月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

人の器

2015-09-24 | 想い
今月に入ってから、「うわー、こんなパーフェクトな人がいるんだなぁ」と思えるような女性と、「うわー、もう二度と会いたくねー!(やや呪いを込める)」と思ってしまう男性に出会った。

女性は、取材先の広報担当の方。
元CAさんだけあって、スラッと長身。阪大卒。英語、ロシア語、フランス語堪能。
プライベートでは白シャツにデニムみたいな、飾らない格好でサマになる。
特別な美人ではないけれど、十分にきれいで魅力的。
サービス精神旺盛で、社交的。明るくおしゃべりも上手。
ショートカットで、女性を武器にしないのに、自然に男がまいる・・・

とても素敵な女性だった。
蔵にお勤めで、その後、日本酒イベントでもお会いして、流れで一緒に飲みに行った。
パーフェクトだ。

会いたくない最低の男性も取材で出会った。
ベンチャー企業の30歳そこそこのお兄ちゃん社長。
確かに成功しているかもしれない。強い人間、能力のある人間を選んで生きてきたから、こんなおばちゃんライター(それも腕なさそうな)が来て、バカにしたんだろうな。
とにかく何も話さない。
「それは言葉にできないです」と。

うん、確かにそういう想いはあるし、それを言葉に代弁するのがライターの仕事だ。
ただ、協力っていうのは必要で、ましてやこの案件は別にその若手社長の特集でもなんでもなく、その会社の求人広告・・・
あんたが載せてくれって言ってるんだから、伝えたいことを出さないと話にならない。
それでも年の功で、ニコニコしながら「あ、じゃあ、こういうことですか?」「あら違った?ごめんなさい。じゃあ、こういう感じですか?」と延々ガマンしていろんな仮説も立てて聞いていたのに、何も出てこない。
さすがに私も困って、「言葉にしにくいのはわかるんですけど、そこを何かお願いできませんか?」と聞いた。
さんざんあれこれとやった上でのこと。
すると、そいつはこう言った。あれは人の上に立ち、ああこいつは能力がないとバカにする時の目だ。

「それを引き出すのがあんたの仕事じゃないんすか?」

はぁ?
はーーーー?

お下品ですみませんが言わしてもらうと、このクソガキが!!

でも、人ってすごいなぁ、成長するんだ。
こんなケンカっぱやい私でも、眉一つ動かさず、次の瞬間にっこりして、「そうですよね、すみません」と。
気づかれないくらい小さな深呼吸して、さあ、勝負だ、どうやって引き出そうかと、ちょっとにやけたくらいで。

結局、たいした話も得られずに取材しゅうりょーーー

それなりの記事にはなったけど、まあたいした話がないんだから、たいした記事ではない。
それを責められたらもちろん私の腕がなかった、能力不足、ごめんなさいと謝る。
あいつが悪いから!とは言わない。
どんな相手からでも良いものを引き出すのがこの仕事。プロだもん。確かにね!!

でも、普通の相手ならこれだけ引き出せなかったら落ち込むけれど、全く落ち込んではいない。
それは、当たった相手が悪かったとか、そういうことではないのだ。
そう、確かに、もっと腕のあるライターなら、いいものを引き出せたんだろうなと思う。あやつの言うことも間違いではない。
ただ、私は人として、ああいう人間を認めない。
だからへこまない。むしろ軽蔑する。

仮に、あやつが能力が高く、私が能力の低い人間だったとしよう。
それならなおさら、能力の低いものに対してわかりやすく、たとえ自分の部下ではなくても出会った人間にプラスになるようにと、働きかけられる人間が、本当に優れた人間だ。
そういう器がなければ、社長として成功するもんか!!

