シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

結婚して遺産相続を繰り返す鬼婆?

2014年11月28日 | 事件事故の多い世
上写真は FNN ニュースから。 下中央は、約 52億円 で落札された米国の女性画家ジョージア・オキーフの油彩画「チョウセンアサガオ/白い花 No.1」
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時々 こういう遺産狙い、或は保険金狙いの “鬼婆事件” が出てきますね。 連日の報道で、この鬼婆は結婚しては夫が死亡、遺産を相続してまた再婚、また夫が死亡の繰り返しとともに、相続した遺産総額 8億円 はどうやら投資でスッていたようですね。 神様はどこかで見てるのかも。

高齢男性と若い女性の結婚も時々ありますが、普通は毒を盛るなどという犯罪には至りません。 自然死を待てば 合法的に遺産が転がり込んでくるのが分かっているからです。 60歳年齢差で結婚した米プレイボーイ誌創設者のヘフ爺と若い女の件など 可愛く思えてきますね。

さて この鬼婆事件ですが、なぜ 次々と同じ安易な手口で犯罪を犯すのか、それは犯罪者に訊いてみないと正確なことは分かりませんが、想像できることは 自分だけは絶対にばれないと信じてしまい、捕まるまで繰り返すのでしょうね。 そして結局 捕まるのです。
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「青酸化合物殺害 女の周辺で死亡した男性は7人に」(11月21日 フジテレビ系 FNN) __ ※追加1へ
「関西連続不審死 疑惑の67歳女性が独白『ホンマに苦しいわ』」(8月6日 週刊朝日) __ ※追加2へ
「京都・大阪連続不審死事件 疑惑の67歳老女 (野際陽子似) の正体 (1)」(8月15日 週刊実話) __ ※追加3へ
「京都・大阪連続不審死事件 疑惑の67歳老女 (野際陽子似) の正体 (2)」(8月16日 週刊実話) __ ※追加4へ

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この鬼婆には子どもが2人いたようですが、子どもたち (もう中年でしょうが) はどう思っているのでしょうか?「えー お母さんの再婚した相手、また亡くなったの? これで何人目? 多すぎるよね …」じゃないでしょうか。
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この事件の報道を聞いて、思い出した話しがあります。 ノンフィクションの異常な殺人事件を16話集めた文庫本です。
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「理想の女~殺人データファイル」(ヒュー・ミラー著 新潮 OH! 文庫 2000年) __ 検死官が気の遠くなるような地道な捜査で追いつめた、殺人犯たちの残酷な手口と残された手掛かり (※追加5へ)。
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16話の中の1話ですが、つい30年ほど前に英国であった事件です。 さすがミステリーの国だけあって、犯罪者も一流っぽく見える人がいるようですね。 女性が合法的に手っ取り早く財産を手にするには、金持や老資産家と結婚して、その遺産を手に入れることです。

資産家に兄弟姉妹や子どもがいたりすると、遺産相続がやっかいですから 兄弟姉妹や子どもがいない老人が狙い目となるでしょう。 普通 何年か (を我慢?) すれば、老人は早く亡くなりますから、後はその相続した遺産を使って左うちわで優雅に暮らす、そんなことを考える女性は世界中にゴマンといることでしょう。

そんな女性は普通 連れ合いである自分に遺産を多めに遺してもらいたいと考えますから、老資産家には尽くすものです。 毒を盛る必要など、全くありません。 でも 極々少数の人に魔が差してか、犯罪に及ぶ人がいます。

自然死を装うとすると 誰でも考えることは同じで、ばれないように殺害することですね。 方法は、事故に見せかけるか、“毒を盛る” ことに行き着くのでしょう。 事故死は色々と推測すると、完全に死亡するかどうか 普通は予測がつかないものです。

つまり どの程度までの事故にすれば殺害できるか、失敗するか、そんな経験を持つ人はいやしませんから、誰でも “確実に殺害させるには毒を使うこと” となるのでしょう。 この鬼婆も、英国の毒盛り女もそうです。 ただ 英国の毒盛り女の話しの2人目の殺害方法は何だったのか、本には詳述がないので分かりません。

英国の毒盛り女はバレて最後には自分で決着を付けましたが、さて 日本の鬼婆はどう決着を付けるのでしょうか? 既に逮捕されていることもあり、30分おきくらいに監視が回ってきて確認しているでしょうから、なかなか自分で決着を付けられないと思います。 もちろん 司法側は裁判で有罪を立証できるだけの証拠固めをしているでしょうし、裁判が終わるまで自殺などさせないようにしているはずです。
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数年前にも 木嶋佳苗 (きじま かなえ) による首都圏連続不審死事件 (2009年) がありました。「婚活連続殺人事件」などとも呼ばれていますが、さいたま地裁 (2012年)、東京高裁とも死刑判決となり (2014年)、木嶋は上告しました。

