、たまにこんな特別な夜があるよね。)
今回の旅は本当に中身が濃くて、あれもこれも楽しかったけれど、なんとなく今思い返すと、この夜が一番楽しかったように思う。
場所はどこでもいいんだろうな。
みんなで美味しいお酒を飲みながら、たわいもないことをしゃべって笑っている、そんな時間が私は好きだ。
(後編へつづく)