私はこれまで100人や200人ではおさまらないくらい、大勢の社長さんと会って取材してきた。
優れた人ほど、腰が低い。
優れた人ほど、立場の低い人間に気を遣う。
優れた人ほど、人を魅了する「言葉」を持っている。

今にも人に飛びかかりそうな目をして、人を馬鹿にしたような顔で、たいした言葉も発することなく、口を開けば見下したものしか出ないなんて、社長の器からはほど遠い。
今はある程度成功しているかもしれないが、もしこのまま変わらずいくのなら、未来なんてないなー、この会社・・・と思いながら帰った。
久しぶりに、反吐が出そうな人間だった。

夫に話したら、「何か勘違いしてるクソガキや!」と言った。
それでスッキリした(笑)

ただ、数日経つと、そういう人からも学ぶことはあると気づかされる。
ああいう人がまいるくらい、話さずにはいられないくらい、すごいインタビューをすればよかったんだよなぁと。
あながち、やつの言葉は間違いじゃないのだ。
それが私の仕事。
あんなへんくつな人間からでも、すごい言葉が引き出せたらよかったのに。
相手の力量に頼っているわけではもちろんないが、甘えがあったのかもしれないなとも思った。

真面目に考えすぎ?
だから生きるのがしんどいと夫に言われる?

でも、やっぱり成長したいから。
どんなことからも何か学びたい。

今年の自分のテーマは「取材力を上げる」だった。
少しよくなってたかなと思っていたけど、これで振り出しに戻った気分だ。
器の大きな偉い経営者たちが、小娘だった私をリラックスさせてくれたように、今度は私がそういう器になって、どんなクソガキでも心を開かせるようにしなくてはならないのだと思う。(言葉わるっ!)

愚痴や不満は、時として学びがある。
もう一つ、ここにうまく書けないくらい、微妙な出来事があったのだけど・・・
自分は今、試されているのかもしれないな。
言葉を操る人間は、言葉で破滅することもある。
それを気をつけなければならないと、若い頃から身を持って知っていたのに、またやった。

でも、乗り越えよう。
もう昔の自分ではない。
これを乗り越えられたら、また一つステップアップできるかもしれない。
私もそれくらいの器はできているのではないか?

慢心せず、自信をもつ

2015-09-24 | 想い
日本酒の原稿が校了して、その他もろもろ、いくつか一段落したので、シルバーウィークはほとんど休みにできた。
引き続き動いているものもあるが、締め切りはまだ先なので、とりあえず休むことにした。
ただ、10月20~末にかけて校了の案件が6つあり、メルマガやリライトメインの細かいものが上旬に3、4あるので、10月が勝負どころとなりそうな感じだ。

シルバーウィークはいろいろ遊びの予定が入って楽しかった。
・手作り市の売り子のお手伝い
・昔の塾の生徒と飲み会
・友達とランチ
・夫と家でチーズフォンデュ
・日本酒イベント
・水無瀬川上流でバーベキュー
などなど。
本も1冊読んだ。

連休はとれたが、休肝日はとれなかったなぁ。
なんだかずっと飲んでいた気もする・・・

昔の塾の生徒と飲み会は、いつものあだっちゃんたちとは違う代の16年前の卒業生(中学卒業)で、卒業以来会ったことのない生徒ばかりだった。
この2年ほどフェイスブックでつながっていたので、その中の一人が企画してくれて、生徒が3名集まった。
あとは私と塾長と。

年齢を聞いたら今年31歳というのでびっくりする。
そりゃ、私も年取るはずだ・・・
でも「せんせーは全然変わってない!そのまま!」と言ってくれるのが(お世辞でも)嬉しかった。
大人になった生徒とお酒を飲むのは本当に楽しい。
バツイチの人もいるし、転職を繰り返している人もいるけど、いろんな人生を一所懸命生きている。
その姿を見るのが私の喜びだ。

21日の日本酒イベントも楽しかった。
私は夫と行ったのだが、日本酒雑誌の制作メンバーが何人か参加していて、自然と集まる。
いろいろ話しているとき、クライアント窓口のI山さんが珍しく私を褒めてくれて嬉しかった。
「調子乗らんように」と釘を刺されたけど・・・

知らないうちに、私は自分が思っている以上に成長していたようだ。
「僕らみたいな業界の人間と話しているからまだまだって思うのかもしれないですけど、一般的に見たらかなりの知識ですよ」と言われた。
うれしい。
そうなのか。
うれしい。

私の書くものはいいと、他に代わりがいるとは思えないと。そうまで言ってくれた。
(できるのなら)バック転2回くらいしたいくらいうれしかった。

でもでもでも。
慢心してはいけない。こういう時こそ気を引き締める。
私はお調子者なので、いつもこういう時に失敗するから。
認められた時こそ、もっと高く上れるように努力を続けなければ。