以上


※追加1_ 京都・向日市で、夫に青酸化合物を飲ませて殺害した疑いで、67歳の女が逮捕された。 筧 千佐子 (かけひ・ちさこ) 容疑者 (67) は、逮捕から2日、「夜はぐっすり眠れている」と話している。

さらに、千佐子容疑者は「報道はいっぱいされているんでしょ?」とも話している。 千佐子容疑者は、夫・筧 勇夫さん (当時75) を青酸化合物で殺害した疑いで、警察の取り調べを受けている。 21日 内縁関係にあった奈良市の男性が、2009年ごろに死亡していたことが、新たに明らかになった。

これで千佐子容疑者の周辺で死亡した男性は、7人となった。 結婚や交際を繰り返してきた千佐子容疑者は、10億円 近くの遺産を相続したとみられている。 千佐子容疑者は3月、「1,000万円 か 500万円 か、お金をもらって、『殺人犯になりたい』なんて、誰もいないと思う。 それが 1億 でも 10億 でも、誰もいないと思う」と話していた。

一方で 10年ほど前から、株などの投資に失敗し、1,000万円 以上の借金を抱えていたこともわかっている。
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※追加2_ 本誌 (3月28日号) がスクープした、関西一円で中高年男性が相次いで “怪死” した連続不審死の捜査がついに動いた。

事件が大きく動いたのは、7月29日だった。 毎日新聞朝刊に、〈死亡2男性から青酸 周辺に60代女性 連続変死か〉との見出しが躍った。 2012年3月にバイクで転倒して死亡した大阪府貝塚市の男性 (Xさん=当時71歳) の血液から青酸系の物質が検出されたこと、この男性の知人である60代女性の夫も昨年末に青酸化合物で変死していることから、男性2人が事件に巻き込まれた可能性があると報じたのだ。

この60代女性こそ、本誌がこれまで報じていた渦中の女性、Aさん(67)だ。 29日の午前9時14分。 記者の電話が鳴った。 Aさんからだった。
「毎日新聞、読んでないけど、内容はよく知っている。 こんなこと書かれて、ウチはホンマ、苦しい。 なんで、ここまでやられるのんや。 Xさんが亡くなって2年やろう。 なんで後から後から、たたかれるのか」

と早口で不満をまくしたてた後、こう続けた。
「警察が調べたかって、結果は変わらへんから」
そういうと、電話はプツリと切れた。

一連の連続不審死が捜査線上に浮上した発端は、13年12月にAさんの夫だった京都府向日市のYさん(当時75歳)が亡くなったことだった。 突然 自宅で倒れたYさんは、救急搬送されたが、間もなく死亡。 遺体を解剖したところ、体内からは青酸化合物が検出された。 当然 京都府警は自宅で一緒にいたAさんを聴取したが、証拠がそろわず、事件は暗礁に乗り上げたかと思われた。 だがAさんの過去を調べると、元夫や内縁関係の男性が突然死していることがわかったのだ。

これまで Aさんは4回の結婚をしている。 最初の夫が1994年に亡くなり、最後の夫であるYさんが13年に死亡するまでの間、実に3人もの男性が、結婚して数カ月から数年で突然死するという異常事態が繰り返されていた。

今回 新たに遺体から青酸化合物が検出されたXさんについて、本誌 (4月25日号) はすでに詳報していた。 新聞報道ではAさんとXさんは、「知り合い」と記されていたが、実は結婚前提の内縁関係にあった。

Xさんも他のケースと同様、Aさんと交際を始めて1年足らずという短期間で、突然のバイク事故で亡くなっていた。

「Xさんは健康オタクで、自宅にサウナを設置、健康食品を常用し、酒はたしなむ程度。 新しく中古マンションを買ったばかりだったのに、亡くなったと聞いて本当に驚いた」(知人)
2人の間に婚姻関係はなかったが、遺産を相続したのはAさんだったという。…

Xさんの友人が明かす。
「Aさんは、Xさんに『マンションをAさんに譲る』という遺言状を書かせていたようです。 Aさんは所有権を自分名義に変え、Xさんの死後すぐにマンションを売却。 そのお金を相続することができたのです」

