シャンテ サラ

独断と偏見で世相・経済からマンガまで 楽しい内容を目指します。 音楽とオーディオ関係の「シャンテサラ2」も統合しました。

オイストラフは高品質録音に間に合わなかった?

2016年10月15日 | ドイツ音楽も様々
左上写真はセル/クリーヴランド管 (1969年 EMI ♬1)。 中央上はクレンペラー/フランス国立放送管 (1960年 EMI アナログ LP ♬2)。 右上はペドロッティ/チェコ・フィル (1961年 モノ録音 ♬3)。 左下はコンヴィチュニー/シュターツカペレ・ドレスデン (1954年 Heliodor ♬4)。 中央下はコンドラシン/モスクワ放送響 (1952年 MELODIYA ♬5)。
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ブラームスのヴァイオリン協奏曲というと、よく引き合いに出されるのが旧ソ連のヴァイオリニスト オイストラフの録音で、何種もあり、その中で最後の録音がセル指揮クリーヴランド管と共演したものです。

期待して (Abbey Road Technology と EMI が誇る?) ART CD を入手し聴いてみましたが、”期待ほど いい録音” ではありませんでした。 どこが良くないかというと、1、3楽章のオケの強奏で音が歪んでいるのです。 恐らく エンジニアがテープレコーダーの入力レベルを大きく取り過ぎ、強奏の時の大入力に耐えきれず 歪んだ音が録音されてしまったものと推理します。 全体に音そのものも、砂を含んだようにザラついています。

しかも強奏になると 音量がスッと小さくなります。 録音時のバランスエンジニアが調整卓のフェーダーを操作をしているか、マスタリングの時に音量を落とすかしているのでしょう。 どちらにしろ プロらしからぬ 人工的な処理という印象で褒められたことではありません。

救われるのは、強奏のない2楽章では甘い音色のオイストラフの演奏が楽しめることです。 (フルシチョフみたく) ロシアの農民のような風貌?とは裏腹に、実に甘い いい演奏です。

私も 昔 オープンテープレコーダーで FM 放送をエアチェックしていましたから、録音時のきわどさは理解できますが、世界的なレコード会社の EMI エンジニアともあろう者が、これではねぇ、EMI の名が泣きます。 ちゃんとプロのエンジニアを雇っていたのか疑いますよ。

もっとも 50〜60年代の EMI 録音の音質が良くないのは定評で、ビートルズの LP も盤質が悪く “EMI はあまりいい音質ではない” のが伝統でしたから、これは致し方ないのかも。 良くなってきたのは、70年代以降じゃないでしょうか。

それにしても こんなにもオイストラフのブラームスのヴァイオリン協奏曲が発売されているということは、彼の演奏、音色が多くのリスナーにとって魅力的だった、ということでしょう。
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EMI の音質についてネット検索すると __ Yahoo! 知恵袋から (質問 2010年6月22日)「EMI は、音質が問題になったりしたことがあったのでしょうか」__
(回答1 6月23日)「オーケストラを楽器ごとにマルチ収録してミックスダウンで音量バランスを変えちゃうとか、平気でやってるので違和感バリバリです。 1曲の中でフルートの音量が上がったり下がったりする (笑)。 協奏曲で独奏楽器を上げるくらいならまだいいんですけどね。 ディレクターは手間ひまかけて丁寧に作ってる、と思ってるみたいですが、ポップスの手法をクラシックに適用しないで欲しいなあと思います」

(回答2 6月23日)「一般に大きな会社 (レーベル) ほど、音はつまらないです! EMI は世界最大のレーベルですから、その意味で音質は最低なわけです」

(質問 2014年12月28日)「EMI クラシックスがつぶれてから、ワーナーに販売権を委譲、カラヤンやリヒテルの数々の名盤を買いなおしました。 明らかに音質の改善が見られます。 買われた方、感想をお願いします」
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__ などなど 多くのファンの脳裏に “EMI = 悪い音質” が染み付いているようです。 カラヤンが EMI 復帰した70年代以降のチャイコ3大交響曲やマイスタージンガーなどは優秀録音だと思います。 セル指揮クリーヴランド管の録音が69年なので間に合わなかった? そんなことは …

YouTube に1960年録音のクレンペラー指揮フランス国立放送管伴奏ものが投稿されているので、聴いたら、なんとセル/クリーヴランド管版よりも良好な音がしていました (https://www.youtube.com/watch?v=KkfgFuCUe8w)。 最高とはいいませんが、60年の録音としては驚異的です。

2楽章はセル/クリーヴランド管のと区別できないほど甘い演奏で、これがオイストラフの演奏の魅力なのでしょう (YouTube は MP3 並の音質?で そんなにいいものではないようですが)。 2楽章楽譜の独奏部分には “dolce” (ドルチェ 甘く弾け) とブラームスが書いていますが、これを実感したのはオイストラフの演奏です。 14種もの録音がある (下記) のも頷ける話しです。