でも「目標1つクリア」かな、と思っている。
創刊した時、そのチームに必要とされる人材となることがまず最初の目標だった。
それは思い込みや何となく、ではなくて、今回のようにきちんと言葉にされること。
これでようやく私も、ああ、ここにいていいんだなぁ・・・と思えた。

「自信をもつ」って、すごく難しいことだ。改めてそう思う。
根拠のない自信ではなく、ちゃんと根拠のある自信。
卑屈になってもダメだけど、自惚れてもいけない。
きちんと努力して結果を出して、人に認められて、はじめて自分の書いたものを、力を、信じられる。

ふぅ。
まだ書いていていいんだな、私。

連休が終わって、なんだか気持ちがスッキリとしている。
今日からまた言葉に向き合う。

目が覚めた

2015-09-09 | 仕事
気づけばもう9月も1週間が過ぎた。
この1週間は久しぶりにきつかった。

遅れる→焦る→酒を飲む(逃避?!)→遅れる→寝不足→しんどい→遅れる・・・・

この悪循環に陥り、とにかく精神的にもやられっぱなしの1週間。
特に9月2日の酒蔵取材終了からの神奈川県移動、宿泊、翌3日朝から夜まで12時間ぶっつづけの取材からの、大阪まで帰宅、という2日間で一気に体力を奪われた。

ただでさえ酒蔵取材は気を張ってるのに、長時間の取材に長時間の移動で、もうフラフラだった。
そんな状況でこの原稿は超急ぎ。
別件も片付けながら、昨日の夜までかかり、今朝、ようやくデザイナーまでまわった。

昨日は朝4時半からパソコンに向かっていたが、あっという間に夜に。
15時間くらい書きっぱなしだった。
どんな原稿やねんと思うだろうが、3000字程度なので、記事としては長いかもしれないが、そこまで長文というわけでもない。
ただ、12時間も取材したので、ネタが多すぎてまとまらない。
ネタをまとめて構成して、一旦文章にしてみるという作業だけで10時間くらいかかったんじゃなかろうか。

正直、ここまでは全然楽しくない。
もう逃避したくて仕方がない。
途中で泣きそうにもなる。
全部投げ出してしまえたら、どんなに楽かとも思う。

だけど、コツコツ、コツコツと、とにかく少しずつでも用紙を埋めていって、とりあえず下書きというか第一稿が出来上がる。
楽しいのはここからだ。
ここまでも文章を書いてきたはずなのだが、自分の中ではここからが「文章を書く」作業のような気がする。
10時間もかけて書いたものを全部書き直すくらいの勢いで、「自分の文章」に仕立てていくのだ。
この言い回しがいい、この言葉を使おう、ここはこのリズムで・・・。と。
さっきまでの地獄がウソのように楽しい。楽しくてたまらない。

そこから5時間。
何度も推敲を重ねて、ようやく原稿が出来上がる。
苦しいけれど、たまらなく楽しい作業。

昨晩は仕上げてご飯を食べると、急に異常な眠気に襲われて、お風呂に入った。
出てからまだ残っていた作業をして、本当にフラフラになりながら送信して、布団に入った。
横になっていると、「眠る」のではなく「意識が遠のく」感じがした。
なんだか体も冷たくなってきて、感じたことのない感覚に急に怖くなってしまった。

あれ?死ぬのかな?と。
生まれて初めて、このまま眠ったら、もう二度と目が覚めないのじゃないかと本気で思った。
夫が帰っていたので、布団に入ったまま呼ぶと、そばに来てくれた。
「もう目が覚めないかもしれない」と言うと、夫はびっくりして跳び上がった。

「大丈夫!大丈夫やから!」と励ます夫の声。
「明日も目が覚めますように・・・」と私も声に出して、祈りながら目を閉じた。

そして今朝、目が覚めた。(当たり前)
あー、生きてるってスバラシイ。
朝、目が覚めるだけでもう感謝しないといけないことなんだ、と思った。

しかし、マジで意識が遠のく感じが怖かった。
一山越えた解放感と、久しぶりに8時間くらいぐっすり寝たのとで、今日は朝から元気100倍!!

酒蔵の原稿は終わったけれど、この1週間これにかかりきりだったために、「すみません、すみません」と待ってもらって謝り倒している案件が2本もあるのだ。
休むことなく、書き続けなければ!!

とはいえ、酒蔵が終わると精神的にはかなり楽になった。
今日からちょっとだけペースダウン