Xさんの実兄は、当時をこう振り返った。
「Aさんに『ちょっとくらいの遺産はあるでしょう』と尋ねると、『まったくない』とぴしゃりといわれ、親族は一円ももらえませんでした」
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※追加3_ 旧盆に突入間際の京都・大阪で、にわかに記者たちが注目しだした出来事がある。 それが、マスコミ筋が密かに「京都・大阪連続不審死事件」と呼んでいた疑惑の事件なのだ。
 
社会部記者がこう語る。
「マスコミが注目する同事件はいまだ疑惑の域を出ていないが、発端は昨年12月に京都府向日市に住む林芳之さん (75・仮名) が自宅で倒れ、搬送先の病院で死亡したことから。 司法解剖の結果、遺体から青酸化合物が検出され、京都府警が男性の妻・A(67) を今年1月に事情聴取したのです。 さらにその後、この妻と接点のあった大阪府貝塚市に住む豊田郁夫さん (71・仮名) が、バイク事故 (’12年3月) により死亡していたことが判明したため、事件は新たな局面に突入。 両府警が大騒ぎとなったのです」

この記者によれば、その後、大阪府警が保存されていた豊田さんの血液を鑑定。 すると、そこからも青酸化合物が検出されたというのである。
 
捜査関係者が解説する。
「そのため、Aはその後も断続的に事情聴取を受けたが、本人は『青酸化合物など身に覚えがない』の一点張り。 だが 彼女は亡くなった林さんと昨年10月に結婚したばかりで、その結婚も4度目だった。 また 豊田さんとは死亡時までマンションで半同棲しており、結婚を約束していた可能性も濃厚なのです」

しかも Aは豊田さんの生前に、「マンションの所有権を譲る」との遺言書を受け取っていたといわれており、同氏が亡くなると即座にこれを売却。 2000万円以上の利益を得ていたことが判明しているが、恐ろしいのはこれだけではない。 事件の延長線上には、さらなる不審死と莫大な遺産を手にしていたのだ。
 
在阪の夕刊紙記者がいう。
「実は、Aは‘08年に大阪府松原市に住む77歳の男性と3度目の結婚をしているが、この男性も結婚後3カ月で突然死しているのです。 この時は死因が疑われることはなかったが、近所では『2人が結婚していたことすら知らなかった』『通いのヘルパーだと思っていた』と話す者も少なくない。 Aは男性が亡くなると、5反(1500坪)の農地を処分。これを含めた約1億5000万円の遺産を手にし、墓を立てると姿を消したという。 一方 4番目の夫となった林さんの遺産も相続し、数千万円を手にしているのです」

また 別の捜査関係者はこう話す。
「Aの周辺では林さんや豊田さん、3番目の夫だけでなく、知人や深い関係にあったと見られる男性が次々と不審死している。 その数はわかっているだけでも、大阪5人、兵庫3人、京都2人、奈良2人、和歌山1人、島根1人と計14人に上っているのです。 そのため 京都・大阪両県警が本格的な捜査に乗り出しているのです」
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※追加4_ もっとも 気になるのはここまで警察とマスコミの注目を集めている疑惑の熟女の素性だろう。 もともと、Aは福岡県北九州市生まれ。 県内の名門高校を卒業後、大手銀行に入社したが、当時から地元では美人として名を馳せた存在だったのだ。
 
「高校の同級生によれば『吉永小百合まではいかないが、野際陽子以上の美人!』といわれ、実際に彼女によく似ていた。 就職先の銀行でも、その美貌が目を引く才媛だったのです」(民放局の社会部記者)

‘70年には大阪の自営業者の男性と結婚。 2人の子供を授かったが、47歳の時からその人生に不吉な “影” が差し始めたという。 前出の社会部記者がこう語る。
「‘94年に夫が心臓病で入院したのですが、外出許可が出た夜に自宅で突然死したのです。 周囲はこれを不審に思っていましたが、Aは手にした遺産で京都、兵庫、和歌山、島根を転々。 金が尽きた頃の'03年に、大阪の自宅を税金未納で差し押さえられたが、翌年には兵庫県西宮市で薬局を営む67歳の資産家男性と再婚しているのです」

ただ この2度目の結婚生活にも明らかな疑惑が渦巻いている。 実は この2人目の夫は、結婚から2年後にまたも心筋梗塞で突然死。 Aはその際にも 約3000万円の生命保険金を手にしているのだ。
 
「その後 松原市に住む77歳の男性と3度目の結婚。 この男性が突然死すると、2人の高齢者男性と交際した。 そのうちの1人がバイク事故で亡くなった豊田さんで、もう一人の高齢者男性も死亡しているのです。 しかも豪胆なのは、これだけの交際歴に飽き足らず、昨年春には結婚相談所に登録。 紹介を受けた林さんと10月に入籍し、再び不審死事件に巻き込まれているのです」(前同)

