一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9期叡王戦第1局

2024-04-07 23:31:22 | 男性棋戦
きょう7日、第9期叡王戦(主催・不二家、日本将棋連盟)第1局が行われた。叡王は藤井聡太八冠。挑戦者はおなじみ、伊藤匠七段である。
叡王戦が創設されたとき、最初はエントリー制だった。すると、番勝負の時期が名人戦と丸かぶりだったからか、出場を辞退した棋士が現れた。私は、叡王戦と名人戦の両方に出場する棋士もいないだろうから、考えすぎではと思った。
だが実際は昨年、藤井叡王が名人戦と叡王戦に登場し、ダブルタイトル戦となった。傍からはハードスケジュールに見えたが、若い藤井叡王は、苦にしたふうではなかった。それにこのくらい忙しいほうが、緊張感が持続して、いいのではないか。
さて、伊藤七段である。伊藤七段は竜王戦、棋王戦に続いてのタイトル戦登場で、それはいいのだが、藤井叡王と11番戦って、一番も勝てていない。いつも激戦になるのだが、キッチリ一手負けになる。「これならオレが出たほうがよかった」と、竜王戦と叡王戦の挑戦者決定戦で伊藤七段に屈した永瀬拓矢九段の嫌味が聞こえてきそうだが、仮にそう言われたとしても、伊藤七段は反論できまい。
もうなんでもいいから、とにかく伊藤七段は勝たねばならない。
将棋は振駒で藤井叡王の先手になり、角換わりとなった。すると相腰掛け銀になり、お互い金をまっすぐ上がり、飛車をひとつ引く例の形になった。なんかこの形、藤井叡王が勝つイメージしかないのだが、伊藤七段は同じ居飛車でも、別の将棋を指す選択肢はなかったのだろうか。
ここから私レベルでは理解不能の玉の繰り換えがあり、藤井玉は8八に収まり、伊藤陣は右玉になった。
そこからの戦いがまた難解なのだが、藤井叡王が桂取りに歩を打つと、伊藤七段はそれに構わず8筋に手を付け、藤井叡王が桂を取った瞬間に、8筋の歩を取りこんだ。すると藤井叡王はその桂を自陣に打ち、8筋を補強した。
とはいえ藤井陣の天井は吹っ飛び、不気味な歩が垂れている。私はとても指す気がしないが、そういえば藤井叡王は、以前もこんな将棋を指していなかったか? 藤井叡王、この形に自信を持っているのかもしれない。
伊藤七段、さらに、敵陣に角を打つ。これが間接的に8七まで利き、あと一枚入れば即詰みである。
これは伊藤七段、やったんじゃないか?
しかし藤井叡王は辛くもその角を飛車で除去し、その飛車が間接的に敵玉を直射してきた。
アレッ? これ、藤井叡王が勝ちになってる?
藤井叡王は飛車を切り、銀の王手。この王手が厳しく、伊藤七段の投了となった。伊藤七段、また負けたか……。
局後、伊藤七段は角を取られる前、△8七歩成を利かすべきだった、と述懐していた。本人も語っていたが、本局は終盤で十分勝ち筋があったと思う。だが、藤井叡王の懐が深かった。
伊藤七段、初戦を負けたのは痛い。残る4局を3勝1敗、とはちょっと考えられないので、これで早くも、藤井叡王の防衛濃厚となった。伊藤七段はとりあえず、初勝利を挙げることだ。1回勝てば呪縛が取れ、どんどん勝てるようになるかもしれない。
第2局は20日。
コメント (2)
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