先日、フランスからの客人と一献かたむけていたとき、初めて聞かされた話がある。
私についてである。
いわく、「最初はキッチリしててマジメで、どこか近寄り難い人だと思っていた」のだが、
(なぜかそう思う人がいるようだ、ホントに何故か)
その印象が一変した出来事があったそうだ。
2007年のことである。
クロード・モネが地中海で何を描きたかったかを探ろうと、北イタリアのボルディゲラを目指した私たち、フランス人2人日本人3人の一行は、未明にジヴェルニーを立ち、夜、国境の町マントンへ着いた。
そこで飛び込んだアルジェリア料理店で、クスクスと羊肉で空腹を満たし、ビールとワインでいい気分になったころ、登場した一人のベリーダンサー。
ひとしきりその芸を客に披露したあと彼女は、一つひとつのテーブルを回り始め、これはと目をつけた人をエスコートして踊らせだしたのだ。
私の連れたちが、それを見てゲラゲラ笑い転げているそのさなか、私はといえば、じっと目をこらして彼女の動作を頭と身体に叩き込み、
私たちのテーブルへ彼女が来るやいなや、すっくと立ち上がって、
「ジャポンから来ました」と満座に宣言し、見よう見まねのベリーダンス。
皆んなが爆笑しているのを「ウケた」と勘違いした私は、しばらく踊り続け、国境の夜は更けていった。
「俺がやらなきゃ誰がやる、受けて立たねば男がすたる、日本男児ここにあり」てなもんである。
そこからだというのだ。
マジメ一辺倒だと思っていた私の印象が変わったのは。
そりゃそうだろう。南仏くんだりまで行ってそんなバカをするやつが、「キッチリしててマジメ」なわけがない。
それから5年後、「へ~、そうやったがや」と杯を傾けながら聴く高知県安芸郡北川村、辺境の夜は更け、「踊るときゃ踊らないかんもんやな」と、訳の分からぬ納得をする私。
酔狂だと言ってしまえばミもフタもない。
それもまた、「踏み出したその一足」の所産なのである。
(庭づくりに役立ったかどうかは、未だもって不明 ^_^;)
いざ出陣! モネの庭のヒゲさん撮影