在阪の社会部記者がこう話す。
「Aの周りでは多くの男性が心臓発作で不審死している。 そのため 京都府警はAをポリグラフ(嘘発見器)にもかけたが、判断材料にはならなかった。 また 今年3月下旬には、事件を追う記者たちがAを、現在住んでいる大阪市内の自宅マンション前で40分にわたって詰問したが、『犯罪者になりたくて生きてませんねん』『徹底的に調べてくれたらええねん』と全面否定。 あ然とする開き直りぶりだったのです」

両府警は、青酸化合物の入手経路についても捜査している。 67歳でもAは超美人。 見たままの “毒婦” と謳われた、木嶋佳苗や上田美由紀以上の一大事件となることは間違いない。
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※追加5_ 概略_ 1981年 英ケンブリッジ近郊の村の人口が1人増えた。 定年退職した土木技師エディ・ホスキンズが住み込みの家政婦を雇ったからである。 ずっと独身を通し、女嫌いの評判のあったエディが家政婦を、しかも大変な美人を雇ったことに村人は大いに驚いた。

メアリー・ストーンミュアは42歳、エディンバラ出身のスコットランド人で、すらりとした長身に人目をひく鳶色の髪、整った繊細な面差しで、微かに訛のある柔らかい声で喋った。 話しをするとき、ひたと相手を見詰める彼女の琥珀色の瞳は村人を魅了し、噂話の格好のネタになった。 後に起きた不穏な事件を捜査したジレット警視にいわせれば、”就いている仕事が似つかわしくない感じ” は、犯罪傾向を持った人間に共通して見られる特徴だそうだ。

家政婦にしておくのは惜しいような知性と美貌の持ち主でありながら、それを鼻にかけることがなかったため、彼女は村人たちに親しみを持たれ、内輪の集まりに度々招待されるようになった (彼女は一度も応じなかったが)。

彼女が来て2ヶ月ほど経ったころ、雇主のエディの具合が悪くなった。 村近くの開業医が往診を頼まれた。 その際に エディから聞いた話しでは、メアリーは以前サマセットのアイケブリッジ伯爵家の屋敷を切り回していたそうだ。

エディには衰弱が見られた。 病気らしい病気をしたことのなかった男が、66歳になって患い、長くベッドを出ていられないほど弱っていた。 頭痛がして、めまいや吐き気、眠気にも時折襲われると訴えた。

医師は軽度のウィルス感染症と診断を付けた。 3日後 エディに幻覚が出始め、見舞いに来ていた弟のジャックが医師を呼んだ。 エディは熱があり、しきりにうわ言をいっていた。 腹を掻きむしり、苦しそうに呻いて、意味をなさぬ言葉を呟き続けた。

入院して発作を起こし、あまりにも突然に強く歯を食いしばったために、舌の先を噛み切ってしまった。 呼吸のリズムが不規則になり、パタッと止まった。 懸命の蘇生術が施されたが、20分後 エディの死亡が宣告された。
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ジレット警視はいう。「ジャックはかなりの金を受け取ることになっていますが、屋敷と土地、その他のエディの全財産はあらかたストーンミュアに遺されていました」

ジャックはジレットにいった。「エディがあの女と知り合って、まだ2ヶ月足らずなんですよ。 兄はこれまで馬並みに丈夫だった。 ところが あの女が登場したとたんに具合が悪くなり、死んでしまった。 そしたら今度は、あの女が兄の金も豪邸も広大な土地も相続するっていうじゃないか。 兄はいいように操られ、あげくに殺されたんだ」

ジレット警視はキッチンへ行き、ストーンミュアに話しを聞いた。「エディとの関係を話してくれませんか」 すると彼女は彼をひたと見詰めて「私たちは愛し合っていました」といった。 まばたきひとつしなかった。

「それは信じがたいことですね。 知り合ってわずか2ヶ月しか経っていなかったうえに、エディは打ち解けるのに時間がかかる人間だったらしいですからね」「私たちが出逢ったのは2年前のことでした、フランスで。 どちらも結婚は望まなかった。 だから表向き、家政婦として通すことにしました」

検死結果ははっきりしないもので、死因を特定する手掛かりは得られなかった。 エディの検死を行った病理学者から依頼された 法毒物学者は、4日後に報告書を提出した__チョウセンアサガオやナス科の有毒植物ヒヨス、およびジャガイモに含まれる毒素が検出された。 チョウセンアサガオの作用は緩慢で、命に関わる症状が出るまでに数日から数週間かかることもある。

