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歳を取らないと分からないことが人生には沢山あります。若い方にも知っていただきたいことを書いています。

謹賀新年2017

2017-01-04 06:15:30 | 日記

明けましておめでとうございます。 

 昨年は11月に関東に真冬並みの強い寒気が流れ込み、24日には東京都心で「初雪」を観測し、1962年以来54年ぶりの早い雪になりました。大雪の到来が紅葉の季節を追い越し、各地で紅葉と雪の絶好の被写体が生まれました。 

12月下旬には15度を超える日もあり、ヨーロッパや北米大陸でも数日間の間に10度を超える、時には20度にも及ぶ激しい寒暖の差が、繰り返し起こっています。これは北極の氷が解けて北極圏の温度が上昇し、緯度の低い地域との気温差が減って、このことが偏西風の南北への著しい蛇行を招き、冷たい空気と暖かい空気が交互に訪れるようになった結果です。 

11月4日地球温暖化対策の新しい国際ルール、COP21の「パリ協定」が発効しました。日本はTPPの国会承認を優先したため「パリ協定」の批准が間に合わず、COP22での「パリ協定」発効後の国際的なルールづくりには、オブザーバーでの出席を余儀なくされました。 

国会審議が優先されたTPPは、米国の次期大統領に決まったトランプ氏が11月21日、選挙中の公約通り就任初日にTPPからの離脱を通告する考えを改めて明らかにし、成立の可能性がなくなりました。

TPPは原則非公開として交渉経過が公開されず、まったく内容が知らされないままで大筋合意の署名に至り、大筋合意の日本語の正文は作成されていません。日本語の正文がなければ合意の内容についての日本語の解釈は保証されないのです。

日本政府は農業問題だけを懸案として、農水省から第3章の仮訳を公開しただけで、米国内で一番の問題とされているISDS条項には言及せず、我が国がTPPの成立を先導するのだとして国会の採決を強行しました。成立の可能性が消えたことは我が国にとって幸いでした。

世界は今「グローバル化」が進んでいます。社会的、経済的な関連性が地球規模に拡大していますが、「グローバリゼーション」を世界史的に見れば、世界各地に植民地を作ったヨーロッパ諸国の帝国主義によって始まったと云っていいでしょう。

第二次世界大戦が終わるとアメリカを筆頭に多国籍企業が急成長し、現代の「グローバリゼーション」が始まりました。1991年ソ連が崩壊してアメリカ単独覇権が確立されると一層の強まりを見せた現代の「グローバリゼーション」は、実は、「アメリカナイゼーション」です。

世界中の男性が背広を着、男女とも夏はTシャツとジーンズ、冬はダウンが日常着となりました。ソーラ-発電で送電線のない土地でスマホが使え、世界と情報が共有でき、銀行がなくても決済ができる時代になりました。この意味でのユニバーサル化は歓迎なのですが、自然の成り行きのユニバーサル化だけがグローバリゼーションではないのです。

グローバル化が認められるものには、貿易の発展、資本の国際的流動性の増加、国際金融システムの発展、多国籍企業による世界経済の支配体制の高まり、世界的な物流ネットワークの発達、インターネット通信衛星による国境を越えた情報化、地球規模で適用される標準・基準の増加などがあります。

グローバリゼーションはIT化によって急加速されましたが、ひとたび利潤が絡むと世界規模での熾烈な競争が起こり、強大な力を持つ多国籍企業による世界的支配、それに伴う国内産業の衰退と失業者の増大など世界中に様々な社会問題が起きて、一国では解決できないものになっています。

TPPによるグローバル化は、保護主義の対極にある開かれた自由市場を装っていますが、実は、一部の世界的大企業の利益にのみ奉仕する新たな帝国主義の台頭と云えるでしょう。

America Firstを唱えるトランプ新大統領が、今後、実際にどのような世界政策をとるのかは分かりませんが、世界の警察官気取りで世界各国に及ぼしてきた米国の様々な内政干渉が少しでも減れば、米政府が昔のモンロー主義にまで戻らなくても、帝国主義的グローバリゼーションは少しは阻止できるかもしれません。