コンヴィチュニー指揮シュターツカペレ・ドレスデン伴奏による1954年録音は、ちょっと古いですが DG オリジナル CD で復活していますから、これもトライしてみようか?
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ウィキから __ ダヴィッド・オイストラフ (1908〜74) は、ソ連 (現在はウクライナ) のオデッサ出身のユダヤ系ヴァイオリニスト。 息子イーゴリ・オイストラフもヴァイオリニストである。__※追加1へ
♬5) クラシック CD 専門店 ライモンダ CD から __ ブラームス・ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲 〜 オイストラフ(V)、コンドラシン指揮モスクワ放送響・ソヴィエト国立響__※追加2へ

♬3) オイストラフはいったい何種類のブラームスのコンチェルトが世に存在するのだろうか? HMV サイトレビューによれば「現状少なくとも14種の別演奏」とある。 すごい数の録音が世に存在するものだ。

オイストラフのブラームス協奏曲の CD は、私はコンドラシン指揮の二種、クレンペラー指揮、コンヴィチュニー指揮、ジョージ・セル指揮、そしてこのペドロッティ指揮のものを所有している。 そのいずれもが名演である。 熱、そして迫力、訴える力 … どれもが天下一品。 久しぶりに聴き応えのある CD に遭遇 (とあるファンのページから)。

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以上


※追加1_ 1935年のヴィエニアフスキ国際ヴァイオリン・コンクールでは、15歳のジネット・ヌヴーに敗れて、第2位に甘んじている。 名ヴァイオリニストとの評価が広められたきっかけは、1937年 ブリュッセルのウジェーヌ・イザイ・コンクール (現:エリザベート王妃国際音楽コンクール) で首位をかち取り、世界の檜舞台にその名を轟かせたからだった。 その後はモスクワ音楽院で教鞭を執るかたわら演奏活動を続けたが、ソ連が第二次世界大戦に参戦すると、最前線に出て慰問演奏を行なった。

オイストラフの演奏の特色として、弓幅を大きく豊かに使い、速くて振幅の大きいヴィブラートを用いて、豊潤で美しい音色を響かせる点が挙げられる。 このため、チャイコフスキーやブラームスといった情感豊かな楽曲を得意とする。

教師としても声望に恵まれ、ギドン・クレーメル等が門人にいる。 息子のイーゴリ (1931〜) も指揮者、ヴァイオリニストとして著名で、しばしば親子で共演し、録音を残した。 1974年にアムステルダムで演奏旅行中に客死、遺体はモスクワに送られ、同地で埋葬された。
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※追加2_ オイストラフは、20世紀ロシアを代表するヴァイオリニストで、演奏・録音の質量ともに極めて優れた「ヴァイオリンの帝王」ともいえる存在です。 ベートーヴェンやブラームス、チャイコフスキー、ブルッフなど、古典派からロマン派のレパートリーはいずれも高い評価を受けており、いまだ人気も絶大です。 また 当時の現代音楽でも素晴らしい成果を上げており、ショスタコーヴィチやハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲はオイストラフに献呈・初演されて有名になりました。

このアルバムのブラームスのヴァイオリン協奏曲は、オイストラフが何回もレコーディングしている十八番中の十八番の作品です。 1954年のコンヴィチュニーとの共演、1960年のクレンペラーとの共演、1969年のセルとの共演など多数の録音が残っており、いずれも名盤といわれ続けているだけある優れた演奏です。

このアルバムは、コンドラシン指揮のモスクワ放送響との共演で、1952年というオイストラフにとっては比較的初期の録音になります。 それだけオイストラフの若々しさがストレートに出ており、のちの豊満な音色でスケール豊かに歌うスタイルとは異なる、切れ味の鋭い強靱な演奏ぶりが楽しめます。 コンドラシンの引き締まった指揮もさらに男性的な逞しいムードに拍車をかけています。

また オイストラフにとって唯一の録音となるドヴォルザークの「ヴァイオリン協奏曲」も、オイストラフならではの名演奏です。 美しい音色でたっぷりと歌うオイストラフの特徴が曲によく合っており、第2楽章のメロディーは甘美そのものです。 チェロ協奏曲に比べるといささか地味な印象のヴァイオリン協奏曲ですが、このオイストラフの演奏で聴くと、スラヴ民族の情緒たっぷりの面白い曲であることが分かっていただけるでしょう。

録音年は古いため、ややざらつきがあるものの、この時代のロシアの録音にしては驚くほど音質は良好。 特にオイストラフのヴァイオリンは生々しい音で聴くことができます。

以上
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