ジャガイモも含め他の2種の野菜にはソラニンが含まれている。 中毒症状としては、口と喉の渇き、幻覚、精神性興奮、一時的記憶喪失、むかつき、嘔吐、腹痛と腹部の肥満、および視覚の減退が挙げられる。 故人にはこれらすべての症状が出ており、体組織の死後所見から、器官内の毒物が主たる死因である可能性も示唆できる。
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ジレット警視は捜査令状を取り、4人の刑事が家宅捜索を行ったが、収穫はゼロだった。 屋敷から出て行くよう ストーンミュアにいい渡されたジャックはパブに泊っていたが、このころ彼はパブに姿を見せていない。

パブの亭主の話しでは、彼はランチに酒を呑んでいたら 出し抜けに 兄は生前フランスへ行ったことなどないといい出し、これから屋敷へ行って、あの人殺しの雌牛を叩き出してやる、ともいったそうだ。 ジャックはその後すぐパブを出て、未だに戻っていなかった。

ジレットはジャックの捜索に取りかかった。 屋敷へ出向き、ストーンミュアの事情聴取を行った。 彼女は協力的ではなかった。 知らぬ存ぜぬの一点張りだった。 状況証拠から彼女がエディを殺害したことは明白だったが、起訴に持ち込めるだけの証拠がなかった。

ストーンミュアの履歴書に記された身元保証人に照会しようとしたが、そのような人物は存在しなかった。 アイケブリッジ伯爵も作り話だった。 法心理学者と同行したジレットは、彼女が故郷だと主張する町で、彼女を知っている人物は1人もいなかったという事実を突きつけたが、彼女は肩をすくめるだけだった。

法心理学者の見解では、長時間責め立てようと自白するタイプではないそうです。「彼女には良心の呵責というものがない。 下世話ないいかたでは、怖気を振るう女だね。 彼女は何でもやる。 目的に適うことならどんなことでもね」法心理学者はそういっていた。

それから数日にわたって近隣の川から、細かく砕いた人間の肉と骨の入った小さなポリ袋が次々に見つかった。 身元を特定する特徴がないから、これがジャックだと断言することはできない。 ストーンミュアがエディの葬式で留守にしている間に、もう一度 ジレットは60人と1時間も屋敷を調べ、土も掘り返したが何も見つからなかった。 捜索が徒労に終わり、唯一の容疑者に事情聴取を巧みにかわされた。 彼女はジレットやその部下たちとすれ違うと、見下すような薄笑いを浮かべて通り過ぎる。
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生ゴミのディスポーザー・ユニットを取り替えに来たサービス・エンジニアが、屋敷の裏手から20フィートほど離れた排水管の防臭弁の中で、”両手” を見つけた。「屋敷には元々キッチンの流し台に生ゴミのディスポーザーがあったが、私たちが家宅捜索したときにはディスポーザー・ユニットはなかった。 彼女が取り外していたのです」とジレットはいう。

発見された両手は腐乱がすすみ、皮膚がはげ落ちていた。 法毒物学者は、「あまり損傷を受けないままで両手が捨てられていれば、皮膚が剝がれることがある。 排水管の防臭弁のの底に溜まった沈殿物をさらって、ヌルヌルした灰色の古い手袋のようなものがないか調べるのです。 あの両手が偶然にディスポーザーから溢れ出し、あまり損傷を受けないまま排水管に流れ出したに違いありません」といった。

夜更けに懐中電灯を煌煌と灯し、ストーンミュアが窓からじっと見詰める中、排水管の捜索が行われた。 悪臭を放つヌルヌルした手袋のようなものが見つかった。 法毒物学者は、両手にぴったりしたゴム手袋を付け、その上から 発見された皮膚を被せた。 指先部分にローラーでインクを付け 指紋を採った。

指紋はジャックのものと一致し、メアリー・ストーンミュアは逮捕された。 法的権利を読み上げられるのを聞きながら、彼女は静かに紅茶を飲んでいた。 それから抵抗もせずに警察の車に乗り込んだ。 4マイル先の警察署に着いたとき、メアリーは死んでいた。 ティーカップを調べると、紅茶にトリカブトを入れたことが分かった、ポニー1頭殺せるほど大量に。

メアリー・ストーンミュアの身元を割り出そうと大変な労力が掛けられたが、彼女が存在したという記録はどこにもなかった。 彼女の写真を見せても、出自を確認できる人はいなかった。

以上

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