英国はEU離脱を決断しました。我が国もロシアとの平和条約を一刻も早く締結して第二次世界大戦を終わらせ、真の独立国としてアメリカの占領下から離脱する決断をすべきです。

日ロ平和条約の締結の障害となっている我が国の4島返還の論拠は、北方4島が日本固有の領土であったと云うものです。しかしその論拠は成り立ちません。1855年の日露和親条約では確かに択捉島と、択捉島の先の得撫島(うるっぷとう)の間を国境線としましたが、1875年日本とロシアは樺太・千島交換条約を結び、千島列島全部を日本領、樺太をロシア領とします。

後の日露戦争で樺太の南半分が日本の領土となりましたが、第二次世界大戦当時の千島列島は1875年以来、すべて、日本領だったのです。日本は1945年8月14日ポツダム宣言を受諾し、9月2日連合国が作成した降伏文書に調印しました。ポツダム宣言の第8条には、日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国と、われらの決定した諸小島に限られなければならないと記されています。

瀬戸内海の島々は本州、四国、九州にあたらなくてもの日本の主権が及ぶ諸小島であるのに問題はないでしょう。一方千島は1951年のサンフランシスコ平和条約 第二章 第二条(c)で、日本国は千島列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しています。日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏したのです。

1965年10月鳩山一郎首相とブルガーニン首相が署名し12月12日に発効した「日ソ共同宣言」に、日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記されたのは、鳩山首相の功績でしょう。

2001年に日ロ両国が発表した「イルクーツク声明」の中でも、日ソ共同宣言の法的有効性をロシアが引き継ぐと文書で確認されています。これは日本領の2島を返還するのではなく、ソ連領の2島を日本に好意的に譲渡することを意味します。日米安保条約の下で、譲渡した2島に米軍基地が建設される可能性があるとすればロシアの譲渡はありえませんが、日ロ平和条約の締結を先行させなければ何も始まりません。

英語のUnited Nationsを我が国では国際連合と訳していて、戦前の国際連盟のような各国横並びの国際組織と受け取られていますが、United Nations は連合国です。第二次世界大戦中にドイツが既に降伏し、日本が唯一の交戦相手国だった1945年の4月から6月に、大戦終了後に旧敵国が再び戦争を起こさないように、アメリカ、イギリスなどの連合国の50か国が憲章を作成して署名し、戦後の10月24日にもう1か国が加わって発効したのが連合国憲章です。

我が国のUnited Nationsへの加入は、日ソ共同宣言締結後の1956年12月18日に実現しました。加盟国が193か国に増えた1995年に敵国条項が事実上死文化した状況で、第53条・第77条・第107条を憲章から削除する決議案が採択されましたが、この規定が削除されるためには国連加盟国の3分の2以上の批准が必要で、現状では削除されていません。

敵国条項の特色は2点あります。第53条では旧敵国に対して国連加盟国や地域機構は、安保理の許可なしに武力制裁を行使できます。連合国に加わった国の判断で旧敵国はいつ武力制裁されても、国連憲章の上では救済されないのです。

もう1点は第107条で、旧敵国に対する第二次世界大戦終結の際の取り決めが国連憲章に優先すると云うものです。ロシアは昨年12月にも、千島列島をロシアの領土と認めるのでなければ平和条約締結交渉に移れないと警告しています。 

安保条約によるアメリカの傘が必要だと考える人がいることを私も否定はしませんが、第二次世界大戦のような何年も続く大国同士の大戦争は、今後、起こりえないでしょう。大国同士のアナログの戦争が激化する前に、サイバー攻撃で一瞬にして勝敗は決するでしょう。 

我が国は無条件降伏した現実を、もう一度、確認する必要があります。日ロ平和条約を締結しないと第二次世界大戦は終結しないのです。大戦を終結させないと、アメリカの占領下からも抜け出せないのです。戦後70年を超えて、戦争の終結をうやむやにしていることは許されないでしょう。 

我が国では、とにかく、うやむやに済ませることが多すぎます。2017年が国際的にも、国内的にも物事をうやむやにせず、きっちり決着をつけていく年になっていくことを願っています。 

みなさまのご多幸をお祈りいたします。

 


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